仮面ライダージオウ~Crossover Stories~ 作:壱肆陸
今回からアニメ作品とクロスしていきます!まずは第一弾、バンドリ×ビルド!
ほぼ同時に、補完計画も投稿しました。頑張ってやりたい放題したつもりなので、よろしければ!
Hey‐day前奏曲
この本によると普通の大学生、日寺壮間は命を落とし、一年前にタイムリープ。普通の高校生となり、王となる使命を得た。
仮面ライダージオウに変身した壮間は、音楽イベントに現れた怪物を撃破。王への一歩を踏み出した。
王になるための鍵は、失われた過去にある。
その過去に繋がるため、今回出会うのは幼馴染の5人組バンド。そして、彼女たちの日常を守った天才ライダー。
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仮面ライダージオウが怪物を倒した日の夜。
怪物が飛んで行った先は雑木林。その中に倒れているのは怪物ではなく、一人の男。
木の葉を踏む音と共に暗がりから現れたのは、別の男。いや、少年といった方がいいだろうか。倒れている男よりも、容姿が幼い。そして緑っぽい変わった服を着ている。
「あー、まさかジオウが生まれるなんてね…」
少年はポケットからチロルチョコを取り出し、包装紙をはがして口に放る。
包装紙をその辺に捨て、少年は倒れた男に近づき、男の体に手を突き刺した。
男は小さな呻き声を上げるが、特に血が出ている様子もない。
少年が手を引き抜くと、その手には黒いライドウォッチが握られていた。その正面にはあの怪物の顔が。
「気乗りしないけど…仕方ないか」
《ビルドォ……》
少年はウォッチを起動。不気味な音声が流れると、少年は再び男にウォッチを埋め込んだ。
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俺があの謎の怪物を倒し、一日が過ぎた。今日は日曜日で、部活もない。
ただ…
「まだいるよ…」
今は朝の9時。朝食も食べ、どこかに出かけたいところなのだが…
2階のカーテンを開けると、我が家の前に仁王立ちする香奈が。
かれこれ1時間はいる。理由は分かっている、昨日のあの件だろう。幼馴染が変身したんだから、色々問い詰めたい気持ちはわかる。
でもなぁ…俺もわかんないんだよ。あの力も、怪物の事も。せめてウィルとか言った預言者がいてくれれば…昨日はいつの間にか消えてたし。
という訳で、俺は香奈に捕まりたくない。アイツのことだから、知らないって言っても納得してくれないだろうし、なんなら今日一日付きまとわれる可能性がある。それだけは避けたい。
「こうなれば…アレしかない」
俺は財布、鍵、携帯を持ち、最低限の装備で靴を履く。ただし、裏口玄関で。
アイツも裏口の存在は知っているはず。だから、気付かれるのを前提として、迅速に逃げる!
「あ、ソウマ!」
「気付かれるの早!」
裏口から数歩出たところで、こっちに回ってきた香奈に見つかった。
「あ、UFO!」
「え!?どこ!!??」
なんとも古典的な方法に引っかかる香奈。幼馴染として悲しくなってくる。
まぁ、彼女がアホだったのは僥倖。今のうちに俺は自転車に乗り、そのまま立ちこぎで全力ダッシュ。
それを見た香奈もダッシュ。てゆーか、普通に追いつかれそうなんですけど!?
