2章:サーヴァント/ペルソナ
焦げ臭い臭いで遠矢は目を覚ました。一体どこからこんな臭いが?そう思い、起き上がって辺りを確認して絶句した。
「どう、なっている…?!」
周りが火の海なのは気を失う前と同じなのだが、場所が違う。確かに自分は施設内に居たはずなのに何故か今は屋外に居る。
一体何がどうなっているんだ?
「フォウ!」
その声と同時に肩に重みがでる。その正体は分かっていた。マシュと共に会った白い獣、フォウである。
「何故お前がここに?…まぁいい。それより、マシュとモルガナは?」
遠矢の言葉に反応するように一鳴きした後、自分の肩から降りたフォウは先へと進んでいく。どうやら案内してくれるようだ。
「(今は情報が少なすぎる。追いかけた方がいいようだ)」
怪盗の時の勘はこういう状況の時には信用できる。とりあえず追いかけることにした。
進めば進むほどこの町の現状が分かっていく。町中に至る所火の手が上がり、建物は大きく破損している。何より、ここに来てからというもの、人の気配が全くしないのだ。これは明らかに異常である。
「!!」
フォウが立ち止まった先に遠矢は驚く。そこには武器を持ったガイコツの群れが会ったのだ。RPGじみた光景に思わず固まる彼にフォウはまた肩に上って頬叩く。
「そうだな。気を付けないといけないのに……。ありがとう」
礼を兼ねてフォウを撫でで遠矢は改めてガイコツ—ボーン・ソルジャー達を見る。数は5。持っている獲物は剣と槍の近接系。こちらが見付かってすぐに攻撃をされることは無いだろう。対してこちらの武装はカルデアで支給されていたであろう制服のみ。ペルソナはあの最終決戦以降使えないのである。そう考えると、今のままでは確実に負けるのが目に見える
「(下手に戦闘するより、迂回した方がいいだろう)」
そう思った次の瞬間、背後に殺気を感じる。すぐさま今までいた所から離れると、そこ目掛けて無数の矢が放たれる。
「クッ!」
放たれた矢の威力が大きいのか、体制を崩される。この矢は普通ではない。パレスの主の攻撃並みにある。
「フォフォーウ!」
「!!」
フォウの声に後ろを見るとソルジャー達が先ほどの攻撃に気付いたのかこちらへ向かってくるのが分かった。離脱しようにも視界外からの攻撃もまた来ると考えられる。絶体絶命のピンチだ。
「(覚悟を決めるか…!?)」
一か八かの賭けに出ようとしたその時、自分を守るように立つ、1つの影。
「―――――――――っ!」
自身に止めを刺すかの如く放たれた無数の矢から、自分とフォウを守る影。矢の嵐を乗り越え、その影の正体が分かった。
「お怪我はありませんか?マスター」
「マシュ、なのか?」
黒い鎧に身を包み、身長より大きな楯を持った少女。間違いない、あの時出会ったマシュ本人である。余りの変化に開いた口が塞がらない。
「ここは危険です。離脱を試みますので、私のそばから離れないでください!」
「わ、分かった」
「行きます!」
盾を持ち、ソルジャー達へ立ち向かうマシュ。その後ろを遠矢とフォウが追いかける。迫りくる敵をちぎっては投げるように
「大丈夫です。このくらいなら、まだやれます」
「無理だけはしないでくれ。…!またあの雨が来るぞ!」
遠矢の言葉通り、あの矢の嵐がまた来た。マシュは防御に徹するが、無数に湧いてくるソルジャー達は矢など気にしないようにこちらへ向かってくる。
「(このままでは、マシュの体力が持たない。やはり、賭けにでるしか…!)」
ペルソナが出せなくても、戦闘に参加はできる。破壊されたソルジャー達から奪った剣ならある程度なら耐えられるはずだ。そう思い、遠矢は行動に出た。
「!マスター!危険です!!」
マシュの静止を無視し、ソルジャーの残骸の中に入る。矢の雨によって破壊された物も多々あるが、まだ使えそうだ。
「!?」
手にした剣を持つソルジャーの手が動いた。まだ息(?)がある者だったようだ。剣を奪い、それと対峙する。すると、落ちていた骨が合わさり、今まで戦っていたソルジャー達以上の大きさになる。それはまるでゴーレムのようにも見えた。
