仮面ライダージオウ~Crossover Stories~   作:壱肆陸

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※注意
これは本作品ビルド編で扱った、「バンドリ×ビルド」の物語の一部を切り取ったものです。






















Access…[Archive 2017]

File:CROSS-Z






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憂鬱なホリデー


天介「天才科学者!この俺、羽沢天介は!仮面ライダービルドとなって日々スマッシュと戦っていた!」

 

??「誰にしゃべってるんだ?」

 

天介「この作品は初見さんに優しいをモットーにしてるからな。さっきも言ったけど、俺は羽沢天介。容姿端麗、文武両道、頭脳明晰、最強無敵の仮面ライダービルドだ!」

 

??「俺は焼鯖定食が好きだ」

 

天介「四字熟語言うコーナーじゃないからな!?

お前もちゃんと自己紹介しろよ?何せ今回はお前が……!」

 

??「?」

 

天介「おっと、ネタバレはNGだ!それじゃあ本編へGO!」

 

 

 

________

 

 

 

《封印のファンタジスタ!キードラゴン!!》

《イェイ!》

 

 

蒼の半身と金の半身。龍と錠前の複合戦士、キードラゴンフォームへと変身を果たした仮面ライダービルドは、敵幹部ナイトローグへと攻撃を開始した。

 

これは先日の戦闘の映像データ。

ビルドラボにて羽沢天介は、その映像とその時の自身のバイタルデータを比較し、引きつった表情を見せた。

 

 

「こーれはちょっと…とんでもない暴れ馬だ」

 

 

天介は机に置かれた蒼いボトルを見て、さらに表情を歪める。

 

もう1人の敵幹部、ブラッドスタークから渡されたこのドラゴンフルボトル。

天介はそれとロックフルボトルのベストマッチを発見し、キードラゴンフォームへと変身。ナイトローグに対し、初の白星を挙げた。

 

しかし、問題はその後。天介はキードラゴンの力を制御しきれず、自滅する形で変身を解除。ナイトローグを取り逃がしてしまった。

 

 

調べた結果、問題があるのはドラゴンサイド。このドラゴンボトルは他のボトルと比較しても、内包するエネルギー量が桁違いであり、天介はロックの力でドラゴンを抑えつけることにより制御しようとした。

 

が、使用してみると想定を大きく超えていた。

 

戦闘が続くことで力が増幅。ドラゴンボトルのエネルギーの75%を開放した付近でロックボトルが機能を停止し、左右のバランスが崩れたことで変身状態が自壊してしまった。これが暴走の真相である。

 

 

「100%を出してないってのが悩ましいな。現状、ロックボトル以上に鎮圧力があるボトルは無いし、そもそもベストマッチなんだからこれが最善の形ってことになる…同等の力のボトルと組み合わせればつり合いも取れるだろうが…そうなると俺の体が一分と持たないし……」

 

 

ぶつくさと独り言を吐きながら、思考を巡らせる。この状態が既に一晩続いている。

 

 

「ドラゴンボトルの力を補助する装備は完成した。やっぱりプランBで…ってヤバいもう12時か!」

 

 

ふと時計に目をやり、天介は我に返って慌てて机を片付ける。

計算用紙はゴミ箱に突っ込み、開発した装備もその辺にぶん投げた。

 

 

「兄さん?」

 

「お…おぉ、つぐみ!待ってたぞー?」

 

 

今日の正午は天介の妹、つぐみが来ることになっていた。

というのも、あまり家に帰らない天介を心配しての行動だ。

 

そして、天介は自分がビルドであることを、つぐみには秘密にしている。

 

 

「今何か隠したでしょ」

「別に何も隠してないって!で、来てもらったところ悪いけど、お兄ちゃん研究のあれやこれやでちょこっとだけ忙しいから!また今度勉強教えてやるから今日は帰って…」

 

 

あわあわと言い繕う天介を、正面からじっと見つめるつぐみ。

天介はいつもそうだ。相手が家族でも…いや、家族だからこそ、その本心を見せようとしない。それが彼女にとっては、不服で仕方が無かった。

 

そして、上手く隠せていると思い込んでいる所も、その苛立ちを募らせる。

 

 

「兄さん」

 

「ん、どうした?」

 

「服脱いで」

 

「はぁ!?いやいや、いくら俺がイケメンだからって兄妹でそういう事は…あっちょっとどこ触ってんの!つぐみのエッチ!」

 

「誤魔化さないで!昔から嘘つくの下手なんだから」

 

 

つぐみは天介の抵抗を振り払い、彼の衣服をまくし上げる。

露出した彼の身体を見て、つぐみは顔をしかめた。

 

