仮面ライダージオウ~Crossover Stories~   作:壱肆陸

27 / 112
自動車学校祝卒業!146です。ドライブを更に見返した阿呆は私です。
今回は色々詰め込んだので、情報量注意です。例にもよって世界観と設定だけ力を入れました。


情緒がやかましい交番勤務 これがこの街の仮面ライダーです

2014年9月

 

 

『終わりだ…ルパン!』

 

『ここまで長かった……遂にッ!来い、仮面ライダードライブ!』

 

 

赤い彗星が、煌びやかに怪盗の影を貫く。

夜空を背に火花を散らした激闘の末、その怪盗と赤き戦士の戦いは、街を一望する時計台の上で決着した。

 

そのボディを何か所も破損させながら、怪盗は天を指し、閉幕の挨拶のように最後の言葉を発した。

 

 

『警察及び市民の諸君!そして…仮面ライダー。最期に諸君らの正義が私の心臓を貫いたことに、心より敬意を表する!

 

世紀の大怪盗アルティメットルパン…この命、生涯最高の宝と共に──』

 

 

怪盗アルティメットルパン──仮面ライダールパンは、星と共に夜空を彩る花火となって、その伝説に幕を下ろした。

 

 

 

 

「以上が、仮面ライダードライブとルパンの戦闘アーカイブです」

「ご苦労」

 

 

一室に整列する10数名の軍服を着た者たち。そして、一つだけ置かれた椅子と机に座する、襟と肩、胸に勲章を讃えた将校の男。

 

 

「嘆かわしくも、我々ロイミュードは減少の一途を辿っている。

しかし、仮面ライダードライブの力は全て把握した。近いうちに街を巻き込んだ戦争を起こし、奴を討つ。異論はあるか、ソルジャー、コンバット」

 

 

将校の男の横に立つ側近の2人は、前を向いたまま微動だにしない。

そんな中、後ろにいた男が別の一人、女の軍人の手を引き、顔を真っ赤にして将官の男に詰め寄った。

 

 

「冗談じゃない、俺と018は降りる!これまでどれだけの連中がやられてきたと思って

る!お前だって“前”の戦いでこっぴどくやられただろうが、006!」

 

 

男は机に手を叩きつけ、その姿を変えた。

骸骨のような頭部で、口は虫のよう。蜘蛛の脚を思わせるような赤いラインは、「019」と書かれた胸のプレートから伸びている。

 

 

「今の私は“バーン”だ。この名が“前”との違いというのは分かるだろう」

 

「お前だけで戦えばいい話だ!それとも俺に死ねってのか!」

 

「その通りだ」

 

 

将校の男──バーンの手のひらから発せられた衝撃波が、019の体を弾き飛ばす。バーンがその眼を018と呼ばれた女に向けると、彼女は怯え切った様子で、抵抗もせず敬礼を掲げた。

 

 

「将が表立って戦う戦争がどこにある?支配者とは、戦わずして力を誇示するもの。

それとも、使えない兵の一つや二つ、ここで砕いても構わんのだぞ?」

 

 

019は金髪の軍人の姿に戻り、無力にもその頭を地に伏せた。

 

その時扉が開き、また新たな軍人の男が敬礼を見せる。

 

 

「同志バーン、客人がお見えです」

「客人だと?」

 

 

軽い足音と共にその姿が現れた時、そこにいた一同が異質な何かを感じ取った。

筋書通りに進んでいた本が、そのページを境に塗り替えられていく。そんなイメージが過った。

 

 

「……何者か、貴様」

 

「さすらいの芸術家さ」

 

 

黒いジャケットと翡翠の瞳。芸術家を名乗るその男は、まるで背景に張り付けた絵のような、明らかな違和感を放っていた。

 

 

「ここに来る前、中々良い作品を見て刺激されてしまったんだ。そうだな…次の作品タイトルは──」

 

 

芸術家の男は、案内した軍人の男の首を掴む。

途端に男の姿はコブラのような怪人に変わったかと思うと、その機械仕掛けの肉体が崩れ落ちていく。

 

