ーside和也ー
眠い身体に鞭打って教室に行ったら、入室一発目に出席簿でちーちゃんにぶっ叩かれた。
「朝から居ないと思えば、こんな時間に登校とは・・・・ 一応聞いてやる。どうして遅刻した?」
「倉持技研ってクソ企業に喧嘩売ってた。それと日本の代表候補生を一人、辞任して貰ってた」
「お前ホントに何してた!?」
ーーバチコーンッ!
正直に話してやったのにもう一発ぶっ叩かれた。理不尽な。
「秋風! 取り敢えずお前は放課後に補習だ! 絶対に逃げるなよ!」
「あっ、ぼちぼち新型IS造る構想固めたいからパスで」
「そんな意見通るかぁ!」
えぇ~え。ちーちゃんの婚活の予定よりかは固まるだろ?
って、うおっ!? 途端にちーちゃんの背後に阿修羅が! まさか、俺の考えを読んだとでも?
「秋風・・・・ 今、お前から猛烈に不快な気配を感じたんだが・・・・ 何を考えた?」
「今日は流石に弁当作る暇なかったから、遂に食堂デビューかな~、ってところ?」
「せめて誤魔化せ!」
ーーバチコーンッ!
いや、ちゃんと誤魔化してんだろ。それにどうせ、誤魔化しても誤魔化さなくても絶対ぶっ叩いてたろ。
流石に3発目は頭に響くな~・・・・
「ちぃ! 取り敢えず今は授業中だ、早く席に着け」
「はいはいっ・・・・ んじゃ、おやすみ~」
「寝るなたわけぇ!」
ーーバチコーンッ!
流石に4発目は痛ぇよ!
この後、寝る俺に出席簿を振り落とし続けるちーちゃんとの仁義なき攻防戦は昼休みまで続き、俺は満足に寝る事は出来なかった・・・・・・
ーー昼休み・食堂
「つぅ訳で、眠いです。もう帰って寝て良いか?」
「「「いや、起きてろよ」」」
そんな眠気を堪えて迎えた昼飯時、今日も我が友人達の反応は冷たい。
あぁ、初めて食堂で買った味噌ラーメン(大盛、野菜マシ)の暖かさが心に染みる・・・・
「て言うか眠いってあんた、今度は一体何仕出かしたのよ?」
「おいおい、俺が眠いのと何か仕出かしたのはイコールなのか? その認識は悲しいぞ~」
「いや、和也は大抵何かしら仕出かしてるじゃないッスか。擁護の余地はないッス」
とんだ先入観と濡れ衣だ。
このぺったんコンビは俺をなんだと思って・・・・ おっとイカン。不意に二人から殺意を感じた。これ以上は考えたら不味い。
「別に大した事じゃねぇんだけどな~。ただちょっと、簪に代表候補生辞めて貰っただけなんだが・・・・」
「はぁあっ!? 代表候補生を辞めて貰ったぁ!?」
「おま、何やってんだよ!?」
「馬鹿なんスか!? 和也は馬鹿なんスかっ!」
ヒデェ言われ様。ただ事実を言っただけだし、遅かれ早かれ知られる事だってのに。
まぁ鈴もダリルもフォルテも、それぞれが努力なりして各国の代表候補生になった身だしな。それを軽く辞めて貰ったとか言ったら驚くか。
「まぁ今は簪も来てないから詳細は省くが、あのまま日本の代表候補生なんぞしてても簪の才能は死んでたぞ? だから一思いに断ち切って貰っただけだ」
「だ、だからって代表候補生まで辞めるなんて・・・・それに、簪は四組のクラス代表でもあるのよ? これからどうするつもりなのよ・・・・」
ああ、そう言えばそうだったな。確か四組じゃ簪がクラス代表だったっけ。
一組と二組に専用機持ちが居て、そん中で未完成ながら専用機持ちだった簪が代表候補生を辞めると一年のパワーバランスが崩れるとでも思ったのか・・・・
「つか、簪の専用機なら問題ねぇよ。近々ウチから別の届くから」
「「「・・・・・・は?」」」
それに際し簪にはウチの所属、企業代表? ってのになって貰えば良いのか? そうすりゃ代表候補生でなくても専用機持ってて問題ねぇだろ。
「ちょ、ちょっと待て和也。別の機体とか軽く言ってるけど、そんな簡単にISが用意出来る訳が・・・・」
「問題ねぇよ。ウチの腕利き技術者に頼んだから二、三日中には出来んだろ。ちゃんと第三世代型で」
「いや、普通そんな簡単に出来るもんじゃねぇッスよ!?」
出来ます。ウチの天災の手に掛かれば設計図も有って、第三世代のイメージ・インターフェイスのコンセプトも決まってる機体なんぞ簡単に出来ます。
・・・・その分、帰ってからの対価の請求が厳しくなるからな~。あまりこれ以上は頼まない方向で行こ。
「すいません、遅れました」
おっ? この声は我等がお姉様キャラ、サラ先輩ではないか。そう言えばちょっと用事があるから遅れるってフォルテが言ってたな。なら、もう用事は終わったのか?
