仮面ライダージオウ~Crossover Stories~   作:壱肆陸

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ジオウ新作書いてみました。
ザックリ解説します。

この作品は多重クロスです。レジェンドライダーがそれぞれ一作品とクロスします。19のクロス小説の時代を巡る物語…みたいなのです。

登場するライダーは全員オリキャラです。

クロスするアニメは、基本日常系です。バトル系でやりたかったんですが、どうも先駆者がおられたので。


EP01 オリジンタイム2019
日寺壮間 19歳


「この世界には、無数の物語がある」

 

 

 

真っ暗な空間に浮かび上がる、無数の画面。そこには様々な物語が映し出されている。

 

 

並び立つ赤青二色の戦士と、青龍の戦士。

 

砂漠を疾走する列車。

 

雨の中発進するスーパーマシン。

 

反転した世界で戦う戦士たち。

 

 

一方で、戦いのない世界も。

 

 

ステージで踊る、9人の少女。

 

欧風な街に佇む喫茶店。

 

学校に通う天使と悪魔。

 

ギターを持って歩く少女。

 

 

さらに奥には、五人のカラフルな戦士達、消防士のような戦士、金色の狼のような戦士、光り輝く巨人。激闘を繰り広げる金髪の男、ロボットに乗って少女と共に戦う少年、赤い本を持った少年、盤上に召喚されるモンスター

とても全てを数えきることはできない。

 

そして、その中心にいる本を持った青年は、再び口を開く。

 

 

「その物語は無限に枝分かれし、その中の命一つ一つにも、物語がある。

そして物語は時に交わり、一つとなり、新たな世界が創造される」

 

 

空間の数十枚の画面が男の手元に集まり、一枚の画面になる。

 

 

「それは神の導きか、それとも愚者の遊戯か───」

 

 

その画面に現れるのは、一人の戦士。

 

 

 

「見届けるとしましょう。全ての物語を統べる、王の誕生を」

 

 

 

 

 

______________

 

 

 

幼いころ、俺は物語が好きだった。

好きなのはカッコいい戦いでも、手に汗握る冒険でも、微笑ましい青春でもない。

 

信念を持ち、他人に流されず、優しく、強く、勇気があり、努力を惜しまず、強い心を持ち、過ちを人のせいにせず、他人の痛みが分かり、誰かのために怒り、誰かのために泣き、誰かを救い、欲に溺れず、自分や仲間に自信を持ち、他人を心から信じ、覚悟があり、壮絶な過去や出会いがあり、人に好かれ、本気で悩み、本気でぶつかり、本気で突き進み、何より自分を持っている。

 

そんな主人公に憧れた。

それが人間として進むべき道なのだと、錯覚した。

 

少なくとも、陰で人を叩き、欲に溺れ、他人を盾に正当化し、平気で人を傷つけ、他人への礼を忘れ、自分の事しか考えないような奴には、物語で愚か者として描かれるような奴にはならまいと誓った。

 

 

でも、出来上がったのはそれ以下のものだった。

 

 

憧れを真似ただけで、他人に影響され、本心から優しくしたことはなく、大して強くもなく、困難からは逃げ、そこそこの努力しかせず、弱小メンタルで、自分のせいだと口で言うだけで、他人の痛みなんて分からないから干渉しないだけで、自分のためにも怒れず、自分以外のことで泣くこともできない、救う素振りは態度だけ、すぐ欲に流され、そんな自分に自信はあるはずもなく、他人は全く信じられず、何の覚悟も持てず、過去に困難や挫折はなく、人に嫌われてはないがそこまで好かれてはおらず、悩みは適当にカタを付け、傷つきたくないから争わず、しんどくなったら足を止め、薄っぺらい自分が嫌いだがそれを変えようともしない。

 

 

主人公らしくあろうと表だけ取り繕っても、中身は空っぽ。

 

 

 

 

 

これはそんな俺が、主人公となる物語だ。

 

 

 

 

 

_____________________

 

 

2019年、5月1日。

 

 

「日寺ー!お前ゴールデンウィークは実家帰るんか?」

 

「どうせ帰っても誰もいないよ。前言っただろ?」

 

「そうだっけ?それにしても今日から新元号だってよ!令和…なんて、しっくりこねぇよな」

 

「そんなもんでしょ。じゃ、俺バスだから」

 

 

そう言って、俺は友人と別れ、バス乗り場に向かう。

俺は日寺(ひでら)壮間(そうま)。大学一年生だ。運動は得意ではないが頭はいい方で、まぁまぁ良い大学に受かった。

 