呻き声を上げる間もなく、瞬く間にその体は霧散。

「085」と象られたコアが空中に浮かび上がり、破裂してしまった。

 

 

 

「決まった。“邂逅と狂騒”」

 

 

 

___________

 

2014

 

 

「モタモタしていても仕方ない。早く終わらせる」

 

 

2018年での出来事を経て、アナザーライダーによって消えた時間軸の2014年に到着。

その少年、ミカドは茂みから姿を現し、休日の喧騒の中に姿を隠した。

 

2018年では、アナザードライブによって静止している木組みの街。この時間では当然ながら、変わらぬ情景でその時間は動き続けている。

 

 

「事が起きる前に飛べたようだ。ならば成すべきことは一つ。

アナザードライブより先に俺が仮面ライダードライブを殺し、その歴史を手に入れる」

 

 

ドライブが消えた時点で歴史はウォッチに収束。仮面ライダードライブ及び、コア・ドライビアから生まれる全ての存在は抹消される。ミカドの目的は全てのライダーの歴史を消し、2068年の悪を消し去ることだ。

 

 

「まずは仮面ライダードライブを探すのが先決だ。だが……」

 

 

ミカドは不快さを隠そうともしない表情で、辺りの人々を見回した。誰もかれもが楽しそうに、幸せそうにその時間を謳歌している。間もなく自分達が永遠に静止するとも知らず。

 

仮面ライダードライブの歴史ならば、この時間にはロイミュードと呼ばれる機械生命体も存在するはず。2068年では、彼らの持つ精巧なコピー能力、そして重加速により、無力な人々は蹂躙されるがままだった。

 

なぜその脅威をまるで知らないような顔で過ごしている。

なぜ隣にいるそいつが怪物だと疑わない。

なぜ当然のように、今日も明日も生きられると思い込んでいる。

 

 

「……生温い」

 

 

ミカドにはどうしても理解できなかった。居心地の悪さすらも感じた。

悪がのさばる世界、それは2068年と同じはず。それなのに、この人々の無条件な安らぎは何だ?

 

 

「下らない。こんな腑抜けた街さっさと…」

 

 

──体が動かない。

 

風が吹いたような、波が通り過ぎたような。重力とも違う、どんよりとした空間。

妙でいて身に覚えのある感覚が、周囲の人間全てに襲い掛かった。

 

 

「重加速…ドライブか、それともロイミュードか…どちらにせよ僥倖だ」

 

 

その空間で、ミカドだけが正常に戻る。ドライブのプロトウォッチが上手く作用しているようだ。

重加速の中、ミカドはその発信源へと急ぐ。間もなく、動きの遅い爆炎が空へと上がるのが見えた。

 

 

爆炎の中心には4体のロイミュード。

コブラ型ロイミュード082、バット型ロイミュード040、そして2体のスパイダー型ロイミュードの018と019。

 

その中の040がミカドに気付き、野太い声で無機質に問いかける。

 

 

「貴様、仮面ライダーの仲間か」

 

「俺をその名で呼ぶな!」

 

 

腕のホルダーからゲイツライドウォッチを取り外し、ドライバーに装填。そのままドライバーを装着し、構えを取った。

 

 

「変身!」

 

《ライダータイム!》

《仮面ライダー!ゲイツ!!》

 

 

ミカドは仮面ライダーゲイツへと変身を遂げ、040へと殴り掛かった。

 

 

「コア・ドライビアの反応無し。データに無い存在。何者だ」

 

「名乗る必要は無い…が、俺は貴様らの事を知っている」

 

 

逃げようとする019をジカンザックスゆみモードで狙撃。040の指先から放たれる銃弾も装甲で受け切り、おのモードで040に深い一撃を叩き込んだ。

 

 

「人間の悪意を学習し進化する機械生命体、ロイミュード。総数はナンバー持ちが108体。動きだけでなく精神まで鈍化させる現象、重加速を操る。未来の世界では義務教育だ」

 

 

更に襲い掛かる082、018を迎撃。その後の戦闘も、4体を圧倒し続ける。

 

 

「貴様らの存在は“アンデッド”、“ワーム”に並んで厄介。当然、優先的に対策を立てる。

分かるか?下級ロイミュードの手の内など知り尽くしているという事だ」

 

 

ゲイツが倒れている019に黄色い複眼を向ける。

019は苦し紛れの粘着糸を放つも、そんな想定内の攻撃はゲイツには届かない。

 

 

「ふっざけんな…こんな訳の分からない奴にやられてたまるか!