 

「やっぱり…」

 

 

胸から腹にかけて焼けただれている。ドラゴンボトルの許容限界を超えたエネルギーが逆流した結果だ。しかも処置も雑。病院にすら行ってない事が丸分かりだった。

 

 

「なんで怪我したか、聞いても教えてくれないんでしょ。だったら少しは自分も大切にしてよ!私だって…みんなも兄さんのこと、すごく心配してるんだから!」

 

「…つぐみ……悪かった」

 

 

涙を溜めた目でつぐみは天介に訴えかける。

でもきっと、つぐみでは彼の根底にあるモノを変えられない。

 

つぐみには、天介を救えない。

その無力感が虚しくて仕方がない。

 

 

「……とにかく、まずは病院に行ってもらうからね!それと…」

 

 

つぐみは天介に一枚のチケットを差し出した。

 

 

「あの、つぐみ?これって…」

 

「こころちゃんから兄さんに、って。兄さんは安静にしてても無茶するんだから、そこで少しは楽しんできて!」

 

「えぇ…でもここって…」

 

 

そのチケットに書いてある名前を見て、天介は今日一番面倒くさそうな顔をした。

 

 

 

 

________

 

 

 

「っ…らァ!」

 

 

弦巻家所有のトレーニング場で、その男は拳を振るう。

相手は機敏な動きをするロボット。弦巻家が開発した最先端のトレーニングマシンだ。

 

ロボットの方も攻撃を仕掛け、その攻防は格闘家の試合と言うより、「喧嘩」という言葉が似合う。

 

性格無比なロボットの攻撃を躱した男は、弾丸のように鋭いカウンターを繰り出す。

 

 

「あ」

 

 

その一撃はロボットの頭部に直撃。

ロボットの頸は胴体から離れ、空中に打ち上げられてしまった。

 

慌てて千切れた頭部を拾い、男はキョロキョロと辺りを見渡す。

そして棚に置いてあった接着剤を見つけ、真顔で頭部に塗りたくった後、胴体に乗せて息をついた。

 

 

「よし」

 

 

ドヤ顔な男だが、全くよしじゃない。接着剤でロボットが直るわけがない。近代文明を何だと思っているのだろうか。

 

ちなみにこの時点で誰もが気付いているだろうが、この男は生粋の「馬鹿」である。

 

 

「ここにいたのね、東馬!」

「お嬢…うぁっと!」

 

 

そんな場面に駆け足で現れた少女は、弦巻家の令嬢、弦巻こころ。

彼女は男の姿を見るや、満面の笑みで飛び掛かるように抱きついた。

 

彼女を「お嬢」と呼ぶ、この男。

茶髪のオールバックだが、いかつそうな雰囲気を見せない若い顔立ち。

 

彼は経堂(きょうどう)東馬(とうま)

弦巻こころ専属の使用人にしてボディガードである「黒服」の一人。黒服は主に女性だが、東馬は特別。こころと輪をかけて仲がいい点も特別と言える。

 

 

「ねぇ東馬!今日はとっても楽しい夢を見たの!ハロハピのみんなで宇宙に行って、宇宙人といっしょに演奏したのよ!」

 

「へぇ、宇宙人って楽器できるんですね」

 

「でも東馬は後ろで見てるだけだったわ。いっしょに演奏できたら楽しかったのに!」

 

「お嬢がそう言うなら。歌なら歌えますよ、童謡とか」

 

「それは楽しそうね!じゃあ夢で会ったら一緒に歌いましょう!」

 

 

こんな会話がしばらく続く。

というのも、こころの次元の違う会話に素でついて行けるのは、使用人の中でも東馬だけなのだ。

 

 

「ところで東馬、明日の予定は空いてるかしら?」

 

「暇ですけど」

 

「それはよかったわ。それじゃあ明日、みんなでいっしょに遊びましょう!

