仮面ライダージオウ~Crossover Stories~   作:壱肆陸

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壱肆陸です。時間はある気がするのに中々更新できず不甲斐ないばかりです。今年中には前半終わらせたいです。

前回、アナザー鎧武と遭遇した壮間と美沙羅。森に連れていかれてどうなっちゃうの~~!?ってとこから始まります。結構重要な設定も出てきたりします。

今回もタップorスライドで「ここすき」をよろしくお願いします!


森の王と魔法少女の運命

 夜が来る。ミカドは無意識のうちに警戒を纏っていた。

 

 技術の革新、電気を理解した科学によって、人類の生活から夜は消え去った。少なくとも平和が保たれるこの時代のこの国ではそうだ。ミカドが知る戦争の絶えない50年後の未来ですら、夜闇が怖いと思うことは滅多に無かった。

 

 だが、ミカドは漠然と感じる。

 DNAだけが記憶している恐怖を思い出すように、この街───見滝原の夜はどこか恐ろしい。

 

 

「なーにピリついてんのさ。腹減ったんならコンビニでも寄るかい? 奢ってよ」

 

 

 その理由の一つは、駄菓子を喰っているこの女───佐倉杏子が横を歩いているからなのだろう。ヘルヘイムを探すという目的が一致し、行動を共にして半日。かなりの広範囲を探したが森の欠片すら捉えることはできなかった。

 

 

「貴様は目を離せば何か食っているな。食事は人生の縮図と言っていた女がいたが、その理屈だと貴様の人生は酷く場当たりで破滅的だ」

 

「おっ、いいこと言うねソイツ。そう、飯は大事だよ。食える時に食っとかないとね」

 

「違いない。が、食い物で口を塞がれてはロクに話もできん。いい加減に教えろ、貴様ら魔法少女は何故ヘルヘイムを追っている」

 

 

 杏子はコーンスナックを一掴みして頬張り、音を立てて咀嚼し飲み込む。歯に挟まった食べカスを気にしながら、どうにも集中に欠けた様子で、それでも一応ミカドの言葉に杏子は答えた。

 

 

「……まぁ、今日一日でなんとなく、あの『森』がおっかないもんだってのは察したよ。さしずめ怪物共の住処とか、一度入ったらほぼ出られない迷宮とか、そんな感じ?」

 

「それでも尚、探すのか。俺だって鈍くはない。貴様がヘルヘイムに何かを求めているのは分かっている。だがあの場所に求める価値のある物など無い」

 

「そうかい? あんたさぁ、貧しい生活の中でも生きたがってる奴と、裕福な生活なのに絶望して死にたがってる奴、どっちが幸せだと思う?」

 

「なに?」

 

 

 杏子が捨てたスナック菓子の空袋は、ゴミ箱に入ることなく風に吹かれて街中に消えていく。ミカドはその問に答えない。この問答に意味があるとは思えないからだ。

 

 

「そう、価値観なんて時と場合なのさ。どれだけ高尚な理想を持ってたって、クソみたいな苦しみを抱えてたって、他人じゃそれを決して理解できないし寄り添えない。あんたも分かるだろ?」

 

「返答になってないな。貴様の身勝手の言い訳を聞きたがった覚えは無いぞ」

 

「森も同じってことさ。あんたにとっちゃ地獄でも、あたしら魔法少女にとってはそうじゃない……かもしれないって話」

 

 

 そこまで話すと、杏子は何かを感じ取って明後日の方向に振り替える。さっきまで物を食べ続けてたはずなのに、その表情はまるで飢えた獣のようだった。

 

 

「……魔女が出た。やっぱり見滝原は違うね、昨日の今日で2体なんてさ」

 

「魔女……だと?」

 

「近頃密かに『ウワサ』になってたんだ。その『森』が最初に確認されたのは見滝原、そんで……『森は魔法少女を運命から救済する』」

 

 

 『魔法少女の運命』。言葉の可愛らしさとは裏腹に、声から感じ取れる感情は暗く、重たい。その真実とヘルヘイムが関係するのであれば、一つの仮説が成り立つ。

 

 

(アナザーライダーが造ったヘルヘイムは、もはや俺の知るそれでは無い……ということか)

 

 

 その噂話の先に待つのは、楽園なのか、想像を凌駕する地獄か。

 一層不気味さが深まる夜の奥底に向かって、ミカドと杏子は躊躇なく駆け出した。

 

_________

 

 

「梓樹、もう平気か? 立てるか?」

 

「うん……ありがとう日寺くん。魔法で自分の傷なら治せるから」

 

 

 『高町の魔女』との戦闘中、結界内に発生した『クラック』からアナザー鎧武が出現。魔女を一撃で葬り去ったアナザー鎧武は、壮間と美沙羅をクラックの内側───この『森』へと封じこめてしまった。

 

 

「どこなんだろう、ここ……なんか怖い」

 