「マスター!逃げてください!」
他のソルジャー達に対応していたマシュが叫ぶ。だが、時はすでに遅し。ゴーレムは遠矢を敵とみなし、襲いかかってきた。
「クッ!」
初めの一撃は剣で受け流すが、その威力で体は吹っ飛ぶ。強力な攻撃だったのか、それとも元々剣の強度がなかったのか、持って居たそれはポッキリと折れ、使い物にならなくなる。それをチャンスと見たかゴーレムは追撃の為に両手を振り上げた。
「先輩っ!」
助けに行こうとするがソルジャー達が邪魔して、そばに行けない。マシュは悔しさでいっぱいだった。
「(こんな所で死ぬわけにはいかないんだ!)」
振り下ろされるゴーレムの腕に遠矢は思う。すると突然、懐かしくも不思議な感覚を彼は感じる。
― 大丈夫です。マイトリックスター ―
― 遅くなりましたが、貴方に再び戦う力を ―
― どうかもう一度、世界を救ってください ―
「(ラヴェンツァ!)」
時が止まった世界で見えた青い蝶。それは瞬く間に消え、一枚のカードとなる。
表には剣を持つ鎧の騎士。裏には見慣れた愚者のアルカナ。
カードは青い炎に包まれるのと同時に別の形へと変わっていく。
「これは、一体……?」
目の前の光景にマシュは目を奪われる。炎が消え、カードの代わりに現れたのは学ランのような服に身を包んだ仮面の男だった。持って居た太刀でゴーレムの腕を払いのけ、刹那の剣戟でそれを沈黙させた。困惑する遠矢の姿を見て、男はこういった。
「我は汝、汝は我。我、汝の信念に呼ばれ召喚に応じた者。聞こう。汝が
気が付いたら自分は可笑しな空間に居た。あいつと喧嘩した宇宙空間に似て否なる場所みたいだが、ここは一体どこなんだ?
『ここは主の心の海。我らが居る空間だ』
聞き覚えのある声に振り返るとそこには自分のペルソナが立っていた。
― なんでお前がここに?てか、俺はどうなった?!ま、まさか、もうあいつのs『落ち着け。今から色々説明する』アッ、ハイ。 ―
もう1人の自分にそう言われ、冷静さを取り戻す。みんなのリーダー役を引き受けていたが、パ二くることだってある。みんなが居て漸く一人前が俺なんだ。それが分かっている
『助かる為にはこれしかない。主には色々と厄介を掛けるが』
― いいぞ ―
『即答?!いくら何でも早すぎないか!?』
― 何驚いてんだ、俺。お前も知ってるだろ?俺はお前で、お前は俺。どっちが表になろうが関係ない。思考も同一化してんだし、それが最善策ってんなら、しゃーないだろ ―
『本当に……いいのか?』
― あぁ。それで、誰かの助けになるんだろ? ―
『……かたじけない。力を取り戻すまで、暫くここに居てくれ』
― ゆっくりでいいぞー。……ま、俺も人のこと言えないけど ―
俺の言葉を聞いて
あとは頼んだ、————――――イザナギ
目の前に現れた、意思疎通の出来るペルソナ―イザナギ。彼のお陰であの場をしのぎ、現在はマシュに色々詳しいことを聞くべく、一行はとある家の居間らしき部屋に居た。
「えっと、何処から話しましょうか?」
「出来れば、初心者でもわかりやすく、魔術の事を教えてくれ。俺の知るものとどうやら違うようだから」
「分かりました。では、私の知る一般的な物を説明します」
「お願いします」
遠矢はそう言って一礼し、マシュは説明を開始する。それを聞く限り、どうやら自分の知るものとはだいぶ違うようだ。まるで小説などに出てくるものに近い。双葉が居れば、間違いなく興奮していただろう。…所で、ペルソナは彼女の知る魔術に入るのだろうか?その質問をぶつけてみると、首を傾げ言った。
「ぺる、そな、ですか?すみません、マスター。私は初めて聞く魔術です」
「そうか。ペルソナっていうのは」
「自身の心を力として使う術だ。己の弱さと向き合って初めて手に入る力。他の方法もあるのだろうが、
