仮面ライダージオウ~Crossover Stories~   作:壱肆陸

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アナザードライブ
2014年の相場連二が変身したアナザーライダー。改変された歴史ではドライブを抹殺しており、木組みの街の4分の1を静止させた。
重加速、記憶と容姿のコピーといったロイミュードの能力と、シフトカーの力や高速移動といったドライブの能力を併せ持っている。ドア銃を模したシールドは、仮面ライダーの必殺技さえも耐える強度を誇る。一定条件下で撃破しない限り、何度でも蘇る。

あつ森してたら遅くなった146です。
今回は2005年にタイムジャンプ!初見さん用に解説も増やし、今回からは響鬼要素が一気に増えます。


先祖返り

2005年で重要な情報を掴み、ミカドと合流しようとした壮間。しかし、電話越しにミカドから聞かされたのは衝撃的状況。急いで駆けつけた壮間が目にしたものは―――

 

 

「何をやっている。遅いぞ日寺」

 

 

倉庫にロリを拉致したミカドだった。

 

 

「いや、出オチ感すごいな!?」

 

 

 

_____

 

 

 

「ほら、大丈夫?」

 

「おい貴様、何を勝手に拘束を解いている」

 

「拉致の方が遥かに問題だわ。頼むから感覚を現代人に合わせてくれ」

 

 

とりあえず椅子に括り付けられていた凜々蝶の口元を自由にした壮間。当然、彼女の第一声はミカドに向けた文句だ。

 

 

「だ…誰だか知らないが、誘拐だぞ!?こんな事をしてただで済むと思っているのか!」

 

「そんなわけあるか。俺のやり方に楯突く奴は全員ただでは済まさん」

 

「さらに加害を!?」

「発想がヤクザ過ぎるんだよお前は!」

 

 

なんて騒いでいたら外から人の気配が近づいてきた。

咄嗟に壮間が凜々蝶の口を塞ぐ。何を隠そう、この場所は学校の体育倉庫。人通りも多いし、見つかったら最後、拉致監禁という重罪を着せられる。

 

 

「…ふぅ、行ったみたいだ。本当…何で話を聞くだけのために、こんなビクビクしなきゃいけないんだよ」

 

「話…?君たちは身代金が目当てなんじゃないのか?」

 

「君たちて…まずヤバいのはコイツだけだし、俺は君に聞きたいことがあるだけだって」

「そうだ。誰が貴様の家の財産になど興味があるか。俺が問い質したいのは貴様自身だ」

「誘拐犯が言っても説得力がなぁ…」

 

 

その話を聞いて、凜々蝶は驚いた。実のところ、彼女の短い人生の中で、誘拐されたのは初めてではない。というか、割とある。身代金目当てが大抵で、偶に毒舌美幼女という属性を好む稀有な変態からの歪んだ愛情が少々といったところだ。

 

だかたミカドの「貴様自身」という単語に、安直にも喜びさえ感じてしまった。

 

 

「はっ。大の男が二人がかりで幼子に頭を下げるとはな。そこまでするというなら、その生き恥に免じて話をしてやらんこともない」

 

「なんだとこの餓鬼」

「落ち着け!話してくれるんだからそれでいいだろ!」

 

 

反射的に威嚇し手を上げるミカド、を抑える壮間。凜々蝶は怯えながらも、逃げ出そうとはしない辺り話をする気はありそうだ。

 

 

「っと…まず俺はさっき14年前に行ったんだけど…」

「何を言ってるんだ君は」

「気持ちは分かるけど飲み込んで。そんで、俺はそこで“白鬼院凜々蝶”に会った。会って分かったけど、容姿も声も口調も君そっくりだった」

 

 

荒唐無稽な話ではある。混乱するか一笑に付すのが普通。だが、彼女はそんな話に“心当たり”があるかのように真剣な驚きを見せていた。

 

 

「会ったのか…?“前の”僕に」

 

「“前の”だと?貴様、それはどういう…」

 

「そのままの意味だよ、おにーさん☆

ボク達は繰り返すんだよ~同じ人生、同じ命を」

 

 

3人しかいなかったはずの倉庫に、別の声色が響いた。

跳び箱の上に座り、足をぶらつかせているのは包帯で片眼を隠した赤毛の少年。

 

その少年に対し、壮間だけは違った反応を見せた。

 

 

「夏目残夏…?」

 

「あったりー♡ボクも知ってるよ~日寺壮間、光ヶ崎ミカド、そんで…ちよたん。今回では初めましてだね~」

 

「…!君は“前世”の記憶があるのか?」

 