「だな、俺も混乱してる。でも……ごめん梓樹。さっきのアイツはアナザーライダーって言って、俺の敵なんだよ。俺のせいで梓樹までこんなことに……!」

 

「そっか、そうなんだ……ううん、大丈夫だよ。気にしないで!」

 

「本当に悪い……絶対にすぐ外に出してやる。明日はラストステージだし、こんなとこいつまでもいられるかよって話だしな」

 

 

 壮間はジクウドライバーとウォッチが手元にあることを確認し、その手を取って共に立ち上がった。

 

 

「ええと、でもどうしたら……」

 

「まずあのチャックみたいな裂け目を探そう。あそこに吸い込まれて来たんだから、そこから出れる可能性は高い。異空間、魔女の結界と同じだとすれば、内部にあのアナザーライダーがいるはず。直接叩くしかないかも」

 

「え、あっ……うん。すごいね日寺くん、こんな時も落ち着いてる」

 

「そう……? まぁ色々あったし、多少は慣れた……のかもしれない。その辺の話も落ち着いたら説明するよ」

 

 

 サバイバルに長けたミカドの受け売りも多いのだが、他者にそう評価されると壮間も自身の変化というものを実感する。直近で異世界のダンジョン攻略に挑んだ経験が大きいのだろう。

 

 目標は出口の発見、可能であれば森にいるかもしれないアナザー鎧武との接触。ミカドと連絡が取れればと思った壮間だったが、異空間なのか案の定電波は通じない。タイムマジーンも召喚できなかった。

 

 確実に無意味だろうが気休めで香奈にも連絡をしてみようとした瞬間、壮間は美沙羅の足元に落ちている空色の宝玉に気付いた。

 

 

「梓樹、それ落としてる」

 

「あっ……! ありがとう! これ『ソウルジェム』って言ってね、魔法を使うための大事なものなんだ。危なかったよ……」

 

「お、指輪に。その指輪そういうことだったんだな。でも……いや、気のせいか」

 

 

 その『ソウルジェム』の透き通るような色が、指輪として何度か見た時より僅かに濁って見える。その事実を、壮間は言葉にしなかった。

 

 

__________

 

 

「森ぃ!!?? ここどこぉーーーー!!」

 

 

 近未来都市から一転。それどころか夜のはずなのに、僅かに光さえ射している。この違和感の塊の景色は、過去や異世界に連れていかれた経験と一致する。

 

 壮間と美沙羅が森に飲み込まれたのとほぼ同時に、香奈もまた森に迷い込んでしまった。

 

 順応性こそ異常だが冷静な判断力には乏しい香奈は、謎の森と自身をここに誘導した白い影への興味を無視することが出来ず、

 

 結構歩いてしまった。

 そして出口を見失って今に至る。

 

 

「私さすがにバカ過ぎるよ……!」

 

 

 香奈の侵入直後にクラックは消失していたので結局脱出は不可能だったのだが、明日のステージが終われば大人への一本道を進むと自覚した直後にこの浅慮である。完全に自信を失くした。

 

 己を鑑みて少し冷静になった香奈は、事の重大さにようやく気付く。

 

 この森から出る手段が無い。一刻も早く帰るため、今できることと言えば歩き回って誰かを探すことくらいだが、このまま誰も見つからなければ香奈が向かう運命は『餓死』のみ。

 

 

「大ピンチじゃん! 持ち物は……スマホとイヤホンと、宿に置いてあったチョコ2つ……だけ! 私が我慢できるわけ無い! 明日には絶対無くなってる! 食べ物! 最優先は食べ物……!」

 

 

 場所は密林。ヘビやトカゲなどの小動物や虫は……非常時でも女子高生の感性では厳しいものがある。そうなると自然と視線が探すものは一つ。

 

 そう時間は経たずに見つかった。奇妙な蔦にぶら下がる赤紫色の果実。

 蓑のような皮を剥くと真珠の如く白く輝く果肉が現れた。毒々しい皮との対比で果肉は一層の輝きを放っている。

 

 

「なんだろう、ライチみたいだけど……でも、なんかすごく美味しそう……」

 

 

 夕食から左程時間は経っていないのに、一気に食指が動かされたのが分かった。それが見た目なのか、匂いなのか、理屈の分からない猛烈な食欲のまま香奈は果実を口に───

 

 

「食べちゃダメだ!」

 

「───っ! え、この声……!」

 

 

 意志を持って木の上から飛び降りた物体が、その手から果実をはたき落として香奈の足元に着地した。それは香奈にとってはさっき聞いたばかりの声。まさに香奈をこの森に誘い込んだキュゥべえが、香奈の前に現れた。

 

 果実はキュゥべえに踏み潰された。

 

 

「あーっ、何するの酷い! ていうか何!? 色々何事!? あなただよね私を呼んでたの! 用事あるなら逃げるな! あとそう、私をここから出してっ!」

 

「落ち着いてよ。何の断りもなく君を呼んだのは悪かったと思ってる。でも緊急時だったんだ、僕の話を聞いてくれないかい? 僕はキュゥべえ。美沙羅の友人で、君の味方だ」

 

