仮面ライダージオウ~Crossover Stories~   作:壱肆陸

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槌口九十九
アナザー響鬼に変身した少女。妖怪「野槌」の先祖返り。かつてヒビキの弟子だったが、破門され、実家である槌口家に押し戻されて軟禁生活を強いられたことで、ヒビキを激しく憎んでいた。アナザー響鬼となってからはヒビキに復讐することを目的に行動する。

本来の歴史では・・・
タイムジャッカーが介入しなくてもヒビキを憎んでいることは変わらず、ある魔化魍を追っている時にヒビキと再会。それをきっかけに、ヒビキの過去が妖館の仲間に知られることとなる。結局、この世界線では前世の記憶は戻らないまま。


146です!マリオ楽しい!ルイージ使いづらい(ギャラクシーやってる人にしか伝わらないネタ)

今回はゴースト×サンシャイン前半戦ラストです。今回も色々詰め込みました。
ラブライブといえば虹ヶ咲アニメ見ましたか?とんでもなかったですねいやマジで(尺長くなるので以降省略)

今回も「ここすき」をよろしくお願いします!


0→1ステップ

かつて、ある幽霊が命を得るため、英雄たちの力を集める物語があった。

そんな物語の中にいた一人の戦士。完璧を求め、異世界から来訪した仮面ライダー。

 

アナザーゴーストが倒れたことで、2018年に仮面ライダーネクロムが蘇った。

 

目覚めたばかりのネクロムは、その単眼で現状を見据える。

背後に二人の仮面ライダー。顔に文字が書いてある素っ頓狂な容姿だが、反応を見るに恐らく敵ではない。

 

眼前には二体の怪人。中距離武器を持ったクジラと、飛行能力を有する鳥。場所は廊下。長物を持ったクジラの方は脅威だ。

 

記憶が戻る前の状況も把握した。今ここで、自分が何をすべきかも、完全に理解した。

 

 

「分析完了」

 

 

突進するイマジンを淀みの無い動きで対処。動きから理性は薄いと見て間違いない。そうなれば、ネクロムにとって既に敵は赤子同然。

 

動きを読み切って最適な反撃。機動力が活きないブルーバードを数撃で打ち倒した後、ホエールに対してはネクロムが呼び出した「ガンガンキャッチャー」を使う。

 

刺股をロッドモードで受け止め、銃モードに変形することで刺股を掴んで無力化。動揺に畳み掛ける連射をホエールに浴びせる。

 

最後にネクロムの両腕から放出した緑色のゲルで、二体のイマジンを完璧に拘束した。

 

 

「……凄くね?」

 

「関心している場合か」

 

 

ゲイツもそう言うが、否定はしない。実際、ネクロムの動きは正に理想の形。戦いに教科書があれば、まず間違いなく模範解答通りの満点だろう。

 

しかし、今はそんな場合ではないのも確か。アナザーゴーストを追わなければいけない。

 

 

「待て」

 

 

行こうとするジオウとゲイツを、ネクロムが呼び止めた。

イマジンを拘束するゲルが掠れている。自分の姿も同じだ。高い分析能力こそ完璧の所以。故に、自分の存在が直に消えるのも分かってしまう。

 

その前に、彼らに伝えなければならない事がある。それがきっと、自分の使命だ。

 

 

「教室は見たな。アレは、歪な世界にして、『完璧な世界』だ」

 

「完璧…?アナザーライダーが作った、あれがですか?」

 

「この学校が廃校になった時、誰もが願った。ずっとこの時間が続けばいいのに、と。それだけじゃない。あの時間の中で零した物はたくさんあって、心のどこかでまだ願いを捨てきれてなかった」

 

 

思い出が薄くなって、忘れてしまうのが怖くなる。全てが過去になってしまいそうで。あの教室は、曜が吐露した思いこそが正体だった。

 

 

「…私がそこにいたことが証明だ。お前たちが見たこの学校は、私たちの未練の結晶。それを知る私たちの中の誰かが作った、理想の思い出なんだ」

 

 

だから『完璧な世界』。真夜中でも太陽が昇り、終わることのない、全て満たされた世界。まるで死後の天国だ。でも、完璧だというのなら一つ疑問があった。

 

消えた人々の中には、その時に内浦どころか静岡にいなかった人も含まれた。それなのに、ずっと静岡にいたはずの千歌と曜だけが残された。

 

 

「千歌さんと曜さんは…どうして、思い出に招かれなかったんですか」

 

「…曜の望みは、千歌と一緒にいること。でも、千歌の望みは『朝陽』と共に生きることだった。その望みだけは…絶対に叶わない」

 

「朝陽…?」

 

 

タイムリミットが近い。ネクロムは、直感的にそう判断した。

全てを伝えきることは出来ないようだ。それなら、最期に彼の心を繋ぐ。

 

 

「どうか過去に囚われた彼女を救ってくれ。それが、私と朝陽の願いだ」

 

 

ネクロムはイマジン達を窓から放り出し、自身もそれを追って消えてしまった。

言葉が真っ直ぐそのままを示しているのは、理解できた。それに応えるべきだというのも。

 

