仮面ライダージオウ~Crossover Stories~ 作:壱肆陸
最近気づいたんですよ。皆さんの作品読んでると、割と一話が短いんですよね。それで思ったわけです。
あれ?一話で10000やら20000やら書く必要ないんじゃないか?と。
というわけで今回5000字もないです。サクッとどうぞ。
あ、あと活動報告の方で名言募集とレジェンドライダーのクロス先募集かけてるんで、その辺もよろしくお願いします!
継承のプロローグ
「この本によれば、普通の大学生、日寺壮間。彼は1年前にタイムリープし、王となる使命を得た。怪物によってもたらされたバッドエンドを変えるため、2017年へと赴いた我が王。そこで彼は仮面ライダービルド、羽沢天介と出会う。2017年での出会いと戦いで答えを見つけた我が王は、仮面ライダービルドの力を……
おっと、先まで読みすぎてしまいました」
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「ここで終わらせる…お前を消して、未来を変えて見せる!」
「ちょ…何よ急に!うぁっと!」
ジカンギレードでビルドに斬りかかるジオウ。ビルドは回避するも、攻撃は続く。
ジオウ──日寺壮間は、2018年に現れた怪物が、羽沢天介だと解釈。未然にあの惨劇を防ぐため、仮面ライダービルドを倒そうとしていた。
「俺が倒すんだ…俺が…やるしかない!」
「落ち着けって!まずは話を…」
ビルドは回避を続けるが、ジオウの動きの方が早い、段々と回避が厳しくなり、ついに重い一撃を喰らってしまった。
「なんて、言ってる場合じゃないか…!」
叫びながら攻撃を続けるジオウ。話を聞いてくれる感じではなさそうだと判断したビルドは、反撃を開始した。
振りの大きい攻撃を跳躍で避け、死角に潜り込んでキック。
だが、ジオウがそこまでダメージを受けている様子はない。手加減したとはいえ、予想外の耐久性だった。
「うおぉぉぉぉ!!」
ビルドは再び斬りかかるジオウの腕を狙ってキック。ジカンギレードが宙に放り出される。武器が失われ、これで五分の戦いとなった。
ビルドとジオウは互いに拳を握り固め、殴撃を繰り出した。
お互いの攻撃がクリーンヒットし、ダウンする。しかし、ダメージはビルドの方が大きいようだ。
(ラビット側とはいえ威力で負けた。スペックはこっちが上っぽいが、やっぱ連戦の後だと厳しいか…)
このまま半端な戦いをすれば、先に崩れるのはビルドの方。
「悪いけど、まだ死ぬわけにはいかないな。
というわけだ。ちょっと本気出すけど、文句言うなよ?」
ビルドが取り出したのは、大きめの装置。フォームチェンジ用のボトルというより、その風貌は“缶ジュース”。ビルドがその装置を振ると、炭酸のようにシュワシュワと音が鳴る。
上部の“シールディングタブ”を開けると、活性化されたエネルギーが解放され、変身システムが起動。
ビルドはドライバーのボトルを引き抜き、その装置──ラビットタンクスパークリングを装填した。
《ラビットタンクスパークリング!》
レバーを回すと、スナップライドビルダーが展開。その形状は歯車のようなビルドのライダーズクレストを模しており、その中が気泡を含んだ液体で満たされていく。
《Are you ready?》
「ビルドアップ!」
《シュワっと弾ける!ラビットタンクスパークリング!!》
《イェイイェーイ!》
アーマーが装着され、その姿を形成する。
赤、白、青の3色ギザギザアーマー。ウサギと戦車の複眼は刺々しく変化し、全身に白いバブルが描かれている。
進化したラビットタンク。仮面ライダービルド ラビットタンクスパークリングフォーム!