「ミサの……ペット!? 喋るウサギが!?」

 

「ペットでは少し意味が異なるかな。僕は美沙羅以外とも魔法の契約を結んでいるわけだし、主従ではなく対等な関係性、パートナーと言った方が正しいかもしれないね」

 

「……???」

 

「要領を得ないみたいだね、無理もないよ。でも僕としても君としても、あまり時間が残されていない。僕と美沙羅が何者なのか、直接見て理解してほしい」

 

 

 キュゥべえの赤い目が、香奈の瞳と直線を結ぶ。その瞬間、混乱の中にある香奈の不可解を塗り潰すように、彼女の脳内に映像が流れ込んできた。

 

 総合すれば数時間にも及ぶ映像、その内容は美沙羅とキュゥべえの契約から、魔女の戦い、そして壮間と再会しこの森に迷い込むまでのダイジェスト。

 

 

「ミサが……魔法少女……!?」

 

 

 膨大な情報は驚くほど自然に香奈の記憶に収まった。

 しかし、香奈の表情を曇らせるのは発覚した美沙羅の境遇。傷つきながら魔女と戦う美沙羅の姿は痛々しく、ぎこちなく、壮間の後ろにいる時の頼もしさが感じられない。何より緊急を要するのは───

 

 

「ミサとソウマも、この森にいるんだね。だったら早く合流しないと! ソウマならきっとここから……!」

 

「それは不可能さ」

 

「なんで!? この森を操ってたのって、アナザーライダーだよ。ソウマはこれまで何人もアナザーライダーを倒してきた!」

 

「日寺壮間、彼の持つ力は僕も把握しているよ。でも、君がアナザーライダーと呼ぶあの存在を僕らは『魔女狩り』と呼称している。『魔女狩り』はこの5年間で数千にも及ぶ魔女を討伐し、幾多の魔法少女が彼に挑んでは敗れていった」

 

 

 そのキュゥべえの言葉に、香奈は一抹の違和感を覚えた。

 『魔女狩り』は魔女を狩るからそう呼ばれるのであって、魔法少女と目的が一致しているはず。どうして魔法少女が『魔女狩り』と戦う必要があるのか。

 

 だが、そんな疑念は些事であると言わんばかりに、再び香奈の脳内に映像が流れる。それはアナザー鎧武が魔女を討つ戦いぶりで、確かにアナザー鎧武の強さは驚異的だった。しかし、それだけならまだ香奈は壮間を信じることができたのだ。

 

 だが、信頼や、希望なんかを軽く捻じ伏せてしまう『力』が、そこにはあった。

 

 

「わかっただろう? もはや『魔女狩り』の脅威はかの『ワルプルギスの夜』にも匹敵する。彼一人で対処できるとは、僕には到底思えないな」

 

「こんなの……どうやって……! 勝てるわけない……!」

 

「そうだね。特に美沙羅は魔法の素質が少ないからね、『魔女狩り』に挑めば真っ先に死んでしまうだろう」

 

 

 迫る友人の危機、そんな中で何もできない自身を香奈は呪う。壮間も美沙羅も香奈を置いて先に行き、勝手に命を賭けてしまう。それが辛い。どんな形であれ一緒に戦うと、共に命を賭すと心に決めたはずなのに。あの『力』を前に出来ることが、何も見つからない。

 

 

「だからこそ、君を呼んだのさ」

 

「え……?」

 

 

 土を握りしめて声も出さずに嘆く香奈の心を見透かすように、作り物のような声の抑揚で、キュゥべえはその言葉で手を差し伸べた。

 

 

「君の魔法の素質は凄まじいものだ。片平香奈、君も僕と契約する気はないかい? 君の力があれば『魔女狩り』を倒すことも可能だ」

 

「じゃあ……私も───」

 

「そう。君も僕と契約して、魔法少女になってよ」

 

 

__________

 

 

 壮間と美沙羅が森の探索を始めて、1時間余りが経過しようとしていた。タカウォッチロイドを放ち、出口の捜索と索敵。そして異世界で学んだ方法で簡易的なマッピングを行う。

 

 

「まだ歩ける? キツいなら休んだ方がいいけど」

 

「大丈夫、私もこう見えて運動部のエースなんですから! それより日寺くんの方が大変だよ。私を引っ張って無理してるなら、私の事なんか気にせず……」

 

「馬鹿言うな! 平気だよ、このくらい。大したことない」

 

 

 ずんずんと奥に進む壮間に、美沙羅もなんとか付いていけているという様子だった。体力だけでなく、彼女は精神的にも疲労が溜まっているように見える。

 

 そうなると、食料の確保は急務───壮間はそこかしこに実っている果実を、一つ千切って手に持った。

 

 

「そっか……お腹空いたらそれ食べればいいんだ。これでちょっと安心だね」

 

「いや駄目だ。植物には詳しくないけど、毒でもあったら治療のしようがないだろ」

 

