IS-問題児なオリ主の生活   作:柳命

54 / 59
 明けましておめでとうございます。
 新年です、コロナ云々で世間はゴタゴタしてましたが、新年です。今年の初売りは客が少なくて大変、楽でございました。


第53話 普通の訓練ー黒兎さんもやっぱり怖いー

ーside和也ー

 

「貴様は・・・・・・」

 

 アリーナに基礎トレに来たらポークビッツと鉢合わせた。

 

 いや、こいつも代表候補生なんて肩書き持ってんだから、アリーナに来りゃあ遭遇しない訳なんて無いから仕方がないんだけどな。

 

 それでも俺を視界に入れるや否や殺気立たれると、それだけで面倒事の気配がひょっこり顔を出したのは嫌でも分かる。

 

 つまり此の場は、スルー推奨と言う事だな!

 

「本来は貴様では無いが丁度良い。私と戦え、秋風和也!」

 

「マジかよお前」

 

 俺はまだ何もしてないのに面倒事が向こうからやって来たよ。そりゃあもう、尻尾振って近寄って来たと言わんばかりに。

 

 俺はスルーしたいのに・・・・ なんで俺の所には面倒な奴ばっか近付いて来やがんだ!

 

「はぁ~・・・・ 一応聞いとくけど、そいつは模擬戦的な意味か?」

 

「フンッ! そう思いたければそう思うが良い。尤も、模擬戦だろうがそうでなかろうが、貴様なんぞが私に勝てる道理は無いがな」

 

 あぁ~あ・・・・・・・・ これアレだ。模擬戦だろうが模擬戦じゃなかろうが、普通に殺しに来ようとしてるやつだ。しかも、自分の自尊心を満たす為だけに。

 

 おっかしいなぁ・・・・ 此処まで眼をつけられる様な真似はした覚えはねぇんだけど・・・・?

 

「さぁ、返事はどうした? 私と戦え! 秋風和也!」

 

 いや、うるせぇよ。周りの奴等がこっち見るから少しは落ち着けよコイツ。

 

 しっかし、だからって無視してっと余計に突っ掛かってくるし俺の基礎トレが出来なくなるしな・・・・ 面倒だけど金髪みたいに潰すか?

 

 ・・・・・・・・いや待てよ? 確か今日、アリーナの監視してる教師って・・・・・・?

 

「・・・・時にポークビッツ。確認しときたいんだが・・・・ アリーナの担当者に模擬戦する旨って連絡してあるか?」

 

「・・・・・・なに?」

 

「だから、アリーナで模擬戦する予定を言ってあるのかって。アリーナだって使ってんのが俺等だけじゃねぇ、他にも訓練機を使って訓練してる奴等だっているんだ。しかも今は学年別トーナメント間近、普段よりアリーナを利用してる奴が増えてる。そんな中で模擬戦する以上、アリーナの監督してる教師にその旨は伝えてあんのか?」

 

「確かに伝えてはいないが・・・・ 私には関係ない。貴様は黙って私と戦えば良いだけだ」

 

 良くねぇから。唯でさえアサルトライフルが主力の訓練機と違って、特殊兵装使う専用機だぞ? 流れ弾の事を考えりゃ事前に一言くらい言っとくもんだろ?

 

 それに余談だが、クラス対抗戦前に鈴と訓練ついでに模擬戦した時だって、前以て模擬戦の予定は伝えてからアリーナを使ってたんだ。そうする事で比較的、他に訓練でアリーナを使う奴が少ない場所を回して貰ってたからな。勿論、最後には周囲に対し告知してから模擬戦始めてたけど。

 

「良いかポークビッツ、アリーナで模擬戦すんなら先にアリーナの担当に連絡入れとけ。そうしときゃ模擬戦がしやすいアリーナを宛がわれるか、模擬戦出来る時間教えて貰えっから。でなきゃ周りに流れ弾が行かない様に気にしながらやらなきゃいけねぇから」

 

