仮面ライダージオウ~Crossover Stories~   作:壱肆陸

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Twitterで嬉しいことがあって機嫌がいい146です!

というのもですねぇ…キャラの絵書いてくれたんですよ!香奈とオゼの!
蒼人さんとワトさんに書いてもらいました!本当にありがとうございます!(蒼人さんはハーメルンで活動中、ワトさんは垢凍結されて今は暁で活動中の作家さんです)

さぁ、それで頑張った最新話。
話的には繋ぎの回ですね。アナザー響鬼の正体判明と、新キャラ二人出ます。


時間の重さ

メゾン・ド・章樫でメイドとして働くこととなった香奈。

そんな彼女は、凜々蝶と隣にいる双熾を合わせて見つめていた。

 

 

「ずーっと一緒にいますよね。あの二人。シークレットサービスっていっても、反ノ塚さんたちはべったりじゃないし、蜻蛉さんはシークレットサービスの人見ませんし…」

 

 

香奈の呟きは事実であり、この二人は特に一緒にいる時間が多い。香奈も、朝の6時から凜々蝶の部屋の前で待機する双熾を見て、戦々恐々としたものだ。

 

 

「あそっか、香奈ちゃん知らないんだねー。

あの二人、付き合ってるんだよっ!」

 

「えっ…えっ!?御狐神さんと凜々蝶ちゃんが!?え…ラブなんですか?」

 

 

香奈の言葉に答えたのは、このマンションのもう一人の女性メイド。「コロボックル」の先祖返りである、小人村ちの。

 

 

「実はこのマンション、カップル多いんだよー。私も彼氏いるし、反ノ塚さんも雪小路さんにプロポーズし続けてるらしいし!」

 

「あの二人ってそういう関係だったんですか…!?じゃあ、蜻蛉さんも…」

 

「いや~、青鬼院さんのシークレットサービス、カルタちゃんっていうんだけど、それはちょっと違うかなぁ。カルタちゃんは渡狸くんと良いカンジだから」

 

 

「君たち…今、何してるか忘れてないか?」

 

 

ちのと香奈の会話を凜々蝶が断ち切る。

二人は顔を見合わせた後、

 

 

「「談笑」」

 

「勉強会だ!」

 

 

妖館で定期的に行われる勉強会。今回は期末試験に備えるためのものだ。

いつもはここにカルタと卍里が加わるのだが、今回は勉強に不安があるという香奈と、それを教えるため、高校卒業済みのちのが参加している。

 

 

「黙って聞いてれば、人の恋愛事情をペラペラと…片平さん、少しは進んでいるんだろうな?」

 

「はい!全くわかりません!」

 

「それ二年生のテキストなんだが。それなら小人村さんに教えてもらえばいいだろう」

 

「はい!まるで分りません!」

 

「なぜ教え役を買って出た。」

 

 

ちのが全く役に立たないことが判明し、凜々蝶が教えることになってしまった。二年生といえど、セレブ校の学年トップである凜々蝶が勉強ダメダメな香奈に教えるのは造作もないことだった。

 

 

「とてもじゃないが…大学に入れる学力ではないな」

 

 

率直な評価に、香奈の精神が一撃で葬られた。

事実である分、何も言い返すことはできないのだが。

 

 

「…ごめん。つい言い過ぎた」

 

「いや…合ってるからいいよぉ…分かってたけど、今から大学目指すのはイバラかぁ…」

 

「そこまで大学に行きたいのか…将来は何を?」

 

「うーん…というか、お父さんに言われてるからかな。私ダンスやってるんだけど、大学には行けって。ダンスは楽しいから続けたいし…でもダンサー目指すなら大学行かず、ダンス一本でやるべきじゃん?やっぱ私、中途半端だよね…」

 

 

香奈は机に顔をつけて、ペン先を弄りながらそんな内心を吐く。それでも一生懸命になれることは大したものだと感じるが、どうも香奈にはその自覚が無いようだ。

 

 

「ふん。それなら僕だって将来の目標はあれど、夢なんてない。家業を手伝うかどうかも考えてすらない半端者だ。君が憂う必要なんてないな」

 