「あ……そう、だよね。ごめん。やっぱ凄いよ日寺くん、こんなときでも冷静だ。私は日寺くんみたいに、この状況を『大したことない』なんて言えない。私が魔女と戦ってきたみたいに、日寺くんも戦ってたんだよね?」

 

「うん、今年の春から。色々あったんだ。色々あり過ぎて……なにから話せばいいかわからないけど、まぁ梓樹たち魔法少女と一緒かもしれない」

 

 

 前は魔法少女の在り方に疑問を覚えた。願いを叶えた後、その代償を払うように戦いを宿命づけられるその在り方に。でも、壮間も梓樹も根本は同じ。叶えたい『何か』がそこにあったのだ。

 

 

「俺は王様になりたい」

 

「へ?」

 

「誰からも認められて、誰よりも優れた、歴史に名を残す王様になりたいんだ。だから戦う。あれから背負うものは結構増えたけど、その願いは今も同じだ」

 

 

 梓樹は豆鉄砲を喰らったように表情を硬直させていた。当然だ、香奈がおかしかっただけでこれが常人の反応なのだ。なんだか段々恥ずかしくなって壮間は顔を伏せてしまう。

 

 

「……すごいや。本気……なんだ」

 

「本気だよっ! あークソ、本気だけどそれとこれとは話が別だよ。全然慣れねぇ! そうだよ梓樹! 梓樹は魔法少女になるときに何を願ったんだ? もう叶ってるんだろうけど……」

 

「それは───言えない、かな」

 

「俺は言ったのに!?」

 

「わーごめんごめん! でも私の願いなんかちっぽけで、日寺くんのに比べちゃうと恥ずかしくて……それに、あんまり意味も無かったし……」

 

「梓樹……? ん、なんだこれ……」

 

 

 壮間は何か言い淀む美沙羅のことが気にかかるが、その視線はすぐに自身の手元に吸い込まれた。さっき捥ぎ取ったまま持っていた果実の柔らかな触感が、急に硬質化したのだ。その手に握られていたのは、スイカのような模様が刻まれた───

 

 

「ウォッチ……!?」

 

 

 異変は畳み掛ける。索敵に出ていたタカウォッチロイドからファイズフォンⅩに通達、前方から敵影の反応。間もなく壮間と美沙羅の視界にも現れたその正体は、腕に布を巻いた鹿のような出で立ちの、人型の怪人だった。

 

 

「梓樹避けろ!」

 

 

 鹿の怪人───『シカインベス』は、燃える炎のような角を突き出し、美沙羅に向かって一直線に突進を開始する。非常時に備えドライバーを装備していた壮間は、即座にウォッチを起動させて駆け出す。

 

 

「変身!」

 

《ライダータイム!》

 

 

 変身したジオウによってシカインベスの追突は受け止められ、カウンターで放たれた殴打でその身体は大きく左に転がる。その隙に美沙羅も指輪をソウルジェムに戻し、慌てて魔法少女の姿へと変身した。

 

 

「ギギィ……」

 

 

 シカインベスはすぐさま立ち上がる。ジオウと美沙羅を前に小刻みに震える身体は、抑えきれない獰猛さを表現しているかのようだった。しかし、それだけじゃない感覚を、壮間は感じ取っていた。

 

 この怪人も魔女と同じだ。うまく言語化はできないが、なんだか猛烈に『嫌な感じ』がする。

 

 

「私が……倒す! 日寺くんに近付くな!!」

 

 

 美沙羅の固有魔法『物質改造』で、森の樹は大きな杭となり、シカインベスへと放たれた。だが、シカインベスの脚力から出力される横移動は、その攻撃範囲を軽く凌駕している。

 

 

「避けられっ……!」

 

「左の樹を分厚い盾にして身を守れ!」

 

 

 シカインベスは魔女とは違って小さく、身軽で、しかも力や速度は雑兵のそれではない。判断を間違えたと頭が真っ白になる美沙羅に、彼女の能力を理解したジオウは指示を飛ばした。

 

 言われた通りに必要以上の厚さを持った盾で、美沙羅は防御を固めた。柔らかい樹の材質ではシカインベスの突進を弾くことはできないが、これだけの厚さがあれば止めることは可能。そしてジオウの読み通り、シカインベスは盾に角が突き刺さって身動きが取れなくなっている。

 

 

「盾を細かい矢に再変形して攻撃! できるか!」

 

「う、うん……やってみる!」

 

 

 盾が消えて体勢が崩れるシカインベスに、無数の木製矢が降り注いだ。威力は無いが不可避。大きく退き隙が生じたところにジオウのジカンギレードが振り下ろされ、その角は叩き折られた。

 

 これで敵の攻撃力は削がれ、一方的な攻めが展開できる。勝負ありだ。しかし、ジオウはトドメを刺すのを躊躇っていた。この正体不明の違和感が、ジオウの判断を鈍らせる。

 

 

「日寺くん危ない!」

 

 