止まれ!止まんねぇと…この人間がどうなってもいいのか!」

 

 

偶然視界に入った女性を捕らえ、指先の銃口を突き付ける019。

一瞬ゲイツの動きが止まった。だが…

 

 

「勝手にしろ。貴様らを殺せるなら微々たる犠牲だ」

 

「なっ…く…来るなァッ!」

 

 

019の銃弾を弾きながら、ゲイツは斧を構えて駆け出した。

迫る殺意に、019は思わず女性を盾に──

 

 

「ガアァッ!」

 

 

突如、何処からか放たれた炎弾が、019と女性を引き離した。

遠方より近づく軽い駆動音が3つ。空中に敷かれた細い道を駆け、謎の援軍は姿を現した。

 

 

「車…?」

 

 

ゲイツと019に割って入ったのは3種のミニカー。それぞれ炎を帯びて突進、棘の連射、手裏剣の投擲で019を追い詰める。

 

追加でやって来た黄色いタクシーのようなミニカーは、円形のゲートを発生させ、女性をその中に逃がす。

 

 

そして、遅れて重加速の中を走ってくる、大きなエンジンの音。

静止した世界をものともしない、赤きスーパーマシン。

 

 

「4人組か、随分と景気がいいな!」

 

 

ドアを開け、カップに刺さったストローから口を離した男が車から降り立つ。

着崩された警察の制服、きっちり締まったネクタイ。目の覚めるような眼差しを向ける、赤味がかった茶髪の男。

 

男が左手に持っていたソレで、ゲイツはその正体を確信した。

 

 

「そうか、貴様が…!」

 

 

左手の“ドライブドライバー”を装着し、エンジンをかけるようにイグニッションキーを回す。

 

 

「Start my engine!さぁ…トップギアで行くぜ!」

 

 

手元に飛来した赤いミニカー、シフトスピードを変形。

左腕のシフトブレスに装填し、レバーを上げる。

 

かかったエンジンの振動が、熱が、闘志となって燃え上がる。

重くのしかかる全てを振り切り、アクセル全開で走り抜ける戦士。

 

その名は──

 

 

「変身!」

 

《DRIVE!》

《type-SPEED!》

 

 

体の周囲に生成された赤いアーマーが、男の体を変貌させる。赤いスポーツカー“トライドロン”から射出されたタイヤが、最後に左肩からタスキ掛けで突き刺さるように装着され、その変身が完了した。

 

仮面ライダードライブ。

戦場を切り開いて爆走する、車の仮面ライダー。

 

 

「ひとっ走り…の前に、っと」

 

 

ドライブが自分に向けられた別の敵意に気付く。敵意の主、ゲイツを上から下まで少し眺め、そのドライバーと顔に目が留まった。

 

 

「あー、なるほど。お前がそうか」

 

「何の話をしているかは知らん。だが、見つけたぞ仮面ライダードライブ!今ここで貴様を!」

 

 

ロイミュードから攻撃対象を変更し、斬りかかるゲイツ。しかし、気付くとドライブは銃を装備し、その銃口をゲイツに向けており…

 

 

「悪い。少しじっとしててくれるか?」

 

《ヒッサーツ!》

《Full Throttle!!》

 

 

発射された銃弾を防ごうとするゲイツだが、銃弾は寸前で四散。ゲイツの全身に付着し、瞬く間に固まっていく。

シフトカー“スピンミキサー”の力を添加したセメント弾は、ゲイツの体の自由を完全に奪った。

 

 

「貴様…!」

 

「さぁ、待たせたなロイミュード!ひとっ走り付き合えよ!」

 