ジオウがその変化に驚いている一瞬、ビルドの姿が消えた。
前よりもずっと早い。しかし、ジオウは横にその姿を補足。キックを放つ。
だが、その攻撃は空振りに終わった。
「な……!?」
それは残像。“ラピッドバブル”によって限界まで速度を上げたビルドは、残像を残すほどのスピードを誇る。
「ちょっと我慢しろよ!」
攻撃の後の隙に、ビルドはジオウの正面に現れた。そして、タンク側の右足をジオウに突き出し、それと同時に“インパクトバブル”が炸裂。
「グハァッ!」
先程までとは比較にならない威力の蹴撃がジオウを貫く。
ジオウの体は立ち並ぶ木を薙ぎ倒しながら吹っ飛んでいき、数十メートル先で変身が解除された。
「やっべ。強く蹴り過ぎた」
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小さい頃に一度、本物のヒーローを見た。
それが現実だったのか虚構だったのか、その姿すらも思い出せない。
ただ一つ、俺はそれに憧れてしまったのは覚えてる。
追えば追うほど、人としての至らなさが浮き彫りになる。
真似をして塗り固めるほど、本当の自分が見えなくなる。
例えば誰かが落とした消しゴムを拾ったとしよう。
俺は迷わず拾う。しかし、真っ先に動いた思考は“拾ってあげたら相手は楽だろうな”じゃない。
俺はただ、いい人になりたかった。
じゃあ本当はどうしたかった。拾わず無視したかったのか。そうも思わない。いい人として認知されるための行動が自然になってる。いい人になった何がしたい。そう思ってる時点でヒーローになんかなれやしない。そんなこと分かってる。みんなみたいに好きに生きるか。不良にでもなるか。でもそれの何が楽しいんだ。そもそも何したら楽しいんだ。善行は楽しくなんてない。誰かのためになんて無理だ。自分だけの事も考えられない。憧れとは根っこが違う。俺はいい人なのか。クズなのか。何がやりたいのか。何になりたいのか。何が好きなのか。全部捨てて自由になりたい。自由ってなんだ。
薄い正義感の仮面を剥いだ先に、俺の顔はあるのか?
「ッ…!はぁッ…はぁッ…」
目が覚めた。悪夢でも見てたのか汗が凄いけど、よく覚えてない。
確かビルドに蹴られて気絶して……
「お、起きたか」
「羽沢…天介…!」
思わず身構えるが、体が痛んで立ち上がることが出来ない。
「無理しない方がいい。結構キツめなキックだったからな、多分まだ痛いだろ。それに関しては…悪いと思ってる」
「…!ここは…」
「ビルドラボ、俺の研究室だ」
辺りを見回すと機材や実験道具や色んな部品が無秩序に散らばっている。何より目を惹くのが、部屋中に貼り付けられた計算紙。見るだけで頭痛がするほどの威力を放っている。
羽沢天介は俺を気にもせず、2つのカップ麺に湯を注いだ。
「さて、ラーメン待ちのついでに聞きたいことがある。まず、君は何年の未来から来たんだ?」
「…なんでそれを」
「偶然君が空に空いた穴から出てきたのを見たんだ。あとは、その靴。そいつは今はまだ売ってないモデルのはずだ」
「それだけで……」
「天才ですから?天才たるもの、ファッションにもこだわるんだよ」
そういう彼の靴は片方ずつ違う。…これをファッションというのかと言われると分からないが。
しかし、その知識と観察眼は本物だ。俺は彼に事の一部始終を話した。それこそ、俺がビルドを襲った理由も。
「なるほどなぁ、2018年か。もうすぐ俺が怪物になって、一年後に人々を襲うと。
俺は頭も性格も顔もいい完全無欠の天才で通ってるが…確かに、あり得ない話じゃない」
驚くほどすんなり受け入れた。普通は自分が怪物になるなんて信じたくないし、否定するものとばかり思っていた。
するとタイマーの音が鳴った。羽沢天介がカップ麺の蓋を剥がすと、熱い湯気と醤油スープの香りが部屋を満たし、嫌でも俺の腹が唸る。
「2つあるから食えよ。ここに入り浸ってる奴が山ほど置いてって、処理に困ってんだ」
カップには「プロテインラーメン昇竜 醤油味」とある。美味しいの?