 追い詰められたシカインベスが、強引に後先考えない攻撃を仕掛ける。余計な思考で反応が遅れたジオウを守るため、美沙羅は手元に召喚した銃で半狂乱のシカインベスの各部を撃ち抜いた。

 

 

「梓樹!」

 

「私に任せて!」

 

 

 さらに、折れたシカインベスの角を拾い、魔法で分解した銃と合体させて一回り大きい剣を構築する。そうして硬度と破壊力を獲得した剣を握って一気に駆け、美沙羅が放った横一閃がシカインベスの体を烈断。

 

 敗北したシカインベスは派手に爆散し、戦闘は終わった。

 

 

「……ごめん、助かった。偉そうにしててホント情けないな……ありがとう梓樹」

 

「うん……ううん。いいんだよ! 今は私たち2人だけ、日寺くんが助けてくれた分、私も力になるから!」

 

 

 美沙羅はこれまで、戦いは切迫したものだと思っていた。いつもギリギリで、恐ろしくて、数を重ねるほど身が竦んだ。

 

 でも、壮間との戦いは違った。壮間の的確な指示と、好きな人と肩を並べて戦うという事実で、無敵にでもなった気分だった。そして、役に立てたという実績が美沙羅を肯定してくれる。なにより、戦いの恐怖を忘れることができたのだ。

 

 

「ねぇ日寺くん。もし……もしよかったらなんだけど───」

 

「今のを難なく倒せるなら、まァ及第点ってとこか」

 

 

 美沙羅の言葉に被さったのは、ざらついた男の声だった。

 ジオウは変身したまま最大限の警戒を維持する。爆炎の向こう側から現れたのは薄汚れた白衣を羽織った男性の姿。身体を重たそうにした姿勢に、くたびれた表情と手入れされてない短い髭、確実に初対面だ。だがその雰囲気には、確かに既視感があった。

 

 その既視感の答え合わせは、即座に本人から成された。

 男が手に持っているのは、アナザーライダーを倒した時に排出されるものと全く同じ形状の、禍々しいウォッチ。

 

 

「お前、さっきのアナザーライダー……!」

 

「戦う気は無い。取り敢えずついてきてくれ。王を目指す者同士、有意義な話をしようや」

 

 

 男は火を付けないまま煙草を咥え、壮間にそう持ち掛ける。

 今までになかった状況だ。正直、壮間はどうすればいいのか分からなかった。信用できないのは当然としても、壮間だって問い質したいことは幾つもある。

 

 なにより彼は言った。明確な意志と冷静な口調で、『王を目指す者同士』と。確実に美沙羅を見滝原に帰すため、ここで壮間が取るべき行動は───

 

 

__________

 

 

「先生おかえりー!」

 

「ねぇねぇ先生! 宿題できたよ早く見て!」

 

「先生! サチとユータが喧嘩してるんです、なんとかしてください!」

 

「わかったわかった後で聞いてやる。今はホラ、お客様だ。失礼のないようにな」

 

 

 壮間は男の誘いに乗ることを決めた。そうやって連れて来られた先にあったのは、木造や土造の建物と、成人していないであろう子供たちばかりの集落だった。

 

 

『今日から俺が! “仮面ライダービルド”だ!!』

『私たちの日常を……皆の幸せを取り戻してください』

 

『悪の存在は、世界から一つ残らず消さなければいけない』

『仮面ライダーは正義の味方、この街を守ってくれるヒーローです』

 

『ヒビキ……あんたを絶対に許さない……!』

『“一生のお願い”だ、頼まれてくれないか』

 

『馬鹿しかいないこの世界で、最期に笑うのは私だ!』

『あの時間は、ただの夢だったんじゃないか……って』

『みんなとは一緒にいない方が良い、そう思ったんだ』

 

『我が堕天は必要な犠牲だ。全ては、我らの天界を救うために!』

『やっぱ一発悔い改めろや、ルシ兄さん』

 

 

 これまで戦ってきた奴らの信念はどれも独りよがりで、その結果数多の悲劇を生み出した。そんな彼らを理解はできても、否定する他に道は無かった。それが『アナザーライダー』なのだと、壮間は理解していた。

 

 この森に人間がいる可能性は考えていたが、これはいくらなんでも信じがたい光景だ。様子を見る限り彼彼女らはここに()()()()()()。そして、このアナザーライダーの男は『先生』と呼ばれ、子供たちに慕われている。

 

 

「どういうこと日寺くん……?」

 

「わかんない。何がどうなってるんだ」

 

「そんな驚くことはないだろ。いずれ王になるつもりなら、王候補の大名として『領土』くらい持ってて当然だ」

 

 

 状況を今一つ理解できないまま、ここの住民たちに挨拶されながら壮間と美沙羅は村の奥へと案内される。

 

 

「俺は麻沼。2013年の王候補、アナザー鎧武ってやつらしい」

 

 

