仮面ライダージオウ~Crossover Stories~ 作:壱肆陸
今回から、ごちうさ×ドライブ編でございます!の、前に…まずはジオウに欠かせない公式ヒロイン(?)枠をご用意しております。
謎だらけの街で「らいだー」に会ったんだけど
「この本によれば、普通の青年、日寺壮間。彼は2018年にタイムリープし、王となる使命を得た。王となる決意を固め、ビルドの力を継承したのも束の間。次に現れるのは兎の喫茶店の、赤い車のライダー。そして…50年後の未来からの来訪者もまた、彼の身に迫っていた…」
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「でさー!現文の川本先生がさー!」
平日の夕方。壮間と香奈は学校帰りに、羽沢珈琲店に訪れていた。
コーヒーに砂糖を入れて飲む壮間。香奈は客が少ないのをいいことに、つぐみに愚痴っている。
「おい香奈、仕事の邪魔しちゃダメだろ。ごめんね、つぐみさん」
「あ、いえ。ひまりちゃんもよく話しに来ますし、聞きますよ」
「つぐちゃんいい子だねー!部活で貰ったアメちゃんあげるよ!」
「おばちゃんかよ」
あれから壮間たちは、割と頻繁にここに来ている。天介の言葉によるものもあるが、ここにいるとバイトの子とか色んな人に会えて楽しい。
壮間は王になると決めた。でも、決して独裁者であってはいけない。
そのためにも、もっと人と関わるべきなのだ。
(王様…やるべきことは、もっとライダーの力を集める……それでいいのか?)
なんて考えながらコーヒーを飲むと、思った以上に甘かった。砂糖を入れ過ぎていたようだ。
少し経って、香奈と一緒に勘定をする。支払うと、つぐみが2人に数枚の紙を差し出してきた。
「ここの商店街の福引券です。サービスです。帰りにでもぜひ」
「ありがとね、つぐちゃん。ごちそうさまー!」
「じゃあちょっと寄るか。案外こういうのって、3等の商品券とか当たるんだよな」
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「残念!6等ポケットティッシュ!」
「ダメダメじゃんソウマ」
「知ってた……」
有り難く受け取った福引券は、既にほとんどが鼻ちり紙へと変わってしまった。
残る福引券は一枚。すると、香奈は壮間を押しのけ……
「私に任せて。こう見えて、昔は福引の香奈って呼ばれてたから」
「聞いたことないよ」
香奈は勢いよく最後の一枚を渡し、深呼吸して抽選機をガラガラと回す。
壮間も思わず息を殺し、顔を出す球に目を凝らす。
カランという音と共に出てきたのは
光り輝く、金色の球。
「出ました!一等です!!」
店員が鐘を鳴らし、周囲の注目が一気に集まる。
「やった!ホラ言ったでしょ!」
「マジ…?って、それはそうと一等って…」
一等の景品は旅行券。場所は──
「「木組みの街!?」」
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木組みの街。国内でありながら、ヨーロッパの文化の影響を色濃く受けた街並みをしている。いや、もはやヨーロッパの街そのものと言っても過言ではないだろう。交通手段は列車のみであり、外部からのアクセスは利便とは言い難い。
が、そのことも手伝い、木組みの街はいわば国内の独立国家。秘境とさえも言える雰囲気を味わうことが出来るだろう。
「なるほどね…」
壮間は観光雑誌の文章を黙読し、顔を上げた。
そこには雑誌にある通りの街並みが広がる。木組みの家と石畳。日常を逸脱した風景。
列車で走ること数時間。一行は木組みの街に上陸した。
「見てソウマ!家!家がなんか違う!」
「確かに…全然見たことないのに、何故か落ち着く感じっていうか…」
ちなみに旅行券は4人用。香奈の3人家族に壮間も同行させてもらう形となった。今の時間は2人で自由行動を許されている。
無論、このイベントは壮間の知る2018年には無い。壮間も内心ワクワクしていた。
もっとも、香奈は内心どころか全身ワクワクが抑えきれておらず、あちこち動き回ってはピョンピョン跳ねてはしゃぎまくっている。
「この食器ステキ!カップも!つぐちゃんにお土産で買って帰ろうよ!」
「いや、でもつぐみさん前に来たことあるって言ってたし、持ってるんじゃ…」
「こっち凄いよ!川が広い!あとキレイ!」
「船も通ってんのかな?」
「お店並んでるよ!お祭りかな?おばさーん、みかん一つくださーい!」
