※9/9 誤字訂正。
ーside和也ー
簪と別れ、幾分かの時間が過ぎた。
正直、少しばかり言い過ぎた気もしなくはない。と言うか間違いなく言い過ぎた。
ただ、言わなきゃいけなかった。
俺如きが偉そうな事を言ったのはお門違いかも知れない。ただそれでも、あの場では俺以外の誰も簪に厳しい言葉で現実を指摘してやれなかった。
だからこそ、俺は嫌われる事になってでも簪に気付かせなきゃいけなかった、分からせなきゃいけなかった・・・・・・
ただそれでも、言い過ぎたよな~? 頭に血が昇ったとは言え、少しばかり強く言い過ぎたよな?
簪、ごめんね?
と、簪に厳しい対応をし過ぎた事を少し反省しつつ、この後にすべき対策を考えてる訳なんだが・・・・・・
「・・・・で、なんでお前がこんなとこに居んのよ?」
「痛い痛い痛いっ!? ちょっと! 流石にこれは女の子に対する対応じゃないんじゃない!?」
俺、生徒会長から襲撃を受けたの巻。
もっとも完全に頭に血が昇った状態だったから対処は楽だったが、今は簡単に動きを拘束させて貰ってる。
卍固めにて。
「あのなぁ、これでも気ぃ使ってんだぞ? 亀甲縛りで縛るとエロくなるし、コブラツイストじゃ俺に胸が当たるし、キャメルクラッチじゃ流石に可哀想かなって。結果、不必要に胸への接触を避けつつ可哀想にならない手段を取っただけだが?」
「それで卍固め!? 何処にも優しさを感じない!?」
「胸には一切接触してねぇだろ?」
後は殴ったり投げたり蹴り飛ばしたりとか。
ほら、俺って平和主義じゃない?
「何思ってるか分からないけど断言出来るわ。絶っ対、間違ったこと考えてるわよ!?」
なんだとコンニャロー。もう少し力込めて技掛けんぞ?
まぁその傍らで程好く斜めに崩れる胸を凝視してるのは秘密にしとくとして、そろそろ本題を聞き出すか。
「で? 結局こんなとこで何してんのお前? 確か今、倉持技研か政府に抗議に行ってんじゃなかったの?」
「そ、それより先にコレ解いて貰えないかしら・・・・?」
「解いても良いが、暴れないって誓えるならな?」
「誓う誓う! 誓うからもう許して! 流石に身体が痛いのよっ!?」
本当だな~? まぁ俺も疲れるからもう良いか。
本当に暴れ直さないかどうか疑問に思いながらも卍固めから解放してやると、生徒会長はドサリと両手両膝を付いた。
「うぅ、酷い目にあった・・・・」
「どうでも良いけど、早く本題に入ってくんない? これでも暇じゃないんだけど?」
そもそも自業自得じゃん。
それから数分が経ち、身体の痛みが抜けたのか生徒会長は漸く本題に入ってくれる模様。
「・・・・倉持技研の方には朝一で私も抗議に行って来たのよ。だけど向こうは、まだ完成もしていない自分達の発明をどう使おうと自分達の自由、って、追い返されたわ・・・・」
えぇ~え・・・・ それが開発を依頼された企業の対応かよ? 言ってる事が完全に裏切ったテロリストとかの言葉じゃねぇか。
「そんなんで良く日本が誇る大企業とか言えんなぁ・・・・」
「ホントにそうよ。会ったのは副所長だったけど、全く取り付く島もなかったもの」
しかも所長じゃなくて副所長が応対したのか。これはアレか? 所長は対応する気もないと?
