どうしよう。和也視点か千冬視点で書くのが凄い楽。
ーside千冬ー
私達は今、一夏の専用機の最適化を行いながら秋風とオルコットの試合をピットから観戦している。
本来なら対戦前の一夏に今の試合を見せるのは公平性を欠くとは思ったが、他人のIS戦から何かを学ぶ機会と思い観戦を許可した。
だが・・・・
「な、なんなんだよ、あの動き・・・・?」
その試合内容は、決して今の一夏にとって参考と呼べる様なものではなかった・・・・
秋風 和也・・・・ 奴の展開したISは今では殆ど採用される事のない『
展開された手足はどこか『ラファール』を思わせる造形をしているが、それよりも更に人の手足の様にシャープな造り。
腰の両側には畳まれた様なスラスターが付き、腰の後ろにはサバイバルナイフの刃を彷彿させる様な物が2枚・・・・ いや、重なってる? 兎も角、刃の様な物が4枚ほど見受けられる。
そして何より目を惹くのは、背中にマウントされた4対の翼の様なスラスターだ。
それは本当に翼の様に4対の羽根を広げたと思えば、羽根を重ねた様に2対の翼へと姿を変えアリーナを飛び回っている。
それでいて表情を隠す様に頭部全体を覆っているフルフェイス。そこから覗く奴の紅い瞳の様なツインアイは今、オルコットにはどの様に映っているだろうな・・・・?
だが、そこは問題じゃない。いや、此処までも問題だらけだが、一番の問題は・・・・
「何故・・・・何故、
そう・・・・ 違うんだ。入学初日に私が
「(奴は一人で複数のISを所持している・・・・? いや、確かに束の関係者ならそれくらいおかしくはないだろうが・・・・ 何故敢えて、それをこの場で使う?)」
恐らくこの場に居ない教員達も後に試合の映像を観れば、秋風が複数のISを所持している事に気付くだろう。特に入学試験の際に試験官として秋風と戦った教員などは確実にな。
そう思うと頭痛がしてくるが・・・・ 今はまだ、秋風にその事を問い詰める事は出来ん。
「秋風・・・・ お前は一体、何を考えている・・・・?」
今の私にはただ、一夏達に聴こえぬようそう呟く事しか出来なかった・・・・
ーside千冬 outー
ーーーーーーーーーーーーー
ーside和也ー
「くっ! どうして、どうして当たりませんの!」
もう何度目になるか。迫り来る攻撃を避け、苛つきを隠さぬまま愚痴を溢す金髪を見るのは・・・・
試合が始まってから早15分。俺は一度も攻撃を行うことなく、今の今まで金髪の攻撃を避け続けている。
奴が手にしたライフルの攻撃も、焦った様に展開した第三世代兵装の『BT兵器』によるオールレンジ攻撃も、その悉くを俺は掠ることなく避けている。
寧ろ逆に・・・・
「何時まで棒立ちしてんだよテメェは・・・・ ビット使うならちゃんとテメェも同時に動け! どっちも止まる瞬間があるなんざ、ビット使う意味ねぇだろがっ!」
「お、お黙りなさいっ!」
金髪のアラが目立ち過ぎて、ツッコミを禁じ得ない・・・・!
「いくらライフル装備だからって、狙いが正確過ぎんだよ! 相手の軌道やら移動やら行動の予想、それ全部を頭に入れて攻撃しねぇと当たるもんも当たらねぇだろがっ!」
「う、うるさいですわよ!」
もうね、止まらないんだよ。金髪のIS『ブルー・ティアーズ』が遠距離型のBT兵器運用機とは言え、動きが単調過ぎる!
「オマケになんでビットの動きがワンパターンなんだよ!? 2基が前方で2基が相手の背後! これしかしねぇなら、まだミサイル撒き散らしてる方がマシだわっ! 連装式のミサイルポット舐めんなよっ!」
またはガトリングによる実弾の撒き散らしでも可。
あんなライフルをメインにした機体、相手の動きを制限してマウント取らなきゃいけねぇのに、マウント取れてねぇじゃん!
しかもビットの動きも悪いし単純、ちょっと意識すれば動きの予測も出来るしで、宝の持ち腐れ感が半端ないわ。
こいつマジ、良くこの程度であんな威張れてたな!?
