仮面ライダージオウ~Crossover Stories~   作:壱肆陸

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変身もクロスもしてないのにお気に入り登録してくださる方がおられて、正直ビックリしてます146です。
今回は変身&ちょっとだけレジェンド(?)の顔出しです。


EP02 リスタート2018
日寺壮間 18歳


俺は日寺壮間。19歳……いや、今は18歳だった。

ついこの間、いや厳密にいえば未来なんだけど……あぁもうややこしい!

 

俺は大学生活を送っていた矢先、突如世界に異変が起こり、そこかしこに怪物が出現。結果として、俺は鹿の怪物に不意打ちをされ、死んだ。

と思いきや、目が覚めると一年前に戻っていた。タイムリープという奴だと思う。もう訳が分からない。

 

一応は色々確認した。自分の部屋は確かに一年前だったし、3年生で1㎝伸びた身長も元に戻っていた。間違いなく2018年だが、一年間の夢を見ていたとも思えない。

 

最初の一日は取り合えず取り乱しまくった。落ち着くまでもう一日。次の日からは開き直り、通っていた高校に行くことにした。

 

それから1週間が経過し、今日も高校に登校。見慣れた高校時代の友人がいる中、俺は自分の席に着く。そして、ポケットからある物を取り出した。

 

 

「そういえば、コレは結局何だろう?」

 

 

黒い、手のひらサイズの装置のような物。上にはボタンがついているが、押しても反応はない。前面には機械的なモールドが施されている。目が覚めた時、ポケットの中に入っていたものだ。少なくとも、一年前にこんな物は持っていなかったはず…

 

 

「ソウマおはよー!」

 

「おはよ……って、なんだ香奈か」

 

 

元気な声で俺の目の前に現れたのは、俺の幼馴染である片平香奈。

幼稚園、小学校、高校と同じで、親同士も仲が良かった間柄。俺達自身も仲はいいと思う。

 

 

「なんだとは失礼ね。って、それより聞いてよ!この間のテスト赤点とっちゃってさー。ソウマ勉強できるでしょ?教えてよ」

 

「別にいいけど…なんで?」

 

「なんでって…もう大学受験じゃん!ソウマは普通に大学入れそうだからいいけど、私はそうはいかないの!」

 

「大丈夫だと思うけどな…」

 

「そうやって無責任な…面倒くさがらずに教えてよー!今度ラーメン奢るからさ。ね?お願い!」

 

 

香奈は勉強の方はダメダメだ。しかし、運動神経はなかなか高い。小学校低学年の頃からダンスを続けており、将来はダンサーを目指している。しかし、親御さんから大学に行くように言われており、香奈は大学でダンスを続けるために勉強中。俺の知る未来が正しいなら、その結果、体育大学に合格するはずだ。

 

ダンス部は割と遅い時期まで3年生が引退しない。おまけに香奈は毎日可能な限りダンスの練習をしている。よくそこから大学に合格できたものだ。

 

 

 

その後、一日分の授業を受け、入っていた部活の練習に参加し、6時半に下校。

今日も今日とて何もなかった。一体なぜ俺は1年前に飛ばされたのだろう?それと、気になるのはあの変質者の言葉…

 

 

『君が歴史を変え、夢を叶えるんだ。我が王よ』

 

 

あの変質者がこの一件に関与している可能性は大きい。また会えたら話は早いんだけど、そう簡単には出会えるはずも…

 

 

「やぁ、また会ったね。我が王よ」

 

 

気付くと、本を持った変質者が目の前に立っていた。

 

 

「うわっ!?出たな、変質者!」

 

「変質者とは心外だなぁ、我が王。私の名はウィル。君を導く預言者だ」

 

 

そうか、この男もタイムスリップしてきたのか。

色々と聞きたいことはあるが…まずは何を聞けばいいんだ?えーっと…

 

 

「あ、そうだ!これどういう状況なんだよ!気づいたら過去って…お前がやったの!?」

 

「その通り!君の時間を戻させてもらった。君を王にするためにね」

 

「王?」

 

 

