仮面ライダー×仮面ライダー剣〜triple joker〜   作:メタカイザー

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2話

仮面ライダー2号との出会いの後、始はかつてともに戦った仲間である仮面ライダーギャレン、橘朔也が所長を務める研究所から、とあるものを持ち出していた。

まずひとつ目は自分がカリスに変身するために必要なハートカテゴリーのプライムベスタ、AのカードからKのカードまでの13枚一式である。

 

「勝手に持ち出して、橘には悪いが…」

 

山奥の木陰にひとりポツリと座り込み、始は自分のカードを見つめた。

もし、自分が剣崎を助けるためにカードが必要だといえば橘も、そして今は企業勤めをしながら見て幸せな日々を生きている仮面ライダーレンゲル・上城睦月も喜んで協力してくれるだろう。

だがショッカーは今回、自分達ジョーカーを狙っている。

剣崎を…そして始さえも救うための研究をしてくれている橘にそんな迷惑はかけられないし、もう一般人である睦月を巻き込むこともできない。

ベスタはことが済めば返すとメッセージは残して来たし、目的も行き先も記してはいない。

二人を巻き込むこともないだろう。

 

「剣崎…」

 

始は囚われている剣崎へと想いを馳せる。

長い間、まともに会うこともできなかった心を許しあえる友…

それが今は敵の邪悪な野望の手の中にある。

始にとって絶対に許せないことであるし、相川始としての人生を与えてくれた剣崎は、自分の手で必ず救い出さなければならない。

二人が出会った時、闘争本能が掻き立てられる事を避けるために少し話す時間すら許されなかったとしても、ライダー2号が必ずうまく事を運んでくれると約束してくれた。

 

「必ず助ける…必ず…!」

 

始はもうひとつ研究所から持ち出して来たもの…変身ベルト・ブレイバックルとスペードの13枚のプライムベスタも取り出し、少し強く握った。

剣崎を助けた際、もしかしたら必要になるかもしれない。

使って欲しくはないが、いざという時の際の備えは必要であると判断した。

もはや準備は万全…あとは剣崎が連れ去られた場所を調査している2号ライダー、隼人からの連絡を待つばかりだ。

…そんな時、始のスマートフォンがポケットの中で音を立てて振動し始めた。

 

「なに?」

 

ポケットから電話を取り出し、電波を見てみる。

…圏外。山奥だから当然だろう。

なのに電話は異常なく鳴り響き、画面には非通知とだけ表示されている。

 

「テレビ電話だと…なぜこんな山奥で…まさか…!?」

 

始は目を見開き、急いで画面をスワイプする。

すると、見知らぬ男性が不敵な笑みとともに、スマートフォンの画面に映し出された。

 

「初めましてだな相川始、仮面ライダーカリス。それとも、ジョーカーと呼ぶべきかな?」

『貴様…ショッカーとかいう連中の仲間か?』

『俺の名はレオール。こう見えても今のショッカーの幹部の一人さ。以後お見知り置きを。』

「圏外の携帯に電話をかける技術があるなら、イかれた目的よりもっとマシなものに生かすべきじゃないのか?」

『早速の皮肉をどうも。だがこれを見ても皮肉を言っていられるかな?』

 

レオールは乱暴に一人の人物を画面内に引き寄せた。

エジプタスによって捕まった、栗原天音を。

 

『始さん!』

「っ!?天音ちゃん!?」

『貴様の大切な栗原天音は、我々ショッカーが預かった!助けたければこちらの要求を聞いてもらうぞ。』

「貴様…何が狙いだ…!」

 

始はスマートフォンを握りしめ、怒りと殺意を込めて呟くようなトーンで聞き返した。

並の人間なら腰を抜かすほどの威圧感だろう。

 

『この娘の代わりに貴様が我らにとらわれ、実験材料になってくれれば自由にしてやるさ。場所はメールで指定してやる。待ってるぜ。』

『始さん!来ちゃダメ!私の為に自分を傷つけないで!』

 

レオールは天音を突き飛ばし、画面から無理矢理に弾き出した。

 