 

壮間が2004年で出会った青年、彼とこの少年は余りに似通っていた。この事と凜々蝶に関する事の共通点に、当の凜々蝶の反応…壮間やミカドの中でも、うすぼんやりと話の輪郭が見え始めてきた。

 

 

「生まれ変わっている…とでも言いたいのか」

 

 

それがミカドの弾き出した結論。それに「正解」と相槌を打つように、残夏は指を鳴らした。

 

 

「“妖怪”は知ってる~?無限の存在である妖怪と、有限の存在である人間が愛し合い、交わったらどうなるか…その血は脈々と受け継がれ、まれに妖怪の血を濃く受け継いだ子孫が生まれる。その子は血だけでなく、同じ性質同じ容姿同じ運命も受け継いでいるのです。それがボク達…“先祖返り”」

 

 

即ち、妖怪と人間の混血。

壮間が過去で見た光景も、これで頷ける。過去の凜々蝶とあの男性も先祖返りだとするならば、あの変身は妖怪の力を使った姿ということ。そして、この2人は過去の彼らの「生まれ変わり」。

 

アナザーライダーが誕生していることから、先祖返りのシステムは響鬼と無関係と考えるべきだ。信じがたいが、事実と見て間違いないだろう。

 

 

「妖怪“百目”の先祖返りであるボクは、どんなものでもお見通し~♪過去未来、君や自分の前世のお話、ちよたんの今日のパンツも♡」

 

「なっ…!?」

 

「だから“コレ”に触れた時は驚いたよ。なんてたって、コレの記憶はボクが視た歴史とは全く違ったんだから――—」

 

 

残夏が手に出したのは、三つ巴と2005の文字が刻まれたプロトウォッチ。それはアナザー響鬼の年代とバックルのマークに一致する。確実に、響鬼のプロトウォッチだ。

 

 

「ひょんなことから手に入れてね~♪

君達が“守り鬼”と戦っているのを視て、全部分かった。仮面ライダー、歴史の改竄、そして君たちの言う“響鬼”の物語も」

 

「待て。守り鬼とはアナザー響鬼のことか」

 

「そーそー、アレは13年前くらいから出てきた新種の妖怪で、先祖返りをちょっぴし過激に守る…って思われてたんだよね~☆」

 

「なるほどな。聞けたいことは聞けた、もうこの時代での活動は無意味だ。夏目残夏、そのウォッチを寄越せ」

 

「ハイハーイ。喜んで~♡」

 

 

残夏はミカドに言われるがまま、ヘラヘラとウォッチを手放す。空に投げ捨てられたウォッチを壮間がキャッチした。

 

 

「随分とあっさり手放すんだな」

 

「これがボクの役目だからね~♪そもそも、ボクが視定めてたのは“君たちが誰かのために全力を尽くせるかどうか”だけ。後の事は前世のボクらに任せるだけさ☆」

 

「そっか…ありがとう、残夏さん」

 

 

ウォッチを強く握り、壮間タイムマジーンへ向かおうとする。

 

 

「いや、待て!」

 

 

そうツッコミ口調で呼び止めたのは凜々蝶だった。

 

 

「さっきから前世だことの、アナザーなんとかやら、仮面ライダーがどうとか…一体何の話をしている!誘拐しておいて放置とはどういう神経してるんだ!」

 

「黙れクソガキ、貴様に割く時間は無い」

 

「ぼ…暴力反対……」

 

 

残夏の登場で話に置いて行かれた凜々蝶。やっぱり不満だったようだが、そんな文句はミカドのアイアンクローで握りつぶされた。

 

傍らで「暴力だ~」と笑っていた残夏の表情が、一転した。外から異質な思念を、百目の力が感じ取った。

 

 

「伏せ───!」

 

 

轟音。爆炎。

一瞬で体育倉庫の半分が消し飛んだ。

 

焦土に足を踏み入れる、鬼の姿。アナザー響鬼だ。

 

 

「やはり来たか…」

 

「やはりって何!?もしかしてミカド、凜々蝶ちゃん攫ったのって…」

 

「この女を守るのは分かっていた。情報収集も兼ね、この女を攫えば…」

 

「彼女を守りに、きっとヤツは現れる…って!?お前ホント思考回路クレイジー!」

 

 

アナザー響鬼は先祖返りの二人に目もくれず、壮間とミカドを狙う。ミカドは抗戦しようとするが、壮間がそれを止めてタイムマジーンを呼んだ。あれほどボロ負けした後だ、普通の感性の壮間には勝ち目なんて見えちゃいない。

 

 

「前世での“アドバイス”、覚えてる?」

 

 

壮間に残夏が呟いた。過去で出会った姿とは違う、幼い体。つまり、あれから長くは経たず、凜々蝶も残夏も一度死んだという事だ。

 

壮間は強く頷いて、ハッキリと返す。

 

 

「前世の残夏さん達を、絶対守ってきます!」

 

 

少し曲がっているが、清々しい程に澄んだ善意を視て、残夏は笑った。

その去り際、凜々蝶も壮間の腕を掴む。

 

 

「……前世の僕に会いに行くんだろう?