そういえば、さっきから“我が王”とか言ってたのが気にはなってた。

すると、変質者…じゃないウィルは、手元の本を開く。

 

 

「この本によれば、これからおよそ一年後、ある王がこの世界を支配する。あの怪物はその影響だ。その歴史を変える方法はただ一つ。それは…」

 

「それは?」

 

「あの日誕生した王の代わりに、君が王になる。それが世界を救う方法だ。同時に、君が“主人公”になる方法でもある」

 

 

俺が、主人公に…

でも待て、冷静になろう。そもそも王ってなんだ?一国ならまだしも、世界の王とか聞いたことない。

 

 

「王になれって…どうすればいいんだよ。それに未来の王って誰よ?そもそも王ってどうやって決めるの??」

 

「まぁまぁ、落ち着くんだ我が王。

誰かが言った、“とにかく笑って未来オレンジ”とね」

 

「なにそれ?」

 

「考えていてもしょうがない、という意味さ。明日は休日だろう?二度目の人生ということで、少し羽目を外すのはどうかな。その後コーヒーでも飲んでリラックスすれば、きっと道は見えてくるはずだよ」

 

「そんな適当な…ってもういないし」

 

 

瞬きするうちに、ウィルはどこかに行ってしまった。

羽目を外す…ねぇ。遊びに行こうにもカラオケは苦手だし、大体誘って迷惑に思われたら心が死ぬ。

 

などと考えているうちに家に着いた。

 

夕飯は…もう面倒だしカップ麺でいいや。

すると、LINEに通知が入った。俺は基本ネット上で会話はしない。顔が見えないと、感情が見えなくて不安だからだ。万一、言葉で人を傷つけたら…と思うと何も言えない。

 

 

そんな悩みに割って入るように、また通知が届いた。

誰かは分かっている。俺にメッセージ送ってくるのは詐欺業者かコイツくらい。

 

 

[明日、ダンスのイベントあるから、ソウマも来てね!]

[どーせまた忙しいって来ないだろうけど!(`ω´) ]

 

 

「やっぱ香奈か…部活あるって言ったじゃん」

 

 

覚えている限りでは、一年前にも同様のイベントがあった。その時は部活があって行けなかったのだが…

 

気まぐれにネットで検索してみる。あった、「Girls Music Festival2018」これだ。参加者は女子高生限定で、ダンスや歌、バンドなどで構成されたイベント。うちのダンス部はこれに呼ばれたのか。

 

羽目を外す…か……行ってみよう。そういえば、香奈のステージは一度も見たことがなかった。

 

 

「少しは気も晴れるかもだし…ね」

 

 

 

______________

 

 

 

同時刻。壮間の通う学校にて。

校門前で待っていた女子生徒のもとに、別の女子生徒が駆け寄る。

 

 

「遅いよー!」

 

「ごめんごめん。ちょっと部活が…剣道の大会近いから…

陸上はまだだっけ?」

 

「まぁね。そもそも、うちの陸上部弱いしさ~」

 

 

そんなことをしゃべりながら、2人の女子生徒は歩いて帰る。

 

 

「そういえば、この話知ってる?“赤い人攫い”」

 

「知ってるよ~。1年前くらいから噂されてる都市伝説で、二人組を攫っていっちゃうんでしょ?噂によれば、もう56人もいなくなってるとか…でも、私の聞いた話だと、青だったような…」

 

 

日は既に落ち、街灯の光だけが帰路を照らす。

そして、2人の後ろから奇妙な足音が聞こえてきた。ゆっくりとこっちに近づいてくるような、重い足音。

 

気味が悪くなった彼女たちは、後ろを見ずに走り出す。

すると、後ろの足音は突然聞こえなくなる。

 

ホッとして、足を止める2人。息を整え、顔を上げると……

 

 

 

「剣道…陸上選手……」

 

 

 

2人の少女は叫び声を上げる間もなく、瞬く間に姿を消した。

 

街灯が照らすその姿は、赤と青が歪に入り混じった異形。

その胸には「BUILD」の文字が。

 

 

「ベストマ~ッチ」

 

 

ただ一言、その不気味な声が夜道に響くのだった。

 

 