「確かクリスマスだとクリスマスマーケットをするとか…って何買ってんの」
「見て!このウサギさん超かわいい!」
「落ち着きが無さすぎる!!」
壮間の予想を遥かに上回ったテンションで、香奈は壮間を振り回す。
あまりの目まぐるしさに酔いそうになる壮間だが、香奈は全く気にすることもなく、ウサギを追いかけて駆けて行ってしまった。
「あ、オイ!ちょっと待て…って速いな!」
建物が多いせいもあり、気付いたころには香奈の姿は見えなくなっていた。
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「毎度あり!」
露店で買った果物をカゴに入れて抱え、その少女は物憂げに石畳を歩く。
透き通るような水色の長髪。幼くも凜とした顔立ち。見た目は高校生低学年のように見える。
「もう、あれから3年と半年ですか…」
少女は空を見て呟いた。
“あの日”から、彼女の時間は止まったまま。この街の皆もそうだ。忘れたフリをして動き続けているだけ。
それでも、理屈は分からないが。
今日、何かが変わってくれる。そんな気がしていた。
そんな時、角からウサギが飛び出してくる。そして、自分と同じくらいの歳の少女が、そのウサギを追って楽しそうに走っていくのとすれ違った。
そんな少女の様子が、彼女の止まった時間と重なる。
「ココアさん…?」
「待て!ってあぁー!またいないし!」
上の空で少女の影を見ていた彼女を、後ろから少年の声が叩き起こす。
少年は酷く息切れをしながら、そこに立っていた彼女に問いかけた。
「あの…ウサギ追いかけた女の子見ませんでした?髪は肩ぐらいまであって、割と可愛いけどアホそうな…」
疲れているせいか、誉めと貶しがごっちゃになって少年の口から流れ出る。少女は少し笑みを浮かべて、彼女が走っていった先を指さした。
「この街は初めてですか?」
不意に聞かれた少年は、思わず黙って頷く。
「歓迎しますよ。ですが…十分にお気を付けて」
少女は長い髪を風に揺らし、静かにその場を後にした。
残された壮間は暫くボーっとしていたが、我に返ると、香奈の走っていった方向にしんどそうに駆け出した。
「はぁ…はぁ…香奈…お前…!」
「あれ?ソウマどうしたの、そんな疲れて」
「馬鹿スピードで消えてったのどこのどいつだよ…」
やっとウサギを抱きかかえた香奈を見つけ、辛そうに歩み寄る壮間。罪は無いのは分かっているが、「お前のスピードも大概だよ」と、ウサギにまで腹が立ってきた。
「あはは~ゴメンゴメン。テンション上がっちゃってさ」
「遠足の子供かよ」
「いやさ、壮間って遠くの大学行くんでしょ?もうちょっとであんまし会えなくなるじゃん。
まだ修学旅行もあるけど、こういう機会が嬉しくって…」
それを聞き、壮間は面食らったような表情を浮かべる。確かに、壮間は易々とは会えない距離の都市に進学するはずだ。だが、その時に壮間は特に何も感じなかった。
大切だとは思っていても、そこに感情を注げてはいなかったから。
(そうだ。せっかくの二週目なんだ。同じ道を辿っても変化はない…)
王になるという大それた目標のためにも、向き合わなきゃいけない。まずは、一番身近な存在である香奈から。
「そうだな…じゃあ観光しようか。
……出来ればついて行けるスピードでお願いしたい」
「ありがと!それじゃまずは聖地巡礼しよ!ここって“うさぎになったバリスタ”っていう小説の舞台で、私大ファンなの!作者の青山ブルーマウンテンさんもこの街出身らしくて……」
「変な名前だな…」
壮間がため息をつき、歩き出した香奈について行こうとした、その時。
眼前に謎の白い物体が飛来。
「うおっ!?」
思わず腰を抜かし、尻もちをついた壮間のポケットから、ジオウライドウォッチが転げ落ちてしまった。
そして、その白い物体は着地すると、ジオウウォッチを頭に乗せてピョンピョンと逃げて行ってしまう。
「あ…ヤバ!待て!」
「ソウマ!どこ行くの!?」
「えっと……後で連絡するから!先行ってて!」
いくらなんでも、ジオウウォッチを無くすのはマズい。壮間は全速力でその白い物体を追いかける。
が、追いついたと思うと、白い物体は角を曲がるとさらに先に。いくら追いかけても距離が縮まらない。
「今日はずいぶんと走るな…!」
運動があまり得意ではない壮間。体力も限界に近付いてきた。
しばらく必死に追いかけていると、人も少なくなっていくのが分かる。
そして、壮間は「立ち入り禁止」の張り紙とロープがある場所にたどり着いた。