 

「行こうミカド」

「言われるまでも無い」

 

 

 

______

 

 

 

「千歌さーん!Aqoursの皆さーん!浦の星の皆さーん!どこですかー!」

 

 

ゲイツがアナザーゴーストとの戦闘に入ると、当然だが一般人の香奈は置いてけぼりにされた。それでも黙って待つなんて出来ないのが彼女だ。今は当初の目的を果たそうと頑張っている。

 

一番気になるのは千歌だ。さっきまで一緒だったが、アナザーゴーストに消されてしまった。心から無事を祈りつつ、香奈は浦の星をくまなく探す。

 

 

「…!千歌さん!」

 

 

浦の星の中庭。そこに残っていたのは、色とりどりのペンキで壁や窓に描かれた、校舎への「寄せ書き」。

 

その一角。九色の虹の前で、千歌は気を失っていた。

 

 

「香奈…ちゃん…?」

「気が付いた…!よかったぁぁぁぁ…本当に…うぅっ…」

 

 

目を覚ました千歌が最初に聞いたのは、香奈の腹の底から出たような安堵の声。幽霊にも会って怖かっただろうに、心配を先にしてこうして探しに来てくれたのだろう。

 

 

「優しいね…ありがとう、香奈ちゃん」

 

「へ…?」

 

「私も怖かったんだ。ここに来てからずっと…でも、おかげでもう大丈夫!」

 

 

消されるかもしれない。一人になるかもしれない。何もかも失うかもしれない。怖くて当たり前だ。それでも大丈夫と思える、そんなお互いが不思議で頼もしい。

 

もう一度あの教室に行こうと、千歌は香奈を支えて立ち上がる。

気になっているのはアナザーゴーストの囁き。

 

 

『ごめんね…まだ、待ってて』

 

 

確かに千歌にそう言った。そして、この安全な場所に飛ばした。

敵意は無い?千歌を知っている?あの聞き覚えのある声は?

 

幽霊の正体は、もしかして―――

 

 

その答えが出る直前に、爆音が鼓膜に響いた。二階でアナザーゴーストが撃破されたことによる爆発だ。

 

 

「えぇっ!?ちょ、何!?もしかしてミカドくん!?」

 

 

ビクッと体を跳ね上がらせる香奈。心当たりはあるので驚きはしなかったが、視線を前に向けると別の驚きが香奈を再び跳ね上がらせた。

 

 

「千歌さん!?」

 

 

爆発に呼応し、千歌が香奈に倒れ込んでしまった。

さっきとは違い、すぐに目を開けた。しかし、その目には「別の時間」を映している。

 

アナザービルドの時、つぐみの記憶に異変が起きたのと同じだ。

 

 

『―――皆と会えて、本当に良かった』

 

 

記憶の砂浜をかき分ける。誰かの言葉が蘇る。

 

 

『たとえどんな結果になっても、皆には今がある。生きて欲しい。生きているなら、全部がある』

 

 

言葉で姿が像を結ぶ。記憶の輪郭が浮かび上がる。

 

 

『ありがとう。僕に、命をくれて』

 

 

「朝陽くん……?そうだ…なんで、忘れてたんだ…!」

 

 

涙が落ちるよりも早く、千歌は走り出した。

その目的地は、千歌たちにとっての過去の象徴。

 

体育館をこじ開け、駆け抜け、その場所へ急げ。

 

部屋のプレートは外れたまま。それでも、漢字の間違えた「部」が見えるようで。

そこは浦の星女学院スクールアイドル部の部室。

 

 

歴史が変わって現実に現れた「それ」を、千歌は部室の机から拾い上げ、愛おしそうに両手で包み込んだ。

 

 

「大事な…ものなんですか…?」

 

 

千歌を追ってきた香奈は、Aqoursの部室ということで興奮を隠せない顔をしつつも、問いかける。

 

「それ」は、まるで目玉のような球体。

 

 

眼魂(アイコン)…っていうんだ。私たちの、大事な人の形見」

 

 

全部を思い出した。いや、少し違う。

まるで「さっきとは別人になったような感覚」。きっと今まで覚えていた過去は正しくて、でもこの記憶を間違いと言いたくない。

 

そうじゃなくて、ふとした瞬間に別の自分を理解したような。

 

それでも千歌は、「彼」を大切だと、思い出してよかったと、そう思った。

 

 

「思い出せたんだ。その人の名前は、朝陽くん。明るくて、優しくて、ちょっとだけ影の薄い、普通の男の子……それで、私たちの『英雄』」

 

「英雄…?」

 

「たくさんのものを貰った。色んなことを教えてくれた。ずっと守ってくれた。ずっと…みんなのために戦ってた。一番救われたかったのは、朝陽くんだったはずなのに……」

 

 

記憶にある彼は、ずっと悩んでいた。誰かの命を守りたいのに、()()()()()()()()()。それでも彼は求めるより、繋ぐことを選択し続けた。それが「朝陽」という少年だった。

 

そんな彼を、千歌は―――

 

 

「私は…朝陽くんを助けられなかった……」

 

 