一つ手に取り、上にのせてある割り箸を割って食べてみる。あ、結構いける。
それにしてもどんな状況だ。さっきマジで殺しに行った初対面の相手を介抱し、食事まで共にするなんて。この人、やっぱり普通じゃない。
「さて、君の言い分は分かった。でも、俺もまだ死ねない。俺には…するべき事があるんだ」
羽沢天介はラーメンのスープまで飲み干した後、そう言った。
するべき事ってのが何かは知らないが、俺も未来を変えない事には帰るわけにはいかない。やはり、俺が倒すしか……
でも、また負けた。俺は弱かった。
このままじゃ、未来を変えるなんて到底…
「天兄、いる?」
ビルドラボの奥にある階段の方から声が聞こえた。聞き覚えのある声だった。
「美竹…さん」
螺旋階段を下りてきた姿を見た俺は、思わずそうこぼした。そう、彼女はあの怪物に吸収されたはずの少女、美竹蘭。その後ろには羽沢つぐみもいる。
そうか、2017年ならあの惨劇は起こってない。つまり香奈も…
状況は何一つ変わっていないが、何故だか安堵してしまった。
「兄さん!ちゃんと家に帰ってご飯食べてって言ってるのに!カップ麺ばかりじゃ体壊すよ!?」
「ちょ…つぐみ、そんな怒んなくてもいいじゃん。最近は週4回は帰ってるだろ?もしかして、お兄ちゃんがいなくて寂しいのか?」
「そういう事じゃないの。CiRCLEの地下にこんなの建てるどころか、住むなんて言語道断!家賃とかオーナーに払ってないでしょ?」
「そんなハッキリ言うなよ、お兄ちゃん悲しいぞ!」
「最近はライブにも来てくれないし…蘭ちゃんすごく怒ってたんだからね!」
「つぐみ何言ってんの!?あたしは別に怒ってなんか…」
「おっとぉ?寂しがってるのはコッチだったか。可愛い奴だな~」
「天兄、やめて」
なんかすごい和気あいあいとイチャつき出した。何アレ、ハーレムか?羨ましい。
「あれ、この人は?」
羽沢さんが俺に気付いた。当然だが、やはり俺の事は知らないようだ。
いや、でもどう説明しよう。貴方のお兄さんを倒すために未来から来ました…信じられるかそんなの。
「え…えっと…」
「あー、そこの彼は俺の助手だ」
はい?
「えっ!?兄さんの助手になるんですか?」
知らない知らない。
「いやー、俺も驚いたんだけどさ。どうしてもって言うから、仕方なくね」
何言ってんのこの人。
羽沢天介は俺と肩を組み、「話を合わせろ」と言わんばかりの目線を送ってくる。いや、そんな目されても話が全く…
「天兄の助手…?やめた方がいいですよ、絶対」
「そうですよ!兄さん、顔と頭がいいだけのロクデナシですから!お金に困ってるなら私の家で喫茶店やってるんで、ウチで働きましょう!」
「そこまでボロクソ言わなくてもよくない!?」
どれだけ信用がないんだこの人は。
その前に何が狙いなんだ。俺を助手にするなんて、意味が全く分からない。
「ま、そういう訳だ。明日は帰るから蘭もつぐみも帰った帰った!」
2人を無理やりラボの外に出し、ガチャッと鍵の閉まる音が聞こえた。
「話は分かったな」
「いや、全然。一体何のつもりで…」
羽沢天介の顔が一転する。お茶らけていた、気の抜けたような顔から、覚悟を感じさせる顔に。さっき、あのコブラの怪人に向けていたような、そんな真剣な眼差しで、彼は俺に告げた。
「お前は俺の助手になれ。そんで、24時間俺を査定してくれ。
もし少しでも俺が怪物になりそうだと、お前の言う通り、つぐみや蘭を襲うようなことになると思ったら…
その時は一切抵抗しないと約束する。俺を殺してくれ」
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つぐみと別れ、ギターを背負い一人夜道を進む蘭。
もうすぐライブだ。緊張はしない。Afterglowのライブは“いつも通り”を届けるだけ。
しかし、気になるのは天介が来るのかどうかだった。
「いや、別に天兄がいなくたっていいし。別にあたしは…」
「美竹蘭、だね」
瞬きの一瞬で、街灯の光の中に誰かが現れた。
思わず逃げようとする蘭だったが、振り返った先にもその人物が現れる。
茶髪に翡翠の瞳の男性。黒いジャケットを着こみ、腰には絵の具や筆が複数携帯されている。その風貌は異様。強いて言葉にするならば…“異物”という言葉が似合う。そんな男だ。
「華道とギター、ボーカル、さらには作詞まで並外れた才能を持つ。まさにジーニアスだ。それに加えて友を想う心、譲れない信念。素晴らしい」
「誰…あんた」
「名乗ったところでどうせ忘れる。この物語は…もうじき消えるからね」
また一瞬で姿を消した。辺りを見回してもその姿は無い。
ただ、一つの言葉を蘭に残して。
「それじゃあ、また会おう。
世界が終わる頃に」
街灯の光に照らされるは、アスファルトに描かれた、アート。
乱雑で単純なのに目を惹き付けられる。
入り混じる赤と青を裂くように塗りつぶす、ピンクの絵の具。
その上に、8時17分を示す懐中時計が横たわっていた。
2017年のお話はもう少し続きますよ。ビルドの継承ももうちょい先です。
次回、「That is How I Roll!」。お楽しみに!
感想、評価等よろしくお願いします!