IS-問題児なオリ主の生活   作:柳命

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 お久し振りです。
 そして新年明けましておめでとうございます。やたら出張に駆り出されてましたが、私は元気です。




第47話 最後の一撃 ー淑女の選択ー

 

ーsideサラー

 

 セシリアと和也君の模擬戦が始まって早5分。 既に戦況は、一方的なものになっていた・・・・・・

 

『くっ・・・・ ティアーズ!』

 

 セシリアが両側から攻撃を仕掛けようと2基のブルー・ティアーズに指示を飛ばす。その間に距離を詰められぬ様にとセシリアは()()()()()()()()()()()、自身は和也君から距離を取る。

 

 自身の機動とBT兵器の同時運用・・・・ それはイギリスに居た時にも、学園に入学した際にも分かっていたセシリアの課題。それを僅か数ヶ月で克服して見せたセシリアの努力は、正直に称賛されるものだと思う。

 

 だけど・・・・・・

 

『効くかボケェ!』

 

 セシリアに向かっていた体勢を急速に反転させ、和也君は自身へと砲身を向けていたティアーズの1基へと瞬時加速(イグニッション・ブースト)を発動させ近付き、その豪腕を以てティアーズを叩き落とした。

 

 そして1基潰せば残るティアーズのレーザーを振り向きもせず僅かに身をズラす事で躱し、そのまま再度の瞬時加速(イグニッション・ブースト)で距離を詰め残ったティアーズまでもを叩き潰した・・・・・・

 

「・・・・改めて見るとアレだな。あの『皐月』ってIS、距離の詰め方がエゲつねぇな」

 

「出だしで瞬時加速(イグニッション・ブースト)。更に攻撃する時も瞬時加速(イグニッション・ブースト)に、反転にも瞬時加速(イグニッション・ブースト)・・・・ なんて言うか、瞬時加速(イグニッション・ブースト)のバーゲンセールッスね」

 

「しかもアレ、その勢いのまま殴り掛かって来るまでがワンセットだから、喰らったら嫌でも絶対防御まで発動させられるのよね・・・・ ホント、極悪な攻撃よね」

 

 そう皆が口々にする様に、模擬戦が始まってから見せる和也君の動きにセシリアも翻弄されている。

 

 射撃自体は僅かな動きで躱しながら、攻撃の為に動けば瞬時加速(イグニッション・ブースト)で距離を詰めて来る。

 

 しかも移動するタイミングも場所も的確。まるで自身が質量を持った砲弾であるかの様な展開に、セシリアのBT兵器も殆どが落とされてしまった。

 

 今のセシリアに残っているのは手にしたライフルと近接武器の『インターセプター』がひとつずつ。そして残ったBT兵器もミサイルビットが2基のみ・・・・ 最早、彼の機動力へ対抗するには厳し過ぎる状況に陥っている。

 

「セシリア・・・・ 貴女は、此処からどうしようって言うの・・・・?」

 

 この状況然り、セシリアが一体何をしたくて模擬戦を挑んだのか分からない私には、ただ二人の戦いを見守る事しか出来ない。

 

 ただね、セシリア・・・・・・

 

「・・・・ただ戦っても、彼には何も伝わらないわよ・・・・・・?」

 

 このままじゃ貴女は、意味もなく潰されるだけなのよ・・・・・・?

 

ーsideサラ outー

 

 

 

ーsideセシリアー

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・!」

 

 今ので4基目のビットも撃墜・・・・ 残ったのはミサイルビット2基と、手持ちのライフルに役に立つかも分からないインターセプターだけ。

 

 対して秋風さんの方は直撃すら受けていない故に無傷と、瞬時加速(イグニッション・ブースト)の連続使用でSEは多少減ってはいるだろうと言うだけの、状況としては最悪ですわね・・・・!

 

『・・・・まだ続けるのか、正直飽きたぞ』

 

「はぁ、はぁ、当然でしてよ? まだ私にはSEも、戦う為の武器もありますのよ? そんな状態で早々に諦めるなど、代表候補生としても、貴族としてもあってはなりませんのよ」

 

『・・・・強がりだな』

 

 ええ、分かっていますとも。手持ちのカードも、状況が最悪なのも分かっていますとも。

 

 ただそれでも、私は諦めない。諦める訳にはいかない・・・・・・

 

 やっと彼が私を認識してくれている。

 

 やっと彼が口を聞いてくれている。

 

 やっと、私を見てくれている・・・・・・

 

 そんな状態で、早々に諦めなどしたら彼は二度と私を見てもくれない。認識すらしてくれない。そんな事はもう嫌ですわ。

 

 それならば、例え泥臭かろうと最後の瞬間までしがみついてみせますわ・・・・!