いくら手を差し伸べても、生きて欲しいと願っても、

その物語に奇跡は起こらなかった。

 

 

 

消えた物語が蘇った。

ある者は使命を果たし、ある者は己の非力を思い出して嘆く。

 

しかし、それはバッドエンドのエピローグに過ぎない。

運命の引力は、物語を無へと引き戻す。

 

 

 

「遅かったね。気乗りしなかったし、結構待ってあげたんだけど」

 

 

逃げた影を追いかけたジオウとゲイツ。彼らを待っていたのは、棒付きキャンディーを噛み砕く少年、タイムジャッカーのヴォード。

 

そして、黒い泥のような霧の中心で再生を果たした、アナザーゴーストの姿だった。

 

 

物語は再び、「仮面ライダーゴーストが存在しない歴史」へ。

アナザーゴーストが作り上げた世界は元に戻り、助かったはずの人々の魂は、過去という棺に吸い込まれていく。

 

 

「ここまでか…後は、託した」

 

 

イマジン達を撃破したネクロムも、消える自身の姿を見て絶対的な最後を悟り、時間から消えて行った。

 

それは千歌も同じだった。

嘆いているうちに後悔すら薄れていく。彼の顔すら記憶から去っていく。

彼の形見(アイコン)も、手の中から消えていく。

 

 

「嫌だ…嫌だ!忘れたくない!」

 

 

「過去は0にはならない」

違う。今だけはそうじゃない。全部が無かったことになってしまう。本当に、0になってしまう。

 

 

「朝陽くんは生きてる!朝陽くんの声も、癖も、言葉も!全部覚えてる!だからずっと、私の中でずっと!生きてる…!生きてて…ほしいのに……!」

 

 

もう、誰の話をしているのかも分からない。空になった感情が叫んでいるだけの言葉が、虚しく時間に溶けていく。

 

どうしてこんなに悲しいのか。それはもう、誰にも分からない

 

 

「生きてますよ」

 

 

はずだった。

崩れそうな心を必死に受け止めるように、その手を取ったのは香奈だった。

 

千歌の手に握られていた「眼魂」は消えた。

ただし、形見は形を変えて残り続けている。眼魂は「2015」と刻まれたゴーストのプロトウォッチに変化していた。

 

 

「無かったことになんて、なってません。ここにちゃんとあります。だから…」

 

 

壮間から聞いた話を覚えている。この黒いウォッチがあれば、アナザーライダーが消してしまった物語に行ける。

 

前に凛々蝶や、鬼の人たちに会えたように。歴史から消えてしまった「朝陽」にも会いに行けるはずだ。

 

 

「私たちが見てきます!変えてきます!千歌さんが忘れちゃった、朝陽さんのこと!」

 

 

千歌の手からプロトウォッチを受け取り、夜闇をかき分けて香奈は走る。

その物語の交差(クロスオーバー)は消えてしまった。千歌の記憶からも、もう真っ白に抜け落ちてしまっているだろう。

 

それでも、「0」じゃない。

「1」に満たない僅かな欠片でも、それは彼女の手の中にある。

 

 

 

 

「くっそ…フワフワ浮きやがって!」

「撃ち落とせ。また外したら殺す」

「無茶言うなって」

 

 

アナザーゴーストVSジオウ&ゲイツの戦闘は、屋上にまで場所を変えていた。

ようやくここまで追い詰めた、と言う方が妥当かもしれない。校舎の中で余裕を与えると、壁を透過して逃げられてしまう。

 

しかし、屋上に来たからと言って状況はさほど好転せず、未だアナザーゴースト攻略の糸口は掴めないままだ。

 

 

「なぁミカド。これ一旦逃げた方がいいんじゃないか?」

 

「逃げじゃない撤退だ、二度と間違えるな。だが、撃破不可能なのは事実だ。このまま無意味な戦闘を続けるべきではないが…」

 

 

退避しようと、そう思った時には遅い。既に屋上はアナザーゴーストの結界によって閉鎖空間となってしまっている。

 

 

「逃がすわけないじゃん。その子にとってもお前らは邪魔なワケだし、僕もオゼに喚かれると困るからね」

 

 

そう言いながら、ヴォードも遅れて屋上に現れた。この拮抗した状況も、彼に時間を止められでもすれば話が変わる。

 

何より恐れているのは、アナザーゴーストの「開眼」だ。

この状況で、さっきのようにアナザーゴーストが豹変すれば死ぬのがどちらか、そんなのは明白。

 

 

「で、どうする?」

 

「……は?」

 

 

そんなタイミングで、ヴォードの口から出たのは簡素な問いかけだった。

 

 

「僕はさぁ、どーでもいいんだよ。アヴニルみたいな理想も無いし、オゼみたいな狂った欲求も無い。良いカンジのアナザーライダー作って、アイツの代わりに王に出来ればそれで。お前らなんて心底どーでもいい」

 

「それで…俺たちに何を聞きたいんだ」

 

「逃がしてやってもいい、ってこと。僕らの邪魔をもうしないように…そのベルトとウォッチ、捨ててくれたらね」

 

「逃がす…?」

「冗談じゃない。誰が貴様らと取引など…」

 