 

 

 

______________

 

 

ー壮間sideー

 

 

翌日。

 

 

「人、多っ!」

 

 

そのイベント会場にやってきた俺。混むだろうから早めに来たんだけど…既に結構な人数が集まっている。

すると、そこに香奈たちダンス部も到着した。

 

 

「あれ?ソウマがいる!なんで!?」

 

「なんでって…呼んだのお前だろ。部活サボってきたの」

 

「へー、なんか以外。でも、嬉しいな」

 

 

そう言って笑う香奈。ちょっと可愛い。

まぁ、元から美少女といって差し支えない程度には可愛いが…幼馴染だしなんともなぁ。

 

香奈はそのまま会場の控室に向かっていった。

さて、イベント開始は昼からだし、まだ大分時間があるけど……

 

 

 

「人いっぱいいるね~緊張する~?」

 

「別に。あたしたちは…」

 

「“いつも通り”だろ?」

 

「それじゃあみんな!はりきって行くよ~!えいえい…」

 

「それはちょっと早いんじゃないかな…?」

 

 

 

そんな会話をしながら、女の子5人組がすれ違う。楽器を持ってたし、多分イベントの参加者だろう。女の子にしてはやたらイケメンなのが2人ほどいたような…

 

 

 

 

それから数時間後。

 

 

 

 

なんとか割といい場所を取れた。ステージは野外。司会の開会宣言も終わり、パフォーマンスが始まる。香奈の出番は最初だ。

 

紹介が入り、香奈たちダンス部がステージに上がる。なんか俺まで緊張してきた。

当の香奈は…すごい緊張してるな。大丈夫だろうか。

 

 

そんな中、ダンス部のメンバーは所定の位置に並びだした。

そして、音楽が始まり、香奈が体を動かし始める。

 

 

 

そこから先は、圧巻だった。

 

観客がその踊りに魅了され、盛り上がる中、俺は何も言葉が出てこない。

 

 

分かっていた。アイツは昔からそうだ。本気で優しく、正直。

目標に向けて一直線で、躊躇いがない。当然のように努力を続け、結果が出ないからと言って凹みもしない。ただ次を考えるような奴だった。人の評価を気にせず、ただ前を向くような奴だった。

 

それを何度も繰り替えし、こんな大きなイベントに呼ばれるまでに成長した。

 

やっと気づいた、俺はわざと香奈のステージを避けてた。

香奈は俺の憧れた主人公に近しい存在だ。身近だから、ずっと一緒だったから、認めたくはなかった。

こんな姿を見てしまうと、自分がひどく情けなく思えてしまう。

 

 

分かる、この感情は“嫉妬”だ。

 

 

俺が望んでいたものは全部、自分から取りに行かなければ手に入らないものだ。それを俺は、周りのせいにした。社会のせいにした。それで自分の愚かさを隠したつもりになっていた。

 

俺の中で心のメッキがはがれていく。

 

 

俺は主人公から、憧れから最も遠い存在になっていた。

 

 

 

ダンスが2番に差し掛かる。

やめろ。もう見たくない、俺は……

 

 

 

その時、突如として音楽が止んだ。

会場がパニックになる。司会が慌てて確認するために舞台裏に戻ろうとする。

 

俺はなんとなく上を向いた。

すると、そこにあったのは落下してくる何か。赤…いや、青い石?いや、人?

違う。あれは……

 

 

 

「ダンサー…ダンサー……ダレダ……!」

 

 

 

怪物だ。

 

右腕と左足は赤、左腕と右足は青で、赤い右足にはバネのようなものが装備されている。

胸は赤青の2カラーで、文字が書いてある。片目ずつ赤青と色が違うバイザーの奥には、しっかり目が見え、鋭い牙を生え揃えた口を露出させている。あれは間違いない。俺が死ぬ直前、世界を侵食した怪物に似ている。

 

何だよこれは…こんなの、1年前には起きなかったはず!?