『きゃっ!?』

「天音ちゃん!貴様ぁ…!」

『くっくっくっ…待ってるぜ。』

 

レオールはそれだけ言い残し、電話はそこで切れた。

そしてすぐに敵からメールが届き、始は場所を確認し、激しい怒りを滾らせた。

 

「剣崎…天音ちゃん…ショッカー…絶対に許さん…!」

 

ショッカーのアジトの地下牢…剣崎は特殊な拘束具を四肢にはめられ、完全に動きを封じられた状態で牢につながれていた。

 

「クソ…駄目か…!」

 

どうやらジョーカーに変身する能力を押さえる力が拘束具にあるらしい。

何度試してもジョーカーになれなければ、剛力を発揮して枷を壊すことすらできなかった。

 

「なんとか始に…危機が迫っている事を伝えないと…」

「その必要はないさ。」

 

そんな剣崎の元に、レオールが現れる。天音を傍らに押さえながら。

 

「剣崎さん!?」

「天音ちゃん!?」

 

剣崎はかつて自分に住む場所を与え、生活をサポートしてくれた友人の姪であり、親友のもっとも守りたいものであった少女…もう年月が過ぎ、りっぱな女性へと成長した天音との予期せぬ再会に驚き、天音もまた叔父の大切な友人であり、仮面ライダーとして何度も自分を助けてくれた剣崎の姿に驚いていた。

レオールはそんな二人をあざ笑うような眼で見つめる。

 

「どうだ剣崎一真?十数年ぶりに知り合いに会えた感想は?嬉しかろう?」

「貴様ら!狙いは俺達じゃなかったのか!?彼女は関係ないだろう!?」

「それが大有りさ。この女は相川始にとってもっとも大切なもの…こいつを使ってやつをおびき出すのさ。もっともこれは俺の独断で、海東純一は関係していないがな。」

「どこまで卑怯なんだ…俺は絶対にお前らを許さない!」

「それに縛られたままでは、どんなに粋がっても仕方あるまい。この女はお前と同じ牢に入れてやる。せいぜい懐かしい気分を味わうんだな。」

 

レオールは牢を開けて天音を放り込み、また鍵をかけると、背を向けて去って言った。

天音は急いで剣崎に駆け寄ると、寄り添って持っていたハンカチを取り出し、剣崎の緑の血に触れさせた。

 

「剣崎さん!大丈夫!?ひどい怪我…」

「天音ちゃん…」

 

剣崎は見知った顔と再会できた喜びよりも、異形の血を見られてしまった苦しみの方が強かった。

それがかつて、始の正体も知らなかった少女であれば、なおさらである。

 

「この血を…天音ちゃんに見られたくなかった…」

「…剣崎さんのこと、虎太郎が書いた本を何度と読み返して、なんとなく分かるようになって来てた…始さんのことも。」

「そうか…」

 

剣崎は心の底から安堵していた。

この緑の血にも畏怖せず、始の正体を知ってもなお慕う気持ちの変わらない彼女の優しさに。

 

「…始は、どうしてるんだ?」

「少し前までは一緒に住んでいたけど、突然いなくなって…多分私が、始さんの事に気づき始めてしまったから…」

「…そうか。」

 

いつかは始も、愛する者たちから離れていかなければならない。

わかっていた事であるし、始もそれを理解した上で人間の中で生きることを心の底から望んでいた。

それでも、その時が来てしまった始の悲しみを考えると、自分も心が痛くなる。

 

「…始さんの正体なんてどうだっていい、私は側にいて欲しかっただけなのに…でもこんな形で始さんに迷惑をかけるなんて、情けない。」

「大丈夫さ、始は天音ちゃんを助け出す。きっとまた会えるし、始もその時は嬉しいはずだよ。それよりも天音ちゃん、奴らは必ず始を捕まえる為に、君を取引場所に連れて行く。始に伝えて欲しいことがあるんだ。」

「何を?」

「話が少し長くなるし、難しいかもしれないけど。」

「大丈夫よ!虎太郎や剣崎さんよりは頭いいつもりだもの!」

「あはは、こいつめ。」

 