両親は世界中を転々としていて、ほとんど帰ってこない。まぁだが、普通に優しい両親だ。

 

俺は新しく買った教科書を見て、ため息をつく。正直なところ、勉強は好きではない。受験勉強では夜8時くらいまでは学校に残っていたが、家では睡眠欲やサボり癖が勝ってしまい、ほぼ勉強してない。だからか、合格した時もそこまでの達成感はなかった。

 

部活は3年間真面目にやった。だが、上達は人よりも遅く、特に活躍もなし。他の奴よりずっと練習は出てたはずなんだけど。まぁ、それ以上何かすることもなかったが…

 

 

「どうしてこうなっちゃったかなぁ……」

 

 

鞄に入った一冊の本を一瞥し、そう呟く。

 

俺は物語が嫌いだ。だから漫画やアニメもほとんど見ない。

幼いころは主人公に憧れた。人に優しくするようにしたし、ルールは守り、悪口を言うようなカッコ悪いと思われることはしなかった。あと多少キャラも立てた。

 

でも、世の中はそうはいかない。世界の危機なんて起こらないし、個性的な仲間もいない、都合のいいヒロインもいるはずがない。

 

だから物語は見ない。つまらない世界とのギャップを痛感してしまうから。

 

 

「さてと、今日の夕飯は何作ろうかな…」

 

 

もう少しでバス停というときに、曲がり角で一人の男が立っている。

夏も近いというのに厚手の変わった服を着ている。おまけにマフラー的のものを巻き、変な本を持っているときた。変質者だ。

 

 

「やぁ、ご機嫌いかがかな?」

 

 

なんか話しかけてきた。さっさと逃げよう。

目を合わせないようにし、素通りする俺。だが、男は構わず付いてくる。

 

 

「私は預言者ウィル、君の未来を導く者だ。君に一つ預言をしよう」

 

 

なんか聞いてもない自己紹介を始めた上に、意味が分からない。新手の詐欺だろうか。あなたは神を信じますか的な。

 

 

「連れないなぁ。でも、君は私の預言を聞くこととなる。何故なら、君は主人公になりたいからだ」

 

 

その言葉で、俺の足は止まる。馬鹿な事を言われているのは分かってる。

でも、思わずその男と目を合わせてしまった。

 

 

「やっと見てくれたね。そう、この日に君は主人公となるだろう!」

 

 

風が吹き、思わず目を閉じる。すると、その男の姿はいつの間にか消えていた。

 

 

「何だったんだよ、今の…」

 

 

少しして、バス停に到着した。

待っている間、嫌でもさっきの言葉が頭を回る。そして、少し期待してしまっているのも確かだ。

 

物語の導入にはありがちな展開。主人公はこの後謎の力を得る…みたいなのがセオリー。

 

まぁ、変質者の世迷言と言えばそれまでだ。とりあえず忘れるとしよう。

 

 

数分後、まだバスはこない。

遅いと思って時刻表を確認した

 

 

その時だった。

 

 

 

「△×〇#$!*%□Ψ!!?」

 

 

 

謎の奇声と共に、地面から化物が現れた。

カマキリみたいなのもいれば、牛みたいなのもいる。デカいカニの化物もいた。

 

世界の滅びが始まった。そう瞬間的に感じた。

 

 

「……!?なんだよコイツら!」

 

 

次は空が割れた。翼を持った蜂みたいな鳥や巨大な蛇みたいなのが現れ、街を破壊していく。

 

俺は荷物を捨て、一目散に逃げだした。

こういうのは戦いを挑んだら大体死ぬ。走るのは得意ではないが、一生懸命逃げた。

 

そんな時、男の言葉を思い出す。

主人公…もしかして、今のこの状況か?

この世界の危機を救うことができたら、間違いなくヒーローだ。それなら、そのための力が手に入るはず。

 

そういうことなら今は逃げるしかない。どこかでその力に出会うか、またあの男が現れるのだろう。きっと今の俺はどうかしている。でも、期待せざるを得ないんだ、つまらない人生を変える、このイベントに。

 

 

俺は逃げる。街が壊されていく。恐らくもう大勢の人が犠牲になっている。

なのに、力を手にする様子は全くない。

 

 

「どういうことだよ…このままじゃ本当に…」

 

 

すると、俺は住宅街に到着する。

そこは既に地獄。建物は壊れ、怪物達がのさばっている状況。

 

そんな中、声が聞こえた。

 

瓦礫の下に埋もれ、身動きが取れない小さな少年の、助けを求める声が。

 

 

「…マズい!今俺が……」

 

 

少年に駆け寄ろうとしたその時、その声に気づいたバッタの怪人が、少年の方に近づいていくのに気付く。

 

今行ったら、確実に殺される。行かなければ、少年が殺される。

 

 

 

俺の足は止まった。

 

 

 

オイ、どうすんだよ。このまま見殺しにするのか?俺が行ったところで何もできない。力をくれるなら今だろうが!じゃなきゃ誰か助けろよ!

