仮面ライダージオウ~Crossover Stories~   作:壱肆陸

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四谷西哉
アナザービルドに変身した青年。通称「天才的凡人」「神様が無難な感じで作ろうとして失敗した男」。父は裏社会を牛耳る政治家で、あらゆる才能に恵まれなかった彼は父から無慈悲に当たられた。ナイトローグの資格者だったが、その才能へのコンプレックスからアナザービルドに。理性を失い、亡霊のように才能をボトルとして集めることとなった。

本来の歴史では・・・
ナイトローグとしてビルドに敗北し、戦力外通告を受ける。その後、仮面ライダーローグとして戦場に舞い戻り、その人生に色々と黒歴史を刻む(詳細は省略)。




暇すぎてヒマワリになりました146です(は?)
嘘です。やること多すぎて暇じゃないです。テストあるし。

とりあえず、今回はごちうさ×ドライブ編、完結です!


木組みの街 シークレット・ミッション

2018

 

 

『楽しかったねー、木組みの街!』

 

「…うん、そうだな」

 

 

何事も無い、休日の夜。

自宅へと戻ってきた壮間は、電話越しの香奈の声に答えた。

 

アナザードライブを倒し、歴史は変わった。

ドライブの力はミカドが手に入れてしまったが、2014年で成すべきことは全て果たした壮間は、彼らに別れを告げて2018年へと戻ってきていた。

 

 

2018年の木組みの街は、完全に平和な街になっていた。

静止していた街の4分の1も元通り。そのためか、歴史を変える前よりも活気があったようにも見えた。

 

帰ってきたのは、壮間が香奈を探しに行った直後の時間。

経過したのは恐らく数分程度だが、壮間にとっては数週間の…いや、もっと長く、重い時間だった。

 

 

(こっちに帰ってきて、心愛さんや紗路さんには会わなかったけど…元気にしてるだろうか。ま…俺の事は覚えてないか)

 

 

壮間はコップに入れたコーヒーを口に運ぶ。

やはり、つぐみや智乃が淹れた方が断然うまい。というかこのコーヒーマズい。

 

 

『あ、そうだ!これこれ、これ見てよ!』

 

 

夜だというのに、元気のいい香奈の声が響く。

すると間もなく、壮間の耳に通知の音が入ってきた。

 

通話している携帯の画面をトークアプリに切り替えると、香奈から画像が一枚届いている。

 

それを見た壮間は、目を見開いた。

 

 

「これって……!」

 

『もうすぐこの辺に来る甘味処のチラシなんだけど、なんと!木組みの街にあったお店なんだって!タイムリーじゃない?えっと…庵兎…甘?』

 

「逆。甘兎庵だよ。昔の書き方で左右逆だけど」

 

『へー、よく知ってるね。ここ行っておけばよかったなー…』

 

 

そう、それは近々開店する、甘兎庵のチェーン店の宣伝広告だった。

まだ千夜も2018年では大学生だろうから、とても小さな店だ。

 

 

(そういえば、全国チェーンが夢って言ってたな…さすが千夜さん、行動力凄い)

 

 

その下には、相変わらず奇抜な名前の和菓子のサンプル画像が並んでいる。

壮間は苦笑いする半面、彼女が元気そうで安心した。

 

さらに見れば、バイト店員の写真もあった。ホストクラブかよ、と壮間は小声でツッコむ。やはり彼女のセンスはどこかズレている。

 

 

(紗路さんは…いないか。甘兎庵では働かないって言ってた気がするし…)

 

 

目を離そうとしたとき、壮間の目は一番端の店員の写真に釘付けになった。

 

 

「この人…!」

 

『ん?どしたのソウマ』

 

 

無我夢中で写真をズームする。

表情が違って雰囲気が違うが、間違いない。

 

 

「そっか…これも何かの巡り合わせかもな…」

 

 

その店員は、茶髪でスレンダーな女性。そして、若干鋭いその目つき。

018の人間の姿と、よく似ていた。いや、きっと彼女がコピーした人間だろう。

 