こんな状況でも生意気言ってみせる彼女の芯の強さに剣崎は懐かしく、安心して微笑んだ。

久しぶりに、ホッとできたような気がした。

そして剣崎は、敵が企んでいる計画を天音に伝える…

 

「始に会えたら必ず伝えてくれ。きっとね。」

「剣崎さんは?」

「俺はまたきっと実験に使われる…なんとか隙を見て逃げ出すよ、心配しないで。始や橘さん逹も巻き込まなくていい。」

「駄目!きっと助けに来てもらうから!」

「…ありがとう。」

 

長い放浪の旅と囚われた苦しみの中で、剣崎は今宵だけ、本当に心の底から安心して眠れたような気がした。

 

一方、アジトの通路で…海東純一とレオールは向かい合い、対峙した。

 

「何の用だ?」

「ずいぶん勝手な真似をしてくれたようだなレオール、俺はこの計画に不必要な手段は取らないと言っていたはずだが?」

「フン、貴様の手口が生ぬるいから手助けしてやったんだ。文句を言われる筋合いはない。」

「貴様…何を狙っている?」

 

レオールはニヤリと笑いながら、純一の肩に手を置いた。

 

「貴様のことは気に入らんが、貴様の計画には大いに興味がある…だから俺も手助けしている、それだけだよ。」

「フン…」

 

純一とレオール…二人の確執はどんな結果をもたらすのであろうか。

運命の歯車は、順調には回らない。

 

そして翌日、取引当日の時刻である。

始は一人、指定された場所である荒地に来ていた。

そこにはレオールとエジプタスがすでに待っており、天音はエジプタスに捕まっていた。

 

「始さん!」

「天音ちゃん…!」

 

長い間離れていたわけではないが、久しぶりの再会…しかしこんな形でなんて会いたくはなかった。

苦しむ二人の気持ちを嘲笑いながら、レオールは剣崎を拘束していたものと同じ手枷を始の足元に投げた。

 

「その制御装置のついた手枷をはめてこちらまで来い!そうすれば女は解放してやる!」

「…いいだろう。」

 

始は言われた通りに手枷で両手を縛り、レオールのもとに歩き出した。

…やがてレオールの元までたどり着くと、エジプタスは天音を離し、天音は始の胸に飛び込んだ。

 

「始さん…ごめんなさい…!」

「いいんだ…俺こそ勝手にいなくなってすまない…」

 

始は無事だった天音のぬくもりに心から安心した後、鋭い獣のような目でレオールを睨む。

 

「さあ…天音ちゃんは解放してもらうぞ!」

「馬鹿め、約束を守るショッカーか!我々のことを知った女には死んでもらう!やれエジプタス!」

「エバラポロポロ!!」

 

エジプタスは不気味なうめき声とともに天音の首に両手をかけ、ギリギリと締め上げる。

 

「くっ…あっ…」

「天音ちゃん!貴様ぁ!!」

「クックックッ…」

 

始は身を乗り出し、レオールに詰め寄るが、手枷の装置のせいでカリスはおろかジョーカーへの変身すら出来ない。

万事休す…その時、突然バイクの轟音が鳴り響いた。

一同がその音に驚くと同時に、金色のカラーリングのCBR660に跨った仮面ライダーグレイブが現れ、レオール達に突っ込んだ。

 

「ぐおおっ!?」

「エバラ!?」

 

レオールとエジプタスはとっさに後方にジャンプし、難を逃れた。

天音は解放され、始は突如現れたグレイブの姿に驚く。

 

「仮面ライダーだと…?」

 

グレイブはマシンから降りると、腰のホルスターからグレイブラウザーを抜刀し、始の手枷を切断した。

そして仮面の下で不敵に笑うグレイブの姿に、レオールは叫ぶ。

 

「貴様!?裏切る気か!?」

「裏切る?違うな。言ったはずだ、不必要な手段を俺は取らんとな。」

 

グレイブは黒い特殊な端末を取り出し、電源を入れながらちらりと始を振り返る。

 

「見せてもらうぞ相川始、お前の力を。」

「…とりあえず今は、礼を言わせてもらう。」

 