「何故わざわざ此方が周囲を気にしなければならない? 流れ弾に当たる様なマヌケなぞ最初から捨ておけばいい」

 

「うっわ、マジで言ってるよコイツ・・・・」

 

 そうなるとマジで面倒なのが出て来るから言ってんのに、この軍人兼代表候補生マジで言ってるよ。

 

 此処まで本気で言ってんのは想定外だけど、コイツも俺みたいに教師ってもんを軽くみてるよなぁ・・・・・・ いや、それでも俺が軽く見てんのは一部の教師だし、山田先生とかには最低限の礼節を向ける心は残ってるし。

 

 後、おちょくり過ぎるとヤヴィ事になる相手への見定めもちゃんとしてるし。

 

「じゃあなにか? 今回の模擬戦をお前は事前連絡無しにやろうってか? ちょっと担当教師に連絡入れれば済むのに」

 

「そんなもの私の勝手だ。それに流れ弾に当たると言うなら、他の奴等もその程度と言う事なだけだ」

 

「・・・・じゃあ、今から連絡無しで戦うって事で良いんだな?」

 

「くどい。良いから貴様は黙って私と戦い、不様に地に伏せていれば良いだけだ」

 

 そう言い切ると勝手なポークビッツちゃんは返事も待たずにピットの入口に進む。

 

 これはアレか? もう俺とのお話は切り上げて、さっさとアリーナでドンパチしろって事か?

 

「はぁ~あ・・・・・・ めんどくせぇなぁ。取り敢えず説得したログはあるから言い訳の時にでも出すか・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日の担当、ちーちゃんだし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

良し、先ずは管制室に模擬戦の打診だな。模擬戦を始めるのはその後でも遅くはない!

 

 掌くるっと返すの早くね?

 

 いや、気持ちは分かるけど。ちーちゃんがアリーナの監督を担当してる日にわざわざ問題起こすなんて、自殺行為以外のなにものでもないしな。

 

「良いのか? お前さん的には誰が監督役やってても知ったこっちゃねぇんだろ?」

 

「ななな、何を馬鹿な事を! 何事も上官に対する連絡は重要だろう。そ、そうアレだ! 日本では『ちんげんさい』と言うのだろう!」

 

「それを言うなら『ほうれんそう(報告・連絡・相談)』な」

 

 完っ全にテンパってんじゃんコイツ。今もバイブみたいにガタガタ震えてんだけど。どんだけちーちゃんが怖いんだよ・・・・ てか、なんだよ『ちんげんさい』って?

 

 アレか? 珍事・げんなり・災難で『ちん・げん・さい』ってか? 残念ながら座布団はあげれねぇわ。

 

 まぁ良いや。この様子なら取り敢えずは模擬戦なんて事態は避けられんだろ。

 

「んじゃ模擬戦も後回しって事でもう良いか? 取り敢えず俺も訓練したいし」

 

「あ、ああ。教官にはわ、私から・・・・ 私から、連絡をしておく・・・・ さ、先にアリーナで震えて待ってるが良い!」

 

 いや、震えてんのお前だからな? 今も身体ガックガク震えてんじゃん。これは連絡出来ねぇパターンだな。知ってる。

 

 さて、余計な時間を取られたけどこっちはこっちで基礎トレをさせて貰うかねぇ~?今日は久し振りに『文月』な気分だし。

 

 

 

 

 

 

 

 それから2時間ばかし基礎トレしてたけど、ポークビッツから模擬戦の連絡は来なかった。

 

 気になって管制室のちーちゃんに聞いてみれば、今日からトーナメント開始まで専用機持ちの模擬戦は一切禁止らしい。

 

 原因は俺。昨日のオルコットとの模擬戦で大破させたブルー・ティアーズの損傷レベルがD寄りのCらしく、修復の為にもトーナメントの出場が却下されたそうな。

 

 ついでに模擬戦を申し出た上に機体を大破させたオルコットと、模擬戦を仲介した形になるサラ先輩。この二人は本国からこの件に関してお叱りを受けているとかなんとか・・・・・・