壮間は知らないが、018の記憶によれば、彼女は本来の歴史なら死亡している。

ロイミュードがいなくなったことで起こった改変が、彼女を生かしたのだ。

 

甘兎庵の2号店で働くなら、シャロと会うかもしれない。

 

018が生き返ったわけでもない。シャロが覚えているわけでもない。

でも、なぜだか壮間は、この奇妙な出来事がたまらなく嬉しかった。

 

 

 

壮間は再び、2014年での出来事に思いを馳せる。

そして別れの時、走大は壮間にこう告げた。

 

 

『仲間がいれば迷わない。誰よりも早く、お前の道を走り抜けろ』

 

 

2014年と壮間を繋ぐ証である、いつの間にか持っていた白と黒のライドウォッチを持って、壮間は呟いた。

 

 

「仲間…か……」

 

『おーい!聞こえてる?電波大丈夫?ソウマー!』

 

「聞こえてるって。もう遅いし、明日学校だろ?切るぞー」

 

 

通話を切り、電気を消す。

布団に入って、さっきの言葉を反芻するように目を閉じた。

 

 

(仲間…そういえば、ミカドの奴……)

 

 

ミカドは戦いの後、壮間から“ある物”を受け取って、挨拶もせずに去って行ってしまった。

チノが寂しそうだったのを、壮間は覚えていた。

 

アイツともまた会えるだろうか、そう心の中で言うと、壮間は沈むように眠りに落ちた。

 

 

 

_________

 

 

 

戦いを終え、2018年に降り立つミカド。

止まっていた街は、活気に溢れている。前は感じたあの嫌悪感も、今はむしろ心地いい。

 

 

「相変わらずだな。あそこまでしたんだ、そうでなければ困る」

 

 

ミカドはポケットから2枚の紙を出した。

一枚は、あの時から持っていたシストの地図。もう一枚は、別れの間際に壮間から貰った、二枚目のルパンのシストの地図だ。

 

二枚目がある事で、ミカドはその謎を解くことが出来た。

 

 

暗号を解くと、ある一文が浮かび上がる。

 

 

「“Is it a Hopeless World?”か…怪盗というのも、くだらない事を考える」

 

 

ミカドはある場所に足を進める。

この文章の意味と、そこから導き出される答え、そして、そこに込められたメッセージ。それは、以前までのミカドならば理解できなかっただろう。

 

 

“希望無き世界か?”

 

今のミカドが出した答えは、「×」だ。

 

 

「これがルパンの人生最高の宝か」

 

 

ミカドは“そこ”に辿り着いた。

 

「×」。それが意味するのは、ある「地図記号」。

地図記号で×とは、「交番」を意味する。

 

 

この街の交番はただ一つ。

そこには、この街の人々と平穏を守り続けた、“あの男”がいた。

 

情緒が喧しい、あの交番勤務が。

 

ミカドは、4年経っても変わらないその場所を前に、ドライブウォッチを持って口を開く。

 

 

「…仮面ライダーは倒す。俺の正義は変わらない。だが、認めてやる。今の俺では、貴様には勝てない。

 

貴様は……大した男だ」

 

 

 

ミカドは交番に背を向け、その場所を後にする。

もう一つだけ、行かなければならない場所があったから。

 

 

 

 

 

 

 

兎とコーヒーカップの看板。その外観は何も変わっていない。扉の隙間からコーヒーの香りがするその喫茶店の名は、ラビットハウス。

 

店に入ることは無く、ミカドは腕を組んで、ラビットハウスを眺める。

きっと歴史が変わっても、4年経った今でも、あの甘ったるい程に平和な世界が、この中に広がっているのだろう。

 

 

「お客さん…ですか?」

 

 

踵を返したミカドは、そんな声に呼び止められた。

水色の制服を着て、紙袋を抱えた長髪の少女。

 

消えた歴史で後悔に囚われ、自分の時間を止めていた彼女の姿は、もうそこには無かった。

 

 

ミカドに見降ろされながら見つめられ、若干怖がる少女。そんな彼女を見て、ここで過ごした僅かな時間を思い出す。

 