始は腰に変身ベルト・カリスラウザーを出現させ、ハートのカテゴリーA・チェンジマンティスのカードを取り出した。

…もう気づかれているとはいえ、天音の前で変身することに心が痛む。

だが今はもう、目の前の卑劣な奴らを許すことはできない。

始は怒り、猛る激情と共に、風を切るような声で叫ぶ。

 

「変身!!」

 

そしてまっすぐにカードリーダーにベスタをラウズし、電子音声が響く。

 

『change!』

 

同時に始の体は揺らめく水のような不思議な輝きに包まれ、体はカマキリを象ったような姿へと変わっていく…

やがて全身がカリスベイルと呼ばれる漆黒の鎧に変わり、始は変身を遂げた。

 

仮面ライダーカリス…伝説のアンデッドとして一万年前の選ばれた生物達の始祖達が繰り広げた戦いによる生存競争『バトルファイト』に君臨したマンティスアンデッドの姿にジョーカーが化身した仮面ライダーである。

 

カリスは武器である弓と刃を兼ねた醒弓カリスアローを手に出現させると、ハーティグラスという赤い結晶に隠れた異形の眼で、レオールとエジプタスを睨んだ。

 

「借りはたっぷり返してやる…俺は貴様らを必ず倒す!!」

 

カリス激情…そんな言葉が当てはまるかのような俊敏さと力強さで、カリスは立ち向かった。

 

「ええい!やれ!エジプタス!!」

「イバラポロポロ!!」

 

エジプタスはレオールの命を受け、カリスへと立ち向かう。

しかしもはや怒りが頂点に達したカリスには、再生した怪人であるエジプタスなど相手にもならなかった。

 

「ヌンッ!!ゼヤッ!!」

 

カリスはその俊敏さでエジプタスの攻撃を回避し、カリスアローを巧みに振るって、何度もエジプタスを斬りつけ、攻め立てる。

カリスのカリスアローを用いた所謂「連続斬り」とでも表現すべき攻撃の威力も精度も、十数年前から衰えていない。

あっという間にエジプタスはズタズタにされ、弱り切ってしまった。

 

「イバラ〜……」

「これで終わりだ。」

 

カリスはカリスラウザーのバックル部分のカードリーダーを取り外してカリスアローに装着し、ベルトのカードホルダーからカテゴリー4「フロートドラゴンフライ」、カテゴリー5「ドリルシェル」、カテゴリー6「トルネードホーク」を抜き出し、三枚を連続で読み込ませ…「ラウズ」する

 

『float!drill!tornado!』

『spinning dance!』

 

三枚のカードの力が宙に浮かび上がり、カリスの体へと吸い込まれ、ハーティグラスが真紅に輝く。

そして凄まじい疾風を纏いながらカリスは宙に舞い上がると、ドリルのように超高速で回転しながら、エジプタスへと蹴り込んだ。

 

「エ、エバラ〜!!」

 

エジプタスは口から超高熱の火炎放射を吐き出し、攻撃する。

しかし、その炎はカリスの纏う竜巻によって切り裂かれてしまい、何の効果もなかった。

 

「ディヤアアアアアッ!!」

「イバラアアアアアァ………」

 

カリスのキックはそのままエジプタスへと直撃し、エジプタスはそのまま断末魔と共に爆炎となって消滅した。

これこそカリスの必殺技「スピニングダンス」である。

地面に着地したカリスは、爆炎の中からゆっくりと立ち上がり、天音の方を振り返る。

 

「始さん…!」

 

天音は勝利したカリスを讃えるように微笑み、カリスは自分の姿を見ても決して恐れず受け入れてくれた天音の優しさに心の底から喜んでいた。

 

…しかしそんな二人の時間を切り裂くように、次は先程助けてくれたグレイブがカリスの前へと立ちはだかる。

 

「流石だなカリス。」

「貴様…!」

「もっと詳しい戦闘データを取らせてもらうぞ…次は…俺が相手だ!」

 

グレイブはグレイブラウザーを構え、雄叫びと共にカリスへと襲い掛かる。

カリスもまた、カリスアローを手にその刃を防ぐ。

戦いの連鎖が…運命によって集った戦士達を引き寄せて行く…

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