 集落の中心、広い机だけがある簡素な応接室で、男───麻沼はそう名乗った。壮間たちの前に住人はもてなしの料理を運ぶ。何かの肉が入ったシチューに、そこらにあるものとは違う外の世界の果実。それに手を付けない程度には、壮間も美沙羅も冷静ではあった。

 

 

「まぁ食べんわな。あいつらの厚意なんだが、信用できないか?」

 

「当たり前だろ。あの子たちは……この村は、この森はなんなんだ!」

 

「ここは歴史が消えるより前にあった『ヘルヘイム』と呼ばれる森、そいつを俺の能力で再現したもんだよ。そこで社会に居場所が無いガキ共を集めてる。何をするにも土地とマンパワーはマストだからな」

 

 

 それだけ聞けば『奴隷』のようだが、ここに住む彼らの自然体で幸福そうな表情がそれを否であると物語る。そして、壮間たちに対して敵意は一切なく、操られているようにも見えない。

 

 何から何まで異常だった。そもそも、アナザーライダーと対話が通じた試しすらほとんど無いというのに、麻沼はここまで明確な目的を持ち、理性的な行動を取っている。そしてその行動は、見る限りでは『善』でしかない。

 

 

「これが俺の政策だ。社会的弱者の合理的な救済……王となり世界を変革する上じゃ、まぁ急を要すると言っていいからな。お前から見てどうだ、ジオウ」

 

「領地に、民、政策……本気で王になるつもりなのか……!?」

 

「まさか王になる気があるのが自分だけだとでも思ってたのか? お前が倒してきたのは計画性も無く暴れ回るだけのバカや、計画があっても本質が見えてないマヌケばかり。一緒にされても困る」

 

 

 麻沼は毒味とでも言わんばかりに料理を口に運び、料理を運んだ少女の頭を不愛想に撫でて労った。

 

 

「お前はこの王を選ぶ戦いのことを、どれだけ理解してる?」

 

 

 美沙羅は何の話か分からなくて当然だが、実のところそれは壮間もよく理解していない。普段ならここでウィルが現れる頃合いなのだが、森にいるせいか姿を見せない。自分なりの推測を話すしかなさそうだ。

 

 

「……各時代のアナザーライダーが戦い、残った1人が世界を統べる王になる。参加資格は、弱体化したオリジナルの仮面ライダーを殺し、歴史を消すことで手に入る」

 

「まずまずだな。条件を明確にしよう。一つ、参加資格は必ずしもライダーを殺す必要は無い。事実俺はこの手で鎧武を殺さずして資格を手に入れた。そしてもう一つ、勝利条件の話だ」

 

 

 麻沼は再び煙草を咥えると、机の上にアナザー鎧武のウォッチを置いた。位置は麻沼よりも壮間の方が近く、壮間の一呼吸で破壊できる間合いに敢えて置いたのだ。

 

 

「お前がどうなのかは知らんが、俺たちアナザーライダーは資格者を倒すとそいつのウォッチが手に入る。それを以て『討伐』と認められる」

 

「なんでそれを知ってるんだ。誰かを倒したのか?」

 

「普通はそのくらい選定者に聞く。まぁ、王選が始まるのは2019年で、それまでは各々力を蓄えろと説明されてるはずだ。お前ともう一人気が早い奴がいたせいで、既に資格の数は半分以下まで減ってるが、バカが減った分有難い。礼を言うよ」

 

 

 気が早い奴、というのは令央のことだろう。彼の場合は複数の時代で仮面ライダーを殺そうとしていた。それによって王の資格を強奪できるとすれば、麻沼の話と整合性が取れる。

 

 

「で、だ。つまり王になるには『全てのウォッチを集める』のが条件と読み取れるわけだが、別にそれを『奪う』必要は無いと俺は考えてる」

 

「それは……」

 

 

 それは壮間も感じていたことだ。全てのライダーの力を継承するという条件は、ウィルからも再三告げられている。にも拘わらず、壮間は『ミカドが継承したウォッチ』も問題なく使うことができ、逆もまた然り。

 

 つまり、ウォッチに所有権は存在しないか、『仲間』であれば所有権は共有されるということ。

 

 

「最終的に王になるのは一人だ、そこに依存は無い。だがジオウ。お前らに俺の存在を勘付かれた以上、既に7人を倒したお前らと今敵対するのは得策じゃないと判断した。要はまぁアレだ」

 

 

 見滝原は麻沼の縄張りなのだろう。そこに壮間が現れ、見つかるのも時間の問題だと考えた彼は、先手を打ったのだ。自身の根城に招き入れ、その道中で壮間たちの力量を測りながら、見定めていた。全てはこの手に繋げるために。

 

 

「俺と『同盟』を組まないか、って話だ」

 

「ッ……!」

 

 

 その考えが、壮間の思考にも浮上を始めた頃合いだった。

 アナザーライダーと同盟? ミカドがいれば鼻で笑いながら問答無用で殴りかかりそうな提案だ。だが、壮間はそうできなかった。

 