ミッシェルの国、ミッシェルランドで!」

 

 

 

________

 

 

 

「なんっ…じゃこりゃ」

 

 

つぐみ監視の下、しっかり一日休まされた天介。

半強制的に行かされたその場所は、先日、広大な土地に突如として出現した遊園地。その実態は、弦巻家の力によって猛スピードで建設された「ミッシェルランド」である。

 

ポケーっと見上げる天介の横には、同じような様子な少女が。

 

 

「あ、美咲ちゃん」

「あ、天介さん」

 

 

ハロー、ハッピーワールド!のDJである熊のミッシェル…の中の人、奥沢美咲。

帽子にパーカーといういつもの風体だが、祀るかのように建てられたミッシェル(自分)のテーマパークを前に、何を思っているのだろうか。

 

 

「話には聞いてたけど…どうなってんの弦巻家」

「あたしに聞かれても困りますって」

 

 

「天介!美咲!来てくれたのね!」

 

 

続いて登場するのは、話題に上がっていた元凶のこころ。

その後ろには黒服姿の東馬もいる。

 

 

「あれ、今日は東馬さんも一緒なんだ」

 

「えぇ。美咲は前に来られなかったし、東馬は天介ととっても仲良しみたいだから呼んでみたわ!」

 

「付き添いお前かよ経堂!バカが増えると疲れるんだけど!?」

「疲れているのか天介。そういう時は肉を食べろ」

「誰のせいで早速疲れてると思ってんだ?」

 

 

天介と東馬は面識がある。今年の春、美咲が捕まりスマッシュ化させられるという事件が起こった。その時行動を共にして以来、何かと関りがある。いわば、腐れ縁のようなものだ。

 

 

「毎度お前が絡むとロクな事が無いからな!せっかくの休みだし、お前とは絶対一緒に行動しない」

「別に俺もお前とは一緒に遊びたくない」

「はぁー?上っ等だよ、俺には美咲ちゃんとこころちゃんいるし?両手に花で遊んじゃうから!」

「お嬢がいるなら俺も一緒だ」

「だからお前は嫌だって言ってんだろ!」

 

 

「ほら!あの二人、とっても仲いいのね!」

「こころ。あれは仲良しとは言わないんだよ」

 

 

 

________

 

 

 

「言った傍からなんでお前と一緒なんだよ!」

 

「お嬢のグーパーに文句があるのか」

 

 

まず一行が乗ったのはコーヒーカップ。こころの目に留まったという理由で決定した。

ミッシェルの顔を模したカップに2人乗りであるため、4人を2つに分けた結果こうなってしまった。

 

 

「ほんっと、せっかくの療養が台無しだっての」

 

「りょーよー?その腹の怪我の事か」

 

「…なぁ、俺ってそんなに分かりやすい?」

 

「何か嘘をついていたのか?嘘は良くないぞ」

 

「んん?なんだ経堂、煽りか?」

 

 

少しイラついた天介は、コーヒーカップの回転を速める。

 

 

「てか、こころちゃんは前に来たんだよな?お前はついて行かなかったのか」

 

「あぁ。ここに来るのはここを作った時以来だな」

 

「サラッと言うな。どうやってパパっとこんなもん建てるんだよ」

 

「頑張った」

「語彙力が日本語検定4級」

 

 

2人のカップの反対側では、こころと美咲のカップが凄いスピードで回転している。ついでに美咲の叫び声とこころの笑い声も聞こえた。

 

それを見た東馬は腕に力を込め、同じようにカップを猛スピードで回す。

同じように、というか更に速くカップが回転し、天介が絶叫。

 

東馬は凄まじい力でハンドルを無理矢理止め、その回転を一瞬で停止させた。

激しい静と動を味わった天介は、東馬に一言。

 

 

「死ぬわ!」

「分かっただろ」

「お前がおかしいってことが!?」

 

「俺の体だ。あの時…美咲を助けたとき、あの蛇野郎にガスを吸わされてから、なんというか…すげぇ強くなった感じがする」

 

「…ネビュラガスをたっぷり吸ったからな。残念ながら、お前はもう人間じゃない」

 

「そんなのはどーでもいい。つまりアレだ、

今の俺は超強いってことだ」

 

「何の話だよ」

 

「お前より強いと言っている」

 

「何かと思えば脳筋ゴリラのマウントですか!いいか?男は強けりゃいいってもんじゃないんだよ。そう、例えば…お前、友達いないだろ!人望大事!」

 

「俺にはお嬢がいれば十分だ。そもそも、お前だって友達いるのか?」

 

「いるし!超いるし!お隣の山田、常連の北田、あと八百屋の浜田に…」

 

「田が多いな」

 

 

そんな大声の会話はこころと美咲ペアにも届いていた。

 

 

「天介って友達がたくさんいるのね!でも、つぐみは“兄さんは全然友達がいない”って言ってたわ。これってどういうことなのかしら?」

 

「それ天介さんには言わないでね。あの人泣いちゃうから」

 

 

 

_______

 

 

そして次のアトラクション。

 

 

「知ってるかい?美咲ちゃん。幽霊ってのは科学的にほぼ証明されてて、プラズマだったり見間違いだったり。時には勘違い…ブラシーボ効果で幽霊がいるって錯覚しちゃうらしいんだ。大体、幽霊がいたところで俺達に実害があるわけじゃないし、呪いなんてそれこそ非科学的というか怖がる必要は全く無いわけで」