 

「コーヒー…美味かった」

 

 

そんな言葉が、ミカドの口から零れた。

更に困惑する彼女を横目に、ミカドはポケットに手を入れて去っていく。

 

 

遠のいていくミカドの背中を見て、少女は小さく笑みを浮かべる。

 

 

元気に跳ね回るウサギが彼女の視界を横切り、

チノは、ラビットハウスの扉を開けた。

 

 

 

 

___________

 

 

 

 

 

木組みの街での戦いが終わり、普段通りの平日がやって来る。

壮間は教室に入り、欠伸をして席に座った。

 

仮面ライダーになろうが、王を目指そうが、学生の宿命からは逃れられないと実感する。

 

 

「えー、突然だが。いや、本当に突然だが……転入生を紹介する」

 

 

教壇に立った担任が、そんなことを言いだした。

頭を押さえて、なにやらすごく疲れている様子の担任も気になるが、生徒の関心はまず転入生だ。

 

 

(3年のこのタイミングで転入か…俺の知ってる歴史ではこんなイベントは…って!?)

 

 

入ってきたその姿に、壮間は思わず立ち上がってしまう。

 

 

「えー、彼が今日からこのクラスに転入することになった…

光ヶ崎(こうがさき)ミカドくんだ」

 

 

別人だと思いたかったが、あんな殺気に満ち満ちた顔をする現代人なんているわけない。

間違いなく、壮間の知るミカドだった。

 

 

(というか…ミカドって苗字じゃなくて、名前だったんだ…)

 

 

思考停止してそんな感想しか出てこない壮間。

 

 

「どうぞよろしく」

 

 

全くよろしくする気のない眼光に睨みつけられ、壮間は日常にすら待ち受ける波乱を予感するのだった。

 

 

 

_________

 

 

 

「かくして、木組みの街で繰り広げられた、ドライブの力を巡る戦いは終わりを告げた。

力を受け継いだのは我が王ではなく、あのミカドと言う少年でしたが…我が王がドライブに認められたことに変わりはありません。まぁ、今は良しとしましょう」

 

 

暗闇の空間に佇むウィルは、次のページを開く。

 

 

 

「我が王が歩む、次なる物語は──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星も見えない暗い夜空を、舞い散る無数の桜の花びらが彩る。

 

その塚に生える、一本の桜の樹。

 

悠久の時を生きるこの樹の名は、「千年桜」。

人の時間を奪い、未練ある過去に引きずり込むと言う、「妖怪」だ。

 

そんな千年桜を清め、鎮めるように、

その男は桜吹雪の中で“打ち鳴らす”。

 

 

 

地を清め、邪気を祓い、全ての生命を祝福する

 

 

“清めの音”を。

 

 

 

“響”

 

 

 

 

NEXT>>2005

 

 

__________

 

 

次回予告

 

「あの転校生くん、モッテモテだね!勉強教えてくれるかな?」

「俺は慣れ合いに来たわけじゃない」

「はっ、頼んでも無いのに人助けか。暇つぶしご苦労なことだ」

「彼女を守りに、きっとヤツは現れる」

「ボク達は繰り返すんだよ~同じ人生、同じ命を」

「次は鬼退治というわけか」

 

「響鬼、見参」

 

 

次回、「オニとぼく2018」

 

 

 




オワタぁぁぁぁぁ!2つ目のレジェンド、いかがでしたでしょうか。次からはもっと単純な形にします!(反省)

そして次の物語…ライダーの方は皆さんご存知の、あの人です。
アニメの方は…大人気ですがハーメルンではマイナーと言っていいでしょう(元々女性向けですし)。ググれば出てきます。
この作品とライダーをクロスオーバーさせる奴は、多分後にも先にも僕だけになるでしょう!だって自分でもよく分かんねぇし!クロスオーバーに限界はねぇ!

まぁ、そんな作品を選んだのにも理由があり…ジオウをする上で、避けては通れない事を真っ向から突き付けてくるものとなる予定です。


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