すんなり助けないから話が進まないんじゃ・・・・・・
※7/15 誤字訂正。
ーside和也ー
なら、相応のやり方で噛みつかれても文句は言えねぇだろ・・・・?
「虚先輩、簪の専用機が回収されんの何時だ?」
「・・・・明日の朝には倉持技研から使いが来て、引き取りに来るとの事です。当然、この件に関しては我々も、楯無様も正式に抗議して時間を稼いではいますが、現状では・・・・」
楯無・・・・? ああ、あの生徒会長か。最近は見てなかったから忘れてたわ。
簪とは不仲になってるとは聞いてたが、流石に今回の件はあいつでも腹に据え兼ねるって事か・・・・ だが。
「自分達の都合が悪けりゃ平然と消しに来る様な国だ、どうせ意味ねぇだろ・・・・ それより虚先輩。今すぐ『打鉄弐式』の武装の取り外し、それと武装データの全削除だ」
「えっ? それは、一体・・・・」
「それとのほほん、他の奴等を集めて『打鉄弐式』の解体・・・・ こっちが手を出す前くらいまでバラして、部品も最初の粗悪品に戻してやれ。後、完成間際までに取ったデータはひと欠片も残すなよ」
「えっ? あっきー、何言ってるの・・・・?」
虚先輩ものほほんも、俺の言葉に意味が分からないと直ぐに動こうとはしない。だが、今はそんな事をしてる時間も無い筈だ。
簪の『打鉄弐式』が手元にある期限は明日の朝まで・・・・ 造る時と違ってバラすだけならどうにか一晩で出来るか?
ああ、それと・・・・・・
「おい簪、確認だ。お前さん、倉持技研の奴等に未練はあっか?」
大事な
「・・・・もう、どうでも良いよ。私はお姉ちゃんと比べて鈍くさいし、専用機もちゃんと作って貰え無い上に奪われて・・・・ 本当にもう、どうでも良いよ・・・・!」
・・・・・・・・舐めてんな、このガキ?
「・・・・・・」
ーーグイッ!
「っ!?」
「ちょ、あっきー!?」
「何をしてるの秋風君!? 簪お嬢様を離しなさい!」
何をしてるぅ?
「悲劇のお姫様気取りのとこ悪いが、くだんねぇ事で時間使ってる場合じゃねぇだろうが?」
「っ・・・・! 和也に一体、何が分かるのっ! 自分は専用機を幾つも持ってて、お姉ちゃんみたいに好き勝手してて・・・・! 自由も何も奪われた事もない癖にぃ! 勝手な事ばっかり言わないでよ!」
何も奪われた事もない、ねぇ?
はっはぁ~ん・・・・・・ 調子ニ乗ルナヨ、クソガキ・・・・!
「グチグチ、グチグチ・・・・ 泣き叫んでりゃあ誰かが助けてくれんのか? 事態が好転すんのか? 全てが元通りになんのか? 随分とお優しい世界に生きてんだなテメェは・・・・ ふざけんなよ、更識簪・・・・!」
専用機が没収される? 世間に認めて貰えない? 自分は変わる切欠すら貰えない?
・・・・だからどうした?
「テメェで立ち上がるどころか抗おうとしねぇ奴が、グダグダ怨み言ほざいてんじゃねぇっ! 泣いてる暇があんなら動いてみろ! どうにもならねぇならみっともなく足掻いてみろ! 怨みがあんならそいつを力にしろ! テメェ如きの不幸なんざ、世の中にゃあ吐いて捨てるくらい転がってんわぁ!」
ーーダンッ!
「つっ!」
「「かんちゃん(お嬢様)!?」」
こいつは、俺が専用機の開発を手伝うって言った時もそうだ。現状にウジウジと閉じ籠って自分は不幸だと言いながら、明確にどうにかしようとしない。変わろうと動いてる様で、動いてない。
抗ってる様に見えて、どこかで諦めて現状を受け入れてる。抗う姿勢を取ってるだけで、心の何処かで知らない誰かに助けて貰う事を待ち望んでる・・・・!
テメェの直ぐ側に、支え様としてくれる奴が居るにも関わらずだ・・・・!