 

「あー、そういうのいいですから。

 

手、離してくれませんか?」

 

 

やって来たのはお化け屋敷。ここでも2人1組なので、再びグーパー。

今度は天介と美咲がペアとなった。

 

そして、天介は美咲の手を力いっぱい握りしめていた。

 

 

「怖いのは分かりましたから。ていうか痛いです」

 

「こ…怖いわけないじゃん!?確かに弦巻家が作っただけあって気合入ってるなーとは思うけど?これはあれだよ、君を強く抱きしめて離さないよ的な…つまり……そういうことだよ」

 

「薫さんみたいになってる所悪いですけど、全然決まってませんから。お化けが怖いから年下の女の子の手を握って前を歩かせるって…いい年して恥ずかしくないんですか!?」

 

「嫌だ!手を離したら俺だけ呪われる!どうせ呪われるなら他の奴も一緒じゃなきゃ嫌だ!」

 

「こころー!東馬さーん!この23歳児のお守り代わってくださーい!!」

 

 

ギャーギャーとお化け屋敷に似つかわしくない言い合いが繰り広げられる。

ひとしきり騒ぐと、天介も美咲も冷静になって息をついた。

 

 

「……貸し切りでよかったですよ。本当」

 

「…そういえば、美咲ちゃんは怖くないの?得意そうにも見えないけど」

 

「あたしは一回来てますから。奥沢美咲じゃなくて、ミッシェルとしてですけど」

 

「あぁ…言われてみれば聞いたわ。確かミッシェルが多すぎて遭難したって。

そういえば、美咲ちゃんはまだ4バカに正体明かしてないんだ」

 

「隠してるつもりはないんですけどねぇ…理解してくれないだけで。でも東馬さんくらいは理解してほしい」

 

 

ハロハピも結成してからそこそこ経つなぁ…と、しみじみ思う美咲。

そして3バカ+東馬の扱いも段々と手馴れてきた自分が少し嫌だ。

 

そんな時、美咲はふとこんなことを尋ねた。

 

 

「天介さんは、いつまで隠すつもりなんですか?

Afterglowのみんなに、ビルドのこと」

 

 

美咲とこころは、例の一件で天介が仮面ライダービルドだということを知っている。

そして、最も身近な人たちにそれを隠していることも、知っていた。

 

美咲は話すべきだと思っている。なにせ、天介が背負うソレは、一人で抱えるには重すぎる。誰にも理解されないまま、感謝も見返りも無く孤独で戦い続けることがどれだけ辛いのか。想像もしたくない。

 

美咲は天介と東馬に救われた。だから、他人よりは心配しているつもりだった。

 

でも、天介は明るく答える。

 

 

「ずっとだよ。名も顔も知らないヒーロー、ってのがカッコいいんだからさ」

 

 

つぐみと天介は血の繋がっていない兄妹。でも、よく似ている。

この兄妹は努力家で、他人思いで、頑張り屋。だから色々なことを背負い過ぎてしまう。

 

天介もそれを知っているから、ビルドの事は話さない。

知ってしまったらきっと、背負おうとしてしまうから。

 

 

「天介さんがそれでいいなら、あたしは別に…」

 

 

美咲の肩が何かにぶつかった。

天介は後ろを歩いているから、天介ではない。暗闇から現れたのは…

 

チェーンソーを持って、返り血を浴びたミッシェル。

 

そうだ、そういえばここお化け屋敷だった。

 

 

「ぎゃあああああああ!!!熊のお化けぇぇぇぇぇ!!」

 

「お、お、落ち着いてください!ミッシェルですよ、怖いけど!

あ!あの人、あたしを置いて逃げたんだけど!あんたそれでも男かぁぁぁぁ!!」

 

 

逃げた先には、更にミッシェルの大群が。

 

 

 

「「いやああああぁぁぁぁ!!」」

 

 

 

_______

 

 

 

「楽しかったわね、東馬!」

「ですね」

 

 

お化け屋敷から出てきた東馬こころペア。この2人にかかれば、お化け屋敷から出てきても満足そうな顔だ。

一方で天介の方は、ベンチでグッタリしている。

 

 

「ミッシェルが1匹…ミッシェルが2匹…」

 

「大丈夫ですかー」

 

「うわぁぁ!ミッシェル!」

 

「違います。いや、違わないけど」

 

 