 

 うん、俺は別に悪くねぇな。

 

 

 後、一向に姿を見せなかったポークビッツはアリーナと更衣室の中間で膝抱えて震えてた。

 

 恐らくちーちゃんから何かしら説教でもされたのか、死の宣告(呼び出し)でも喰らったか・・・・・・ 正直、興味はない。

 

 取り敢えず周りに迷惑だったから、一声掛けて寮に帰って貰った。それでもまだガタガタ震えてたけど。

 

 ポークビッツ・・・・ 強く生きろよ。

 

 

ーside和也 outー

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

ーsideシャルロットー

 

 昨夜の騒ぎから一夜、結局彼は部屋に帰って来なかった。それどころか翌朝には何事もなかったかの様に、普通に教室に姿を現していた。

 

 まるで彼にとって昨日の事なんてどうでも良かったかの様で、戻って来ない事を心配していた僕が馬鹿みたいに思ってしまったけど・・・・ 冷静に考えれば、そこで変に慌てたりしても周囲には事情を説明出来る訳じゃないんだから仕方がない事なんだろうね。

 

 対称的に一夏は彼の事を睨んでいたけど、少なくとも一夏に彼を睨む様な資格は無いと思う。

 

 だって一夏は個人的な感情で彼を部屋から追い出したんだ。彼から文句を言われたり恨まれる事はあっても、此方が文句を言える立場じゃないのは明らかなのに。

 

 と言っても、それは僕にも言える話なんだけどね・・・・・・

 

 そうして彼と話す機会も訪れず、アリーナで一夏と訓練をした後は彼の帰らない寮の部屋に戻って居るんだけど・・・・ そこはもう、僕の気が休まる場所じゃない。

 

 昨夜彼を追い出してから一夏が、僕の秘密を守ると言って部屋に来るからだ。と言っても部屋に居座ると言う訳じゃなく、なるべく僕を一人にしないで秘密を守ると言うものらしく、消灯時間には部屋に戻って行く。

 

 そして朝になったらまた僕の部屋に来て一緒に教室に行くと言うものらしいけど・・・・ 正直、プライベートな時間まで一夏に侵害されてるみたいで気が休まらない。

 

 僕の秘密を守ろうとする気持ちは嬉しい。だけど、それで僕の行動まで制限されてるみたいで煩わしい気持ちも少しばかりある。

 

 本当ならスパイとして学園に居る僕がそんな事を思っちゃいけないんだけど・・・・ そう感じてしまう自分が、どうしようもなく図々しく思う。

 

 まだ僕を取り巻く問題に対する解決策は何も浮かんでない。一夏も三年は時間があるんだからと、どこか楽観視してる様にも思える。

 

 たった一晩しか経ってないって言うのに、僕はこれから一体どうしたら良いんだろう・・・・・・ そう後ろ向きな考えばかりが浮かぶ。

 

 僕は・・・・ どうしたら良かったんだろう・・・・・・?

 

ーside シャルロットoutー

 

 

 




 今回は試しに太文字を使ってみたけど、なんか今一分からなかったから、次からはあんま使わない。

 今回の大事な箇所!

1.鈴がラウラと戦ってないから生存。トーナメントに参加可能に。
2.既にちーちゃんが専用機持ち達に対して模擬戦行為を禁止。
3.ラウラがちーちゃんに脅されビックビク。
4.サラ・ウェルキン先輩、自分が橋渡しした模擬戦が想定以上に悲惨な結果で本国からお説教。尚、セシリア本人や和也はあまり気にしてはいない模様。
5.サラ先輩、泣いてええんやで?

 前話でサラ先輩が居なかった理由が此方。そりゃあトーナメントに参加出来なくなるくらいに大破した原因の一因なんだから、楽しくお昼ってる場合じゃなかった訳ですよ。

 ラウラも模擬戦するってちーちゃんに言っちゃえば、そりゃあOHANASIされて模擬戦なんかさせて貰えませんよ~。仕方ないね。

 では、ターンエンド。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。