 

分かってる。ここで迷わず助けに行くのが、主人公だ。

 

分かっていても、体が動かない。

 

 

結局、俺は主人公になんてなれない。分かっていた。

俺はそれっぽく器を飾り立てただけの空っぽ。人を助ける理由なんて、「主人公っぽいから」しかない、ただのクズだ。

 

ごめん、名前も知らない君。俺は君を助けることなんか…

 

 

 

その時、また声が聞こえた。

 

 

少年が叫んだ。そう、「助けて!」と。

誰でもない、俺に向けて。

 

 

 

俺の体はその瞬間、突発的に動いた。思考も恐怖も全て振り切って、少年の元へと駆け出した。

 

 

そして、背後のガラスから現れた鹿の怪人が、

 

 

 

俺の心臓を貫いた。

 

 

 

 

口から血が吐き出される。

 

あぁクソ、ここで死ぬのか。

薄っぺらい英雄願望に踊らされ、結局何もなせなかった。せめて、あの子を守って死ねたら、少しはカッコよかったのかな…

 

俺、何のために生きてたんだろう。

 

 

意識が薄れる。もう何も見えない。

 

 

ただ自分の血の生温さを感じる時間の中、薄っすらとこう聞こえた。

 

 

 

「おめでとう、君は資格を得た」

 

 

 

この人は…さっきの変質者……

 

 

 

「この世界は直に終わる。君がこれを変えたら、君こそヒーローだ」

 

 

 

分かってるよ。でも、俺はもう……

 

 

 

「誰かが言った。“自分の夢を叶えたいなら、自分自身で道を切り拓くがいい。俺たちがしてやれるのは、その露払い程度のことだけだ”

君が歴史を変え、夢を叶えるんだ。我が王よ」

 

 

 

王───

 

 

 

その言葉の意味も分からないまま、俺の意識は闇に呑まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________

 

 

 

 

 

「ッ…!!ハァ…!ハァ…!」

 

 

 

大量の汗を流し、荒い呼吸で俺は目を覚ました。

夢…だったのかな?まぁ、そう考えるのが妥当だ。それにしてもあんな夢を見るなんて、主人公願望もここまでくると笑えない……

 

って、なんだ?この違和感。

 

ていうか普通におかしい。この部屋、すっごい見覚えがある。だってここは、俺が引っ越す前の家。

 

 

「もしかして…」

 

 

まさかと思いつつ、俺は部屋の電波時計を見る。

時刻は朝7時。そして、表示された日付は5月1日。

 

 

ただし、“2018年”の。

 

 

 

「は…はぁぁぁぁぁぁ!!??」

 

 

 

どうやら俺は本当に死んだらしく、

ついでに、タイムスリップしたみたいです。

 

 

 

 

 

__________

 

 

次回予告

 

 

「王になれって…どうすればいいんだよ…」

 

「やぁ、また会ったね。我が王よ」

 

 

悩む壮間。そして再び現れる自称預言者。

 

 

「剣道…陸上選手…ベストマッチ…!」

 

「あの日誕生した王の代わりに、君が王になる。それが世界を救う方法だ」

 

 

課せられた使命。さらに、2018年にも怪物が現れる。

 

 

「今、俺の力で戦えるなら…」

 

「祝え!」

 

 

今ここに誕生する、その名も仮面ライダージオウ!

 

 

「俺が…やるしかない!」

 

 

次回、「リスタート2018」

 

 




プロローグでした。ウォズっぽい人も若干キャラ変えてます。まずは主人公(仮)の自分語り&超急展開にお付き合いいただき、ありがとうございました。
並列更新なので遅くなりそうですが、読んでくださるという方がいましたら、応援の程をよろしくお願いします。

本日の名言
「自分の夢を叶えたいなら、自分自身で道を切り拓くがいい。俺たちがしてやれるのは、その露払い程度のことだけだ」
「シュタインズ・ゲート」より。岡部倫太郎。
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