 

『・・・・最後の一撃だ』

 

「最、後・・・・?」

 

 そう言うと秋風さんは両手を握ったまま合わせ、私の方へと向けた。それと同時に彼の背後からブースターのかん高い音が響き始めている・・・・・・

 

『飽きた、これは正直な感想だ。だからこの一撃・・・・ 真正面から背部スラスター9基と腕部ブースター2基、脚部ブースター4基の()()()()()()()()使()()による瞬時加速(イグニッションブースト)を使った一撃でこの模擬戦は幕切れだ』

 

「っ! 全、15基・・・・!」

 

 あのただでさえ重過ぎる一撃を、15基ものスラスターで同時に瞬時加速(イグニッション・ブースト)

 

 そんな一撃、例え絶対防御が在ろうと無事で済む筈がありませんわ!?

 

『避けてくれて構わねぇぞ? コイツは相手のSEが全快でも衝撃だけで搭乗者を殺す程度なら簡単に出来る一撃だからな。なんだったら降伏してくれても構わねぇ』

 

 そう。この短時間で身を以て知った事。いくらISの絶対防御が完璧でも、()()()()()()()()()()までは防ぎようがない、と・・・・・・

 

 ならば真正面から来ると言う攻撃を躱すのは当然の行動。正面から受けるなど自殺行為でしかありませんわ。

 

 だからここは、何としても回避して見せ・・・・・・

 

『まっ、()()()()()()()()()()()()()()にゃあ逆立ちしても対抗出来ねぇ一撃だ。恥じゃねぇよ』

 

「っ!?」

 

 ただの、女尊男卑に染まってる輩・・・・・・?

 

 そうです・・・・ 私は何故この場にいますの?

 

 彼に私を見て欲しいから?

 

 彼に口を聞いて欲しいから?

 

 違う、それだけじゃない。私は、あの日にただの女尊男卑の女と思われた評価を覆す為に・・・・ 彼に、認めて私を、私はセシリア・オルコットだと認めて貰う為に・・・・!

 

「・・・・・・」

 

『・・・・それが答えか』

 

 恐怖はあります。防ぐ事が出来なければ良くて重症、最悪は死。そんな分の悪い賭けなんてするべきではないのかも知れない。

 

 ですが! ならばこそ、避けるなんて選択はありません。彼は言いました、これは『女尊男卑に染まった輩』には対抗すら出来ないと。

 

 ならばそれに対抗してみせる事こそが、彼に私を認めて貰う為の最後のチャンスであると・・・・!

 

『なら・・・・ 止めてみろやぁぁぁぁあっ!』

 

ーー(ふぁーいぶっ)!、(ふぉーおっ)!、(すりぃー)

 

 その直後、秋風さんのISからカウントダウンらしきものが響き渡る。

 

 それはこれから攻撃するぞと言う、彼にとって余裕の表れから来る意思表示なのかもしれません。ですが、これから挑む身の私にとっては瞬時加速(イグニッション・ブースト)を相手にする上で攻撃のタイミングが分かるのは幸いかも知れませんね。

 

 ただ・・・・ カウントダウンの音声が妙に幼い声に聴こえたのは気のせいでしょうか? しかも微妙に舌っ足らずな感じの。

 

ーー(つぅ~うっ)

 

 と、そんな事を思っている間にカウントの残りは2。カウントダウンの音声について気になる所ではありますが、気を引き締めなければいけませんわね。

 

 此方の手札はミサイルビット2基とライフル、そしてインターセプターの4つ。この状況は依然として変わりはしませんね。

 

 ですが、それを用いる私の気持ちは、心構えは先とは全く違います。

 

 絶対に、食い止めてみせる。

 

 これは彼から与えられた最後のチャンスかも知れない。そう思えば、この程度の恐怖など乗り越えてみせると己を鼓舞する事が出来ますわ。

 

ーー(わぁーんっ)

 

 さぁ、既に覚悟は決まりましたわ。

 

 この一瞬に全てを賭けて・・・・・・

 

ーー・・・・(ぜぇろぉー)

 

『行くぞ金髪ぅぅぅぅうっ!』

 

 いざ、尋常に勝負ですわっ!

 

 

ーsideセシリア outー

 

 

 





 さて大部久し振りな訳ですが、次回でセシリア戦は終わりです。

 引っ張った、セシリアとの付き合いをだいぶ引っ張った。

 取り敢えずセシリア戦は今月中には更新として、さっさとタッグトーナメントを終わらせたい。
 (* ̄◇)=3

 ああ、その前に簪の専用機か。

 では、ターンエンド。



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