「緊急事態発生。退却は不可能。戦力を行使し応戦を上策とする」

 

 

040の姿が変化する。

ロイミュードは人間の姿や感情をコピーし、学習する。そして、それの高まりに応じ、その才能や悪意の具現化ともいえる姿へ進化する個体もいるという。ミカドもその存在は知っていた。

 

 

「あれが……進化態」

 

 

胸部分、両肩のプロペラと背中のウィングが戦闘機を彷彿とさせ、両腕にはミサイル。体の随所に爆弾と弾丸を装備したあからさまに戦闘特化の形態。

 

コンバットロイミュード。それがバット型ロイミュード040の進化態。

 

ミカドは知っている。進化態が一体いるだけで、その戦況は一転する。

しかし、ドライブは動じない。ただ4体の敵を見据え、駆け出した!

 

 

「クッ…やってられっか!」

 

 

再び018と逃げ出そうとする019。が、赤い閃光が視界を横切ったと思うと、ドライブは既に目の前に立っていた。驚いて動きを止めてしまったのが大きな過ち。ドライブはその一瞬で2体に連続パンチを叩き込む。

 

 

「排除」

 

 

コンバットと082の発射する銃弾も全て躱す。姿勢を低くし視界から消え、またしても一瞬で接近。スライディングで082の足を狙い、空中に浮いた瞬間タイヤ痕を刻んでターンし、082にキックを突き刺した。

 

 

「速い…!」

 

 

仮面ライダーゲイツでは到底及ばない速度に、ゲイツは思わず関心してしまう。

 

飛び上がるコンバット。銃撃と爆弾で援護を行い、他の3体はドライブを相手取る。

ドライブは圧倒的に挙動が素早いが、同時に相手にするとなると分が悪い。

 

そう思っていた。

 

 

「まだまだ!」

 

 

ドライブはキーを回してシフトレバーを3回上げる。

 

 

《SP!SP!SPEED!!》

 

 

そこから先は凄まじかった。一歩目が見えると、二歩目にはもはや目で追えない速度に達し、攻撃の際に赤い残像が残る程度。上空からの攻撃も意味を成さず、あっという間に3体が制圧されてしまった。

 

 

「さっきのが最高速度じゃなかったのか…」

 

「言っておくが、俺のマックススピードはこんなもんじゃないぜ?」

 

 

ドライブは腰のホルダーから、ソーラーカーのシフトカーを取り外し、レバーに変形。シフトスピードと入れ替え、レバーを上げた。

 

 

《タイヤコウカーン!》

《BURNING SOLAR!》

 

 

トライドロンから新たなタイヤが射出され、スピードタイヤと入れ替わる。

青いソーラーパネルが備わった、太陽マークのような形のタイヤ。

 

 

「太陽サンサンお日様パワーだ!」

 

 

太陽の光を吸収し、変換する。それがバーニングソーラーの能力。

エネルギーはドライブの速度に変換され、さらにスピードを増す。

 

 

《ヒッサーツ!》

《Full Throtte!!SOLAR!》

 

 

キーを回してブレスのボタン“イグナイター”を押し、レバーを倒して必殺状態に移行。

3体を接近戦で退け、一旦距離を取る。そして、ドライブ内部の圧縮エネルギーと太陽光をタイヤに集め、超高密度光線を放った。

 

咄嗟に082を盾にする019。しかし、地面を焦がすほどの威力を防ぐことは出来ない。

 

 

「クッソがぁあぁぁぁ!!」

 

 

3体のボディは熱に耐えきれず爆散。爆炎の中でかろうじて、082のコアが破裂するのが見えた。残すはコンバット一体。

 

 

「火力を開放。爆撃開始」

 

 

仲間も消え、威力を抑える必要が無くなり、コンバットは頭上から無数の爆弾を投下する。

避けきれる数ではないのは明白。さらにドライブ目掛けミサイルを放ち、その姿は完全に炎に閉じ込められた。

 

街を揺らすほどの衝撃と轟音。それだけの威力を喰らい、無事であるはずがない。

コンバットもゲイツも、その死を確信した。

 