「…そっか、ありがとう。でも、私はちゃんとこの迷いに決着を付けたい。まぁ、未来に帰ってから考えるよ。今はとにかく働いて勉強だー!」

 

「その通り!さぁ勉学に励め!馬車馬のように働け!ふははははー!!」

 

 

自然に会話に入ってきた人物を思わず二度見する。

確かめるまでもないが、蜻蛉だ。

 

 

「邪魔をしに来たのか君は」

 

「事情も聴かずに悪者扱いか!悦いぞ悦いぞー!急用が出来たのだ、貴様も来い元許嫁殿!愛の逃避行だ!」

 

 

そう言って凜々蝶の手を取る蜻蛉。

だが、そんな蜻蛉の逆の手を取り、引き留めたのは双熾だった。

 

 

「お戯れが過ぎるのではないですか、蜻蛉さま。凜々蝶さんは勉強会の最中です」

 

 

爽やかな声と顔だが、清々しい程に作り物だということが分かる。目が全く笑っていないし、双熾が握った蜻蛉の手が「めりっ」と音を立てている。痛そう。

 

 

「貴様は相変わらずのドSだな双熾。略奪愛とは中々に唆ることをしてくれる」

 

「今の僕は凜々蝶さんの恋人です。略奪はそちらのはずですが?」

 

「家畜の分際で私に身の程を弁えろと?」

 

「そう聞こえましたか。では弁えていただける幸いです」

 

 

双熾はずっとにこやかだが、全く容赦なく殺意を放ってくる。傍から見ている香奈にも寒気が走ってしまう。

 

当の蜻蛉は馬鹿なのか図太いのか、まるで応えていないようだ。

 

 

「いいだろう!ならば貴様も来い、双熾!今回はカップル揃ってSとMの世界を魅せてやる!」

 

 

勢いのままに双熾と凜々蝶が蜻蛉に連れて行かれてしまった。嵐が過ぎ去った後には、白紙の問題集とメイドだけが残されていた。

 

 

 

______

 

 

 

蜻蛉が帰ったという連絡を聞き、急いで妖館に返ることとなったヒビキ一行。しかし、ここでカルタがこんな事を言い出した。

 

 

「蜻さまにも…お土産」

 

 

というわけで、蜻蛉たちへのお土産を買うため、サービスセンターまでやって来た。

 

 

「カルタは何買うか決めたか?」

 

「私は…饅頭…!」

 

 

饅頭の箱を山積みにして抱えるカルタ。「自分が食べたいだけでは」というツッコミを、卍里は諦めて飲み込んだ。

 

 

「渡狸は…?」

 

「食いもんはカルタが買うからな、俺は物にしたぜ!

見ろ、この封印されし竜の刀を!」

 

 

卍里が自信満々に見せたキーホルダー。観光地に必ずと言っていいほどある、中学生が買いそうな竜が巻き付いた剣みたいなヤツである。

 

 

「はっはー!そんなもんにご執心とはお子ちゃまだな狸!」

 

「んだとチャラ男ヤロー!俺は不良だ、子供じゃねー!」

 

「そのセンスが子供って言ってんの。刀のキーホルダー?笑わせてくれるぜ。見やがれこの二刀流の竜剣をぉぉぉぉ!!合体してパワー特化にもなるんだぞ、まさしくロックっ!!」

 

 

卍里(高校二年生)とバンキ(大学三年生)が剣のキーホルダーを振り回して燥ぐ。男子の琴線は分からないのか、カルタは首をかしげてスタスタとレジに向かった。

 

 

 

「ったく。お土産なんていいだろ…」

 

 

一方、早く帰りたいヒビキは車前で待機中。

少しイラついているのか、貧乏ゆすりと時間確認を繰り返している。

 

 

「隙あり!」

 

「声出す奴があるか」

 

 

背後からの壮間のパンチを、振り返りもせずに避けた。

その直後、隠れていたミカドも攻撃を仕掛けるが、易々と腕を掴まれ、軽く投げ飛ばされてしまった。

 

 

「陽動はいいけど、気配は隠せよな」

 

