IS-問題児なオリ主の生活   作:柳命

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 1話で収まらなかった・・・・




第43話 簪の脱退 ーアフターケアー

 

「えっ、と・・・・ 更識さん? これは一体、どう言う冗談かしら?」

 

「いえ、冗談なんかじゃありません。私は本気です」

 

 和也が古井達を責め立てている頃、『打鉄弐式』の搭乗者であった簪もまた、別の場所で行動を起こしていた。

 

 わざわざ朝早くから学園を離れ、簪が訪れていた場所。それは・・・・・・

 

「私、更識簪は・・・・ 現時点を以て、日本代表候補生の地位を辞退します」

 

 日本政府の代表候補生養成所、その人事部であった・・・・・・

 

 そこでは施設の一人の職員が、代表候補生である簪から『日本代表候補生辞退』の書類を突き出され、目を点にしていた。

 

「えっと、更識さん? どうして代表候補生を辞退するのかしら? あなたは代表候補生の中でも優秀な成績を修めているし、政府からも専用機の所有を認められているのに・・・・」

 

「政府は所有を認めただけで、私に専用機を渡す気はさらさらありませんでしたよ? それに私個人、もう政府は信用出来ませんから。信用出来ない組織でこれ以上、代表候補生を続けるつもりもありません」

 

 その簪の言葉に職員は余計に驚いた表情を浮かべる。日本政府を信用出来ないと口にした事もそうだが、それ以上に簪がここまではっきりと自分の意思を明確に口にした事がだ。

 

 今の簪には、何を言っても意味がない・・・・ そう思わせる程の意思と静かな気迫が、職員にひしひしと伝わって来る。

 

 職員としては優秀な人材をむざむざと手放す様な事態を回避する事に努めるべきだったかも知れないが、それは決して実を結ぶ事はない・・・・ そう感じてしまったからこそ、渋々とではあったが・・・・

 

「・・・・分かりました、それは此方で受理します。では、更識簪さん。本日を以て貴女は日本代表候補生から解任されますが・・・・ 良いんですね?」

 

 簪の、代表候補生の辞退を受領する他なかった。

 

「はい。もう、後悔も何もありませんから」

 

 そして簪もまた、職員の最終確認を前に、満面の笑顔を以てそれを受け入れた。

 

 更識簪・・・・ 日本代表候補生、脱退。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

ーside楯無ー

 

 倉持技研の古井副所長に『打鉄弐式』を持って帰らせてから、私と虚ちゃんは生徒会室へと来ていた。

 

 まぁ本当は授業とかあるんだけど、私は生徒会長としての仕事があるから。虚ちゃんは虚ちゃんで、無理に授業へ出なくても問題ない成績だから滅多に文句は言われない。

 

 それに、今回の件で色々と仕事が増えたのは本当だしね。お陰で戻って来てから既に1時間も溜まってた書類に追われちゃってるもの。

 

 ただ、そんな私達を抜きにしても・・・・・・

 

「くぁ~・・・・かぁ~・・・・・・」

 

 (和也君)は、ちゃんと授業に出なきゃ駄目なんじゃないかしら?

 

 確かに、古井副所長達に一泡吹かせる為に和也君は徹夜してまで『打鉄弐式』を解体してたけど、一応此処って生徒会室なのよ? 学園の中枢のひとつよ?

 

 なのに今は本音ちゃんが置いてたぬいぐるみのひとつを抱き枕にして、生徒会室のソファーでグッスリお昼寝中?

 

 ・・・・・・と言うか、なんで此処で寝てるのよ・・・・?

 

「・・・・はぁ~。虚ちゃん? なんで彼が此処で寝てるのかしら?」

 

「さぁ・・・・? 何分、凄い自然な流れで生徒会室まで付いて来た上に、流れる様に本音のぬいぐるみを掴んで寝てましたからね・・・・」

 

「私も気付いたらぬいぐるみを抱いて寝てたからツッコミが遅れたのよねぉ・・・・」

 

 と言うか教室に行って授業受けなさいよ、授業。また山田先生が泣いちゃうわよ?

 

 そもそもなんでぬいぐるみ抱いて寝てるのよ? しかもあざとく大きめなぬいぐるみを見つけてるし。オマケに寝息は静かだから最初は私も虚ちゃんもスルーしちゃったし・・・・・・

 

ーーーコンコンッ。

 

 あら? こんな時に来客? 今はまだ授業中な筈だけど・・・・ なぁ~んて、誰が来たかは分かってるんだけどね。

 

「どうぞ、入って良いわよ」

 

「失礼します・・・・」

 

 そう言って生徒会室に入って来たのは、私の可愛い可愛い妹の簪ちゃん・・・・ そう!

 

 可愛い!

 

 妹の!

 

 簪ちゃん!

