ゲパードM1
走る、走る、走る。
人工心臓が早鐘を打つのを感じる。
今日という日に感謝を。
今日この日まで、頑張り続けたワタシへの神様からの飛びっきりの贈り物。
思い出す。
最初の起動、視界を埋め尽くす<<無数のerrorと警告ダイアログ>>
「お目覚めかい、あぁ無理に起きなくていい。」
白衣を着た痩せぎすの男性、主任と名乗った男からの説明。
I.O.P.の人形を専門に狙う盗賊が待機状態のワタシを運んでいた輸送車を強奪し、得意先の幹部にボディガード兼性処理人形に改造して売り捌こうとして、改造の過程でどうにも致命的な失敗をしたと。
そのせいでシステムが滅茶苦茶になり、あらゆる干渉を受け付けなくなったワタシを処分するかどうかで紛糾していた盗賊の拠点へ踏み込んだ主任の同志達によって回収されたのだという。
「我々は君をある程度修復する事は出来たが、完全には無理だった。」
主任が言うには、ワタシが外部からの制御を受け付けない状態にあるのをどうにかしようとしたそうだけど、治るどころか逆にワタシのシステムは主任達に抵抗して受信機能のほぼ全てと感情素子に味覚や痛覚のいくつかを自律行動用の思考リソースへと注ぎ込み、ワタシが独自の判断で行動できるように<<進化>>させたそうだ。
ただ感情素子からリソースを割いた影響で他人の気持ちを知識として理解する事はできても自身の感情素子はソレを<<感じる>>事は出来ないだろうと、それを伝えることも絶望的だと言われた。(痛覚の鈍化、味覚に関しても同様で、味を感じなくなっている)
「今の君は期せずして誰からも縛られない、言うなれば自由を得た訳だが。」
主任は その上で君に頼みたい事がある と言った。
ワタシはその<<頼み>>を聞き入れ、彼等の同志となった。
自由など、どの道ワタシの機体をメンテナンスできるのはI.O.P.しかいない時点でそんなモノあって無いも同然。
そうしてただ与えられる任務と頼み事をこなすだけの
それを、あの子が崩した。
「どうしよう、、、全然治らないよ。」
あの子を見た瞬間、何の前触れも無く内から溢れた
「あぁ、、、。」
足が止まる。
「やっと、、、、、。」
俯いていた顔を上げる。
視線の先、Super SASSと連絡にあった鹵獲機相手に大立ち回りを演じる鉄血のハイエンドモデルを遂に捉え。
「みつけた、、、。」
互いの視線が交差した。
長編は難しい、改めてそう思いました。