「クソっ……!」

 

 

「ヒビキに攻撃を当てれば弟子にしてくれる」、この約束は続行中で、壮間とミカドは暇があればヒビキを狙っている。しかし、結果は見ての通り、全く相手にすらならない。

 

ヒビキが携帯を開いて囲碁のゲームをやり始めた。これでも攻撃が当たらないのだから、いい加減心が折れそうになる。

 

そんなヒビキの元に、一通のメールが届いた。

それを見たヒビキの表情が変わる。どうやら、またしても目的地が変わってしまったようだ。

 

 

「…嘘だろ」

 

 

再び襲い掛かる二人を伸して、ヒビキはバンキの車に張り紙を残す。一人で車に乗り込んだヒビキは、新たな目的地へと進路を変えた。

 

 

 

 

 

 

 

「トウキさん!」

 

 

ヒビキがやって来たのは、埼玉の病院。

「トウキがやられた」。その残夏からの連絡を聞きつけ、ヒビキはトウキへの病室へと急行した。

 

 

「おぅ、ヒビキ。久しぶりじゃねぇか」

 

「元気じゃないすか…驚かせやがって」

 

 

ベッドに寝てこそいるが、比較的元気だったトウキに、ヒビキは毒づきながらも安心しているようだ。

 

 

「見舞いだ!貴様の好きな酒を持ってきてやったぞ!

ついでに土産だ!トウキ、貴様にはアイアンメイデン!!」

 

 

安心も束の間。次の瞬間には扉を破壊する勢いで、蜻蛉が病室に突撃してきた。

後ろでは凜々蝶が申し訳なさそうに立っている。蜻蛉を見る双熾の目も怖い。

 

 

「なんだ、貴様も来ていたのかヒビキ!

貴様にも土産だ!三角木馬!!」

 

「蜻蛉…病室な、一応」

 

「本当にすまない。僕が止めるべきだった…」

 

「凜々蝶さんが気に病む必要はありませんよ。

全面的に悪いのは蜻蛉さまです」

 

 

周りの病人の視線も痛くなってきた所で、本題に移る。

クロエと残夏は席を外しているようなので、トウキ本人の口から事態が語られた。

 

 

「令央?」

 

「あぁ。そう名乗る男が俺たちの前に現れた。気味の悪い奴だったよ」

 

「では、その令央なる人物が君を倒したということか」

 

「信じられませんよ。トウキさんに勝つなんて」

 

「俺の倍は強いくせによく言うぜ、ヒビキよぉ。それに話は最後まで聞くもんだ。俺を負かしたのはそいつじゃねぇ…響鬼に似た魔化魍だ」

 

 

令央の前に割り込む形で現れたという、その「響鬼に似た魔化魍」にやられ、こうして怪我を負わされたらしい。クロエの飛行能力が無ければ、怪我では済まなかっただろうとトウキは語る。

 

その状況にピンとこない一同だが、当のヒビキだけは違った。

 

 

「アナザー響鬼…」

 

 

その単語が自然と口から出てきた。

壮間から聞いた、未来の話。そこに出てきた響鬼の偽物が、既にこの時代に生まれていたとしたら…

 

 

「歴史が消えるってことか」

 

 

ヒビキの口から零れたその言葉を、凜々蝶は聞き逃さなかった。

 

 

 

 

______

 

 

勉強会が中止になってしまい、香奈は仕事に戻っていた。マンションの外を掃除しながら考えるのは、ちのから聞いた話の事。

 

 

「恋人かぁ…凜々蝶ちゃん年下だと思ってたけど、意外と大人なんだ…」

 

 

2018年ではあの二人はどうなっているのか、それを考えると少し楽しくなった。しかし、それと同時に少し羨ましくもある。

 

恋というのは健全な女子ならば憧れるものだ。香奈とて例外ではないが、イマイチ想像がつかない。

 

 

「恋…恋……愛かぁ…愛…」

「アマキです」

 

 

香奈の独り言に別の声色が踏み入って来た。

顔を上げた香奈の前には、挑戦するような鋭い目つきの女性が。

 

 

