IS-問題児なオリ主の生活   作:柳命

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※9/9 誤字訂正。




第44話 決行前夜ー今夜は寝かせないー

 

 簪が代表候補生を辞める前日・・・・

 

ーside簪ー

 

 一体どうしたら良いのか?

 

 私はどうしたいのか?

 

 私は、何がしたかったのか・・・・ それがもう、分からなくなってた。

 

「・・・・で、どうすっか決めたのか?」

 

「ええ、だからこうして貴方に会いに・・・・」

 

「お前じゃねぇよ。俺は簪に聞いてんだ、ちょっと黙ってろ」

 

「なっ!? 貴方ねぇ・・・・!」

 

「お姉ちゃん」

 

「うぐっ! わ、分かってるわよ・・・・」

 

 たぶん私は、今みたいに追い込まれなきゃその答えに気付けなかったかも知れない。

 

 いや、もしかすると別の選択肢に気付けたのかも知れないけど・・・・ 私は、この答えの方が良い。

 

「・・・・で、改めて聞くがどうしたいんだ?」

 

「・・・・うん、決まったよ」

 

 最初はお姉ちゃんに追い付きたいって思ってた。その為にいっぱい努力もしたし、代表候補生にもなった。代表候補生としても、割りと優秀な成績だって残した。専用機だって貰えるくらいに認められた。

 

 だけど、突然現れた男性操縦者の専用機開発とデータの解析の為に全てが無駄になって、意地になって一人でも専用機を開発してやろうって躍起になって・・・・・・

 

 この時にはたぶん、ちょっとした復讐心や反抗心みたいな物を自分の中で抱いてたんだと思う。突然現れた男性操縦者にも、専用機開発を投げ出した倉持技研にも、なんのフォローもしてくれない政府にも・・・・ お姉ちゃんにも。

 

 それで尚更、周りの声なんか聞かなくなってた。私を見てくれない奴等とは違う、私だって一人で出来るんだ。私は私の力で、お姉ちゃんに追い付けるんだ! って。

 

 だから、気付けなかった。そんな私の傍に何時も居てくれた人の事を・・・・・・

 

 布仏本音。私の幼馴染みで専属のメイドで、私の事を・・・・ 何時も見ていてくれた、大切な親友。

 

 専用機の開発が上手くいかなくてムシャクシャしてた時も、専用機の開発が凍結された時も・・・・ もっと言えば代表候補生になる為に頑張ってた時も、お姉ちゃんと喧嘩して塞ぎ込んだ時も、気付けば私の傍に居てくれた。私を、見ていてくれた・・・・・・

 

 だから、本当は私がどうしたかったのか。今度は間違えず・・・・・・

 

「私は・・・・ 私は、お姉ちゃんに追い付きたい。私だって出来るって事を、私は無能なんかじゃないって事を・・・・ 私に出来る、私なりのやり方で。今度は・・・・ 力を貸してくれる人と、一緒に。更識楯無の妹じゃない、私を・・・・ 更識簪を、見て欲しいから。だから・・・・」

 

 周りの声に、しっかりと耳を傾けたい。蹲った私の前で手を差し伸べてくれてるんだから・・・・

 

「和也。私に力を、貸してくれる? ううん。力を、貸して・・・・」

 

 自分から、その手を掴む為に動き出すことくらいは出来るようになりたい・・・・

 

 だから今度は私から、和也に力を貸して欲しいと手を伸ばしたんだけど・・・・

 

「・・・・・・・・」

 

 ・・・・なんか、和也の反応がない。

 

 えっ? 私・・・・ 何か間違えた?

 

ーside簪 outー

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

ーside和也ー

 

 確かに、煽ったよ。いい加減うじうじウダウダとしてんなって意味を込めて煽りはしてたよ。

 

 けどな? それにしても・・・・・・

 

「その一言の為に、なんでこんなしちメンドクサイ段取りが必要だったんだか・・・・」

 

「えっ? ちょ、和也?」

 

 長いんだよ! その一言の為にどんだけ説教して話が拗れ続けたと思ってんだよ!

 

 なに? お前は俺にとってヒロインとかそんなんなの? お前に時間を掛けるのは必要経費なの?