自分の説明を遮り、答えたのはなんとイザナギであった。まさか答えるとは思っても居なかっため、固まってしまった。
「すまない。
「気にしてないさ、ありがとう。所で、君はラヴェンツァと」
「
イザナギの言葉に反応してか、辺りから黒い靄が出て来た。その靄は集まっていき、人型へと変わっていく。
「我らの存在に気付くとは……中々の実力者とお見受けする」
「色々と場数は踏んでいるのでね、少々異様な気配には敏感なんだよ。マシュ殿、
黒い太刀を出現させ、彼はマシュにそう言ったが、彼女は一歩前に出て言った。
「いえ、私も一緒に戦います。デミサーヴァントですが、力になれるはずです」
「そうか……。なら、行動は任せる。その代り、
「はい!マシュ・キリエライト!行きます!」
彼女が駆け出すのと同時に靄の陰に隠れていたのか、それともあの靄が呼んだのか、先程のソルジャーが何体か現れる。それらの相手をしながら、一行は室外へ移動していく。
「多勢に無勢の勝利が欲しいのか?お前たちの主は随分と小さい者だな」
影本体に戦いを挑むイザナギにそれはニタリと笑うように言った。
「我らは主の命令に従うのみ。おぬしらに勝利などない!」
「なに…?!」
「マスター!更にエネミーが!」
マシュの言葉で前を見てみると、新たな黒い靄とその後ろにはラミアの大群が。このままでは、こちらが不利になる一方だ。どうするか考えている次の瞬間、巨大な竜巻が敵一団に襲い掛かる。
「この風―!モナなのか?!」
「おぅ!その通りだぜ、ジョーカー!」
遠矢の声に答え、現れたのは1匹の黒い猫―いや、猫と言うのは些かおかしい。何せ2頭身で頭にマスクを被り、2足歩行しているのだ。マシュは驚きを隠せず、イザナギはじっとその猫モドキ―モルガナを見ていた。遠矢のそばに来て、彼はこういった。
「全く!ようやく見付けたぞ!気が付けば、さっきの場所じゃないし、お前は何処にもいない!しかも、ワガハイは何故かこちらの姿になっている!説明して欲しいぐらいだ!」
「まぁまぁ。とにかく、無事でよかった、モナ。再会の所悪いんだが、彼らと協力してここを切り抜けて欲しい」
「分かった。ワガハイも本調子ではないが、力を貸す。2人共、力を貸してくれ」
「は、はい!分かりました!私は、マシュ・キリエライトです!」
「
「ネコじゃねぇよ!…ワガハイはモルガナだ!いくぞ!」
モルガナの言葉で戦闘は再開される。多くのエネミーがこちらに向かってきたが、彼のペルソナによって出された魔術で吹き飛ばされる。それを見たマシュはこういった。
「先程の風はモルガナさんの物だったのですね!」
「あぁ。マシュ、今のうちに!」
「はい!」
イザナギとモルガナの開けた空間を利用し、二人は外に出る。それを追う2つの影。その1つと交戦するイザナギに靄は言った。
「貴殿は戦いに慣れているようだが、どうやらサーヴァントとしてはまだその少女と同じ新人のようだな」
「それがどうした」
「宝具も解放できない英霊など、おそるるに足らん!ここで、消えるがいい!」
勝ちに急いだか靄がナイフをイザナギに向かって投げる。が、全てマシュの盾に防がれる。
「助太刀、感謝する」
「いえっ!行ってください!イザナギさん!」
盾を足場にイザナギは高く跳ぶ。太刀を構えてから彼は言った。
「少し本気を出そう。マシュ殿、皆を頼む。―———"アグネヤストラ"」
刀を振ったのと同時に無数の隕石がここ一体に降り注ぐ。敵味方を巻き込んだ大技に遠矢とモルガナは急いでマシュの盾の中に逃げ込んだ。
「あいつ、もしかしてあの靄の言ったことに怒ったのか…?仮面で表情わかんないが、あれぐらいの事気にする奴なんだな」
「プライドが高いのでしょう。私の知る限り、イザナギさん、日本の始祖神ですし……」
「いや、あれはプライドと言うより、八つ当たりに近い気もするが……。とにかく、そっとしておこう」