俺は普段あまり使わない筋肉を酷使し、全力以上でペダルをこぐ。それはもう一心不乱に。
気付けば、俺は知らないところに来ていた。
「ここは…うわ、こんなとこまで来てたのかよ」
スマホで場所を確認。これはまた遠くまで来たものだ。自転車で40分くらい飛ばしたからな…
帰ろうと思えば帰れるけど…今帰るとアイツに見つかる可能性がある。少しブラブラするのもいいかもしれない。
それにしても街並みが妙に見慣れない。ここに来たことは何度かあったはずなんだけど…確かに、周囲に興味がない方と言われるが、これほどとは…少し凹む。
さてと、何をするか。運動したら小腹が空いたな。何か食べるか。
辺りを見回して目についたのは、香ばしい匂いを放つパン屋。店名は「やまぶきベーカリー」とある。よし、ここにしよう。甘いパンが食べたい気分だ。昼過ぎまで時間をつぶせば流石に香奈も諦めるだろうし、それまで色々回ってみるとしよう。
「いらっしゃいませ!」
店に足を踏み入れると、ポニーテールの可愛い女の子が迎え入れてくれた。バイトだろうか?かなり若い。
「えーと…そうだ、チョココロネを」
「すいません…チョココロネは完売してて…」
見ると、本当にチョココロネのコーナーだけ空になっている。まだ昼前だよ?そんなに旨いのかここのチョココロネ…
「ダメですよ~。ここのチョココロネは、常連のモカちゃんでも中々買えないんですから~。なんてったって…魔物がいますからね~」
「ま…魔物!?」
「そうですよ~。チョココロネが大好きな、可愛い魔物ちゃんです~」
なんか後ろから知らない人に声かけられた。またも美少女。あれ?この子どこかで…
「やっほー。さーや」
「ああ、モカ。いらっしゃい。今日は一人?」
「うん、これから皆で、つぐの家に行くんだ~」
随分と親しげに話す2人。学校の同級生か何かだろうか。
あ、そうだ。聞き入ってないで、俺も何買うか決めないと。
「へぇ、そうなんだ。今日もブリオッシュ?さっき焼きあがったところだよ」
「もちろんブリオッシュも欲しいけど…今日はモカちゃん、もっと食べたい気分なんだよね~」
すると、モカと呼ばれていた少女は慣れた手つきで、お盆を取り、パンを取りながら店内をスピーディーに一周。あっという間にお盆の上には山積みのパンが。
多すぎない!?あ、でも集まるって言ってたし、皆で食べるなら…
「今日はまた…久しぶりに多いね。一人で食べるの?」
「ヨユーですよ~」
一人で食べるっぽい、マジか。あの細い体のどこに入るスペースがあるのだろうか。
袋いっぱいのパンを抱え、彼女は出て行った。
何だったんだ…そうだ、俺も買わないと。
俺はクリームパンを一つ買い、店を出た。時間はまだあるし、ゆっくりして…
「いた!ソウマ!!」
嘘でしょ。
俺がパンを食べようとしたとき、遠くからハッキリ香奈の声が聞こえた。
恐る恐る振り返ると、いた。香奈だ。この距離を走ってきたとか、頭悪いにもほどがある!
俺は慌てて逃げる。それはもうダッシュで。だが、しばらくして気付いた。俺、自転車あったじゃん!
気付いたころにはもう遅し。しかもこの距離を走った後だというのに、香奈のスピードは俺の数段早い。何なの!?さっきの子といい、美少女は何かしら壊れてなきゃダメなの!?
「ヤバい、追いつかれる!」
そういえば、香奈との鬼ごっこは勝ったことなかった。その前に、勝負になったこともなかった。こんなことになるんだったら、普段から走っておけば…あれ?そういえば、俺なんで逃げて…
「うわっ!」
「きゃっ!」
一心不乱に逃げる俺は曲がり角に気付かず、そこから現れた女の子に勢いよくぶつかってしまった。
「あ、すいません!」
「いえ、こちらこそ…お怪我は?」
俺とぶつかり倒れたのは、茶髪の地味目な女の子。あれ?この子もどこかで…
あ、そうだ!昨日のイベントですれ違ったバンドの子たちだ!
「捕まえた!」
「へぶッ!」
ぶつかったこともお構いなし。香奈は女の子を起こそうとする俺に容赦なくタックル!
俺が手に持っていたクリームパンはその勢いで手から離れ、放物線を描いて近くの池にポチャリ。
「あ…俺のパンが…」
「やっと追いついた!なんで逃げるのよ!」
「なんでって…ていうか、今はそれどころじゃ…」
「あれ、もしかして…香奈さん?」
俺達のやり取りを見て、倒れていた女の子が起き上がり、そう言った。
それに対して香奈も目を見開く。
「つぐちゃん!久しぶり!元気にしてた?」
「お久しぶりです。みんな元気にしてますよ」
「何、知り合い?」
目の前で知らない少女と香奈が、手を取り合って和気あいあいと話している。少なくとも俺はこんな子知らない。それじゃあ…
「あ、ソウマは知らないよね。この子は…」
「羽沢つぐみです。香奈さんの中学校の後輩です」
やっぱりだ。俺と香奈は中学校だけ違う学校に通っている。なんか香奈の父さんの方針で、中学は女子校に通っていた。
「あ、そうだ。これからみんなで集まるんですけど…
よろしければ、少し寄っていきませんか?」
俺が香奈から逃げようとする中、羽沢さんがそんなことを言い出した。
寄るって…女子の家に!?俺も!?