 

 ぶっちゃけ、此処に来るまで面倒だったわぁ!

 

「はぁ~あ・・・・ ああ、手ぇ貸すのは問題ねぇわ。にもしたって、もうちょっと簡単に割り切れなかったのかよ・・・・」

 

「うっ! だ、だってぇ・・・・・・」

 

「まぁ大体は、そう言う時に力にもなれず精神的に追い討ちを掛けた簪の身内が悪いんだけどな」

 

「グフッ! この流れで急に痛い所を・・・・!」

 

 つかお前等、何気に一緒に来たのな。仲直りでも出来たの? 今まで散々出来なかったのに、この程度の事で?

 

「まぁ良いわ。んな事より手ぇ貸すのは確定として、もうひとつの方は決めたのかよ?」

 

「もうひとつ?」

 

「倉持技研に未練はねぇかって話だよ」

 

 そう。そもそもその話をしてる最中に今の今まで話が拗れてんだ。そっちが本題であって、ぶっちゃけ簪の意識表明は寄り道なんだよな~・・・・ 口に出したら絶対に怒るだろうから言わないけど。

 

「で、もう一度聞くけど簪。倉持技研に未練はねぇか?」

 

「・・・・未練の意味は?」

 

「倉持技研との縁を切る、打鉄弐式の返還を機に奴等を見限る。今後、奴等にゃ頼らない。そう言う意味だ」

 

 寧ろ、俺がやろうとしてる事を考えるとそうでなきゃ困る。ついでに言えば日本政府との縁、代表候補生の肩書きってのも捨てて貰いたいんだが・・・・ 流石にそこまで望むのは勝手が過ぎるか。

 

「で、どうな・・・・」

 

「倉持技研にはもう未練はない。今回の事で余計に愛想も尽きた。だから縁を切る事に迷いはない」

 

「あ、ああそう・・・・」

 

 いや、決断早ぇよ。お前、今までそんな即決しなかったじゃん。そんなんだから此処まで話が拗れてたってぇのに・・・・

 

 見てみろよ? 会長も今のにビックリして目を丸くしちゃってんじゃん。

 

「まぁ未練が無いってぇなら話は早いか。取り敢えずサクサク進めたいからこの後の事を手短に説明すっとな・・・・」

 

「説明すると・・・・?」

 

「先ず、打鉄弐式をバラします。そりゃあもう、簪が引き取った時の進捗率2割くらいまで」

 

「バラすの!?」

 

「おう。朝までデスマーチでな」

 

 つか、普通にバラすだろ? だって倉持技研の奴等、ぶっちゃけ完成間近だったから回収に来んだろ? だったら嫌がらせも兼ねて、開発始めくらいで返してやんのが当然だろ。

 

 あっ、それと今の流れでついでにアレ頼んでみっかな・・・・?

 

「それと簪」

 

「なに?」

 

「ついでに代表候補生辞めて貰っても良いか?」

 

「なに言ってるのあなたっ!?」

 

「うん、別に良いよ」

 

「えっ、マジで?」

 

「簪ちゃん!?」

 

 マジか。流れで言ったら要望通っちゃったよ。

 

 しかも簪は真顔だし、会長は面白いくらい驚いた顔してるし・・・・ 取り敢えず面白いから撮影しとこ。

 

「てか、マジで? マジで代表候補生辞めて貰っちまって良いのか?」

 

「うん。倉持技研と縁を切る以上、遅かれ早かれ代表候補生の肩書きは邪魔になる筈。だからその肩書きを捨てるなら今しか無いって思ったから」

 

「ちょ、ちょっと待って駄目よ簪ちゃん! 折角努力して掴んだ代表候補生の立場をそんな簡単に捨てたりなんかしちゃ、絶対に後悔しちゃうわよ!?」

 

 それは俺も少しは思う。辞めさせようとしてる俺が言うのもなんだが、ホントにえらく即決してくれたもんだ。

 

 実際の所、後悔や思う所はねぇのか?

