岩谷君の所にいるのは私1人だけだった。
……いや、2人だけとか私達に死ねと申すか!?辺りもなんか盾の勇者はちょっと嫌だとかなんとか言ってるし。
「言いたいことがあるなら言えよ!!」
この現状に我慢ならないのか岩谷君が抗議し始めた。
「……だってさ、負け組の職業だろ?盾って」
「負け……組?」
「俺のやってたゲームがそうだったんだけど、防御力が高くて使い物になるのは最初の内だけで、高レベル者が全然いなくてジョブそのものが廃止寸前だ」
「……そもそも盾は防具であって武器じゃないしな」
「そうそう、勇者向きじゃないよなぁ?」
「そうなんですよ!僕がやってたゲームもそんな感じで……」
「あっ、やっぱり!?」
ふんふん、どうやら盾はゲームでは負け組の職業のようだ。彼等がどんなゲームをやってたか知らないけど、タンクの役目って結構大事だと思うんだよね。
それに……。
「なあ、君も尚文の所よりも俺の所へ来ない?」
おっと、なんか北村君がこっちに話しかけてきた。
「盾なんて負け組職業なんかよりも俺の槍で君を守ってあげるよ!」
(うわっ、チャラっ!)
やっぱ生理的に無理。
「……私は岩谷君と戦うことにするよ」
「えっ?なんで……」
「それに私は盾の勇者が負け組とは思わない」
「えっ……」
「確かに盾という職業は君達の言う通り負け組の職業なのかもしれない。私もタンク役はそこまで良いものとは思わないしね」
まぁ大事な役目だけど、敵に狙われ安いし……。
「ならなんで……?」
「それは普通の職業だったらの話。岩谷君の場合は『盾の勇者』としてこの地に呼ばれた。普通の盾では出来ない何かがあるんじゃないかと私は思うな」
私が言い終わると岩谷君は嬉しそうな表情を、北村君は悔しそうに、天木君と川澄君は呆気にとられたような顔をしていた。私そんなに変なこと言ったかな?
~そして~
とりあえず場が落ち着いたので、私は岩谷君に自己紹介するべく話しかけようとすると向こうから声をかけてきた。
「さっきはありがとう」
「気にしなくていいよ。私は思ったことをそのまま言っただけだしね」
「それでも……」
「そういえば自己紹介しなきゃね。私は野崎詩織だよ。よろしくね」
私が名乗ると岩谷君達勇者が驚いたような表情をしていた。はて、私普通に自己紹介しただけなんだけど……。
「な、名前的に君も日本人なのか!?」
(あっ、そうか。私異世界に飛ばされたんだった。もう2ヶ月弱もいて、すっかりここの住人になってるつもりだったからそのことをすっかり忘れてたよ……)
「そ、そうだね。そういう岩谷君達も……」
それからも岩谷君達勇者と話し込んだ。そして私と岩谷君達がそれぞれ違う日本から来たことがわかった。道理で日本どころか世界的にも有名な『野崎』の名字に誰も驚かないわけだ……。
~そして~
私と岩谷君のパーティーにマインとかいう女の人が加わり、3人で冒険に出ることになった。
「銀貨800枚か……」
「それが多いのか少ないのかわからないけど、他の勇者達より多くもらえたしいいんじゃないかな」
「そうですね。それだけあれば良い装備が買えますよ!」
「そうなのか?……よし、それじゃあこの金でスタートダッシュに差をつけてやるぜ!」
そう意気込んで武器屋に入った岩谷君に続いて私とマインさんも入っていった。
「いらっしゃい!お客さん、ウチは初めてかい」
(天木君は声だけでキリト君っぽいなとは思ったけど、この人は声どころか体格も顔付きもエギルさんだよ……)
ちなみにこの人はエルハルトさんというらしい。
「何をお探しで?」
「えっと、まずは武器を!」
「あいよ!得意な武器がないならまずは剣だな。素材によって値は様々だが、性能はお墨付きだぜ」
ほほう、確かに良い物ばかりだね……。
「アンちゃん、予算は?」
「えっと……」
「武器ばかりにお金をかける訳にもいかないし、大体銀貨250~300枚までの武器でいいんじゃない?」
「そうですね。他にも揃えないといけませんし……」
「……だな」
「よし、それだとこれだな」
エルハルトさんが出したのは◯ラクエで例えるなら銅の剣クラスの剣だった。
「おお、これで戦うのか……」
剣を持って感動している岩谷君に悲劇が起こった。
バチッ!!
「うわっ!」
「な、なんだ!?」
私以外の3人は一体何事だと驚いていたが、私は寧ろ納得していた。とはいえ確証がないので、岩谷君に訪ねてみる。
「もしかしてその盾の影響で他の武器を装備することが出来ないんじゃないかな?」
「なっ、嘘だろ!?」
岩谷君が嘆くとアイコンに伝説の盾以外の武器を装備することが出来ないと表示されていた。しかも盾の方は外れないし……。まるで呪われた武器みたいだね。
(でも岩谷君が装備している盾は他の3人の勇者よりも特別に感じる。盾がどう成長していくのかは岩谷君次第ってことかな?)
「困りましたね……」
「とりあえず防具を買った方がいいんじゃない?」
この後岩谷君は鎖帷子を買って装備した。
「次はえっと、野崎さんの……」
「詩織でいいよ。名字で呼ばれるの余り好きじゃないし」
だって元の世界ではあの姉や妹のオマケみたいに扱われたしさ。
「じゃあ俺のことも尚文でいいぞ。詩織」
「うん、ありがとう尚文」
「それで詩織の装備なんだけど……」
「う~ん……。私はいいや。残ったお金は貯蓄しておこうよ。これからのためにさ」
「でもそのスーツっぽい格好じゃ……」
なお私の外見はスーツを着た状態である。二宮隊のトリガーだね。
「多分私も尚文と同じだと思うしね」
「じゃあ詩織も勇者なのか……?」
「似て非なるって感じかな」
(神様によってこの世界に来たし、方法は違えど私も勇者並の働きを期待されてるかもしれないね)
私が尚文と話しているとマインさんが防具を持って此方に来た。
「勇者様、私これが欲しいんですけど……」
「それじゃあ……」
ん?マインさんは自分のお金がある筈なのになんで尚文に買わそうとするの?まぁゲームでは仲間の武器とかも勇者が買うはずだから尚文も特に問題はなかっただろうし。
でも私にはそれが違和感バリバリに感じたのだ。
「待った、これ以上の出費はやめておこう。そろそろ外でモンスターと戦いに行こうよ」
「あっ、ああ……」
ふぅ……。なんとか出費を抑えた。そう思ってマインさんの方を見ると微かに顔を歪ませていた。
……これは警戒が必要かな?
アンケートはフィーロが擬人化したあたりの話までのところまでやっとります。
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