それなら…“一生のお願い”だ、頼まれてくれないか」

 

 

凜々蝶の口からその願いを聞き届ける。頷く前に、アナザー響鬼の吐いた炎が二人を隔てた。もう言葉を交わす余裕は無い。

 

壮間とミカドは飛来したタイムマジーンに急いで搭乗。アナザー響鬼の攻撃で揺れる機体の中で、壮間はプロトウォッチを起動した。

 

消えた歴史に繋がるゲートが開いた。年代を2005年に合わせ、そのゲートへと逃げ込む。

 

 

「「時空転移システム、起動!」」

 

 

 

鬼の炎を振り払い、タイムマジーンはゲートの中へと消えた。

 

 

_____

 

 

2005

 

 

なんとか2005年へと辿り着いた壮間とミカド。しかし、逃げ際にアナザー響鬼の攻撃を喰らいまくったタイムマジーンは、決して無事とは言えない状態だった。

 

率直に状況を説明すると、タイムトンネルを抜けた途端に両方のタイムマジーンが機能を停止。ほとんど墜落するような形で、どこかの山に不時着したのだった。

 

 

「まだ着かないの…?本当に道合ってる?」

 

「貴様がへばらなければ一日で到着するはずだった距離だ。それ以上無駄口を漏らすな殺すぞ」

 

 

タイムマジーンには自動修復機能が備わっている。しかし、その機能自体が酷く損傷していたため、動くようになるまでは短く見積もっても5日はかかる。よって、ミカドと壮間は山道を徒歩で移動すること二日目。一向に都市部が見える気配が無い。

 

 

「貴様が聞いたという“妖館”、そんな名前の建物はこの時代に存在しない」

 

「だからそれらしい“メゾン・ド・章樫(あやかし)”っていうマンションを目指してるんだろ?」

 

「ここまでさせておいて見当違いならば許さんという話だ」

 

 

二人が目指す「メゾン・ド・章樫」とは、高額な家賃を払う能力・家柄・経歴を併せ持つ選ばれた人間しか入れないという、最高級マンション。話によると、一世帯に一人のシークレットサービスが付くという、最強セキュリティを誇るマンションらしい。

 

しかし、ミカドが持つタイムジャンプ対応の情報端末によると、噂では変人揃いの館やら、お化け屋敷やら、変な噂が飛び交っている。それらの噂とマンションの名前も相まって、巷では「妖館」と呼ばれているとか、いないとか。

 

 

「全然山を抜けないな…あれ、さっきこの木を見たような…」

 

「木なんてどれも同じ形だ」

 

「そんなわけあるかい。って、やっぱり…この道さっき通って…」

 

「気のせいだ」

 

 

いくら風景が変わらないとはいえ、すごく既視感のある木々が続く。壮間はミカドの後をついて行っているだけだから、当然こんな疑念が浮かんだ。

 

 

「…ミカドって方向音痴?」

「黙れ死ね」

 

 

食い気味に罵倒された。図星らしい。知って良かったのか悪かったのか、反応にとても困る情報だ。このままコイツに任せれば、到着するのはいつになるやら。

 

 

「夜になる前に街に出たいんだけどな…夜の山道というと、あの狼を嫌でも思い出す」

 

「狼だと?イヌ科の動物だな、食料に丁度いい」

 

「お前は何日サバイバルする気だ!」

 

 

壮間が絶望しかけた所で、木々の奥に人影が見えた。それも二つ。登山観光客だろうか。ともかく彼らについて行けば、間違いなく街には出られるはず。

 

渋るミカドを説得し、壮間はその人影に近付こうとする。

 

 

「…あれ、あの人たちもこっちに来てない?あっちも遭難してたら困るな…」

 

「俺は遭難などしていない」

 

「無理しないで人に頼ろうよ。おーい!すいませーん、道教え…て……!?」

 

 

近寄って来た二つの人影は、男女二人組。

着物を身に纏い、男の方は長い布を腕に巻き、女の方は羽衣のような薄い布を羽織っている。

 