 

 

音楽が止まった時とは比較にならないパニック状態。観客は蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。

 

ただ、怪物が降り立ったのはステージ上。つまり、香奈のいるステージ。

香奈たちは逃げようとするが、ダンス部の一年生の一人が、恐怖のあまり全く動けないでいる。

 

 

 

香奈はその子を守るように、怪物の前に立ちふさがった。

 

 

 

「オマエガ…ダンサー…」

 

 

ジリジリと怪物が近づいていく。

 

オイ、何してんだよ。早く逃げろよ!そんな人の事を気にしてる場合かよ!!

怪物は俺に気づいてない。助けに行くなら今しかない。だが…

 

 

あの時と同じだ。恐怖で足が動かない。また、俺は何もできない。

仕方ないんだ。俺が行ったところで、何も変わらない。助けることなんてできない。

 

俺は主人公でも何でもない。それなら……

 

 

俺の足が後ろに下がる。怪物は香奈に近づく。

 

 

その時、俺の脳裏にある記憶がよぎった。

それは幼少期の記憶、そして、これから少し未来の記憶。俺はずっと見てきた。アイツが雨の日も、雪の日も、毎日努力を重ねる姿を。

 

 

 

香奈が死ぬ?おかしいだろ。

 

努力したアイツが死んで、俺が生き残る?なんだよそれ。

 

アイツはこれからも努力して、夢を繋ぐんだ。だから…こんなとこで終わっていいはずがないんだ!!

 

 

 

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

 

近くのパイプ椅子を掴み、俺は何も考えずに走り出した。

そこには善意なんてなかった。もっとシンプルな感情が、俺を突き動かした。

 

パイプ椅子が怪物の頭部を強打。

 

だが、全く効いている様子はなく、怪物は造作もなく俺を片腕で弾き飛ばした。

 

 

「ソウマ!?」

 

 

香奈が俺を気にしているうちに、怪物が近づいてくる。

俺は立ち上がり、怪物に突っ込んでいく。

 

 

「早く…早く逃げて!!」

 

 

立ち上がれなかった一年生の子は、他の部員に連れられてなんとか逃げた。

でも、香奈は逃げだそうとしない。

 

 

「なんで…!」

 

「嫌だよ!ソウマを置いていけない!!」

 

「俺の事なんか気にすんな!お前は…報われなきゃいけないんだ!

お前は凄いやつなんだよ、努力のできない俺なんかより、何倍も!!本当に優しい人が救われて、努力した人が幸せになるべきだろ!?だから……香奈をここで死なせない!!」

 

 

抵抗虚しく、またしても俺は怪物に吹っ飛ばされた。

 

あぁ…俺何やってんだよ。やっぱり何もできず犬死にすんのか、カッコ悪い。

ていうか何だよコイツ、どんなパワーしてんだ、反則だ。

 

 

今、切に願う。

 

力が欲しい。主人公とかヒーローとか、そんなのはどうでもいい。

世界なんか守らなくたっていい。生きるべき人が生きる、その当然の権利を守れるだけの力が欲しい。

 

 

今、香奈を守れるだけの力が……!

 

 

 

「再び祝おう。おめでとう、我が王よ」

 

 

 

怪物が突如として吹き飛ばされる。

聞き覚えのある声が聞こえたかと思うと、そこに悠然と立つウィルの姿が。

 

それと同時に、俺のポケットの中が光り輝く。

ポケットに入っていたのは、あの謎の黒い装置。俺がソレを手に取ると、装置は変化し始めた。

 

正面に時計の針を思わせるようなエフェクトが現れ、一回転。すると、黒かった装置に白いカバーのようなものが現れ、模様が刻まれた。これは…時計か?文字盤にあたる場所には、「カメン」と「2018」の文字が。

 

 

「さぁ、選ぶといい。君は力を得る権利を手に入れた。

このまま何者にもなれず朽ちるか、王の覇道を進むか……」

 

 

ウィルは俺の前に跪き、別の装置を取り出した。

それは少し大きめの装置で、正面にはディスプレイがついており、これも時計に見える。

 

そして不思議なことに、俺はこの装置の使い方を知っている。

 

 

「王とかはよく分からない。でも…今、俺の力で戦えるなら…!」

 

 

俺はその装置───“ジクウドライバー”を手に取り、腰に装着。ベルトが展開し、自動的に腰に巻きつく。そして“ライドウォッチ”のカバーパーツを回転させ、上部のスイッチを押す。

 

 

《ジオウ!》

 

 

ライドウォッチを起動させ、ジクウドライバーの右側に装填。俺の背後にいくつも重なった時計が現れる。

 

さらに、ドライバーの上部スイッチを押し、ロックを解除。ドライバーが傾く。

俺は左腕を前に持ってきて、構えを取る。そして、心に浮かんだこの言葉を叫んだ!