遠矢の言葉に2人は了解したというように頷いた。その頃には隕石の雨も止んだ。あの攻撃によって消滅した靄の武器を蹴り飛ばし、イザナギは言った。
「英霊の影如きがいい気になるな。カウンター持ちになって出直してこい」
「戻ってこなくていいって。それにしてもお前、強いな!ジョーカーといい勝負になるぜ!」
そう言って近づいていくモルガナ。彼に称賛に首を横に振り、イザナギは言葉を続ける。
「いや、
「そんな事はない。俺がペルソナを使えても勝てるかどうか……」
「今は、だろ?悪神を倒したトリックスター殿なら、すぐに追い越せるさ」
「(悪神のことまで知ってるのか。このペルソナ、何処まで知ってるんだ…?)」
イザナギに対して少し疑問を持ったが、その考えは悲鳴によって吹き飛んでしまう。
「今の悲鳴…!」
「知ってるのか、マシュ」
「はい!カルデアの所長、オルガマリー・アニムスフィア所長がこの近くにいます!」
― どうして?どうしてどうしてどうして! ―
― ここは一体何処なの?!レフは?カルデアはどうなったの!? ―
敵から逃げながら少女―オルガマリーはそう思った。先程までカルデアに居たのに、気が付くとそこは火の海。崩壊した街を彷徨っているとサーヴァントらしき者の狩場に入ってしまったらしく、只今絶賛追い駆けっこ中である。
― こんな所で死にたくない! ―
― 助けて!助けて、レフ! ―
どんなに祈っても殺意はこちらに向かってくる。鎖の音は今なお響く。逃げた先は川。そして、自分を閉じ込めるように鎖は四方八方に広がる。
― もう、ダメなのかしら…… ―
目の前が真っ暗になる。諦めかけたその時、自分を守るように誰かが前に立った。
「もう、大丈夫だ」
そう言ったのはくせっ毛の自分より年下に見える少年。その姿が一瞬、何故か黒いコートを着た仮面の男に見えた気がした。
「あそこだ!ジョーカー!」
モルガナが指差したところには白髪の女性が今まさに襲われる瞬間であった。
「モナ!イザナギ!」
「了解した」
「任せろ!」
モルガナの術を纏ったイザナギの剣撃が襲おうとした英霊に諸に決まった。敵が身動きが取れないうちに女性の方へ遠矢は駆け寄る。
「もう、大丈夫だ」
「あなたは……?」
「所長、お怪我はありませんか?」
「マシュ?!どうしたのよ、その恰好!…って言ってる場合じゃないわ。前見なさい!」
オルガマリーの言葉に2人は後ろを見るとそこでは激戦が繰り広げられていた。イザナギ達と間合いを開け、槍を構えながら、ローブの女は言った。
「おいしそうな
「先ほどの奴らとは全く違う。モナ、下がっていろ」
「1人でやるつもりか?!危険だぞ、イザナギ!」
「あの槍で傷つけられれば、
「逃がしませんよ!」
サーヴァントが操る鎖が2人を襲う。蛇のような動きに翻弄され、苦しめられていく。この攻撃によけきれなかったモルガナが遠矢達の所まで吹っ飛ばされる。
「しっかりしろ!モナ!」
「す、すまねぇ……ワガハイ、もう動けそうにねぇ……」
「マスター!伏せてください!」
マシュに言われた通り伏せると、頭上を鎖が通った感じがした。あのままの体制であったら、あの鎖に首を撥ねられてたと思うと背筋が凍った。自分とオルガマリーを守るマシュにも前でサーヴァントを牽制しているイザナギにも疲れが見え始めて来た。
「そろそろとどめを刺しましょう。優しく、殺してあげましょう」
「まだ…倒れるわけには……」
『いい覚悟だ、嬢ちゃん。英霊としてはまだまだだが、心意気は十分にある』
「この声は……」
先程の声に警戒を見せるサーヴァント。すると視界外から飛んできた火の玉が彼女を直撃する。
「あ″ぁ″っ!この技…キャスターか!何故、彼らに味方する!?」
「テメェらなんかと共闘するよか10倍もマシと思ったからだよ!」
そう言って現れたのは水色のローブを身にまとった男。あのサーヴァントがキャスターと呼んでいたのを見ると、彼は魔術師のようだ。すると彼は遠矢の顔を覗き込むように見て、言葉を続ける。