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「羽沢珈琲店…?」
「私の実家です」
「つぐちゃんちのコーヒーおいしいんだよ!」
あ、寄るってそういう。まぁよかった、女子の家とかだったら、まともに息できる自信がないし。
店の外観は割と新しいけど、チャラチャラいている感じじゃない。なんというか…見てて落ち着く。それにしても、コーヒーか…
『その後コーヒーでも飲んでリラックスすれば、道は見えてくるはずだよ』
ふと、昨日のウィルの言葉を思い出す。いや…まさかな。
そんなことを思いながらも、羽沢さんに連れられ、俺達は入口の扉をくぐる。
「つぐ、おかえり。って片平さん?なんで?」
「本当だ。ご無沙汰してます、香奈さん!」
「蘭ちゃん、巴ちゃん!久しぶりー!」
中に入るとなんかイケメン女子が2人いた。片方は赤メッシュの子、昨日はギターを持ってた気がする。もう片方は赤髪のロングヘアーの子、この人も年下なんだろうか。とてもじゃないけど、そうは見えない。
「香奈ちゃん!遊びに来たの?」
「ひまりちゃん!相変わらず可愛いね~。体重減った?」
「もう!その話はしないでよ~!」
なんか、知り合い同士の全く分からない会話が始まってしまった。
店内にいたもう一人の女の子は、ピンクの髪を左右で結んだ子。またも年下とは思えない。何故って?スタイルがあり得んほど良すぎる。
俺が全く理解できない会話が続く中、またも扉が開く。
「お~、みんな来てる」
「モカ、遅い」
「そう怒んないでよ蘭~。あれ?香奈さんだ。あとさっきの人」
今度入ってきたのは、なんとさっきパン屋であった少女。モカとかいったはず。確かこの子も昨日すれ違っていたような…ていうか、さっきの袋詰めのパンが既に結構減っている。
どうやらこれで全員揃ったらしく、とりあえず座ることにした。
それにしてもアレだ。この知り合い空間&美少女空間、俺の疎外感が凄い。気まずい。早く帰りたい。
「じゃあ紹介するね。この人は日寺壮間」
「ど…どうも」
「話は香奈さんから聞いてます。アタシは宇田川巴です。よろしくお願いします」
「青葉モカで~す。ちゃんとパン買えました~?」
「美竹蘭…です。どうぞよろしく」
「羽沢つぐみです…って、もう言いましたね」
「私、上原ひまりって言います!それで!2人は付き合ってるんですか!?」
「ちょ…ひまりちゃん!そういうのじゃないって!」
あー。人名と顔とコミュ力の欠如で頭が飽和してる。逆にこの子たちはなんなんだろう。コミュ力がカンストしてるんじゃないか?
頭が半ショート状態になりながらも、注文を聞いてきた羽沢さんにチーズケーキを頼んだ。どっかの誰かのせいでパンが魚のエサになったからな。
その後、色々と話は続く。俺は聞いてるだけだけど。
どうやら彼女たちは羽丘女子学園の2年生。俺達の1コ下らしい。あと5人は幼馴染だとか。
「それにしても…Afterglowがここまで大きくなるなんてねー。昨日のイベント来てたなんて知らなかったよ!」
「Afterglow?」
「つぐちゃんたち5人で組んだガールズバンドだよ。中学の文化祭でライブ見せてもらったんだけど、それが凄くて!」
ガールズバンド…そんなのあったんだ。俺がそんな風に関心していると、赤髪の…宇田川さん?が恥ずかしそうに頬をかく。
「まぁ…今思うと少し恥ずかしいですけどね。前にその時の演奏聞いたんですけど、やっぱりまだ未熟だったっていうか…」
「知らない人がギター弾いてたもんね~」
「だから、それモカだって」
「つぐなんて泣きながら謝ってたし、蘭も顔真っ赤にして…」
「ちょ…ひまり!」
わいわいとガールズトークは続く。それにしても、何かいいな。この感じ。なんというか…会話だけでも彼女たちの積み上げてきた時間が感じられる。
俺はチラッと香奈を見る。コイツとも付き合い長いけど…他人から見るとこんな感じなんだろうか。
楽しい雰囲気が続く。俺は全くと言っていい程無言だが、居心地は悪くない。
「そういえば、
香奈が放ったこの一言。
その言葉で、空気は時が止まったように凍り付いた。それぞれ目を背け、口を閉ざす。特に赤メッシュの子…美竹さんは強く拳を握り固めているのが分かる。
「え…?天介さん、どうかしたの?」
「あ、いや…実は……」
凍った空気の中、宇田川さんが口を開いた。