格好も不思議ではあるが、壮間を閉口させたのはその不気味さ。生気が感じられない佇まいに、虚ろに壮間たちを見つめる眼。少なくとも、友好的ではないのは確かだ。

 

 

「人、いたね」

「いるね、二人も」

 

 

二人組が声を発した。だが、女の方から野太い男の声が聞こえ、男の方から甲高い女の声が聞こえた。

 

二人組は壮間とミカドを挟み込むように立ち、ジリジリとにじり寄ってくる。

警戒する壮間。一方ミカドは、寄ってきた女の方を容赦なく殴った。

 

 

「ちょ…ミカド!?一般人だったらどうすんの!」

 

「バカか貴様は。この二人組、データベースで見た情報と特徴が一致する。コイツらは…“童子”と“姫”だ」

 

 

殴られた女が飛び跳ねるように立ち上がり、男と共にその身体を変質させる。

衣装は首元に吸い込まれるようにまとまり、マフラーのように。肉体は黒く変色。頭部は濃い黄色の甲殻から目と口が露出しており、それぞれの太い片腕には一本の鋭く長い針が伸びる。

 

 

「子供が、腹を空かせてる」

 

「餌になって、お願い」

 

 

変質した童子と姫、“怪童子”と“妖姫”が壮間とミカドを襲う。今度は壮間もウォッチを持っている。二人は一旦距離を取り、ドライバーにウォッチを装填。

 

 

「「変身!」」

 

《仮面ライダー!ジオウ!!》

《仮面ライダー!ゲイツ!!》

 

 

変身したジオウとゲイツは、怪童子、妖姫にそれぞれ反撃。吹き飛ばされた二体は、同時に首を傾げた。

 

 

「お前たち、鬼か」

 

「鬼じゃ、ないのか」

 

 

怪童子の殴る動きに合わせ、針が伸びる。針に刺された樹木は抉られると同時に、煙を出して溶解している。どうやらあの針には猛毒があるらしい。

 

 

「鬼だと?人違いだ」

 

「あぁもう!なんで山道はこんなのばっかに遭うんだよ!」

 

 

怪童子と妖姫は、針に気をつければ大した強さじゃない。落ち着いて攻撃を回避し、殴打と蹴りで攻撃。ゲイツは妖姫をジオウに蹴飛ばして、一時的にその相手を押し付けた。

 

「はぁ!?」と言いたげなジオウではあるが、二対一は普通に苦戦を強いられる。その隙にゲイツはドライブウォッチをジカンザックスにセット。ゆみモードにし、二体目掛けて矢を放った。

 

 

《ドライブ!ギワギワシュート!!》

 

 

シフトカー ファンキースパイクの力を帯びた矢は空中で分裂し、無数の緑の棘に変化。棘が怪童子、妖姫に突き立ち、土塊の破片となって爆散した。

 

変身を解除した壮間は、「危ないだろ!」とミカドに責め立てる。実際、棘が何本か被弾しているため至極真っ当な言い分なのだが、ミカド曰く「避けない貴様が悪い」らしい。

 

 

「うおぉぉぉぉ!すげぇ、童子と姫を倒しやがった!」

 

 

山道を爆走し、興奮した様子でそんな声が近づいてくる。息を切らした金髪の少年。年齢はミカドや壮間と同じくらいだが、身長は少し彼らより低い。前を開けたボタンの無い学ランの下には、「つっぱる事が男のたった1つの勲章」と書かれたTシャツが。

 

突然現れた少年に疑問符を浮かべる壮間だが、そんな事を気にせずに少年は言葉を続ける。

 

 

「おまえら、もしかして仮面ライダーか!?」

 

「仮面ライダーを知ってる…ってことは!君、響鬼について何か知ってるの?」

 

「なんだ、ヒビキさんに会いに来たのか?」

 

 

童子と姫を知る少年、そして「ヒビキさん」。これらが響鬼に無関係なはずがない。

 

 

「何者だ、貴様」

 

 

ミカドの問いかけに、少年は親指を自分に向け、ポケットに手を入れてその名を名乗った。

 

 

「俺は渡狸卍里。ヒビキさんの一番弟子で…不良(ワル)だぜ!」

 

 

 

______

 

 

 

物語を、壮間が2004年12月31日から2018年に戻った時点に巻き戻そう。

 

部活に行くと嘘をつき、そのまま何処かへ行ってしまった壮間。そんな彼を、幼馴染である香奈は気にかけていた。

 

 