そう、無事であるはずがない。

だが……

 

 

《DRIVE!》

《type-WILD!》

 

 

無事でなくとも、その男は立っている。

 

 

「馬鹿な!」

「全然足りねぇな!この燃え上がったエンジン、止めれるもんなら止めてみやがれ!」

 

 

ドライブの姿は赤いタイプスピードから、バギー車の力を宿す黒いボディのタイプワイルドに。

更に右肩のタイヤはレッカー車のシフトカー、フッキングレッカーに交換しており、そのフック付きロープで空中のコンバットを捕らえた。

 

 

「来い!ハンドル剣!」

 

 

トライドロンから専用装備ハンドル剣が射出。名前そのままの見た目をしている。

 

ドライブはロープを巻き戻してコンバットを引き寄せる。

当然、相手はミサイルや銃撃による抵抗を続け、ドライブのボディは既に焦げや損傷が激しい。

 

それでもコンバットを放すことなく、倒れもしない。

 

 

「脱出不可能!このパワーの根源、理解不能!」

 

「警察官と仮面ライダーの威信って奴だ!覚えておけ!!」

 

 

キーを回してシフトワイルドをハンドル剣に装填。刀身にエネルギーが蓄積されていく。

 

 

《ヒッサーツ!》

《WILD!Full Throttle!!》

 

 

間合にコンバットが到達した瞬間に拘束を解き、刃のエネルギーを開放。

タイプワイルドの剛腕から繰り出される一撃は、コンバットの装甲を破砕した。

 

 

「ロイミュードに…我が同志バーンに栄光あれぇぇぇッ!!」

 

 

コンバットのボディは木っ端微塵に爆発。狂気さえも感じさせる断末魔を上げ、040のコアも砕け散った。

 

ドライブは変身を解除し、赤髪の男の姿に戻る。

 

 

「あー疲れた。完全にガス欠だな、こりゃ」

 

 

男はトライドロンに寄りかかり、セメントで固めたままのゲイツに視線をやる。

 

 

「邪魔者は消えた!俺と勝負だ仮面ライダードライブ!」

 

 

今にも殺しに来そうな勢いに、思わずため息を吐いた。

この暴れん坊をどうするか、エンジンが切れかかった頭で少し考える。

 

眠そうな目で少しハッとした表情を作ると、男はトライドロンに乗り込んだ。

 

 

《タイヤフエール!》

 

 

トライドロンの後輪に、フッキングレッカーのタイヤを装備。

ゲイツを固めたままロープで括り付け──

 

 

「もうこれでいいや」

「何をする貴様ぁぁぁぁ!!」

 

 

ゲイツを引きずって発進した。

 

 

 

___________

 

 

 

「……おい、なんだよアレ!聞いてねぇぞ!」

「俺達だって知りませんよ!あんなバケモンがいるなんて!」

「そ…そうっすよ!高尾さん!」

 

 

ドライブとロイミュード達の戦いを陰から覗いていた、3人の男たち。

髭を生やしたリーダーと思しき男、高尾。そしてその子分の2人。

 

 

「ど…どうします?逃げますか!?」

 

「馬鹿言うんじゃねぇ!警察もロクに居ねぇっつうから逃げ込んだら、こんなモン見つけちまったんだ。放っておくわけにはいかねぇだろうがよ」

 

「ルパンの宝の地図…暗号ばっかですけど、これホンモノなんですか?」

 

「間違いねぇ、このサイン。前に見たことあるが、確実にルパンのモンだ。

この街のどこかに…ルパンの生涯最高の宝が眠ってる!そいつで一攫千金だ!」

 

 

 

__________

 

 

 

「ただいま~」

「貴様…ッ…放せ!」

 

 

男に手錠を掛けられたミカドは、男に連れられてある喫茶店に入る。

扉の上には、ぶら下がったウサギとコーヒーカップのマークが。

 

コーヒーの香りとその年季を感じさせる店内には、店員と思しき2人の少女がいた。

 

 

「おかえり、走大くん!」

「おかえりじゃないですココアさん。走大さんもです、ちゃんと交番に帰ってください」

 

 

一人は桜のヘアピンを付けた、オレンジ色の髪と紫の瞳の小柄な少女。

もう一人は…

 

 

「貴様…香風智乃か…?」

 

「…?なぜ私の名前を?」

 

「えっ!?チノちゃんの友達!!?

