IS-問題児なオリ主の生活   作:柳命

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※4/14 誤字脱字修正。




第3話 初授業ー狙われるお菓子ー

 

 二人目の男性起動者の入学。

 

 そんな衝撃的な出来事も千冬の一喝により鎮圧されてから数分・・・・ 和也の所属する1年1組の教室では、入学式当日でありながら早々に授業が執り行われていた。

 

「ーーーと言うことでして、ISの基本的運用は現時点では国家の認証が必要となります」

 

 教壇の前ではクラスの副担任・山田真耶が教鞭を振るい、生徒達へとISに於ける基礎となる項目を説明していく。

 

 一般的な学校と違いISと言う専門的な物を主として指導するこのIS学園。一般科目もさることながら、授業にはISに関わる専門的な授業が多く割り振られている。

 

 特に此処は世界で唯一ISについて学ぶ場所である事から入学倍率も圧倒的に高く、当然入学して来る生徒達も高倍率を潜り抜けて来たエリートの卵とも言えるだろう。

 

 そうなれば必然的に、今の授業内容など基礎知識として認識している様な基本的な内容であるのだが・・・・・・

 

「(や、やばい・・・・何を言ってんのか全然分かんねぇ・・・・)」

 

 その中に一人、滝の様な汗を流しながら狼狽えいる少年が居た・・・・そう、織斑一夏その人である。

 

「(な、なんでみんな平然と授業を聞いてられるんだ? 全くなに言ってんのか分かんねぇのに・・・・)」

 

「・・斑く・・・・織・・・・・・君?」

 

「(つーか、もう一人の男の方はこの授業が分かってるのか・・・・?)」

 

「織斑君?」

 

「っ!? は、はいっ!」

 

 一向に頭に入らぬ授業内容に意識を取られていた最中、不意に呼ばれた自分の名前に一夏は慌てる様に返事を返す。

 

 その声がした先では真耶が反応がなかった一夏の事を不思議そうな眼で見ていた。

 

「織斑くん、ちゃんと授業を聞いてましたか? 何か分からない事があったら、遠慮なくいってくださいね」

 

 この真耶の言葉に他意はない。ただ純粋に、女子校である環境の中に数少ない男として入学した一夏を心配した上での言葉だった。

 

 だが、今の一夏にそんな真耶の気配りなど気付く余裕もなく、自然と周囲からは向けられていた視線に耐えられなくなった彼は・・・・

 

「や、山田先生・・・・殆ど、全部わかりません!」

 

 真耶に対し、爆弾を投下する行動を取っていた・・・・

 

「・・・・えっ? ぜ、全部ですか・・・・? あ、あの、他に織斑君以外で分からない人って居ます・・・・?」

 

 この一夏の反応には真耶も面食らった様に慌て、すがる気持ちで他の生徒達へと確認の声を掛ける。

 

 しかし今の授業内容は本当に基本的な事であり、クラスの中には誰一人として首を縦に振る様な生徒はいなかった。

 

 そんな中、二人目の男性起動者である和也はと言うと・・・・・・

 

「・・・・かぁ~・・・・・・」

 

 腕を組んだまま椅子に背もたれ、大口を開けて眠っていた・・・・しかもご丁寧に、アイマスクまで装備して。

 

 その不真面目な授業態度に真耶は心が折れる気持ちを抑えながら眼を向けない様にしている。

 

 ・・・・断じて、話を聞いて貰えてない事に泣きそうになったからではない。

 

 

「織斑、お前参考書はどうした? あれを読んでいれば分かるはずだが」

 

 そこへ教室の後ろで授業の様子を見ていた千冬が一夏へと声を掛ける。

 

「電話帳と間違えて捨てました」

 

「っ! 必読と書いてあっただろうが馬鹿者っ!」

 

 バシンッ!

 

「あだぁっ!?」

 

 直後、一夏の頭部に千冬の手にした出席簿が振り下ろされる。

 

 それはとても出席簿とは言えぬ快音とダメージを与え、一夏は頭からは煙を出しながら机へと突っぷした。

 

「全くっ! 後で再発行してやる、一週間以内に覚えろ。いいな」

 

「い、いやあの厚さは一週間じゃ・・・・」

 

「やれと言っている。い・い・な?」

 

「・・・・はい」

 

 全く隠す事もなく晒けだされる威圧感に、一夏は項垂れながら返事を返すしか出来なかった。

 

 そんな一夏の様子に千冬はこめかみを抑えながら小さく溜め息を漏らすと、次に堂々と居眠りに興じる和也へと鋭く視線を向ける。

 

「貴様も・・・・せめて起きてろ!」

 

 ビュンッ!

