今回も番外編次からは本編
女は兵舎の中で一人座っている ゆっくりと息を吸ったり吐いたりしているだけ
すぅはぁと息する音しか聞こえない暗い部屋
手には一つのメモリ そこには最愛の貴方へ と言葉が書いてあるだけ
女はメモリを差し込み、一つしかない録音されたデータを再生し始める
んん~…これでいいかな?…始まってるねよし
再生されたものからは男の声が聞こえる
やぁ~!ちょっと考えてね、伝えたいことがあってこうやって録音してるんだ、ほんとは動画にしたかったけど…ちょっと遅くてね…行かなくちゃいけなくてね
その声を聴いて女は少し笑みがこぼれた こいつはいつもこんな調子だな
うん…なんか…なんて言えばいいかわからないけど…正直にいうと俺はこれから命を落とすかもしれない、いやもうこれを再生してるときはもう俺はいないかもな…助けに行かなくちゃいけない彼と彼女をかぎつけられて奴らが迫ってるからね…ほんとどうしようもないよ人っていうのはさ。なんて俺がそう言えた立場でもないしな俺も最初はのせられたがあと後になってなんてことをしてしまったと感じてる、俺もどうしようもなく、くそったれだったわけさ、今になって後悔してる、だからこそ罪滅ぼしになるわけでもないが彼と彼女には色々教えた、その彼は今じゃ最初の頃とは大違いさ。これが子供の成長を喜ぶ親の気持ちってわけだな…
……こんなこと言うのもなんだけどお前に頼みがある彼と彼女を支えてやってくれ
ハハッ…ほんとに勝手な奴だなって怒られるな、これはケイスにも聞かせたら殴られてるな俺は……でもこうするしかなかった巻き込むわけにはいかなかったんだ、知ってしまえばもう戻れない地獄すら生ぬるく思えてしまうほどに危険だったんだ。
……二人にはまたお前たちが色々教えてやってくれ…兵器として人のエゴで生まれてしまった彼らだが生きる意味を戦う意味を世界を教えてやってくれ、そして何をすべきかを
だが彼だけの記憶は消しておく…なぁに俺との記憶を消すだけ自分のせいで俺が死んだらなんて言ったら彼は復讐を覚えてしまうからな…それぐらいかな
あぁもう時間がない、最後だ、こんな勝手に決めていなくなる俺を恨んでも構わない
恨まれて当然だからな…
…つらいな…もう会えないのは最後にお前に会いたかったがかなわないな…
…さようなら、いつまでも愛している レイラ
そこで再生は終わる
「………ほんとに馬鹿だよ、お前は…最後にそういうなんてさ…後悔ばっかりじゃないか…」
レイラは拳を握りしめながら悪態をつく 声の主に対して
「…私も愛してるよ…恨むわけないじゃないか…愛してるんだ…」
握りしめていた手にぽつぽつと涙が零れる嗚咽を零す
愛していた彼を思いながら。
ここに登場したキャラは一応このシリーズ一話のあとがきに簡潔にかいてあります、
音声主はまだ秘密です
ではまた会いましょう