「誰ですか。貴女のようなメイドは知りません」

 

「えっと…先日から働くことになった、片平香奈です。あなたは…」

 

「質問してるのは私です。メイドというなら貴女は何の先祖返りですか。働くようになった経緯と詳しい身分を示してください」

 

 

物凄くグイグイと質問で攻めてくる。表情といい、声といい、圧が凄い。もうこれは疑念を超えて敵意とも言える。

 

 

「そんくらいにしとけな、藍」

 

「…アマキです」

 

 

その女性の肩に手が置かれ、言葉が止まった。

怒涛の圧に怯える香奈を救ったのは、反ノ塚だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど。未来から来た、ですか」

 

 

妖館に入って、丁寧に事情を説明した。

ミルクを一口飲み、その女性―――アマキは一言。

 

 

「信用できません」

 

 

香奈と、一緒に説明してくれた反ノ塚が肩を落とす。さっきからアマキはこの一点張りである。

 

 

「タイムマシンというのも、いかにも安直です。そもそも、未来から来たという証拠は何一つ無いはずです」

 

「そりゃスマホは繋がらないし…今に限って財布は無いし…」

 

「先祖返りであることにかまけ、妖怪以外へのセキュリティが甘すぎます。童子や姫、魔化魍だって日々進化しているんです。いつ人間に化ける能力を持ってもおかしくはありません」

 

 

敵味方構わず厳しい目線と言葉を投げかけるアマキ。一旦落ち着いてから見ると、ボブカットで凛々しい綺麗な人だ。あまりまじまじと見ていると睨まれてしまうのだが。

 

しかし、この完全な説教ムードをものともしない人物が、一人だけいた。

 

 

「そんな険しい顔しないの。せっかく可愛い顔してるんだから、藍ちゃん」

 

「アマキです!先月やっと襲名したって、何回言わせるんですか!」

 

「威吹鬼は継がなかったのよね?それで正解よ、あたしあのキザ男嫌いだから」

 

「イブキさんはまだお若いですし、イブキさんはイブキさんだからいいんです…ってそうじゃないです!雪小路さんもですよっ、この期に及んで霊障相談を受けていると聞きました。もっと危機感を持つべきです!」

 

「そんな事より、またそんな恰好…ニーソが似合うポテンシャルを持ってるのに勿体ない!でもその短パン半袖も悪くないわ。ショタは嫌いだけど、ボーイッシュな服装とアマキちゃんの意外とあるバストに美しい太ももがギャップ萌えで変化球メニアックよ!!」

 

「何の話ですか!?」

 

 

雪小路野ばら。彼女は妖館でアマキに対抗できる唯一の存在。彼女の変態トークの前では、アマキもされるがままである。

 

 

「…いいです。私の考えも少々突飛すぎますし、今まで何の行動も起こしていないのであれば、敵の間者である可能性は低いでしょう。それでも完全に信用したわけではないので、そのつもりで!」

 

 

そう言って、アマキは野ばらから逃げるように席を立った。その後ろ姿を見て、香奈は野ばらに小さな声で尋ねる。

 

 

「あのアマキって人も、住人さんなんですか?」

 

「そうね、香奈ちゃんにも教えておくわ。

アマキちゃんはあたし達とも違った存在。人間でありながら、妖怪に近い力を得た…『鬼』よ」

 

 

アマキの腰にぶら下がった『音笛』が、窓の光を反射する。

 

「鬼」。その名前を口ずさみながら、香奈の視線はアマキの背中を追った。

 

 

 

_____

 

 

「なんにせよ、トウキさんが無事でよかったよ。無事ついでにそうだな。土産話聞かせてくれよ、蜻蛉」

 

「私の話を聞きたいかヒビキ。いいだろう、欲しがりのドMに私のドS旅のドSな旅路を語ってやるとしよう!」

 

 

偶然にも、蜻蛉がここに来た。そうなればこの流れになるのも必然だ。ヒビキの当初の目的は、()()()()()()()()()

 

 

「アメリカに行ってきたんだろ。見つかったのか?先祖返りの運命を変える方法」

 

 