 

 大事な事だから2回言うわ。いいえ、何度だって言うわよ!

 

「・・・・お姉ちゃん? なんか今、スッゴい馬鹿なこと考えてない?」

 

 ぎくぅ!? な、なんでバレたのかしら?

 

 で、でもまだ簪ちゃんは疑ってるだけだし、今ならまだ誤魔化せるわ。

 

 と言うか、馬鹿なとか言わないでっ!?

 

「そ、そんなことないわよ・・・・ それより、そっちの方は終わったのかしら?」

 

「うん。代表候補生、しっかり辞めて来た」

 

 そう。私達が倉持技研と相対してた時、簪ちゃんは代表候補生を辞退していた。

 

 私に追い付こうと、必死に努力して勝ち取った筈の地位・・・・ それを捨てる結果になった事に、思う所が無い訳じゃない。寧ろ納得してない所だってある。

 

 けれど和也君の話を聞いて、簪ちゃんなりに考えて出した結論。考える時間は明らかに少なかったけれど、それでも今回の結果に至るくらいに、簪ちゃんは倉持技研と日本政府への信用を無くしていた。

 

 そう考えると、政府と繋がりのある私としては微妙に肩身が狭く感じちゃうのよねぇ・・・・

 

「ところで虚さん、和也は?」

 

「ああ、彼でしたらあちらのソファーで寝てますよ」

 

「やっぱり・・・・ 授業、出てなかったんだ」

 

 ああ、簪ちゃんは薄々気付いてはいたのね。和也君が授業サボるって事・・・・

 

「和也、起きて和也」

 

「うぅ・・・・ 後、2時間23分・・・・」

 

 いや、細かいわね。普通は5分とかじゃないの?

 

「お腹空いたのは分かったけど、本当に起きて。と言うか、私だって眠いんだから一人だけ寝ないでよ」

 

 ・・・・あっ、そう言うこと。2時間23分って昼休み迄の時間だったのね。と言うか、午前中は授業サボって寝るつもりだったの?

 

 て言うか、簪ちゃんはよくそれに気付いたわね・・・・・・

 

 そんな事を思ってる間に簪ちゃんは和也君を起こそうと身体を揺すったり、ペシペシと叩いたり、ほっぺをプニプニしたりして・・・・ 5分くらい経った所で、漸く和也君が起きてくれた。

 

「ふぁ~あ・・・・ 眠ぃ」

 

「それ私の台詞でもあるからね? 私だって徹夜で作業して眠いんだから・・・・」

 

「「・・・・これも全部、倉持技研と政府が悪い」」

 

 なんで二人共、そんなに仲良くなってるのかしら? お姉さん、なんか複雑よ・・・・

 

 兎にも角にも、漸くこれで真面目な話が出来るわね。

 

「それで、和也君? 簪ちゃんは代表候補生も辞めて、倉持技研とは正式に縁を切った訳だけど・・・・ これからどうするつもりなの?」

 

 そう。最終的に決めたのは簪ちゃんだけど今回の件、『倉持技研に打鉄弐式を返却する』事と『日本代表候補生を辞める』事を進言して来たのは彼。

 

 その際にアフターケアは確約するって言ってたけど、明確な内容までは聞いてないのよね~・・・・ 二人して打鉄弐式の解体に行っちゃったから。

 

 さて、それについて和也君はどう答えるのかしら?

 

「あ? ああ、その事か。そんなら別の機体用意させてるから、簪にそっち乗って貰おうと思ってる。それにホレ、()()()()()使()()()()()()は入れ換えといたからこっちに有るし」

 

「「「・・・・・・はっ?」」」

 

 えっ? ちょっと待って。簪ちゃんの機体は別に用意されてて、和也君の手にはたぶん拡張領域から出したんだろうISコアが有って、それが打鉄弐式に使われてたコアで・・・・・・ って!

 

「ちょ、それってどう言う事!? と言うか貴方、コアの窃盗は犯罪よっ!?」

 

「窃盗じゃねぇよ。アッチには別のコアが積んであるだけで、問題ねぇし。・・・・まっ、性能もちょっと低くなって絶対に二次移行(セカンドシフト)しない簡易コアだけど」

 

 簡易コアって何!? そんなの聞いた事もないんだけど!?

 

 てか、えっ? 貴方一体幾つISコア持ってるのよ!?

 

「んで簪、こっからちょ~っと相談になんだけどよ・・・・・・」

 

「えっ? あ、うん。何?」

 

「お前・・・・ ウチの所属になんね?」

 

 

 

ーside楯無 outー

 

 

 





 後半部分が長くなって前日潭が収まらなかったばい。

 予定では後1話は簪で引っ張り、その後は漸くセシリアが・・・・・・

 では、ターンエンド。


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