彼女達と出会い、彼女達と関わり会う事で。
賑やかさの中に、安心を覚えた様に。
されど、少女の心は晴れない。
彼の中で、自分だけが存在を受け入れられていないから。
※5/5 誤字修正。一部変更。
ーside和也ー
何故か鈴にクラス対抗戦に向けた特訓に付き合わされる事になって早数日。俺の生活に多少の変化が起きた。そのひとつが・・・・・・
「和也っ! 今日の訓練は第5アリーナだからね、間違えるんじゃないわよ!」
矢鱈と鈴と行動を共にしてる事が多くなった事だ。
いや、確かにクラス対抗戦に向けて協力しろとは言われたぞ? 勝手に約束までさせられたな?
だからって、ダリル達と昼飯食ってる場にまで同席してくんのはどうなんだ? メールとかじゃ駄目なのか?
「また来たんスか? 何時も元気ッスね~」
「ハッハッ! まぁ良いんじゃねぇか? 食事は少し騒がしいくらいが丁度良いって」
「どちらかと言えば私は、もう少し静かな方が好きだけどね。和也君は?」
「食い物を粗末にしなきゃどっちでも良いわ」
もはや見慣れた昼食時の同席者の面々。ダリルとフォルテ、そしてサラ先輩。そこに今じゃ鈴まで加わって、完全にパワーバランスのおかしいテーブルが出来上がった。
「にしてもあんた、今日もお弁当なの? 学食があるのにお弁当ばかりって変わってるわね?」
「けど和也の弁当はうめぇぞ? 私としちゃあ、タマにお裾分けが貰えるから充分だ」
「あぁ~あ、それは否定出来ないッスね~。しかも変に凝った物じゃないから質が悪いッスもん」
「それにしても、食事に来ていて一度も食堂の料理を頼まないのは問題だけどね?」
何故自炊を微妙にディスられなきゃいけねぇんだ・・・・?
とまぁ、鈴の奴もなんやかんやでダリル達とは仲良くやってる。フォルテは微妙な気もするが、ダリルとサラ先輩もコミュニケーション能力は高いしな。仲が良いのは良い事だ。
それが俺のひとつ目の変化。そしてもうひとつが・・・・・・
「おう簪、調子はどうよ?」
「んっ・・・・ まずまず」
鈴との訓練の後、整備室でよく簪と話す様になった事だ。
と言っても簪は放課後になれば大体整備室に居るから、行けば会えるのは当然っちゃ当然だ。
ただ出会った頃と違って今や簪も話し掛ければ普通に返事を返してくれるし、そう悪い関係性ではないと思う。
・・・・・・まぁ、簪と話す様になって少ししてから、妙な視線を感じる様になったのが気になっけどな。まるで監視されてる様だし。
「そう言やこの前のデータ、少しは参考になったか?」
「うん。まだ目標の数までは届かないけど、『山嵐』のシステム構築が前より進んだ。具体的には、12発分」
「まっ、進展があるだけマシだろ? 後はゆっくり進捗率を上げてくしかねぇしな」
「うん。和也がくれたデータもあるし、先が見えなかった時よりは全然マシ」
ああそれと、何回か世間話を続けてたら名前で呼ばれる様になった。後、簪の専用機が完成してない理由も聞けた。
取り敢えず要点だけ言うと、世界初の男性操縦者の織斑一夏が出現したせいで、開発元が簪の専用機開発をぶん投げたそうだ。しかも開発元や政府からのアフターフォローも無し。
流石にこれには俺も腹が立って、最初は全面的に簪に協力してやろうと思った。
だけど簪自身はひとりで完成させるって意固地になってて協力を受けはしなかったんだが・・・・ 一時間程掛けて説教してやった。ひとりでISを完成させる難しさ舐めてんのかって。
で、厳しめの説教で泣かせた後は手を貸してくれる奴がいんなら借りろ。借りだと思うならきっちり完成させて返せ的な事を言ってから、俺も手を貸してる。
とは言っても、ひとりで完成させたいって気持ちも分かるから何から何まで手を貸してる訳じゃない。
「和也。このスラスターと武装の連動プログラムなんだけど・・・・」
「あん? ・・・・ああ、これじゃ姿勢制御の部分でバランス悪いぞ? ここは武装の荷重と角度を着けた際に起きる機体の加重分を処理に加えとかなきゃ・・・・」
プログラムの構築に行き詰まったなら助言程度に口を出したり参考になりそうなデータを見せたりと、基本的に開発は簪ひとりにやらせてる。
そもそも俺は武装の開発とプログラミングは出来るが、IS本体の開発とプログラミング迄はそんな専門じゃない。大体が
「・・・・うん、分かった。その辺を再計算して直してみる」
「おう。んじゃまた意見が必要な時は言ってくれや。俺は自分の方の整備すっから」
そんな訳で、俺に出来るのは簪が悩んだ時に意見や軽いアドバイスを言ってやる事だけだ。・・・・・・武装だけだったら全部造ってやる事は出来んだけど。ホント、武装だけだったら。
そんな感じに俺の生活は鈴との出会いから、やたら人との付き合いが多いもんになった。しかも別のクラスだったり上級生だったり、各国の代表候補生とか・・・・ 殆ど一般人がいねぇ。
いやぁ~・・・・俺、一般人と仲良くとか出来んのかな?