「坊主、あんたがあいつらの……って見知った顔じゃねぇか。久しぶり、だな」
「え……?」
「おい、お前!ジョーカーを知ってるのか?!」
困惑する遠矢に代わってモルガナが男に聞く。すると彼はローブのフードを外していった。
「そりゃあ、オレもこいつに使われたからな。アルセーヌの次に愛用して、お前さんのライバルも使ってた奴って言えばわかるだろ?」
「もしかして、クー・フーリン、なのか…?」
自分の答えに頷く男。自分の知るクー・フーリンと顔つきは違うが、共に戦っていたからよくわかる。この人は自分の知るクー・フーリンだと。思わぬ再会に遠矢は驚きを隠せない。
「その姿は、一体」
「詳しい説明は後だ。敵さん足止めしてるイザナギももう限界だろうしな」
そう言ってクー・フーリンは空中に不思議な文字を描き、そこから出た火の玉をまたサーヴァントに向かってぶつける。イザナギの隣に行くと、彼は自分を睨みつけながら呟く。
「遅い。お前なら、もっと早く来れるだろ」
「何にイラついてるのか知らねぇが、センセイの口調になってるぜ、イザナギ。奴はオレの獲物だ。美味しい所は持ってくぜ」
「好きにしろ」
バトンタッチしサーヴァントと向き合うクー・フーリン。そんな姿を見て彼女はイラつきながら言った。
「魔術師風情が!詠唱する暇など与えるものか!」
「さっきの見てなかったのかよ!そぉら、喰らいな!!」
火の玉が雨、霰のようにサーヴァントを襲う。技を喰らい、徐々に後ずさる彼女があるポイントに足を掛けると同時に彼女を巻き込んで火柱が上がる。
「あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″!!」
「今だ、嬢ちゃん!」
「やぁ!」
いつの間にか敵との間合いを詰めたマシュは大きく跳び、火柱事盾でサーヴァントを切る。その攻撃が止めになったのか、彼女は光となって消えた。
「やるじゃねぇか、嬢ちゃん」
そう言ってマシュの腰に手を回そうとしたクー・フーリンだが、イザナギがその手をつねり、その行為は未遂に終わった。
「いてぇじゃねぇか!」
「当店でのセクハラ、および逆ナン行為は禁止されております。次やったら
「一番聞こえたくない単語が聞こえたんだけど?!お前やっぱりセンセイ入ってるだろ!?」
「色々と話したいが、とにk『ビンゴォー!よぉやっと通った!』」
遠矢の言葉を遮って腕についていたブレスレットから声と電子画面が現れる。そこに映っていたのはあの時探していた勝呂だった。彼は画面外に居るであろう人物に向かって言った。
『どぉや山野!オレだってこんなメカぐらい動かせる言ったやろ!ドヤァ!』
『ハイハイ、分かったから、さっさとこっちの要件言え。相手固まってるぞ』
「勝呂さん、なのか?」
『せやで、天花寺君。あんさんも無事でよかったわ~。あっ!トーヤ、こっちつなごーたから、ドクターと桐条さん頼むわ』
画面内で嬉しそうに笑い、他のカルデア職員と話す彼に遠矢は安堵の溜め息を漏らす。本当に無事でよかった。そう思っていると、今まで空気のように忘れられたオルガマリーが声を荒げて言った。
「ちょっと!そこの
『うぉっ!所長さん生きとったんかい?!あんだけのこと有ったのに、よぉ無事やったな~お互い、悪運高いんやな』
「いいから答えなさい!」
『代われ勝呂。俺が言う』
勝呂を画面外へ追いやり、入って来た1人の男。褐色の肌に白髪で真鴨色の瞳の体格のいい青年だ。その近寄りがたい姿に遠矢は少しだけ見入ってしまった。彼の顔を見て顔を歪めたオルガマリーは改めて言った。
「ミスター・ヤマノ、貴方の持ち場は
『それが出来りゃすぐにやってますよ、クソ所長。―—現状報告。カルデアの機能はほぼ壊滅。現在確認出来る生存者は全体の四割弱。裏切り者のせいでここはもうそっちバリに地獄と化してる』
彼の報告に一同は驚きを隠せなかった。どこからか悪魔の笑い声が聞こえたような気がした。
to be contined