蜻蛉の旅に同行するのは、クロエと残夏。

クロエと残夏は先祖返りであるため、幾度となく生まれ変わっている。そしてどの人生でも、経緯はどうあれ短命であることに変わりは無かった。それもそのはずだ、先祖返りは同じ運命を繰り返す。

 

しかし、そんな先祖返りの運命から外れる者も存在した。蜻蛉たちはそんな先祖返りを探し、運命を変える術を探すため、世界中を旅しているのだ。

 

 

「アメリカにはバックベアードという妖怪の先祖返りがいたぞ!黒い塊の妖怪だった!デカい図体のくせに見られるのが恥ずかしいドMだ!話してみると中々に楽しい奴だったぞ!」

 

「そんで、運命を変える方法は…」

 

「全くわからん!」

 

「そっかぁ…」

 

 

ヒビキは頭を指で押さえて浅く息を吐いた。

感情に熱を込めないヒビキも、この話を聞くたびに落胆を見せる。双熾はそんなヒビキを疑念の目で見ていた。

 

 

「ヒビキさん。お聞きしたいのですが、先祖返りでもない貴方が、なぜ先祖返りの運命にそう関心を持たれるのでしょうか」

 

「…ただの興味本位だよ。やめてよそんな目で見るの。双熾怖いんだから」

 

 

ヒビキは軽くそう話すが、双熾には解っていた。

彼はかつての双熾と似ている。言葉に嘘を織り交ぜることに躊躇いが無い。人生に対して熱を持たない。

 

だが、「最初から熱を持たない」双熾とは、どこか違う気がした。

 

 

「そういや、凛々蝶ちゃん行っちゃったね。話さない方が良かったか?」

 

「何か思われる事があったのでしょう。時間を変えるというのは、少なくとも僕らにとって些事ではありませんから」

 

 

 

 

_____

 

 

 

ヒビキの車を追ってきたミカド、とバイクに乗っかって付いてきた壮間。

病院に到着し、焦って車から出たヒビキを見て驚いたものだ。

 

 

「ヒビキさん、どうしたんだろうな」

 

「知るか。それより今がチャンスだ、奇襲を掛けに行くぞ」

 

「ここ病院だぞ!?お前ほんっとに戦場脳だな!」

 

 

病院に特攻しようとするミカドを止める壮間。

そんな二人に向かって、病院から近づいてくる少女が見え、二人の動きが止まった。

 

その姿には、見覚えがあった。

 

 

「白鬼院凛々蝶…!?」

 

 

壮間とミカドが2018年で出会った凛々蝶、その前世の姿。ミカドは前世の彼女に会うのは初めてだし、壮間だってしっかりと見たことはない。

 

しかし容姿も、雰囲気も、尊大な立ち振る舞いも、まるで瓜二つ。凛々蝶は二人の前に立ち、その顔を見上げて、

 

 

「君たちか。歴史を奪う少年というのは」

 

 

「奪う」という単語が少し気になるが、壮間は率直に答える。

 

 

「はい。俺も知ってますよ、凛々蝶さん。来世のあなたに会ったので」

 

「そうか。ならば、なおの事聞かなければいけないな。

君は自分のやっていることを、本当に理解しているのか?」

 

 

凛々蝶の言葉は壮間の胸を刺す。

嫌な予感がした。目を逸らしたくて仕方が無かった。でも、その事実は口にされてしまう。

 

 

「君が歴史を変え、僕たちが死ななければ、

君が会ったという来世の僕らは消える」

 

 

考えたくは無かった。

この可能性に気付かないほど壮間は馬鹿ではない。気付かないふりをしていたのだ。色々なことで心を埋めて、精一杯なふりをして。

 

 

「それは…」

 

「君が歴史を変えれば、鬼の存在は消える。僕らも彼らとは出会わなくなる。その時間は無かったことになる。出会いも、その未来も」

 

 

じゃあどうすればいいんだ。その典型的な文句を壮間は吐き出せなかった。

そうとも、言われなくても解ってる。

 

 

「黙れ。知ったことか、そんな事」

 

 