もしかして彼氏!?お…お姉ちゃん許しませんからね!!」

「違います。全然知らない人です」

 

 

もう一人の、白い大きな毛玉を頭に乗せた少女は紛れもない。さらに小柄ではあるが、その面影は間違いなく、2018年で出会った香風智乃と同一のものだ。

 

狼狽しまくる少女──ココアを見て、男──走大が割って入って諭す。

 

 

「落ち着けココア。コイツはチノっていうよりは、多分アイツの…」

 

「おじゃましまーす!心愛さん、智乃さん、小麦粉買ってきましたよ…

ってお前!!」

 

「貴様…何故ここに!!」

 

「こっちのセリフだ!」

 

 

走大のセリフに食い気味に入ってきたのは、お使いから帰ってきた日寺壮間だった。

 

驚くミカドと、そのやりとりに戸惑う一同。

どうしてこうなったかというと、遡ること二週間前。

 

タイムトンネルでミカドの攻撃を受けた壮間は、時空の間を彷徨い、気付いたころには見知らぬ場所に不時着していた。それが二週間前の木組みの街だった。

 

その後ロイミュードに出くわし、変身したはいいが重加速に対応できずボコボコにされていたところを、ドライブに助けてもらい、事情を説明してドライブに変身する彼の手伝いをすることになった…というわけだ。

 

その縁で走大の行きつけの喫茶店、ラビットハウスの一同と知り合いになり、こっちも手伝うようになった。

 

 

 

「で、なんでそんなに厳重に縛ってるのかな?」

 

「こうでもしないと俺や走大さんに襲い掛かりますからね。実際殺されかけましたし」

 

 

手錠に加えて手足を縛り、椅子に座らせた上からもロープでぐるぐる巻きにする様子を、ココアは不思議そうに眺めている。実際暴れるのを必死に抑えているので、信ぴょう性は高いのが分かる。

 

 

「壮間から話は聞いてるぞ、危ない奴なんだってな」

「黙れ、仮面ライダードライブ!仮面ライダーは悪、必ず貴様も俺が殺す!」

 

「おっと、随分な言われようだな。それじゃあ自己紹介しとくか。

俺は仮面ライダードライブ、栗夢(くりむ)走大(そうだい)。この街を守る刑事で…仮面ライダーだ!」

 

「嘘つかないでください。刑事は刑事課や生活安全課の警察官、走大さんは地域課の交番勤務です」

 

「チノはいちいち厳しいんだよ。交番勤務で仮面ライダーって…なんかカッコ悪いだろ!?あーもう疲れた。ココア、アイスコーヒー頼む」

 

 

ココアからカップを受け取った走大は、眠そうに上半身を机に寝かせる。

一方、壮間はミカドから目を放さず、瞬きもしない勢いで監視していた。

 

 

「あのアナザードライブもまだ見てないし、ウォッチを手に入れるまで大人しくしてろよ」

 

「ふざけるな。ドライブを殺して俺がウォッチを手に入れる。それでこの時代とはおさらばだ」

 

「良いわけないだろ!?歴史を消すのが目的なら、何も走大さんを殺さなくたって…」

 

「甘い。仮面ライダーは世界を食いつぶす邪悪、貴様は害虫をわざわざ逃がすのか?