「あー、そっちの会話できない方は黙ってて」

 

 

ヴォードが指を鳴らすと、ゲイツだけ時間が止まった。

残されたジオウに対し、ヴォードは食べ終わった飴の棒を突きつける。

 

 

「で、どうすんの?」

 

「一つ…確認したい。お前らの目的は、あの2019年の王を倒すことなのか?」

 

「なんでお前が2019年の事を知ってんの?もしかしてお前って…

まぁいいやどーでも。そうだよ。僕はアイツが死ねばどーでもいい」

 

「だったら……そんなのお断りだ!」

 

 

ヴォードの手を撥ね退け、ジオウは剣先を彼に向ける。

交渉は決裂。壮間の心は揺るがない。

 

 

「俺が王になる!俺たちの時間を壊した王も俺が倒す!それが今、俺が追いかける『輝き』だ!」

 

「はぁ…あっそ。お熱いところ悪いけど君には無理。仮面ライダーが王になろうなんて馬鹿馬鹿しいのに、お前みたいなフツーな奴に出来る訳が無い。もしかして身の程もわきまえずに突然降ってきた力でハーレム無双とか夢見ちゃうタイプ?気色悪い。どいつもこいつも分かってない。お前らが夢見るのは全部虚構だ、フィクションだ。どうせ何にも成れはしないんだから、テキトーに都合よく迷惑かけずに死ねばいい」

 

 

ゲイツの時間が元に戻った。しかし、ヴォードの敵意は鋭さを増す。

タイムジャッカーのアヴニル、オゼ。このどちらも狂気じみた何かを曝け出して来たが、彼も同じだ。無気力の中に渦巻く、薄汚れた憎悪が、二人に向けられる。

 

だが、憎悪の矛先が刺さるより前に

空気を読まない鉄の塊が、結界を突き破り、ヴォードの体を遥か彼方に跳ね飛ばした。

 

 

『あぁっ!?今なんか当たった!?大丈夫!?ソウマ無事!?』

 

 

割れた結界から覗き込んでいたのは、巨大なロボ。

しかし、そこから聞こえる声は聞き慣れたどころではない声。

 

 

「もしかして香奈!?」

 

『あ、ソウマ無事だ!よかった…』

 

「よかったけどよくない!何それ、まさかタイムマジーン!?前にミカドが俺をぶん殴ったロボのやつ!?」

 

『そうなんだよ!なんか動けーって色々やってたらなんか変形した!

それよりさ!千歌さんから貰ったよ、えっと…あの、黒いウォッチ!これで2015年に行ける!』

 

 

グッジョブを通り越して、本当にとんでもない少女だ。詰みかかっていた状況が一瞬でひっくり返った。これで、アナザーゴーストを倒しに行ける。

 

 

『びっ…くりするじゃん。だよね、お前らもソレあるんだったら…』

 

 

うっかりとはいえ、あの一撃を喰らって死ぬどころか、余裕のあるヴォードの声が帰ってくる。

 

しかし、戻ってきた姿は別物。

タイムマジーンに対抗する鋼の巨体。四本のうち二本の腕と足はタイムマジーンのものだが、その胴体(コア)は別のマシンのもの。

 

ヴォードが操縦する専用のタイムマジーン。色や形状、武装は異なっているが、元となったマシンは「パワーダイザー」。かつて「仮面ライダーフォーゼ」の物語に存在した、戦闘用メカだ。

 

 

『僕もそれなりの手段、使うべきだよね』

 

 

パワーダイザ―がタイムマジーンに突撃。圧倒的な馬力の差に、タイムマジーンと香奈は地面に叩き落されてしまった。

 

 

「香奈!」

 

 

ジオウは割れた結界をくぐり、屋上からダイブ。墜落したタイムマジーンへと搭乗する。香奈はさっきの衝撃で気を失っているようだが、目立った外傷は無い。

 

 

「あの野郎…!俺が、やるしかない!」

 

 

ジオウが操縦を代わり、タイムマジーンの顔パーツがジオウウォッチへと変化する。タイムジャッカーVS仮面ライダー、巨大戦力戦の開幕だ。

 

パワーダイザーを改造したヴォードのタイムマジーンは、本家とは異なり飛行能力を有している。

 

屋上の高さから急降下したパワーダイザーの一撃がタイムマジーンに重々しくヒット。しかし、地上戦は更に危険。助走をつけたことにより、先程よりも破壊力のあるタックルがタイムマジーンを襲う。

 

 

「くっそ…空中に逃げた方がマシか」

 

『あー、そう。地上操作は疲れるから、そっちの方が僕も楽でいい』

 

 

再び高度を上げるタイムマジーンに対し、パワーダイザーは腕と脚に新たな装備を展開。腕にはドリル、脚にはランチャーミサイル。これも、本来のパワーダイザーには無い機能だ。

 

 

「そんなのアリかよ…!?」

 

『科学者はオゼでいいけど、タイムジャッカーのメカニックは僕だ。どう?この情報で諦める気になった?』

 

「うるさい!そりゃ聞きたくなかったけど…」

 

 