 ここで麻沼を疑わないほど壮間は清くない。ミカドを森に呼ばなかったことも恣意的かもしれない。しかし、同時に麻沼が嘘を述べているようにも思えない。その提案を断る理由が、無い。

 

 

「……少し、考えさせてくれ」

 

 

 

 答えを先延ばしにし、壮間たちは外に出た。

 外と言っても壮間にとってはまだ森の中。最優先は美沙羅を見滝原に帰すことであることは変わらず、ここで麻沼と手を組めばその目的は達成できるだろう。あらゆる現実が理由になってしまう感じが、逆に不安を駆り立てる。

 

 

「つぎはおねえちゃんオニだよ!」

 

「よーし、じゃあ30秒だね。どこ行っても魔法で見つけちゃうよ! いーち、にーぃ……」

 

「オレらの秘密基地行こうぜ! そしたら絶対見つかんないよ!」

 

「それズルだよ! ミサちゃんここ来たばっかりなんだよ!」

 

「打ち解けるの早いなぁ……」

 

 

 美沙羅はここに住む幼い子たちに随分と懐かれ、少し目を離した隙にかくれんぼまで始めていた。この集落にいるのは見たところ中学生か高校生くらいが年長のようで、雰囲気も大人びて背も高い美沙羅は子供たちにとっては珍しい存在なのだろう。

 

 その理屈だと壮間も然りなのだが、彼には人っ子一人寄り付かない。壮間の捻くれた部分を察知されたのだろうか。子供の観察眼というものは恐ろしい。

 

 

「楽しそうに笑ってるだろ。まぁここまで来るのに長かった。今だって心の中じゃ、アイツらは大人に付けられた傷を忘れちゃいないだろうよ」

 

「……ここにいる子たちが、外の世界で何されたかは聞かない。そういう子たちを救うのがお前の大義ってことか?」

 

「勘弁してくれ。ただ、この『森』にはそういう声がよく届くってだけの話さ。まぁ……この社会はいつだって、強者が弱者を虐げ、操り、慰み者にすることを是とし、弱く純粋な者に生きる資格は無いと言う。そんな社会に辟易してたんだ、変えてみたいと思うのは至極自然だろ」

 

 

 ここにいる子たちが、このまま純粋でいられる世界。心惹かれる理想だ。そして恐らく麻沼の頭には、その理想への順路が完璧に描かれている。王となって作りたい世界も、そのための手段も、何一つ明確なビジョンを持たない壮間とは大違いだ。

 

 

「いや、叶えたい理想は……俺にだってある」

 

「あー……あの魔法少女の娘のことか。俺も魔法少女とは歴史が消える前からの縁だ。ついでに森に連れてきちまったが……」

 

 

 子供たちと遊ぶ美沙羅の顔は、戦っている時よりもずっと自然で、幸せそうだった。ここにいる子供たちと同じで、美沙羅は香奈とは違う。濁流を遡ってでも進むような、そんな生命力は無いと断言できる。

 

 これが王の理想として小さいとは思わない。戦うべきではない彼女を戦いから解放したい。

 

 麻沼もまた壮間と同じ視点で美沙羅を観察し、その指に光るソウルジェムを見て、こう漏らした。

 

 

()()()()()

 

「……ッ、どういう意味だ!?」

 

 

 この憐憫の言葉は、壮間が感じているそれとは意味が違う。もっと具体性を帯びた何かであると壮間の直感が告げていた。

 

 麻沼の口から『魔法少女』の真実が告げられた。

 濁っていた『ソウルジェム』と、不自然に感じていた『願い』のシステム。そして彼女が決して戦いから逃げられないという残酷な『運命』が、点を繋いで像を結ぶ。疑う余地が何もない。

 

 

「ふざけんな……そんなことあるかよ。そんなのっ……! どうしようもない……! 何が魔法少女だ! なんで梓樹が……! クソっ!!」

 

「そうだな。有史以来続く最悪のシステムが魔法少女……5年前、俺もそれなりに向き合った不条理だ。だから俺は真っ先に対策を講じた。この『森』を使ってな」

 

 

 麻沼が告げたもう一つの事実が、壮間を揺らす。

 

 壮間に具体的な手段は思いつかない。王としての器量も知識も足りていない。だったらせめて決断だけはすべきじゃないのか。王として、美沙羅の友人として、選択すべき未来はこれ以外に無い。

 

 

「───同盟を受け入れる。『約束』は必ず守ってもらう」

 

「契約は守るさ。ただし同盟と言うからには俺の頼みも聞いてもらおう。まぁ『森』が大切なお前にとっても無視はできない話だ」

 

 

 ジオウとアナザー鎧武の同盟が締結。息つく暇も与えず、麻沼は同盟がまず最初に倒すべき敵を提示した。

 

 

「この『森』には心臓がある。それを潰されれば『森』は消えて無くなるワケだが……その心臓を狙う輩がこの森に潜んでやがる。そいつの始末を手伝って欲しい」

 

「わかった。どんなヤツを捕まえればいい」

 