そう言う事なら、早速挨拶をしなければ!
「おう、サラ先輩。ご機嫌麗しゅ・・・・あん?」
途端、サラ先輩の登場で上がった俺のテンションが下がる。ついでに言えば鈴達と話し続けててラーメンの温度も少し下がってた。
普段ならサラ先輩の登場にお姉様ヤッホー!と内心でテンションを上げるんだが、今回はそうはいかねぇ。
なんてったって、麗しきサラ先輩の後ろに・・・・・・
「こ、こんにちは・・・・」
何処ぞの
ーside和也 outー
ーside鈴ー
遅れて食堂に来たサラさんがセリ、セシ・・・・ セシリア、オルコット? だったか、イギリスの代表候補生を連れて来て、和也の雰囲気が明らかに変わった。
そう言えばこの前の授業で山田先生と模擬戦をした時も、明らかにセシリアへ対しての態度が悪かった気もしたわね・・・・
で、それに今の和也はと言うと・・・・
「・・・・・・ズズズゥー」
「いや、この状況で普通にラーメン食べ始めるんじゃないわよ」
何事もなくラーメンを食べ始めたし・・・・ それにはサラさんも思わず苦笑いしちゃってんじゃない。
「え~と、和也君? 言いたい事は分かるんだけど、取り敢えず聞いて貰えないかしら?」
「ズズズゥー・・・・ズルッ。正直、極力、可能な限り、全力で、関わる気がねぇ奴が視界に入ってるもんでしてねぇ・・・・」
「まぁ、そう言われるとは思っていたけどね・・・・ けど、それでも少しだけでも話を聞いて欲しいのよ」
「クドイですよ、サラ先輩。正直サラ先輩に辛辣な態度は取りたくねぇんだが、これ以上は態度に出させて貰うぞ。それと、ラーメンは単純に冷えて来たから食べるのは止めない」
どんだけ彼女のこと嫌ってんのよ。
いや、確かにラーメンは熱い内に食べる方が美味しいのは分かるけど、だからって態度が露骨過ぎでしょ。
まるで嫌いと明言してる一夏に対する様な態度に、ワタシだけじゃなくダリルやフォルテも和也の事を不思議そうな顔で見てるし。
そう思ってるとサラさんの後ろにいたセシリアが、何やら決意めいた顔をして前に出て来た。
「秋風さん、お願いがあります」
「聞く意味がねぇ、消えろ」
「っ! それでも、どうか! 少しだけでも話を聞いて下さい! お願いします・・・・!」
そう言って、遂には頭まで下げ始めたわね彼女・・・・
それに対して和也は未だに鬱陶しいとでも言いたげに機嫌が悪いし、食堂に居る他の生徒達も不穏な気配にこっちに視線を集め始めてる。
・・・・あぁーあ、もうっ! 仕方ないわね~。
「・・・・はぁ~あ。ちょっと和也、少しくらいなら話聞いてあげなさいよ」
「あぁ? けどなぁ鈴、こいつと話なんざする利点は全くね・・・・」
「良いから、話くらいしなさい! どんだけ嫌いなのか知らないけど、態々サラさんが連れて来てるくらいよ? それでも嫌って言う訳?」
「グッ! そこを突かれると弱ぇんだがなぁ・・・・」
ホント、サラさんに対して口ほど強く出れないわよねコイツ・・・・
そもそも和也って、妙な所で押しに弱い気がすんのよね。前にワタシが泣いてた時も、なんだかんだで気に掛けてくれたし。
なんだろう? グイグイ来るのは押し返せるけど、徐々に押して来るタイプには押し負けるみたいな? ・・・・一応、覚えとこうかしら。
「・・・・チッ! 3分だ、3分だけ相手してやる。それ以上は消えろよ」
「っ! は、はいっ!」
と、渋々だけど漸く和也が折れたわね? その顔には不満って色が強いけど、箸を置いて話を聞く姿勢をとっただけマシってとこかしら。
・・・・然り気無くあの短時間でラーメンの麺と野菜は食べきってたみたいだけど。
「秋風さんにお願いがあります。私と・・・・ 戦って欲しいのです」
「「・・・・は?」」
「・・・・ああ?」
・・・・えっ? なんでそうなったの?
ーside鈴 outー
因みに和也の食堂デビューがラーメンなのは、その時に私が食べたかった物です。味噌ラーメン大盛・野菜マシ、半チャーハン、餃子セットが食べたい衝動に駆られた。
私はラーメンは味噌ラーメン派です。レトルトならチキンラーメン派ですが。
んで、漸くセシリアの回収に来れた。この為にセシリアに不遇な扱いを強いて来た訳だが・・・・ アンチじゃないのよ。割りとアンチは好きだけど、セシリアアンチじゃないんですよ。
ああ、それと和也はぼちぼち一夏君との間に溝を深めて貰わない。
では、ターンエンド。