距離を取ればランチャーが火を吹き、接近しても鉄の拳しか持たないタイムマジーンではドリルに及ばない。そもそも腕の本数がダブルスコアなのだから、手数で圧し負けてしまう。

 

最初のロボ戦なのに、ついていなさすぎる対戦カードだ。

だが、それで終わらない。悪い状況は更に重なり、アナザーゴーストまでも浮遊してこちらに向かっている。

 

 

「こっちは手一杯どころじゃないってのに…!」

 

 

アナザーゴーストなんて手に負えない。独り言でそう漏らしかけた時、アナザーゴーストの動きが止まった。それは、タイムジャッカーと同じ時を止める能力だった。

 

いつも忘れかけたタイミングで、ピンチの時に現れる。

今回も今回で、的確過ぎるタイミングだ。

 

 

「ウィル!」

 

「待たせたね我が王。それにヴォード君。しばらく見ないうちも機械いじりは捗ってたみたいで何よりだ」

 

『あー、ウィルか。お前はなんでそう邪魔ばっかするかな?』

 

「邪魔とは心外。私は君たちと同じさ。王を作り、歴史を変える。私の場合は日寺壮間がそうだっただけの話だ。それに、私の場合は()()()()()()()()()()()だが?」

 

『それ引き合いに出す?その権利、侵害されて怒り狂ってんのは僕らなんだけど』

 

 

ウィルとの会話をしながらも、ヴォードが操るパワーダイザーに隙は生まれない。タイムジャンプの余裕すら与えてもらえず、タイムマジーンは防戦一方だ。

 

 

「誰かが言った。“生きていた時に叶えられなかった願いが、死んだ後に叶うことはない”」

 

 

ウィルの吐いた言葉で、初めてパワーダイザーが動きを止めた。

表情が見えなくても分かるような敵意を前に、ウィルは言葉を続ける。

 

 

「君たちにピッタリの言葉だと思ってね。死人で無くても、人間の生を諦めた君たちも同じさ。いくら望んだって、欲しかったものは手に入らない。何も叶わない」

 

『あーそう。そう、それは……お前も同じだろ!!』

 

 

ヴォードが怒りを露見させ、パワーダイザーの拳は生身のウィルを貫かんと爆進。時間停止で一時的に動きを縛るも、ウィルの力では長くは持たない。

 

 

「我が王!状況打開の一手は、既に君の手の中にある!」

 

 

切羽詰まった状況で出された、ウィルのヒントだ。

壮間の手の中。そう言われても、壮間が今持っているものと言えば、ライドウォッチくらいしか……

 

 

「そうか、ウォッチか!もしかして!」

 

《ビルド!》

 

 

ビルドウォッチの起動を確認し、タイムマジーンが姿を変える。

顔パーツはジオウからビルドウォッチに。更には右腕にドリルまで装備し、パワーアップを果たした。

 

タイムマジーンもテクノロジーはジクウドライバーと同一。ライドウォッチの力を引き出せるのも道理だ。

 

 

「ドリルにはドリル!これならいける!」

 

『…安直。別にいいけど、蜂の巣になっても知らないよ』

 

 

接近戦で分が悪いなら、遠距離戦にすればいいだけの話。パワーダイザーはランチャーだけでなくガトリングも腕に装備し、火力を飛躍させてきた。これでは近づくこともままならない。

 

 

「考え無しに突っ込んだら本当に蜂の巣だ…

いや、そうだ。それでいいんだ!」

 

 

ビルドの力を使ったが故か、ジオウの頭脳に閃きが走る。

タイムマジーンはドリルを構えると、刃に合わせて体ごと高速回転させ、回転量を増やして突貫力を底上げ。

 

更に、そうすることでドリルから放出されるエネルギー波がベールのようにタイムマジーン全体を覆い、パワーダイザーの弾幕を遮る防壁となっている。

 

勢いは止まることなく、パワーダイザーが装備した盾をも突き破り、巨大なドリルの一撃は敵の装甲を穿つ決定的な一撃となった。

 

 

『回ればなんとかなる…って?滅茶苦茶だよ』

 

 

タイムマジーンは攻撃の勢いのまま、タイムトンネルへと向かっている。このまま過去に飛んで逃げる算段だ。

 

しかし、防御が功を奏し、パワーダイザーの破損率はさほどではない。目を回してフラフラのタイムマジーン一機程度なら叩き落せる。

 

 

そう判断したヴォードだったが―――

 

 

『…あークソ、忘れてた』

 

 

ジオウの妨害に入ろうとした瞬間、死角から飛び出た赤い残像が、パワーダイザーにトドメの一撃を喰らわせた。

 

巨大戦が始まってから姿が見えないと思ったら、ずっと好機を伺っていたようだ。

最後を攫って行った立役者―――ドライブモードに変化したゲイツのタイムマジーンは、ジオウ機に続いてタイムトンネルの中に消えて行った。

 

 

 

 

大破したパワーダイザーから這い出たヴォードは、消えゆくタイムトンネルを眺め、次に残されたウィルに視線を移す。鼻で息をするしたり顔が腹立たしい。

 

 

「どうするヴォード君?気に入らないのなら喧嘩でもするかい?」

 

