なんか日にち空く度に書き方を忘れる・・・・
ーside和也ー
邪魔をしていた生徒会長も、俺が整備室に着くと何故か姿を消していた。
・・・・いや、姿を隠しただけでまだ近くに居るな。何処に居るかまでは分かんないけど。
まぁ別にそれは良い。そもそもお願いだかなんかも聞く気はない。
無視して問題は無い。
で、そんな俺の目の前では・・・・
ーーカタカタカタカタ・・・・
「やっぱり姿勢制御に掛かる負荷が規定値より下がらない・・・・ ならPICへの比重を増やす? いや、そうすると機動に弊害が出るから、春雷の出力を落として姿勢制御の負荷を下げた方が・・・・・・」
「・・・・・・」
初めて会った時よりも深く、簪がブツブツと何かを呟きながらまるで取り憑かれた様にディスプレイに釘付けになっていた・・・・
うん、こっちは問題有りだ。無視しちゃいかん。
「あぁ~あ・・・・ お~い、簪? 景気はどうよ~?」
「ブツブツブツ・・・・」
「簪さ~ん?」
「ブツブツブツ・・・・」
・・・・返事がない。ただの(生きる)屍のようだ。
ふむ・・・・・・
「・・・・いい加減、気付けやコラァ」
ーースパーンッ!
面倒くせぇからぶっ叩く!
ハリセンは拡張領域に常備済みだ!
「いみゃあ!?」
ハリセンでぶっ叩けば漸く意識が反れたのか、簪はディスプレイから視線を外しその場に蹲った。
ふっ。ここ数年で上げたハリセンの熟練度は伊達じゃない。どっかの
「うう、一体何が・・・・ えっ? 和、也・・・・?」
「おう、久しぶり」
って、簪よぉ? なんで目の下にくっきりと隈なんかこさえてんだよ? しかも髪の艶も明らかに悪くなってる気もするし。
これ、あれか・・・・?
「簪、お前・・・・ どんだけちゃんと寝てねぇ?」
「・・・・・・」
そう言ってやれば簪は俺から視線を反らし、俯く様に顔を床へと向けた。
この反応を見るに殆ど睡眠時間削ってんじゃねぇか? となると最悪・・・・ 俺が懲罰房に入ってた間か? いや、まさかな。
「取り敢えず顔見せと整備も兼ねて手伝いに来たんだが、こりゃ駄目だな。簪、今日はもう止めろ。とっとと帰って寝ろ」
「っ! だけど、この子の完成もまだ・・・・」
「んな状態で何が出来んだ。専用機が出来てもテメェがぶっ壊れちまったら意味ねぇだろが」
「けど! それでも、私は・・・・!」
・・・・なんでコイツは、頑なに専用機の開発に急かされてんだ? 少なくともクラス対抗戦までは、まだ心にも余裕があった。
寧ろ前までのペースなら早くて1ヶ月、掛かっても3ヶ月も有れば完成させれるくらいに作業も軌道に乗ってた筈なんだ。
それが俺が懲罰房に入ってた一週間で、何があった?
「・・・・少なくとも、今のお前じゃなんの進展もねぇよ。そのプログラム、どんだけ進展してねぇんだ?」
「・・・・・・」
正解は、
・・・・はぁ~。ホント、俺の領分じゃねぇってのにな・・・・
「おい、のほほん。その辺にいんだろ? 出て来い」
「・・・・な~に~」
やっぱり居たよコイツ。そりゃあ放課後に整備室に行けとか言ってたんだ、居るとは思ってたが隠れてやがったな。
「なんか飲物と茶菓子、大至急な」
「・・・・分かった~」
・・・・あっ、消えた。
何あいつ。音もなく消えた? 忍術でも会得してるか?