そもそも貴様なんぞに力を得させはしない。王になろうだなど、貴様も所詮は悪の一端だ!」

 

「それは……」

 

 

「違います。仮面ライダーは正義の味方、この街を守ってくれるヒーローです」

 

 

壮間とミカドの口論に割って入ったのは、透き通るように美しい、幼い声。チノだった。

 

 

「何?」

 

「仮面ライダーは悪者じゃないです。走大さんや駆さんは、いつも私たちのために戦ってくれる優しい人です。……悪く言わないでください」

 

「仮面ライダーがどれだけの悲劇を生んだのか、知りもしない子供の分際で…!」

 

「そちらが知らないだけじゃないんですか?」

 

「貴様……!」

 

 

「け…喧嘩はダメだよ!チノちゃん!」

 

「心愛さんの言う通りです、走大さんも何か言って……」

 

 

2人をたしなめようとするココアと壮間。争点である走大に助けを求めるが…

 

 

「眠い…もう動きたくない…もう働くのやめた……」

 

「走大さん!?」

「走大くん!?」

 

 

走大はいつの間に寝そべっており、完全にエンジンオフの状態になっていた。ドライブに変身したときの覇気は微塵も感じられず、顔のいたるところが緩みまくっている。

 

 

「ココアさん、何飲ませたんですか」

 

「え~!?私ちゃんとアイスコーヒー出して…あっ!これミルクだ!」

 

「コーヒーでエンジンがかかって、逆にミルクでギアが落ちる体質……何度見ても極端ですよね……しっかりしてください走大さん!交番どうするんですか!」

 

「そんなの…ココアとか千夜…あとマヤとかに任せるよ…」

 

「そんな急に言われても困るよ~!」

「その人選だと、明日には交番が無くなってそうで怖いです」

「ちょっと走大さん!?寝ないでください!心愛さん、コーヒー持ってきて、コーヒー!」

 

 

険悪なムードから一転、ラビットハウスはドタバタと大騒ぎに。カウンターに置かれた白い毛玉のようなウサギが眠たそうに欠伸をする一方、つまづいたココアが熱々のコーヒーを走大の頭にぶちまけた。

 

 

「こんな奴が仮面ライダーだと…?」

 

 

怪訝そうな顔で呟くミカドにも、ココアによってコーヒーがぶちまけられるのだった。

 

 

 

____________

 

 

 

2014年、警視庁捜査一課。

 

 

「強盗殺人で指名手配中の高尾信広、藤川高重、木嶋堅太郎の潜伏場所が分かりました。即刻向かうべきです」

 

 

書類をデスクに叩きつけ、威勢よく課長に詰め寄る若い刑事。

警視庁捜査一課巡査、相場(あいば)連二(れんじ)

 

しかし、課長は無慈悲にその資料を押し返す。

 

 

「駄目です。我々はこの一件には関与しない、それが決定なんです」

 

「何故ですか課長!あの街には交番が一つあるだけで、とても十分には思えません!

それに加え、あの街の手薄さを良いことに、犯罪者たちがあの街に逃げ込んでいるとも聞きます。先日のルパン騒ぎもあったばかりです。いくら犯罪率が異様に低いからといって、放置するのは愚策としか思えません!」

 

「ですが、検挙率も極めて高い。そうですよね?」

 

「それは……」

 

 

そう、木組みの街での検挙率は異常。それに加え、一年前に大量発生した機械生命体犯罪は、なぜか今では木組みの街に収束している。しかし、それにしては被害があり得ない程少ないのだ。

 

あそこにいるのは数人の警官のみのはず。その数字はどう考えても不自然だった。

 

 

「あの街にはあの街のやり方があります。我々が下手に口を突っ込んでも、足手まといにしかならない」

 

「ですが…!納得できません!」

 

「相場くん、君のその情熱は正義ですか?それとも私怨ですか?」

 

「……!それは…」

 

「その答えが出るまで、君を動かすわけにはいきません。

今は信じてくれませんか?あの街の番人を」

 

 

話は終わった。相場にとって、とても納得できないような形で。

 

3人組の一人、藤川高重は11年前に事件を起こし、追跡に来た刑事を殺害してそのまま逃走した。

その刑事こそ、当時捜査一課で活躍していた相場昭三。相場連二の父だった。

 

何故だ。

 

父の仇がそこにいると分かっているのに、何故自分は指をくわえて見ていなければならない。

それでは、一体何のために警察になったのかも分からない。

 

 

「ふざけるな……ふざけるなぁッ!!」

 

 