「やめとく。お前はムカつくけど、勝てない事するのは性に合わないし。そもそも今回はオゼの案件だし、僕はもういいや。どーせあいつら殺せないしね」

 

「賢明だよ。やっぱり君は他の二人に比べ、話がしやすくていい。それでも君が我が王の覇道を邪魔立てするというのなら、私も容赦はしないけどね」

 

「あっそう。どーでもいいんだけど、やっぱり気になるんだよね

 

 

()()()()()、いつまで続けてんの?」

 

 

吐き捨てた言葉と共にヴォードが振り返ると、そこにウィルの姿は無かった。

 

 

「都合が悪いと逃げる、そこだけは気が合うよね」

 

 

______

 

 

2015

 

 

「朝陽さんを探そう!」

 

 

2015年に到着し、目を覚ました香奈が最初に発した言葉がそれだった。

 

 

「朝陽…それ、あの白い仮面ライダーも言ってた」

 

「千歌さんから聞いたんだ。朝陽って人が、英雄だって。みんなのために戦ってたって!」

 

「つまりその朝陽という人物が、この時代の仮面ライダー…『仮面ライダーゴースト』という訳か」

 

 

タイムマジーンを隠して街に出た一同の目的は、「朝陽を探す」で決定した。目的が定まっているのは大きいが、香奈には気になることが一つ。

 

 

「そういえばミカドくん!仮面ライダー絶対殺すマンだってソウマから聞いたんだけど」

 

「どんな説明をしている貴様」

「事実じゃん」

 

「今回はダメだよ!だって千歌さんの大事な人なんだから!乱暴ダメ絶対!」

 

「無駄な心配だ。今回は手荒な真似はしない」

 

「えっ…嘘でしょ。お前本当にミカド!?」

 

「勘違いをするな。ゴーストと言うだけあって、奴は恐らく幽霊だからな」

「あっ、ミカドくん幽霊怖いから」

「違う!既に死んでいる人間を、殺しようが無いという事だ」

 

「その通り。彼はゴースト…魂、則ち彼岸の存在だ。どうやって探すつもりかな?我が王」

 

 

考えていたことを言葉にされたようで驚き、その姿を見て再び驚く。

横の香奈は更に驚いていた。もう恒例だが、ウィルもいつの間にかタイムジャンプしていたようだ。

 

 

「ソウマ、この人誰!?」

 

「えっと…ウィル。俺の付き添い預言者」

 

「何それ。あっでも、なんか千年桜のときにいたような…」

 

「ちゃんと自己紹介するのは初めてだね。私はウィル、我が王を導く者だ。覚えてくれると幸いだ。姫君に…ミカド少年」

 

 

ウィルの視点がミカドに止まる。ミカドは無関心を貫いているようだ。

何か言いかけたようなウィルだったが、結局何も言わずにお辞儀をして消えてしまった。彼はたまに何をしに出てきたか分からない時がある。

 

 

「うん…でも、確かにどうやって探そう。幽霊だし夜まで待つか?」

 

「せっかく過去に来たのに、何もせず待機は無いでしょ!今は2015年ですよ!つまり……」

 

 

タイムジャンプをした先は、2015年の内浦。かなりの田舎であるため、3年遡った程度で街並みは大して変わらない。

 

しかし、決定的な違いはある。2018年には無くて、2015年には有るもの。

ウキウキ顔の香奈を前に、それはもう壮間とミカドにも分かっていた。

 

 

「行きましょう!絶賛稼働中、まだ元気だった頃の浦の星女学院に!」

 

 

 

______

 

 

そういう訳で浦の星女学院に到着。

しかし、香奈の期待を裏切り、2018年と同じもぬけの殻だった。

 

 

「なんでえぇぇぇぇぇ!??」

 

「そりゃまぁ…ほら、日付」

 

 

壮間がミカドの端末に表示された日付を見せる。

プロトウォッチでのタイムジャンプは日付を選べないので仕方は無いが、よりにもよって現在は土曜日。学校は当然休みだ。

 

 

「ぐがあぁぁぁぁっ!なんでなの!なんでこんなタイミング!

いや…まだだよ!休日ってことは、むしろラッキー!だって、Aqoursが練習してるかも!」

 

「おい香奈!どこ行く!?」

 

 

雄々しく叫んだと思うと、可能性を見出して表情を明るくし、善は急げと校門から正面突破で校舎に走って行った。

 

感情豊かで行動力強めなのは良いが、普通に不法侵入だ。真っ先に香奈を追いかけた壮間に続き、ミカドも2015年の浦の星女学院に踏み入った。

 

 

「……ん!?」

 

 

校舎に入ろうとしていた香奈の姿が、角を曲がった一瞬で消えた。

 

驚いて立ち止まった瞬間、壮間の体が宙に浮かぶ。

自分の体に縄が巻かれ、隣に同じく木に吊り上げられた香奈がいることに気付いたのは、その数秒後だった。

 

 

「何の真似だ、貴様」

 

 

後に続いたミカドにも同じ魔の手が迫る。が、流石は生粋の戦闘員。そんな彼を簡単には吊るせず、縄を持った男がミカドによって制圧された。

 