 

「ううん、後悔はしないよ。だって私が、そうしたいって思った事だから。色々と考える事はあったけど、それでも自分で決めた事だから・・・・ 私は、後悔なんてしない」

 

「・・・・簪、ちゃん・・・・・・」

 

 ・・・・こりゃ、マジで吹っ切れてんな。これ以上は余計なこと聞くだけ野暮ってとこか・・・・

 

 つか、今までの弱気なキャラは何処行ったんだよ? 若干男らしくもなっちゃって、今までうじうじしてたのが嘘みてぇじゃん。

 

「・・・・んじゃ、時間もねぇ事だしさっさと整備室に行くか。あっ、会長は俺と簪が夜通し整備室使っても問題ねぇように手回しヨロシクな?」

 

「分かった」

 

「えっ、ちょ!? 二人共本気で言ってるの!? 」

 

「そうだけど?」

 

「寧ろそれ以外で、今のお前に出来る事があると?」

 

「二人共、辛辣ぅぅぅっ!?」

 

 いやだって、お前は立場的にも直接手は出せねぇだろ?

 

 簪の姉。日本政府に飼われてる暗部、更識家の党首。IS学園の生徒会長。そんでロシアの国家代表。そんな奴が日本政府の息が掛かった企業の機体に、簡単に手ぇ出しちゃ駄目だろ。

 

 良くて精々、俺等が学園の施設を使うのに、ちょっと身内贔屓な()()()()として手回しをするくらいが妥当だろ。

 

「んじゃ行くぞ簪。今夜は寝かさねぇぞ?」

 

「うん。和也こそ、一人だけ寝かさないからね?」

 

「止めてぇ!? そんなアダルティーな言葉を交わさないでぇ!?」

 

 アダルティーってなんだよ。

 

 こちとら今から朝まで時間制限有りの解体作業デスマーチだぞ? しかも解体しつつ、元の完成度2割に戻すとか余計な作業付き・・・・そんな状況で、一人だけ眠気に負けて眠るだぁ?

 

 させねぇよっ! 俺も簪も、どっちも寝るなんざ許さねぇよ!

 

 行くぞ簪! 俺達のデスマーチはこれからだ!

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 と言う感じに、眠気を堪えて朝まで打鉄弐式を解体しつつ完成度2割まで組み直し、簪は簪で代表候補生辞める為の書類を書いて日本政府の代表候補生養成所?だかの施設に行って・・・・・・

 

 いやホント、突貫作業にしては辛かった。ここ暫く面倒事が多かった分、本当に辛かった。

 

「マジでさ? 俺って面倒に巻き込まれて解決する様なキャラじゃねぇと思うんだよ。そんな俺がなんで、こんな事になってんだろ?」

 

「まぁ確かに、和也君はそう言う巻き込まれ系の主人公みたいなキャラじゃないわよね~?」

 

「そうですね。どちらかと言えば、巻き起こす側でしょうしね」

 

 虚先輩、辛辣~。

 

 いやまぁ、言わんとしてる事は分かるし納得もしちゃうけどさ。それでも、言わなくても良いんじゃないの?

 

「どちらにしても、一人だけ寝てるのは許されない。私だって眠いの我慢してるのに」

 

「いやだって、俺の仕事の大半は終わったろ。なら寝ても問題ねぇだろ?」

 

「それでも私が帰って来るのは待ってるべき。私だけが眠気に耐えるとか、理不尽」

 

「・・・・そこに居る二人と簪のメイドたるのほほんは、昨夜は普通に寝てると思うが?」

 

「・・・・お姉ちゃん」

 

「いや、それこそ理不尽よ!?」

 

 良いんだよ、虚先輩は昨夜のデスマーチは知らなかったんだから。となると有罪なのは会長だけにすれば、全て丸く納まる。

 

 会長は尊い犠牲となったのだ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 と、会長を犠牲に俺が寝てた件も有耶無耶に出来るかと思えば駄目だった。

 

 結局、3時間目から授業に出席させられる羽目に・・・・・・ しかも残り、ちーちゃんの授業があんじゃん。寝れねぇし。

 

 

ーside和也 outー

 

 

 

 




 これで一先ず簪のイベントは取り敢えず終了。いや、簪のイベントって本当に疲れるわ・・・・

 さて漸く、これで放置された金髪に焦点を当てれる訳だが・・・・

 タッグトーナメントの話だけで、一体何人イベントこなさなきゃいけないんだ・・・・
 (  ̄言)

 では、ターンエンド。


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