「それで情けないけど戻って来て、簪ちゃんの様子を見た後に虚ちゃんと『更識』としての対応をしてやろうと思ってたら・・・・ 貴方に簪ちゃんが泣かされてて・・・・」
「だからいきなり殺気込めて襲い掛かって来たのかよ」
「だ、だって簪ちゃんがあまりにも可哀想過ぎて・・・・」
可哀想たって、そりゃあ俺も言い過ぎた気もしなくないけど・・・・ 簪には必要なことだろうに。
まぁ喧嘩して仲違いしてても、姉としては放って置けなかったんだろ。喧嘩したままだけど。
「取り敢えず聞いとくけどよぉ、倉持技研の奴等は簪の専用機没取を撤回する気はなかったんだな?」
「ええ、そうみたいよ」
「それに対し政府は? 曲がりなりにも簪は日本の代表候補生だろ。自国の代表候補生を軽くあしらってる企業に対して何かないのかよ?」
「日本政府も同じ様な対応だったわよ。しかも、私達『更識』に対しても余計な真似はするなって暗に言ってる風だったし・・・・」
つまり、少なくとも倉持技研の奴等は
ついでに言えば日本政府もそうなんだろうが・・・・ そっちは真意が分かんねぇから保留で良いだろ。
そもそも俺は、
「・・・・うん、良し。生徒会長、取り敢えずお前さんは簪ん所に行くか、
「そ、それは直ぐにでも簪ちゃんの側に行きたいけれど・・・・」
なんで渋るんだよ。俺には(殺意込みで)飛び掛かって来た癖に。
チャンスだろ? 精神的には追い詰められてはいるけど、姉として妹の側に行く分になら。
まぁ精神的に追い詰められてる分、一手でも対応を間違えたら余計に溝が深まる危険性はあるけども。
「言っとくが、これでもやる事が多いんだ。これ以上はくだらねぇ事に付き合ってらんねぇぞ」
「なっ!? 簪ちゃんの事がくだらないって言うのっ!」
「違ぇよ馬鹿。簪の問題諸々含めて、やる事があんだよ」
いやマジで、こいつ簪のこと好き過ぎない? 簪が絡むと全く冷静な判断すらしてくれないんだけど。
これは妹に対する深い愛情と見るか、致命的な欠陥とみるか・・・・ ああ、いや。近くに
「取り敢えず、もう用がねぇならどっか行け。簪ん所に戻んなら・・・・ そうたな、一応忠告だけしとくか」
「忠告・・・・?」
正確には、伝え忘れとも言うけどな。
「どうしたいか答えが出たなら、22時までに連絡しろってな。俺も今は寮に居る。だから捕まえ易いだろうが、22時を過ぎたら流石にどうにもならんぞ」
出来れば放課後までには答えを出して欲しいってのが本音だ。
だって、明日の朝までなんて明らかに時間が無いだろ?
「どうにもって・・・・ まさか秋風君。貴方、この状況をどうにか出来るって言うの?」
「この状況はもうどうにも出来ねぇだろ? なら俺が出来んのは、
まぁ・・・・ 割りと波乱に満ちた状況には陥る可能性が高いけども。
その辺の説明をする時間を踏まえても、出来れば簪には早急に答えを出して頂きたい。
「まぁ取り敢えず頼んだぞ。俺はやることあっから寮に戻るわ」
オマケに気付いたら昼休みも終わってやんの。午後の授業はサボりだな、山田先生が泣いてんのが目に浮かぶ。その後ろでちーちゃんが怒ってる姿が浮かぶまでがデフォだ。
だけどゴメンね山田先生。流石に俺も、国際問題に発展しそうな案件を2つ一緒に捌きながら授業は無理だわ。
心の中で涙目の山田先生に謝りつつ、その場に生徒会長を残しながら俺は寮へと戻る。
そのついでにISの個人間秘匿通信を開き、困った時の天災様に連絡を付ける・・・・
「・・・・あっ、束? 悪ぃんだけど大至急、今から送るデータの機体組んでくんね? 完成度60%くらいで良いんだけど」
と言うか今回の無茶に関する対価、どんな要求されんだろ・・・・?
ーside和也 outー
凄いコツコツと書いてたら、完全に蛇足回になってた悲しみ。これで次回も簪が絡むとか・・・・ 簪の話って本当、絡むと話数食うよね。
今回は特に後書きにネタがないので、そのままターンエンド。