 

「何の真似だと?それはこっちの台詞だ」

 

 

男もまた一瞬でミカドの腕を払い、敵意満タンな視線でミカドと火花を散らす。

 

その男は顔が怖かった。まず目につくのはそこだ。

次に背が高い。総じて威圧感が凄く、なんだかミカドと似た雰囲気を持っている。

 

彼は警備員なのだろうか。なんにしても、二人仲良く宙づりのこの状況は何とかしたい。

 

 

「あの…勝手に学校入ったのは謝りますから、縄解いてくれませんか?」

「そうですよ!いくらなんでも縛らなくてもいいじゃないですかー!」

 

「お前達は俺の監視下に置かれてもらう。俺は怪奇現象管理協会組合員、神楽月(かぐらづき)蔵真(くらま)。怪奇と世間の秩序を管理する者だ。お前達が空飛ぶ奇怪な乗り物から出てくるのを目撃した。お前達は……

 

宇宙人だな」

 

 

物凄く神妙な顔で、なんかトンチキな事を言い始めた。

よく見たら格好も変だ。僧衣なのか現代服なのかよく分からないデザインの服を着ている。少なくともオシャレではない。

 

 

「宇宙人だと?貴様ふざけているのか」

 

「隠しても無駄だ。言語は使えるようだが、俺は確かに目撃した。アレは間違いなく未確認飛行物体であり、それに乗っていたお前達は宇宙人以外有り得ない。秩序のため、我々が一時身柄を確保する」

 

「冗談じゃない。貴様に捕らえられるくらいなら、ここで貴様を始末して行く。俺の邪魔をするな」

「わー!!!ちょ!待て!お互い話聞け!ミカドはウォッチしまえ!」

「私たち宇宙人じゃないです!ただAqoursの皆さんと、朝陽さんっていう幽霊を探しに来ただけの未来人です!」

「わっバカ!余計なこと喋んなややこしくなるから!」

 

 

状況のカオスさが煮詰まってきたが、香奈の発した単語を聞き取った蔵真の様子が変わった。壮間は「未来人」発言で更に面倒になると思っていたが、どうにもそこではない。

 

 

「Aqours…?それに朝陽だと?何故アイツを知っている」

 

「え、ウソ。まさかのお知り合い?」

 

 

まさかの展開に目を見開く壮間。横で香奈が「私の手柄」とドヤ顔している。縄を解いたら文句を言ってやろうと固く決意する。

 

蔵真の方はと言うと、こちらも相当驚いた後、何かを決心したようだ。

 

 

「ついて来い。詳しい話はそこでする」

 

 

ミカドに手招きをし、蔵真は何処かに向けて足を進めていった。

 

 

「あの、ここから降ろしてくれません…?」

 

 

壮間と香奈を置いて。

 

 

 

______

 

 

 

蔵真に連れられるまま、ミカド及び縄からなんとか抜けた壮間と香奈がやって来た場所。それは体育館だった。

 

 

「ここだ」

 

 

蔵真の後に続き体育館に一歩を踏み入れる。

コンマ一秒にも満たない眩い光の後、三人は目を疑った。

 

外から見えていた内装とは明らかに違う空間が、そこに広がっていた。

この感覚は2018年で体験したアナザーゴーストの虚構空間と似ているが、そこは教室では無く、もっと煌びやかなもの。

 

 

「劇場…!?」

 

 

壮間が呟いた通り、目の前に広がるのはミュージカルや演劇をやるような、大きな円形劇場。

 

ステージでは何か演目をやっているようだが、目に留まったのはその演者。

 

 

「おい、アレは渡辺曜ではないのか」

 

「…あぁ。俺らが会ったより若いけど、間違いない。2015年の曜さんだ。でも…何してんだ?つかこれ何?あ、もう訳わかんない」

 

「あぁー!凄いよソウマ!曜さんのお姫様姿ステキ!しかも…王子様やってるのって黒澤ルビィちゃんだ!珍しい組み合わせだけど良いっ!これロミオとジュリエットだよね!」

 

「あ、確かに。動画で見た、あのルビィって人…俺らの一個上だっけ。でもなんかイメージ違うな。これキャスト逆じゃない?」

 

「いや、ミスキャストではない。それが()が定めた配役だからな」

 

 

蔵真がステージ手前の席を指さす。観客は居ないと思ったが、そこに一人だけ座っている人影が見えた。明るい黄色のパーカーを羽織った、黒ずくめの…人かどうかも定かではない何か。

 

 

「シェイクスピアだ」

 

 

蔵真はあの黒タイツを指してそう言った。

壮間が数秒後に一応聞き返す。

 

 

「はい?」

 

「16世紀の英国の天才劇作家、ウィリアム・シェイクスピアだ」

 

「や、知ってますけど。何言ってんですかアレがシェイクスピアって…てか絶対生きてるわけが……」

 

 

そこまで言って壮間は思い出した。

この物語は「仮面ライダーゴースト」。「幽霊」が存在する物語だということを。

 

 

「…シェイクスピアの幽霊……?」

 