美咲の顔を見て、天介は撃沈。

時刻は正午に近付いてきて、太陽も空高くで輝いている。夏も近いため、そろそろ暑さが鬱陶しくなってくる頃だ。

 

 

「お嬢、なんか飲み物買ってきます」

「あ、不安なんであたしも。天介さんはコーヒーでいいですよね。こころは…なんでもいいか」

 

 

走り去っていく東馬に、美咲も続く。

天介が気が付いた時には、こころと2人になっていた。

 

 

「今日はよくペアになる日だな…」

 

 

天介にとって、実のところ弦巻こころという少女はよく分からない。

天才気質同士の氷川日菜と天介は気が合うのだが、同じタイプでもこころは何か違う。

 

こころはいつも楽しそうだ。時に、悲しみや怒りの感情が欠落していると思えるほどに。

そして、心に全くの陰りが無い。それが、天介がこころと距離を置きがちな理由だった。

 

 

「どうしたの、天介?なんだか難しい顔してるわ」

 

(顔は可愛いんだけどなぁ…)

 

 

すると、こころは珍しく少し考えているような表情をする。

 

 

「やっぱり…天介と東馬って、まるで正反対ね」

 

「ん?そりゃあまぁ、超天ッ才の俺とバカ経堂だからな」

 

「東馬はいつもこーんな難しい顔してるけど、気持ちはずっと笑ってるわ!

でも天介は、お顔が笑っていても心はとっても辛そう。こんなに楽しいところにいるのに、よく分からないわ」

 

 

この少女はお嬢様で我儘で自分本位の癖に、気持ち悪いほど人が見えている。

あぁ、やっぱり彼女は苦手だ。

 

 

「でも、やっぱり東馬と天介はとっても仲良しなのね!」

 

「アイツと…?いやいや」

 

「そうなの?でもあなた、東馬とおしゃべりしてる時は……」

 

 

こころがそう言いかけた時、

派手に何かが砕ける音が、ミッシェルランドに響き渡った。

趣味の悪い演出じゃないのは、誰にでも分かった。

 

 

「こころちゃん、下がって!」

 

 

 

流石は弦巻家お手製遊園地。直ちに警報音が鳴り響く。

それ即ち、非常事態の発生を意味していた。

 

そして、ジェットコースターの柱を破壊し、こちらに近付いてくる姿。

 

 

「さて、最悪の状況だがどうするか…!」

 

 

悪い予感に現実がジャストミート。ミッシェルランドに現れたのは、ネビュラガスから生まれた人体改造の産物、その名もスマッシュ。

 

クネクネと動き、緑色の体色と触手を持った「ストレッチスマッシュ」と呼ばれるタイプの怪物だ。

 

 

「さぁ、実験を始めようか」

 

 

いつもの言葉を口にして、天介は自身のメンタルをリセットさせる。

ゆっくりと目を開け、両手のボトルをシェイク。計算式が天介の周りに出現した。

 

その様子に、こころは目を輝かせる。

それもそうだ。今この瞬間、正義のスーパーヒーローが誕生する。

 

 

《ラビット!》《タンク!》

《ベストマッチ!》

 

 

振り続けたラビットボトルとタンクボトルを、装着したビルドドライバーにセット。

天介がレバーを回し、スナップライドビルダーが展開。

 

 

《Are you ready?》

 

「変身!」

 

 

ポーズと掛け声が合図となり、生成されたアーマーが天介の姿を変えた。

遊園地で意気揚々と、「仮面ライダービルド」は触角をなぞって言い放つ。

 

 

《鋼のムーンサルト!ラビットタンク!!》

《イエーイ!》

 

「勝利の法則は決まった!」

 

 

 

_______

 

 

 

「人が働いてるときに呑気に遊園地ぃ~?ムカつくからぶっ壊してやんないとなァ」

 

 

監視カメラをジャックしたモニターを見て、蛇柄スカーフの少年は椅子の背もたれに体重を乗せ、吐き捨てるように呟く。

 

指で回していたコブラボトルを置いて、少年は頭だけを後ろに向かせ、振り返った。

倒れそうな体勢で少年が視線を向けるのは、もう一体のスマッシュ。

 

 

鋼鉄の巨躯をプロテクターで覆ったような、まさしく「兵器」の佇まい。

 

 

「コイツは“ブレイクスマッシュ”!ガーディアンのテクノロジーとネビュラガスを融合させた傑作だ!さぁさぁどうする、羽沢天介ぇ~!?」

 

 

過呼吸のように荒い笑い声の中で、

ブレイクスマッシュは、その破壊衝動を起動した。

 

 

 

 

 

 

 




後半に続く。
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