 

 

 

「変身!!」

 

 

左腕でロックの外れたドライバーを一回転。その瞬間、背後の時計の針が止まり、10時10分を示すような位置に。時計のベルト部分のようなサークルが俺を中心に回転。背後の時計は「ライダー」の文字を刻む。

 

 

《ライダータイム!仮面ライダー!ジオウ!!》

 

 

俺の体にアーマーが現れる。胸から胴の中央を時計のベルトが走り、全体的に黒いボディ。時計の「ライダー」の文字は、俺の顔に刻まれた。

 

ドライバーに表示されるのは「ZI-O」、そして「2018」。

 

 

 

「祝え!全ライダーの力を受け継ぎ、時空を超え、過去と未来をしろ示す時の王者!

その名も仮面ライダージオウ!まさに生誕の瞬間である!!」

 

「ソウマが…変わった…?」

 

 

ウィルと香奈がなんか言ってるけど、俺の耳には入らない。

集中しているとかそんなのではない。普通にパニクっていた。

 

 

「うわぁぁぁぁ!!なんだこれぇぇぇぇ!?」

 

 

なんとなく勢いでやっちゃったけど、ナニコレぇぇぇぇ!!??え、どうなってんの!?変身って何!!?

 

 

「カメン…ライダー……!」

 

 

怪物がなんか言いながら襲い掛かってきた。パンチをモロに喰らう俺。

 

 

「痛ってぇ…ってあれ、痛いけど…そんなに痛くない」

 

 

襲ってくる怪物の攻撃を躱し、試しにキックで反撃してみる。

 

 

「ハァっ!!」

 

「グアァァ!!」

 

 

キックを受けた怪物は体を抑えて悶える。間違いなく効いている。これなら…イケる!

 

 

「この力があれば…そうだ。俺が…やるしかない!」

 

「ウォォォォォ!!」

 

 

叫びながら怪物が突っ込んでくる。俺はその攻撃を捌き、パンチ。間髪入れずにもう一撃。最後にキックをお見舞いする。

妙だ。運動は得意じゃなかったはずなのに、動き方が頭に流れこんでくる。そんで、その通りに体が動く!

 

 

 

「ベスト…マ~ッチ!」

 

 

怪物は2つの小さな物体を取り出し、宙に放り投げる。そして、それらは怪物の口の中に。

すると怪物は腰のバックル部分のレバーを回した。

 

 

《陸上選手…、剣道…、ベストマ~ッチ…》

 

 

構わず攻撃をすると、一瞬で怪物の姿が消えた。

と思ったら、今度は俺の体に鋭い痛みが走る。殴られた痛みじゃない。これは…

 

 

「なるほど。用心するんだ我が王よ。彼は取り込んだ人間の能力を使うことができるらしい」

 

 

見ると、怪物の手には光る竹刀が握られていた。さらに目を離した隙に、一瞬で接近してくる。

取り込んだ人間とかよくわかんないけど、なんか厄介なのはよく分かった。せめてこっちにも武器があれば…

 

そんな考えに呼応したように、ドライバーから「ケン」という文字が現れ、形になる。

それは文字通り「剣」。「ケン」と書いてある「剣」である。

 

 

《ケン!》

 

「名は体を表す…ってか?」

 

 

高速移動を続ける怪物。だが、こっちに攻撃するときは接近してくるはず。タイミングを見計らって……今だ!

 

 

「せやッ!!」

 

 

怪物の剣撃が俺に届く前に、この剣──ジカンギレードで、怪物を斬り付ける。怯んだ隙にもう一発。もう高速移動の余裕は与えない!