白い物体はその先でウォッチを乗せたまま待ち構えている。
躊躇する壮間。だが、やはりウォッチを捨ておくことはできない。
「あぁもう!仕方ない!」
ロープを乗り越え、立ち入り禁止の区画へと足を踏み入れた。白い物体はさらに奥へと進んでいく。
やはりと言えばそうだが、人の気配が全くしない。不自然なほどに静寂だ。
しかし、その景観だけは他の場所に負けない程美しいのが、よりその不自然さを演出する。
白い物体を追い続け、狭い路地裏を抜けた。
壮間の視界に日の光が差し込む。白い物体の姿は消え、ウォッチだけが地面に転がっていた。
「どこ行ったんだ?ていうか、ここは…?」
壮間はウォッチを拾いあげ、顔を上げた。
そして、その瞬間、得も言われぬ恐怖が壮間を襲う。
なぜこの場所が立ち入り禁止だったのか…それを漠然と理解できてしまった。
「なん…だよ…これ……!」
そこは止まった世界。
比喩でも何でもない。笑って話している学生も、玄関先を掃除している主婦も、楽しそうに遊んでいる子供も
その日常の一瞬のまま、全ての生命が動きを止めていた。
これが悪趣味な作り物ではないことは馬鹿でもわかる。
だが、そうだとすると、時間が止まっているとしか思えない。
「でも…それなら!一体いつから…」
すると、壮間も少しの異変に気付いた。
恐らくはこの場所に立ち入ってから。少しずつ、ほんの少しずつではあるが…
「体が…重い?」
情報量でパニックになる壮間の頭上を、大きな影が覆った。
雲一つない快晴。壮間の頭上のソレは、雲ではない。
響く轟音。上から吹き付ける風。それは確実に近づいてくる。
壮間は恐る恐る上を見る。
赤くはあるが、壮間はそのボディに見覚えがあった。
「なんで…あれって…」
壮間はもう訳が分からなくなり、自分の目と脳を疑う。
だが、それは紛れもない現実。
降りてきたのは、赤いタイムマジーンだ。
ハッチが開き、その中から何者かが現れる。
「アナザーライダーを探しに来たが…幸運だ。
やっと見つけたぞ、仮面ライダージオウ!」
降り立ったのは黒と赤の服を着た、オールバックで刈り上げに剃りこみの入った少年。
その鋭い目つきが、理解の追いついていない壮間を睨みつけている。
「気に入らないな…その顔。平和ボケしたマヌケ面だ」
少年が取り出したモノに、壮間はまたしても目を疑う。
正面にディスプレイ、両サイドにスロットが備わった、壮間の持っているのと正真正銘の同型のジクウドライバー。
少年はドライバーを腰に装着し、当然のようにライドウォッチも取り出す。
ジオウのものとは形状の違う、赤いカバーパーツ。「カメン」のクレストと「2068」が刻まれている。
「教えてやる。温い奴に明日を生きる資格は無い。俺の時代では常識だ」
《ゲイツ!》
カバーを正面に回してウォッチを起動し、ドライバーに装填し、ドライバーのロックを外す。
少年の背後に、赤く「0000」と表示されたデジタル時計が出現。
両腕を前に突き出し、大きく回す。両手でそれぞれ逆方向のスロットを掴み、この“言葉”を叫んでドライバーを回転!
「変身」
電子音が鳴り響き、背後のデジタル時計に現れる、黄色い「らいだー」の文字。
ジオウと同じようなエフェクトで、少年の姿が変わり、その複眼に文字が収まった。
《ライダータイム!》
《仮面ライダー!ゲイツ!!》
壮間は相変わらず、驚きのあまりリアクションさえもまともに取れない。
アーマーはジオウに似ているが、色が全く異なり、赤を主体としている。中央に走るバンドは黒く、ラバーのバンドのよう。
そして、覆面を大きくはみ出す平仮名の「らいだー」が、ジオウとは非なる者であることを語っている。
「お前は一体……」
「この名は戒めだ、最期に胸に刻んでおけ。
俺は仮面ライダーゲイツ。
全てのライダーは…俺が倒す!」
木組みの街、謎の少女と白い物体、止まった世界、赤いタイムマジーンとドライバー
そしてジオウに似た仮面ライダー…その名もゲイツ。
(ライダーを倒す??仮面ライダーなのに?!)
全ての謎は、過去と未来をまたにかける。
第二章、開幕──
木組みの街で何が起こったのか…バッドエンドはライダーが死んで終わりではありません。
彼女とかアレとかバレバレですけど、想像以上にツンツンしてたゲイツ枠の過去(未来?)には一体何が…それは次回。
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