 

 そう言うが早く、千冬は手にしていた出席簿をまるで手裏剣の様に和也へと投擲する。

 

 その投擲はまさに豪速球。まるで力も込めた様子もなく手首のスナップだけで投げられたそれは風を切り、一直線に眠りこける和也へと迫って行った。

 

 しかし・・・・

 

「かぁ~・・・・あんっ?」

 

 パシッ。

 

「っ!」

 

「はあぁ!?」

 

「「「「ええっ!?」」」」

 

 迫り来る出席簿を、和也は組んでいた腕を素早く崩し片手で掴み止めた。

 

 その突然の行動に千冬は眼を見開き、一夏や他の生徒達は短くも驚愕の声を挙げ和也へと視線を集める。

 

 そして当の本人はと言うと今ので目が覚めたのか、出席簿を掴んだまま欠伸を溢し、座ったまま背を伸ばし漸くアイマスクを外すのだった。

 

「ふぁ~あぁ・・・・ あん? なんだコレ・・・・? お品書き?」

 

「そんな訳あるかぁ! それは出席簿だっ!」

 

「なんだ詰まんねぇ。返すわ」

 

 そもそも豪速球ばりのスピードでお品書きが投げ渡される飲食店など行きたくなどない。

 

 しかし和也にとってそれは対して面白くもなかったらしく、小さく溜め息を吐くと詰まらなそうに千冬に向かって出席簿を投げ返した。

 

 それは先程の豪速球とは打って変わり風を切る程の速さこそないが、それでも速く、殆どの生徒達の眼からは消えて見えた。

 

 そして生徒達の視界から消えたその出席簿は真っ直ぐと持ち主の手元へと戻り、千冬の手には投げ返された出席簿が戻った。

 

「・・・・秋風。今は授業中だ。アイマスクまでして寝るな。それに貴様、今の授業内容は理解しているのか?」

 

「あん? ・・・・ああ、参考書に書かれてた奴か。これ程度なら普通に覚えてるっての。・・・・まぁ俺には知ったこっちゃねぇ内容だけどな」

 

 そう最後は呟きながら言うと和也はもう一度欠伸を漏らしながら再び腕を組み直す。

 

 だが今度は眠らないのか視線だけは教壇の方へと向いており、それを見た千冬は小さく溜め息を吐きながら真耶へ授業を再開する様に促した。

 

 後には先のやり取りに対する生徒達の微妙な空気と、結局自分だけしか授業内容が分かっていないと言う現実に打ちのめされている一夏の悲壮な溜め息だけが残された・・・・

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

ーside和也ー

 

 仮眠も取れた授業も漸く終わった。とは言っても、まだ二限目。これがまだ三限もあるとか、面倒たらっありゃしねぇ。

 

 これなら、散策も兼ねて授業フケた方が良さそうな・・・・

 

「ねぇねぇ~」

 

「・・・・あん?」

 

 誰だ? このやたら袖の長い、なんか間延びした奴・・・・?

 

「・・・・取り敢えず、誰だ?」

 

「私は~『布仏 本音(のほとけ ほんね)』だよ~。よろしくね、『あっきー』」

 

「いや待て。あっきーって、俺の事か?」

 

「そうだよ~。『秋風 和也』だから、あっきー」

 

 えぇ~え・・・・ 初対面でいきなり変な渾名付けられてんだけど~・・・・

 

 しかもこいつ、全く悪びれる様子すらねぇし。何、天然? 天然なのこいつ?

 

「・・・・まぁ、色々ツッコミたい事はあるけど、名乗られたら仕方ねぇよな。秋風和也だ、あっきーは止めてくれ」

 

「おぉ~お。よろしくね、あっきー」

 

「止める気ゼロか」

 

 ヤバイ。どっかの馬鹿ウサギと似た気配がする。

 

「ところであっきー。お菓子持ってない~?」

 

 なんで?

 

 なんで初対面で変な渾名付けられた上に、お菓子ねだられてんの俺?

 

「一応聞くけどよぉ、なんでそれを俺に聞いてんだ?」

 

「ふっふっふっ~。それは~、あっきーからお菓子の匂いがしたからだよ~」

 

 犬かお前。匂いがしたらお菓子貰いにくんのかよ。

 

 てか、自己紹介はついでかっ!

 

「・・・・・・」

 

「わくわく、わくわく」

 

「・・・・はぁ~あ。ちょっと待ってろ」

 

 こいつ、アレだ。菓子やらねぇと絶対こっから動かねぇつもりだろ。

 

 仕方ねぇけど、素直に分けてやった方が楽そうだ・・・・

 

「・・・・ほれ。キノコとタケノコ、どっちが良い?」

 

「おぉ~お! えっとねぇ、じゃあね~・・・・ キノコっ♪」

 

 クッ! キノコ信者だったかこいつ・・・・!

 

「じゃあキノコやっから、早く席に戻っとけ。俺はもう一眠りすっから」

 

「わぁ~い♪ ありがとね、あっきー♪」

 

 いや、マジでお菓子だけ貰って戻りやがったなアイツ。

 

 まさか、これから菓子持ち歩いてたら毎回来るとか言わねぇよな? ・・・・スッゲェ不安。

 

 兎も角、これ以上菓子をねだられても困っから、昼休みくらいまで寝て過ごしとくか・・・・

 

「ちょっとよろしくて?」

 

 ・・・・えっ、何?

 

 俺の持ってる菓子、本格的に狙われてんの?

 

 

ーside和也 outー

 

 

 





 本音は御菓子で餌付けする。
 これは鉄板事項。

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