「天さんは…1年前から行方不明なんです」
皆が辛そうな表情を浮かべている。
俺は香奈に「天介さんって?」と小声で聞いた。
「羽沢天介さん。つぐちゃんのお兄さんで、昔はよくここを手伝ったりしてたんだけど…そんな……」
そうか、そんなことが…少し、胸が苦しくなる。香奈はまるで自分のことのように悲しそうだ。沈黙が漂う中、美竹さんだけが強く言い放った。
「天兄は帰ってくる。あたしたちを置いて行ったりなんて、絶対しない!」
「そうそう。皆、そんな真剣に考えなくていいから」
そう言ったのは、しばらく聞かなかった声。
俺が注文したチーズケーキと人数分のコーヒーを持った、羽沢さんだ。
「お待たせしました、チーズケーキとコーヒーです。
皆、考えすぎだよ。兄さんが帰ってこない時なんて何回もあったでしょ」
「確かに~、なんか山に石を探しに行ったり、変なもの作って何日も帰らないとかね~」
「そう。だから、またひょっこり帰ってくるよ」
そう言って変わらない様子でコーヒーを並べていく羽沢さん。
身内がいなくなって、一番応えているはずなのに…
その後もしばらく話は続いた。
当時、別の中学にいた怖そうな人が今は風紀委員やってるとか、宇田川さんの妹が高校に入学したとか。
でも、あの話の後から、会話にどこかぎこちなさを感じる。
一時間ほど後、自然に解散。
結局、俺は全くしゃべらないまま香奈と帰路につくのだった。
「まさか天介さんが…つぐちゃんも大丈夫かな…?」
「確かに驚いたけど…ああ言ってたし」
「ううん。つぐちゃん、いつもなら他人の事でももっと心配するんだ。それなのに…なんか無理してる感じがする」
「そうか…」
香奈も凄い心配そうだ。
その反面、俺はそこまで感情的にはなれない。顔も見たことがないうえに、今日会った人たちのことだ。人としてどうかは別として…俺は心配しているフリしかできない。そういう人間なんだ。
「ソウマ、なんか悩んでる?」
「いや、別に…」
本当に香奈は人をよく見ている。こういうところなんだろうな。
そんなことを思っていると、香奈は思い出したように言った。
「そうだ!ソウマ、なんで今日は逃げてたの!?」
「あ、そうだった…もう逃げられそうにはないし…
俺は何も知らないからな!変身とか、あの怪物とか!!」
「分かってるよ。私はただ…」
「あぁ、そうだよな。信じてもらえないってわかってたから、こうやって…
って、え?信じてくれるの?」
思わぬ返事に拍子抜けする俺。何を言ってるんだと言わんばかりの顔で、香奈は俺を見る。
「当たり前じゃん。ソウマは隠し事すると顔に出るからね、何も知らないってのは分かってた」
「じゃあ…なんで追いかけてきたんだよ」
「お礼がしたかったの。ホラ、私のこと助けてくれたし…」
ちょっと恥ずかしそうに香奈は言う。
なんだ、そういうことか…無駄に疲れてしまった。
「お礼…ねぇ。別にいいんだけど」
「そうゆう訳にはいかないの!じゃあ、夜ご飯は私が奢るから!何食べたい?ラーメン?ステーキ?そうだ、この辺に肉屋さんがあるんだけど、そこのコロッケがおいしくて…」
「それ香奈が食べたいだけだろ!」
さっき来たパン屋に到着し、俺は置いてた自転車の鍵を外す。
香奈は走ってきたわけだし…仕方ない、引いて帰ると…
ドォォォン!!
その時、何かが壊れる大きな音がした。
嫌な予感がする。そうだ、そもそも気になっていた。あの預言者が言っていた「王への覇道」。それは、あの怪物騒動だけで終わりじゃないってこと…
「まさか……!」
俺は香奈を置いていくように、全力で音のした方向に急ぐ。
その方向はさっき通った道。そう、つまり…
自転車を乗り捨て、全速力で走る。そして、見えた。
そこは羽沢珈琲店。店は壁と窓が崩れ、さっきまで話していた彼女たちが倒れている。
それだけではない。
そこにいたのは、紛れもない怪物。
「お前…倒したはずじゃ!?」
空が曇り、雨が降り出す。
雨粒を受ける歪なボディ、歯車のような目と不気味な牙。
昨日のイベントで倒したはずの、あの怪物──
「ミツケタ……!」
主人公がしゃべらない。いや、普通は美少女に囲まれたら喋れないでしょう。
最初っから何やら大変なことになってしまいましたが…アフロ好きの方、申し訳ございません。
ほぼ同時更新の補完計画も是非。
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