「布仏虚、『打鉄弐式』の武装『春雷』と『山嵐』は回収してくぞ。こいつは更識簪の為に造ったもんであって、そこのウジ虫メガネに造ったもんじゃねぇ」
「うじ!? あ、秋風君! 貴方自分が何をしてるか分かってるんですか!?」
分かってるさ。少なくともそこの、俺にとっての更識簪
だからこそ俺は、更識簪と造った
ーーギギギ・・・・ガキンッ!
「・・・・無理くり取ったから連結部が折れたか。まぁこんぐらいなら問題ねぇな」
「に、弐式の武装が・・・・」
のほほんが・・・・ 布仏本音が、俺が『打鉄弐式』から武装をもぎ取った事に茫然と呟くが知ったこっちゃねぇ。
その間にも俺は回収した武装をそれぞれ拡張領域に収容し、尻餅を着いたまま反論すらしなくなった更識簪へと近付く。
「最後の忠告だ・・・・ 専用機を奪われ、今まで協力してくれた奴等の想いすら忘れ、ただ救われる事だけを待ってんな。抗う為にどうすっか、テメェがどうありたいか・・・・ 残された時間で死に物狂いで良く考えろ。それでも分かんなきゃ・・・・ テメェはずっと、無能なままだ」
「・・・・・・・・」
反応は、無し・・・・ そりゃ何処かに救って貰いたいって気持ちがあったんだ。今もそれが、心の何処かで自分を救ってくれるとか淡い希望でも抱いてんだろう。
けどな・・・・
本当の希望はどっかの誰かがくれるもんじゃねぇ。最後に残ったもんの中に在るそれに、本当の希望はあるんだ・・・・
それに僅かでも気付かなきゃ、こいつは進めないし、変われない。
少なくともこいつはまだ・・・・
「・・・・それと、さっき言ってたな? 俺は何も奪われた事もない癖にとか・・・・・・」
「・・・・・・・・」
本当は別に話す程の事でもねぇんだが・・・・ そんなに自分が一番不幸とか思ってんなら、少しだけ教えてやろう。
「・・・・俺を拾ってくれた組織も、受け入れてくれた人達も、愛してくれた家族も、俺が、秋風和也って人間が生きていたって言う事実すら・・・・ 俺は全て、奪われてる」
「・・・・えっ・・・・・・?」
そう、俺は一度全てを失ってる。理不尽な理由で全てを奪われた。
だが、俺の中に残った意思だけは、この想いは、最後まで手放さなかった。今までも、此れからも・・・・
だから今の俺が在り、新しい家族も継ぎ接ぎだらけながら手にする事が出来てる。
「良く考えろ。テメェには今、何が残ってる? 何が出来る? 誰が側に居る・・・・ それすら分かんねぇなら、テメェは一生そのままだ・・・・」
こっから先は、更識簪自身が気付くべき事だ。俺が教えるだけじゃ意味がねぇ。それじゃ何時までも、ただ救われるのを待ってるだけだ。
簪・・・・ 頼むから、気付け。お前の周りに居る奴を、お前に残っているものを。そして立ち上がれとは言わない、這いつくばってでも良い。
自分の意思で、本当の意味で抗ってみろ・・・・・・
その為の準備だけは、俺も用意しといてやる。
ちょっと頭に血が行ってキレたりもしたし、完全に嫌われたかも知れないが・・・・ 少なくとも俺は、お前を助けたいとは思ってるんだからな・・・・
ーside和也 outー
えっ? 直ぐに簪を救うとでも?
そんな訳ないじゃな~い。なんでもかんでも無条件に優しく救うなんて、それこそ一夏君の役目です。
と言うか簪って、シャルロットと同じくらい助けて欲しい、きっと何時か誰かが助けてくれる、って無意識に思ってしまってる節があると思うんです。だから今回は、ちょっと突き放す感じにしてみました。
傷口に塩を塗り込まれて失意の簪・・・・ ぐふっ! 書いてて心に来る・・・・
ああ、でも救うよ? ちゃんと最後は救ってみせるよ。
それと今回、一部で簪や虚先輩達をフルネームで呼んでますが、これは和也の中で好感度の変化によって起きた現象です。
愛称、呼び捨て→懇意、信頼してる対象。
苗字のみ→その他、観察対象。
フルネーム→嫌悪、敵意の対象。
それ以外→興味の対象外。
こんな感じで和也は呼び方を変えてます。だからセシリアは金髪呼びのままなんですよ。
なお千冬に関しては束から話を聞き、実際に会った結果で束と同じちーちゃん呼びと言うとこです。
では、ターンエンド。