 

だが、そう簡単には事は運ばない。

 

 

《DJ…、ジャグリング…、ベストマ~ッチ》

 

 

怪物を中心に爆音が鳴り響く。言葉で形容できない音量だ。足元の床にヒビが入っていると言えば分かるだろうか。とても近くにはいられない。

 

俺はいったん距離を取る。だが、それを見計らっていたかのように、怪物は自分の周りにボールやボウリングのピンみたいなの、あとリング状のエネルギー弾を作り出し、俺に放った。当たったところから爆発する。そこまでじゃないが、地味に痛い。

 

 

「ジャグリングって、そんなのじゃない気が…」

 

 

そんなこと言ってる場合ではない。近距離しか攻撃手段がない俺にとって、万事休す。銃とかあればなぁ…でも、そうは上手くいくわけが…

 

 

《ジュウ!》

 

 

ジカンギレードが変形。ケンって書いてある部分が「ジュウ」に変わり、銃の形に。

 

 

「なんか上手く行きすぎな気もするけど…まぁいいや!」

 

 

トリガーを引き、とりあえず乱射。めちゃくちゃ銃弾が発射される。

まずは攻撃を全て撃ち落とし、銃弾は怪物に炸裂。音が止んだ。

 

今がチャンス。一気に決める方法も、頭に浮かんできた。

 

ドライバーにセットされたウォッチのスイッチを押し、ドライバーのロックを解除。

 

 

《フィニッシュタイム!》

 

 

変身した時と同じように、ドライバーを一回転。時計台の鐘のような音が鳴り、俺の足にエネルギーが満ちていく。

すると、怪物の周りを囲うように、ピンク色の「キック」の文字がいくつも現れ、怪物の退路を塞いだ。

 

俺が飛び上がると、「キック」の文字は重なっていく。一つとなった「キック」は怪物を迎撃し、隙を生み出し、キックの構えを取った俺の足裏に刻まれる。

 

 

《タイムブレーク!!》

 

 

顔の文字、そして足裏の文字が順に「ライダーキック」と輝く!

 

 

 

「おりゃぁぁぁぁぁ!!」

 

「グワァァァァァッ!!」

 

 

 

必殺キックは怪物の胸部に突き刺さり、吹っ飛ばす。

飛んで行った怪物は断末魔を上げ、爆散するのだった。

 

 

 

「おめでとう!君の勝利だ」

 

「俺が…倒したのか…?あの怪物を……」

 

 

 

そう、忘れもしないこの日。

 

この瞬間から、俺の王への道は始まった──!

 

 

 

 

 

 

__________

 

 

 

「かくして、仮面ライダージオウとなった我が王は、その覇道を進み始める。

しかし、彼の覇道の先は、まだ閉ざされたまま。その鍵は…失われた過去にある」

 

 

 

夕焼けの空の下、赤く染まった太陽を背中に、赤と青の戦士が佇む。

 

 

NEXT>>2017

 

 

 

__________

 

 

 

次回予告

 

 

「羽沢珈琲店…?」

 

「羽沢つぐみです。よろしければ、少し寄っていきませんか?」

 

 

怪物を倒した壮間。次に待っていたのは、始まりの邂逅。

 

 

「ミツケタ……!」

 

「お前、倒したはずじゃ!?」

 

 

何度も蘇る怪物。迫る悲劇。

 

 

「時を越え、全ての力を手にする。それこそが時の王者」

 

「この人もだ、なんでそうやって…」

 

 

歴史を変えるため、タイムスリップ再び!?

そして出会う、最初のレジェンド!

 

 

「俺は仮面ライダービルド。そこで見てな、未来人君」

 

 

 

次回、「アフターグロウ2018」

 

 

 

「さぁ、実験を始めようか」

 

 

 




はい、という訳です。とりあえずオリキャラだけの回は終わりで一安心。変身もできたし。
次回からはビルド編。クロス先はもうお分かりでしょう。

感想、評価などお待ちしております!


今回の名言
「とにかく笑って未来オレンジ」
「エレメントハンター」より、レン・カラス。
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