どうしようもない怒りを吐き出すように、相場は資料を破り、投げ捨てた。

ヒラヒラと宙を舞う紙切れが自分を煽っているようで腹立たしく、人目もはばからず紙を踏みにじって叫んだ。

 

 

その時だった。異変に気付いたのは。

 

 

これだけの事をしたのに、誰もこっちを見ていない。それどころか、誰も動いていない。

紙切れはいつの間にか、宙に置かれたように止まっている。

 

 

「どんより…?いや、でもなんで俺は…」

 

「正義の味方になりたくはないか!憐れな公僕よ!!」

 

 

相場の前に空間に割り込むようにして現れた、謎の男。

風変わりなスーツとでも言うべき青紫の服で身を包み、時計のデザインを取り入れたシルクハットに、ステッキを身に着けた若い青年。

 

その風貌は、まるで紳士や貴族のよう。

 

 

「なにもんだ…アンタ」

 

「吾輩はタイムジャッカーが一人、名をアヴニル!貴公の願いは把握した。

貴公は絶望している!幼き頃から夢だった警察官…その実態が、こんな怠惰にまみれた職場だとは!子供たちの夢を守るため、力を手に入れ、この組織を正しき姿に統率する!それが願いであろう!違うか?」

 

「何の話だ…?」

 

「……違うのか?

まぁ、そんなことはどうでも良い!」

 

 

タイムジャッカーと名乗る男、アヴニルは少し焦った様子で、手袋を着けた手の上にブランクウォッチを乗せる。

 

 

「貴公のその熱いマインドにシンクロした!

仮面ライダーの力は正義の力!これより貴公の成すことは全て!この力と名の下に正義となる!!」

 

 

アヴニルはステッキを回しながら、クルクルと舞うように相場の前まで距離を詰める。

ウォッチを起動させると、その文字盤は変化を遂げ、醜悪な怪物の顔が浮かび上がった。

 

 

《ドラァイブ…》

 

 

アナザーウォッチを相場の体に埋め込む。

体内から焼かれていくような苦痛が彼を襲うが、その力が自分を別の存在に変えていくのも実感していた。

 

 

「あ…あァ…ア゛アァァァァッ!!」

 

 

割れたマスクの瞳が輝き、“変身”が完了した。

赤き暴走車両──アナザードライブが誕生した瞬間だった。

 

 

 

「歴史を喰らえ!世界をその手に!今ここに大義の王が降誕した!

貴公こそが…仮面ライダードライブだ!!」

 

 

 

 

____________

 

 

次回予告

 

 

「木組みの街、連続殺人事件…」

「一枚1000円。やっぱシャロちゃん可愛いし?」

 

 

事件発生、駆けつけたのはチャラ男カメラマン!

 

 

「目指すはルパンの秘宝!チマメ隊withお姉ちゃんズ、出動だよ!」

「何故俺まで……」

 

 

事件の鍵は、ルパンの最期の宝──

 

 

「アナザードライブはどうして、4年も同じ場所に留まっていたんだ?」

「正義って…どこにあると思いますか?」

「繋がった。犯人は──」

 

 

熱い魂と己の正義で、全ての謎を解き明かせ!

 

 

「そんな歪んだ正義で、仮面ライダーを騙らせない!」

「全てのライダーを倒す。それが俺の正義だ!!」

 

 

次回「ナイスドライブ2014」

 

 

「仲間がいれば迷わない。誰よりも早く、お前の道を走り抜けろ」

 

 

 




バーンは006。無論別人ですので、あの出オチロイミュードではありません。
重加速は意識も鈍化する、というのが改ざん点です。ご了承ください。
考えた設定とバトルシーンでも尺食いそうだし…事件パートと日常パート大丈夫かなぁ…長くなりそうだなぁ…

あ、今回はベルトさんをオミットしました。歴史消滅による別れは毎回やると重いっていうのと、ベルトさんはクリム以外だと違和感凄かったので。苦肉の策として走大にキャラを統一させました。はい。ちゃんとバックストーリーも考えてますので、靴を投げないで!

感想と評価、評価、評価をよろしくお願いします!(高いやつ)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。