「もうアレだお前、有線式のビットからやり直せや!」
「そ、そんな物なんてありませんわ! 何を言ってますの!」
いや、普通は在るだろ? 俺ですら
兎も角、こいつはダメだ。元々調子に乗ってるとは思ったが、まさかこの程度で調子に乗ってるとは思わなかった。
気付いたらツッコミと指摘とダメ出しで時間も経ってるし・・・・ 良し、あの調子に乗ったプライドごと潰す!
「金髪ぅ! もうテメェの相手は飽きた! こっからは、俺のステージだぁ!」
「な、なんですって!?」
そう叫んだ瞬間、背中の各ウィングスラスターの先端に付いていた
今の使ってる機体、『文月』。 そのテーマは・・・・
『ビットによる翻弄と完封』!
「蹂躙、駆逐、虐殺だぁーあっ!」
そう叫ぶが早く、合計12基のビットは一斉に俺と共に動き出す。それらは金髪を取り囲む様に散らばり、不規則な機動を続けながら攻撃を開始する。
前方から、後方から、側面から。上下左右、それこそあらゆる方向から動きを止めず、金髪のSEを削り続けていく。
当然、俺も黙ってビットに任せ続けるつもりもなく、
「そ、そんな!? どうしてBT兵器が、なんでBT兵器を使いながら動けますの!?」
「慣れだっ!」
いやホント、単純に慣れだよ。ビットの使い方然り、ビットを使う際の並列思考然り、一言で『慣れ』だな。
ただ金髪はそんな言葉も頭に入ってないのか、次々とビットの攻撃に晒され続ける。
既に金髪のビット4基はブレードビットに破壊され、新品の様に青かった機体もビットの攻撃で煤け、所々に亀裂も走っている。
・・・・流石にこれ以上はISが可哀想か。
「次で終わらせてやる・・・・!」
そうと決まれば話は早い。金髪へ攻撃を続けていた4基のブレードビットを手元に呼び戻すと、俺はそれを全て右腕の肘から先へとくっ付けた。
それはさながら四本の爪・・・・ その爪を腕にしながら、今度は
「ひっ・・・・!?」
瞬間、金髪と目が合うと奴は俺の姿に恐怖に歪んだ表情を浮かべた。だが、そんなんじゃ止まってやらねぇ。
「終わりだ・・・・! おおぉぉぉらあっ!」
ーーガギィンッ!
大きく勢いを付け、絶対防御すら切り裂かんと下段から振り抜いた四つの爪。
その一撃に意識でも失ったのか金髪は仰け反りながら後ろへと倒れ始め、同時に展開していた『ブルー・ティアーズ』も粒子となってその姿を消し始めていた・・・・
「んだよ、あぶねぇなぁ」
流石に気絶したまま地面に落として死なれても後が煩いだろうし、渋々ながら落下途中の金髪の身体を掴む。
ーービィーィッ!
《ブルー・ティアーズ、SEエンプティー。
勝者:秋風 和也》
「「「「わあぁぁぁぁぁぁあっ!」」」」
と同時にアナウンスから告げられる俺の勝利と、観客席から沸き上がる歓声の雄叫び。
おっ? 管制塔の近くにダリル見っけ。そう言えば今日の話はしてたから来てたのか。
あっ、フォルテが興奮したダリルからヘッドロック食らってる・・・・ いや、ダリルの胸に顔を埋められるならフォルテも本望か。
[秋風、聞こえるか?]
「うん? どうしたよ?」
おや、ちーちゃんから通信とは珍しい?
[お前はそのままオルコットを連れて反対のピットへ向かえ、その5分後に織斑との試合を始める]
「その口振りじゃ俺が連戦かぁ? 人使い荒いね~」
[無駄口を叩くな。兎も角、オルコットはちゃんとピットまで運ぶんだぞ、良いな]
そんだけ言うとちーちゃんは一方的に通信を切った。
まぁ、金髪がこの様じゃ連戦は出来ないしな。俺が連戦になるのは仕方ないわな。
そう諦めると、俺はちーちゃんに言われた通りに金髪が使っていたピットへと飛んで行く事にした・・・・
因みに金髪は、両足を掴んで逆さ釣りの状態で運びました。
いや、だって抱えてやる義理ねぇじゃん?
ーside和也 outー
これでセシリア戦は終わり。
次は一夏戦だ!
取り敢えず和也の使った『文月』のビットは、『ストライクフリーダム』の羽根をイメージして貰えれば。
尤も、アレ程の性能を持たせるつもりはありませんが。
さて、次で漸く一夏戦・・・・の前に、入学試験での一幕を書けるかな? アレ、何気に千冬と思われてたんだよね~。
では、ターンエンド!