「暁美ほむら……5年前に見滝原を滅ぼした『ワルプルギスの夜』、その生き残りの魔法少女だ」

 

 

_________

 

 

「魔法少女……ってことは、私にも……戦える力が?」

 

「その通りさ。君が魔法少女になった暁には、『魔女狩り』をも圧倒する規格外の力を得るだろう。なんだっていい、僕に願いを言ってくれればそれで契約は完了だ」

 

 

 キュゥべえの誘いは、香奈にとっては願っても無いことだ。

 強くなりたい。壮間と肩を並べて戦いたい。それができればどんなにいいかと諦めていた夢が、手を伸ばせば届く距離にまで来たのだ。

 

 美沙羅を助けるためにも、迷う要素が何一つ無かった。壮間には怒られるかもしれないが、そんなのお互い様だ。文句を言われたら言い返してやればいい。

 

 香奈がなるべきだったのは『魔法少女』だ。それが香奈の目の前に拓かれた未来。皆を救い、壮間を支える、そんな胸を張って誇れる未来に『願い』を───

 

 

「あなた、魔法少女?」

 

 

 自分の目がおかしいのかと思ったが、聞こえた音と擦り合わせてそうでないと分かった。

 

 何かが破裂したような音が何度か聞こえた。それと匂い。煙草に似ているが、もっと鼻を刺すような、嗅ぎ慣れない匂いがする。これはそう、火薬の匂いだ。

 

 穴だらけになったキュゥべえが香奈の前で倒れる。

 混乱という刹那の境目を越え、希望から恐怖へと転がり落ちる感覚。片手で銃を構えたまま、彼女───暁美ほむらがそこに立っていた。

 

 銃そのものよりも冷たく静かな殺意で満ちたその目が、何者でもない香奈へと向けられた。

 

 

__________

 

 

 杏子と、それを追うミカドの足が止まった。そこは大橋の上。大きい身振りで杏子は何かを探しているようだが、精々車が何台か通るくらいで妙なものは何もない。

 

 

「っかしーなぁ。もう倒されちまったのかよ。あーもったいねぇー! やっと魔女にありつけると思ったのにさー! やっぱコンビニ寄るんじゃなかったな」

 

「どういう事だ? 魔女とは敵だろう。戦闘狂い(バトルジャンキー)のクチか?」

 

「敵、ってのはちょっと違うね。魔女ってのは、あたしらにとってはコレと同じ」

 

 

 杏子は齧りかけの肉まんをミカドに投げ渡す。それが意味する事をミカドは察した。

 

 

「……なるほど、難儀だな。だが貴様の死活問題に付き合ってやるほど暇じゃない。勝手にやれ」

 

「ま、それもそーか。悪かったね。そもそも『森』さえ見つかれば、こんな風に魔女探しする必要も無くなるわけだし」

 

 

 潔く魔女を諦め、踵を返す杏子。彼女の言葉の真意を探りつつ、肉まんを平らげるミカド。その両者の眼が、闇夜に紛れた極僅かな『空間の亀裂』を同時に捉えた。

 

 ミカドがファイズフォンⅩで、杏子が出現させた槍で、その一点に衝撃を与える。小さな穴ほどの亀裂はそれによって歪み、綻び、一瞬だけ僅かに開いた。

 

 その瞬間を二人は見逃さない。橋から飛び出し、強引にこじ開けた『クラック』に滑り込む。そして着地した先は───ミカドが見紛うことの無い、『ヘルヘイムの森』。

 

 

「は、はははっ! やっぱアンタと組んで正解だったよ。日頃の行いがいいんだろうね、あたしと違って神様に好かれてんだ」

 

「俺は嫌いだがな、神も天使も」

 

 

 付近に『インベス』の気配を感じないのがかえって妙だった。ここはもうミカドの知るヘルヘイムとは違う、完全な未知であることは疑いようもない。警戒するミカドの横で、杏子は口角を吊り上げて笑い、旗のように槍を突き立てた。

 

 

「やっと見つけたぜ。この『森』は……あたしのもんだ」

 

 

 『森』を領土とするアナザー鎧武とジオウの連合軍。

 そこに現れる侵略者、暁美ほむら。そして佐倉杏子も参戦し、合戦は三つ巴へと姿を変えた。

 

 ───『森は魔法少女を運命から救済する』

 

 魔法少女の運命を破壊するのは誰なのか。救済の行方は、森の掌握───その天下へと委ねられた。

 

 




アナザー鎧武、麻沼の登場です。40歳くらいの社畜男をイメージしてください。

王選のルールに言及されましたが、本来は2019年まで潰し合わないというのが原則です。2019年から行われるのはアナザーライダー同士の国盗り合戦、正真正銘の戦国時代。今残っているアナザーライダーは、それを見据えた理性ある怪物ばかりです。

壮間たち3人は各陣営にバラけ、魔法少女の戦に巻き込まれる形に……こいつらいつも別行動してんな不仲か?


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