ミカドがそう言い放った。

凛々蝶とミカドの視線がぶつかるが、衝突はしなかった。凛々蝶の口調に、少なくとも敵意は無い。

 

 

「君たちを非難するつもりはない。元凶は君たちじゃないし、魔化魍が消えればどれだけの命が救われるか、それは僕らも知るところだ。ただ…

時間は重みだ。僕は、そう思う。消えた時間の中で生きた者たちがいたことを、忘れないでくれ」

 

 

忘れるわけがない。

天介も、走大も、駆も、018も、

歴史が変わらなければ、それぞれが各々の未来を描いていたはずだ。彼らの覚悟、決断、戦い、その全てを無かったことにしたのは、壮間だ。

 

「知ったことか」。そう言えるミカドが羨ましかった。

 

 

『時間は重みだ。僕は、そう思う』

 

 

壮間は、その時間の重さを撥ね退けられるほど、強くなんてない。

 

 

 

「避けろ!日寺!」

 

 

項垂れる壮間をミカドの声が叩き起こす。

背後から感じる激しい熱。壮間は咄嗟に体を動かし、振り下ろされた鉄塊を躱した。

 

畳み掛けるような展開に息が詰まる。

壮間の目の前にいたのは、紛うことなきアナザー響鬼だ。

 

 

「響鬼に似た魔化魍…そうか、あれが!」

「っ…凛々蝶さん逃げて!」

 

 

悩んでいる場合ではない。壮間とミカドはウォッチを構えた。

生まれて間もなければあるいは、そんな期待を砕くような強者の気迫。遭遇が早過ぎた。到底勝てる気がしないというのが、脳内を支配する本音だ。

 

 

敵意を感じ取ったアナザー響鬼が、ミカドと壮間に狙いを定めた。しかし、直後にその動きを止めた。その注意は、彼らよりも後ろに向けられているようで。

 

 

「ヒビキ……!」

 

 

アナザー響鬼の口から、はっきりとした口調でその名前が飛び出した。飛来したアカネタカがアナザー響鬼を牽制。地響きを聞いて駆け付けたヒビキが、音叉を手に取る。

 

 

「オマエがアナザー響鬼か。トウキさんを狙いに来たか?」

 

「もう…どうだっていい。あんな男。

また、こうやって…()()会えたんだから…!」

 

 

アナザー響鬼が武器を下ろし、その変身を解除した。

鬼の姿を破って現れた姿。腰まで伸びる黒髪をゴムで纏め、マスクを着け、憎悪を目に宿らせた少女。

 

アナザー響鬼が女性であることは驚きだった。

だが、それ以上に驚いたのは、ヒビキの様子。

 

アナザー響鬼の正体を見たヒビキは、目を見開き、汗を垂らし、何かに絶望したように体から力が抜けている。動揺を超えた何かが、ヒビキの心を揺さぶっているのは分かった。

 

ヒビキは止まった呼吸の中で、声を絞り出す。

震える声で、その名を呼んだ。

 

 

「ツクモ……!!?」

 

「私も忘れない…ヒビキ…あんたを絶対に許さない…!」

 

 

炎に包まれ、ツクモと呼ばれた少女の姿が消えた。

ヒビキは膝をついて、その陰を見つめて動かない。あれほど逞しかった姿が嘘のように、彼女の存在に打ちのめされていた。

 

 

「なんで……っ!なんでだよ……!」

 

 

悲しみと絶望を帯びた声が、大地に打ち付けられた。

誰の言葉も届くことなく、鬼はただ叫んだ。

 

 

 




新キャラのアマキ。そんでアナザー響鬼のツクモでした。ツクモはオリキャラです。アナザー響鬼を原作キャラにしようかとも思ったんですが、最終回後の時系列でそれするのは違うかな…と。

ちなみに今までのオリキャラを纏めますと
バンキ・・・本名「茨田漠人(ばらだばくと)」
アマキ・・・本名「嵐山藍(あらしやまあい)」

で、ツクモのフルネームが「槌口九十九(つちぐちつくも)」です。

次回は壮間のメイン回。歴史を受け継ぐことに迷いが出来た壮間は…

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