ーside和也 outー
ーーーーーーーーーーーーー
ーsideセシリアー
あのクラス代表を決める試合から早数日。クラスメートの皆さんは侮辱的な発言をしたわたくしを許し、今では普通にお話をするほど仲良くさせて貰っています。
ですが矢張、彼だけは・・・・ 秋風さんだけは、一向にわたくしの事を許してはくださりませんでした・・・・
「あ、あの、秋風さ・・・・」
「やまーだ先生~。整備室の申請書書いて来たから受理してー」
わたくしから話し掛け様にもタイミングを見計らった様に躱され、お昼を一緒にしようとすれば誰よりも早く教室から抜け出され、殆ど近付く事すら出来ず仕舞い。
同じイギリス出身で同じく代表候補生としても先輩であるサラ・ウェルキンさんが秋風さんと親交があると知り、彼女の口添えでせめて彼と話し合いの場だけでも設けられないか相談をした事もあるのですが・・・・
「う~ん・・・・ 残念だけど、それは無理だと思うわよ」
「な、何故ですか!? わたくしはただ、せめて彼と同じクラスの一員として交友関係を築きたいと・・・・」
「セシリア。私は一度だけ、彼にその事を話した事があるのよ。同郷で同じ代表候補生であるあなたに、少しだけでも心を許しては貰えないかって。・・・・でも彼の答えは、『論外』ってだけだったわ」
「そ、そんなっ!?」
「・・・・セシリア。正直に言うと、私はあなたが入学早々にした発言を知っているわ。彼に、当時の音声データを聴かせて貰ったからね。・・・・正直、直ぐにでもあなたの代表候補生としての資質を本国に問い質したい気持ちだったわ・・・・・・」
「っ!? そ、それは・・・・」
「けど彼自身がその時の事に興味を失くしてる以上、私からは何も言わない。本国へも報告はしないわ。・・・・けれど、忘れないで。彼が何故、あなたに対し厳しい言葉を言ったのか。彼が何故、あなたに論外と言っているのかを」
サラさんから言われたのは、あまりにも厳しい言葉でした。そしてそれは、彼が決してわたくしと言葉を交わす意志がないと言う事実を突き付けるには充分なものでもありました・・・・
わたくしはただ、彼に謝りたかった。本当に愚かで、身の程を弁えない事をしてしまった。だからこそ猛反し、心を入れ換えたと言う事を知って欲しかった。ただ、彼と話しをしたかった・・・・・・
ですがその想いは彼へと届かない。しかも彼は出会った他の代表候補生達とは自ら交友を結んでいた。・・・・わたくしだけが、彼から拒絶されていた・・・・・・
わたくしの声は一体、どうすれば彼の耳に届くのか・・・・?
わたくしの意志は、想いは、彼に受け入れて貰える時が来るのか・・・・?
彼はわたくしを・・・・ 見て、くれるのだろうか・・・・?
わたくしは未だ、その答えを得る事が出来ないでいました・・・・・・
ーsideセシリア outー
はい、久し振りのセシリア出番です。けど優しくするとは言ってない。
いやぁ、まだか。まだセシリアとの溝は埋められんのか・・・・ 舞台はもう用意してるのに。
では、ターンエンド!