403 Forbidden   作:装甲歩兵

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難産でした!


鹵獲 侵食 帰投

ゲパードM1

 

「やっと会えた、、、。」

 

注射器をゲーガーに打ち込んだ後、ゲパードは地面に身を横たえた彼女の頬にそっと触れた。

これまでの戦闘で傷つき、泥や血に塗れた身体を優しく抱え上げる。

 

「心配しないで、もう大丈夫だから。」

 

身体を動かすことができず、困惑と恐怖に敵意を滲ませた瞳で睨み付けてくるゲーガーに静かに語りかけながら歩き出す。

 

「Super SASSから司令部へ、目標を(ターゲット)確保しました。」

 

ゲパードの側に立つSuper SASSは無線で作戦の成功を伝え、ブルートに支えられながら後に続く。

 

『了解、そのまま真っ直ぐ進んだ先に空き地がある、そこでヘリに乗って帰還してください。』

 

司令部からの指示に従って空き地を目指すゲパード一行、その周囲をゲーガーを追い込んでいた回収部隊の人形達が固める。

その後特にトラブルも無く目的地に辿り着き、上空で待機していたmurder barredが回収の為彼女達の側に着陸する。

 

「回収部隊の御嬢さん方はどうすんだ!」

 

ウィリアムは着陸して直ぐ操縦席の窓を開け、走り寄ってきた回収部隊の隊長であろう戦術人形とゲーガーの武装を担いでいるサブマシンガン装備の人形に喧しいローター音にかき消されないよう大声で呼びかけた。

 

「私達はこれから車両部隊と合流しますので問題ありませんわ!」

 

そんなやり取りをしている間にサブマシンガン装備の人形が鹵獲した武装を機体に乗せ、ゲパード達は素早くヘリに乗り込みブルートがウィリアムの肩を軽く叩いた。

 

「マスター!全員乗りましたよ!」

 

ブルートにそう言われるや回収部隊の戦術人形に離れる様合図を送り、十分離れたのを確認してヘリを離陸させた。

 

 

ゲーガー

 

(何故だ、、体が、くそ、、、っ!)

 

ゲーガーは混乱していた、ゲパードに注射器を打ち込まれてから全く身動きが取れなくなってしまったのだ。

どうにかしなければならないのに体に力は入らず、焦りと僅かな恐怖ばかりが募るばかり。

そうしてとうとうヘリに乗せられ、床に置かれた担架に寝かされたと思ったらゲパードによってすぐに上体を起こされ抱きすくめられた。

 

「招待状、ちゃんと見てくれたんだね。」

 

頬に手を添えられ、ゲパードと顔が向き合う。

上気した顔に僅かに潤んだ琥珀色の瞳がゲーガーを暫し見つめ、やがて彼女の耳元へ顔を近づけた。

 

「落ち着いたら、一緒にあの子に会いに行こう?」

 

そう耳元で囁かれたゲーガーは射殺さんばかりにゲパードを睨むが、再び向き合ったゲパードは彼女に薄く微笑むだけだった。

 

 

 

 

基地までまだかかるから と言ってゲパードはコードを取り出して自身の首の端子に接続し、もう一方をゲーガーの首の端子に取り付ける。

 

(あの子と私の出会い。)

 

ゲーガーの頭の中にゲパードの声が響く。

 

(全部、、、。)

 

ゲーガーの内から、ナニカが染み込んでくる。

 

(あ、、ぐぁ、、、。)

 

思考が漂白し、視界が黒く染まっていく。

 

(見せてあげる。)

 

ゲパードの声が聞こえてすぐ、ゲーガーの意識は闇に呑み込まれた。

 

 

 

Super SASS

 

ブルートに助けられながらヘリに乗り込み、ゲーガーの寝かされた担架の横にもう一つ用意された担架を勧められたが、謝辞して座席に座り込む。

 

「うぅ、、、。」

 

断られたブルートが目の前でショボくれる様に胸の内にチクリとした痛みを感じ、それを誤魔化す様にデザートイーグルと自身の半身(Super SASS)からマガジンを抜き取ってライフルのチャンバーを引いて装填された弾丸を取り出し、デザートイーグルに新しいマガジンを装填して安全装置を掛ける。

 

「、、、、。」

 

ライフル弾をマガジンに押し込んでマガジンポーチに仕舞い込み、項垂れたままのブルートを見つめ、頭を撫で付けた。

 

「うにゅ?」

 

初めは戸惑っていたブルートの表情が少しずつ緩むのを見て、撫で付けていた手を離して背もたれにもたれかかる。

Super SASSは自身の口元も、少し緩んでいる様な気がした。

 

 


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