「正確には魂だ」

 

「うっそぉ!!??」

 

 

本日一番の驚きを見せる壮間と、誰か分かっていない香奈。何よりミカドが言葉も出ずに目を見開くというレアな状況。

 

音響がイマイチでステージの声はあまり聞こえないが、熱演が繰り広げられているのは分かる。

 

しかし…王子が必要以上に荒ぶっている気がする。姫もなんかやけに女々しいというか感情的というか押しが強いというか。更にイメージ違うし、これは本当にロミオとジュリエットなのだろうか。これには作者のシェイクスピアも怒り心頭なのでは……

 

 

 

「素晴らしいっ!ワタシはこれが見たかった!表現とは、全ては己の過去から溢れ出るモノ。かつて俳優として舞台に立ったこともあるワタシには分かる。自分の奥から絞り出した『嘘』ではない『演技』を貴女たちに見た!」

 

 

シェイクスピアはまさかのスタンディングオベーション。壮間たちにまで聞こえる大声で褒め讃えると、フラッシュが空間を覆う。

 

劇場空間は消え去り、ありふれた体育館が現実へと戻ってきた。

蔵真を見つけ、駆け寄ってくる曜の手には、黄色い眼魂―――シェイクスピア眼魂が握られていた。

 

 

「蔵真くん!やったよ!シェイクスピアさんが力を貸してくれるって!これで朝陽くんを助けられる!……って、誰?」

 

「宇宙人だ」

 

「違います。ちょ、香奈は一旦興奮ストップ。

事情は後で話します。それより、さっき朝陽さんを助ける…って」

 

 

自己紹介をすっ飛ばすほど、壮間はその文言が気になってしまった。

確認しておかなければならない。この、どうしようもない嫌な予感を。

 

 

「知っての通り朝陽は幽霊だ。だが、アイツは最近になって俺たちの前から姿を消した。文字通り誰にも見えない。一人を除いてな。そして……

 

 

朝陽はあの7日で、この世から完全に消滅する」

 

 

幽霊と輝きを追って訪れた、4つ目の物語。

しかしその物語は「既に壊れかけた物語」だった。

 

残された時間は、あと7日―――

 

 

 

 

______

 

 

2018

 

 

 

「“生きていた時に叶えられなかった願いが、死んだ後に叶うことはない”。かの『七番目の怪異』の言葉か…的を得ているよ」

 

 

壮間たちもタイムジャッカーも去った浦の星女学院。

未だそこに留まり続けていたのは、未練に縋り付くアナザーゴースト。そして、それを嘲笑う、もしくは敬意を払うように笑みを浮かべる、令央だ。

 

 

「私たちも同じだと思うのさ。人を捨てた者は誰もが死んだも同然。何も叶わないなら、全部壊してしまえばいい」

 

 

この世界は不運だった。だからこれは、どうせ消える物語。

消えないのなら、消してしまう物語。

 

令央の筆が触れた場所から、校舎が崩れていく。

残骸になっても崩壊は止まらない。全てが砂に還っていく中で、アナザーゴーストが吐き出した嗚咽を令央が笑い飛ばす。

 

 

「芸術は……破壊だ!貴女もそう思わないか」

 

 

アナザーゴーストの力が霧散し、その変身者である女性が目を閉じた。

崩れる過去から目を背ける彼女に、令央が手を伸ばした。

 

過去とは、人の記憶そのもの。

消えた物語の記憶を持つ彼女は、いわば物語への異端の裏口。

 

その体に縦一閃の亀裂が入り、緑色の異次元が開かれた。

 

扉となった彼女に歩み寄る令央は、この「決まり文句」を口ずさむ。

 

 

 

「貴女の望みを言え。どんな望みも、叶えてやろう」

 

 

 

______

 

 

次回予告

 

 

「あと7日…それまでにゴーストの力を手に入れる」

「私は絶対に認めない。時間を無かったことになんてさせない」

 

迫るタイムリミット。衝突する仮面ライダーたち。

 

「見えるんだ、僕のこと」

「僕は朝陽。影の薄い、ただの幽霊だよ」

 

仮面ライダーゴースト。彼の心とは―――

 

「また別の…アナザーライダー…!」

「破壊もまた芸術。私の前から消えろ、醜い贋作ども!」

 

令央、参戦。時を超えた狂気VS壮間の魂

 

「やっと分かった気がする。ライダーの力を受け継ぐって、どういうことなのか」

 

 

次回、「オレがゴースト!2015」

 

 




前半戦終了です!最後らへんの劇場はいわばカオス回なので、アーカイブで書く日が来るかもですねー希望があれば。

一話ごっそり削った分、ちょっと今回長くなっちゃいましたね。
令央の正体が割と浮かび上がってきました。アナザーゴーストの正体もそろそろでしょうか。

そんで、言っておきます。今回のバッドエンドは「99日時間切れエンド」。奇跡が起こらなかった世界です。

次は補完計画でお会いしましょう!
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今回の名言
「生きていた時に叶えられなかった願いが、死んだ後に叶うことはないんだ」
「地縛少年花子くん」より、花子くん/柚木普。
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