で、その場に残ったのは俺と、未だに俯いたままの簪の二人・・・・ ああ、いや。まだどっかに生徒会長が隠れてやがんな。僅かに気配は感じる。
「・・・・チッ! なぁ簪。気遣いとかそう言うのは性に合わねぇから、はっきり言うぞ。なんでそんな
「・・・・・・」
黙り、か・・・・
だが、そりゃあそうだ。元々専用機の問題は簪のもんであり、他人でしかない俺が必要以上に首を突っ込む様な問題じゃねぇ。
だからこそ、今の俺がしてるのは余計なお節介でしかない。それでも、少なからず首は突っ込ませて貰った仲だ。お節介だが、愚行を止めるくらいはしてやるさ。
「・・・・・・」
「・・・・簪、話せ。お前はなんやかんや内に溜め込む性分なんだろうが、どう見てもその許容量を見誤ってる。その結果が、今の状態だ」
「・・・・・・」
「一応言っとくが、俺は誰も彼も無条件で助ける様な善人じゃねぇ。関係ない有象無象は余裕で切り捨てるし、基本的に身内贔屓のクソ野郎だ」
まぁそんな贔屓する様な身内が
それでも簪にはひとつだけ、きっちりと理解させなきゃいけない事がある。
「その上で言ってやる。簪、俺はお前が望むなら手ぇくらい幾らでも貸してやる。それくらいには心は許してるつもりだ」
元々専用機開発をぶん投げた倉持技研とかに対して怒りを覚えてるってのも嘘じゃねぇが、それでも手ぇくらいは貸してやりたいと思ってるのも事実だ。
だから俺は、手を伸ばす。
「経験則だからこそ言ってやる。独りでなんでも出来る奴はいねぇ。例え出来たとしても、本当の意味でなんでも出来てる訳じゃねぇ。そこには必ずしも誰かの、何かの支えがある筈だ」
ホント、鈴の時にも思ったがこう言う立ち回りは俺の性分じゃない。御高説垂れるなんざ、他の善人にでもやらせとけば良いんだ。
それでも、御高説垂れる善人がいないって言うなら・・・・ 俺がやってやるしかねぇだろ? 少なくとも、今、この時くらいは。
「俺が助けてやるとは言わねぇ。けどな、手は貸してやる。だからお前は、ただそれを利用しろ。使えるもんは全部使って、その上で目的を果たして見せろ」
自分で手を貸すって言ってんだ。それが利用された結果になろうが、それは俺の自業自得だ。恨むなんてこたぁねぇ。
だから簪・・・・・・
「手ぇくらい、貸させろや?」
「・・・・・・・・」
言いたいこと言い切って、俺は簪の前に手を伸ばす。
この手を振り払うも掴むも簪の自由だ。振り払われたら俺は素直に、この件から手を引く。それが簪の意思なら、これ以上無理に首を突っ込むべき事じゃねぇしな。
だから・・・・・・
「・・・・っ、和、也ぁ・・・・ わた、わたしぃ・・・・・・」
「・・・・おう」
「わたし、もう、どうしたら良いのか分かんないよぉ・・・・」
手を掴むってぇなら、俺は絶対に掴んでやるよ・・・・
俯いたまま肩を震わせ涙を溢し、俺の手にすがり付く様にゆっくりと伸ばされる簪の両手。
それは俺の方に伸びて来ているが、少しでも風が吹けば直ぐにでもまた引っ込んじまうかも知れないほど弱々しい。
なら、俺に出来る事は・・・・
「・・・・ゆっくりで良い。今は、お前の中に溜まったもん全部吐き出しちまえ」
「っ・・・・ う、あああぁぁぁぁぁぁあっ!」
伸ばされた手を、掴んでやる事だけだ。
両手を掴んでやれば、簪は堰を切った様に声を上げて泣き出した。それは自分でも言った通り、色々と溜め込んでたもんが吐き出されてんだろう。俺が掴んだ簪の手も自然と力が込められてるのが分かる。
兎に角今の簪には、溜め込んだもん全部を吐き出しちまう事が大切だ。だから今は役違いではあるが、俺がそれを受け止める役を担うしかねぇ訳で・・・・・・
「・・・・いや、なんで?」
・・・・なんで俺、こんな似合わねえ真似してんだろう?
のほほーんっ!お茶まだぁ~!?
ーside和也 outー
まさか簪の専用機云々に手を貸すだけで三話も使う事になるとは思ってなかった・・・・
なんかこっ恥ずかしい事を言ってる和也だけど、これが隠れた楯無やら本音に聞かれてると言う羞恥プレイと気付かせるか否か・・・・
と言うか、早く作れや専用機ぃ!
では、ターンエンド。