「ソウマが嘘ついて部活サボるなんて…やっぱ最近ちょっと変わった?」

 

 

そんなことを呟きながらランニングをする香奈。

その時、視界の奥を壮間の姿が横切った。

 

 

「あ、ソウマ!何やってんの…?」

 

 

壮間は建物の陰から現れた。彼の姿は見失ってしまったが、香奈はどうにも気になって仕方がない。ランニングのコースから外れ、その建物に走っていき、裏に回って反対側を覗き込んだ。

 

 

「うっわぁ…なにこれ…!?」

 

 

そこに安置されていたのは、壮間のタイムマジーン。予想だにしてなかった巨大な物体に、香奈は思わず腰を抜かしてしまった。

 

が、それで引き下がる彼女ではない。むしろ見当もつかない用途や、溢れ出る近未来感に刺激され、香奈のテンションが上がっていた。彼女は可愛いものも好きだが、こういった感性は少年に近いものを持っている。

 

 

「これ入って良いのかなぁ…いや、でもソウマこっから出てきたってことは、これソウマのだよね?だったら私もオッケーだよね!幼馴染だし!」

 

 

「おじゃましまーす」と小声で一応挨拶をしたところで、ハッチが開いたままのタイムマジーンに潜入。

 

 

「うっはぁ~!すごい!なにこれ!メカだ!」

 

 

タイムマジーンの内装に大興奮。その割には語彙力がアレだから、出てきた感想が簡素ではあるが。香奈はあちこちウロウロしながら、女子とは思えないリアクションを繰り返す。

 

 

「ソウマってば何か秘密にしてると思ってたけど、コレのことかー。いや~ズルい!腐れ縁の私に教えないなんて、罰としていろいろ物色してやるー!」

 

 

壮間より興奮している。心底楽しそうだ。

 

 

しかし、首裏を突いた衝撃で、香奈の意識が一瞬で暗転した。

倒れる香奈。彼女は気付いていなかった、この場所にいたもう1人の存在に。

 

 

「旅は道連れ。君には、我が王の旅に同行してもらう事にしよう」

 

 

それはウィルの姿だった。

そして、香奈が気を失ったままタイムマジーンは再び壮間の元へ。

 

アナザー響鬼に襲われ、死ぬほど慌てていた壮間は、機内で倒れている香奈に気付くことが出来ず、そのまま2005年に出発。

 

タイムマジーンから降りる瞬間まで香奈に気付くことは無く、山奥で置き去りにされた機体の中で、眠り姫は眠ったままだった。

 

 

「ふははは!こんな機械の中で監禁プレイか!悦いぞ悦いぞー!」

 

 

そんなけたたましい声で、香奈は目を覚ました。

目を開ける。視界に飛び込んできたのは、目元に仮面を着けた長髪の男性。貴族のような服にマントを羽織るという、派手というか馬鹿みたいな恰好をしている。

 

彼の姿を見た衝撃で、欠伸よりも先に香奈の口から出てきたのは

 

 

「変質者!?」

 

「一言目に罵倒とは、中々にドS!」

 

 

その男は一挙一動がとにかく楽しそうだ。そんな彼は横になっている香奈の手を取って、これまた楽しそうに声高に言った。

 

 

「私の名は青鬼院蜻蛉。決めたぞ、貴様は今日から私の奴隷だ!」

 

「なんて!?」

 

 

______

 

 

壮間たちと同じく、2005年の物語に降り立ったウィル。小川のせせらぎが聞こえる河原で、白い小石たちを踏みつけて本を開いた。

 

 

「僭越ながら…私の思惑通り、舞台の役者は揃いました。おっと失礼。私としたことが、この物語の“主役”の紹介を忘れていましたね」

 

 

 

 

テントの前に置いた折りたたみ椅子に座り、男は顔を上に向け、いびきをかいて爆睡している。男の腰には銀色の円盤がまとめてあり、反対側には鬼の顔を模したような形状の装置が。

 

 

「んぁ……?」

 

 

不意に目を覚ました男は、机に置いていたカップ麺の蓋を開ける。スープをたっぷり吸い込み、完全に伸びきった麺を見て、男はため息をついた。

 

 

「昼飯…食いそびれた」

 

 

 

 

 




今回新たに登場した原作キャラは、不良(笑)の渡狸くんと、史上最悪の杉田智和こと蜻蛉でした。そして最後に少しだけ登場した彼。次回登場する魔化魍も、暇な人は予想してみてください。

次回は三人目のタイムジャッカー「オゼ」が姿を現します。女の子です。

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