全新系裂! 究極東方不敗伝テイルハート   作:天地優介

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どうも。最近デレマスのOーKuーRiーMoーNo Sunday!とANSERっていう曲がジオウにベストマッチするのに気づいた作者です。

分割しました(半ギレ)。本来はね?一週間以内どころか、この部分は四日前には出来てたんだよ。戦闘シーンがね……流石ドラグギルディ級二体。苦労も二倍ですよ!

というわけで、今回は決戦前の戦闘無し回。ちくしょう!一巻より1話多くなってしまった。おのれディケイドォォォォ!!





第13話 彼女たちの迷い

「ふぁ……」

 

 放課後のツインテイル部。部室で今後の話し合いをしている最中、愛香が欠伸をした。いつもの彼女らしくなく、気が抜けているようだ。

 

「なんですか、愛香さん。眠そうにして……。今は、大事な会議の最中ですよ……」

「あんただって、眠そうじゃない……。…………眠れなかったのよ、会長のことで」

「俺もだ……。ゴールデンウィーク中はよかったけど、授業中眠くて……」

「…………」

 

 どうやら、習を除くツインテイルズ全員が、慧理那の事を思って眠れなかったらしい。その習自身もまた、慧理那の事を案じていた。

 

(……ワシはドモンとの事で慣れているが、皆はまだ、先達として導く立場に慣れておらんのだろうな。もっとも、トゥアールが寝不足なのはまた別の理由のようだが)

「私は、慧理那さんの事云々よりもですね……。新テイルギアの調整が難航してまして…………昨日、いえ今日やっと、最終調整が完了しまして……」

「それは大変だったな……」

 

 ゴールデンウィーク中も、総二達はゆっくり休むというわけにはいかなかった。エレメリアンの襲撃がいつ何時あるかもわからないからだ。

 習の提案により、ゴールデンウィーク中、総二と愛香は修行(習は黙っているが、実は流派東方不敗の修行である)を行なっていたが、トゥアールはずっと、慧理那のための新型テイルギアの製作を行っていたのだ。

 

「なにせ、これまでにない新しい機構を搭載してますから……。万が一があってはいけませんし、いやあ苦労しました。ツインテール属性どうしでもなければ、属性力の同時発動は、理論的には安全に行えるはずなのですが……」

「ん? なんでツインテールどうしだとダメなんだ?」

「ああ、それはツインテール属性そのものの強大さ故にです。黒が他色を塗り潰すように、1つの属性が他属性と共鳴しようと、基本的にはより強い属性が勝ります。ツインテール属性は最も強大な属性ですから、他の属性を塗りつぶすんです」

 

 トゥアールがホワイトボードに絵を描き、そこに簡単な解説を加える。以前属性玉変換機構(エレメリーション)について説明を受けた時も、例えツインテール属性の属性玉(エレメーラオーブ)を手に入れたとしても、絶対に使わないようにと説明を受けていた総二達。しかし、実際に何故そうしてはいけないのかまでは聞いていなかったので、愛香も珍しく興味津々といった様子でトゥアールの言葉に耳を傾けている。

 

「ですが、同じ属性どうしならば、お互いに共鳴し、高め合ってしまうのです。特に総二様や習さんは、この感覚を体験したでしょう?」

「ああ……。習と戦った時と、ドラグギルディ相手の時だな。確かにあの時、俺のツインテール属性は極限まで高まってた」

「……私はあまり、ツインテール属性を持ってはおらぬからな。それほど強烈ではなかったが……。それでも、はっきりと覚えておる。あの、自分が自分で無くなっていくような感覚は、な」

 

 習が思い返すのは、自分自身の中に小さく潜んでいた種が、急激に大樹へと成長していくような感覚だった。

 

「その感覚、絶対に忘れないでくださいね? ……ツインテール属性が共鳴すると、力が高まり過ぎてしまうのです。それこそ無限に。ですが、無限の力に耐えられる器などありはしません。ゴートギルディとの戦いの時のように、どれほどテイルギアを改良しても、必ずそのエネルギー許容量には限界が来る……。そうさせないために、日夜私が頑張っているのです!」

「わかってる。いつもありがとな、トゥアール」

「総二様……! 礼など構いません、代わりに、その身体で私を癒してさえくれれば──!」

 

 雉も鳴かずば撃たれまい。トゥアールの身体が愛香の手によって、バスケットボールのようにダムダムと宙を舞う横で、習は自らの中に芽生えていた感覚について、思案を巡らせていた。

 

(ツインテール属性……。奇妙だ。確かにこの身体になってから、ワシはもう15年以上もの時を過ごし、様々な影響を受けてきた。……かつて未来世紀に生きた東方不敗(ワシ)とはもはや、別人といっても過言ではないほどに)

(だが、ワシの中に何故ツインテール属性が芽生えた? 両親の影響によるものだろうか……。それとも、ワシが持つ自然愛属性(マスター)の力が、薄まってきているからだろうか……)

 

 そう、いま習の身体の中には、2つの属性がある。1つが習がその前世より抱き続けてきた自然愛属性(マスター)。もう1つが、この世界に来てから芽生えた、ツインテール属性だ。

 しかし、テイルハートの変身にも用いる自然愛属性(マスター)の力がゆっくりと、しかし確実に弱まってきている事を、習は自覚していた。

 

 何故、どうして。自分の中から自らの属性力(エレメーラ)が弱まり、消えていく感覚を感じながら。習は頭を悩ませていた。

 

(いちいちワシが考えていても、ラチがあかん。トゥアールに相談すべきなのだろうが……しかし、いらぬ心配はかけたくない。それに、属性力(エレメーラ)とは心の問題。ならば、ワシがどうにかすべきなのだろうが……)

 

 

 習の思考を遮るように、コンコンコンと小さな音を立てて、部室の扉がノックされる。

 その音に習が反応する前に、滑り込むようにして飛び込んできたのは、慧理那だった。

 

「っは、はあ、はあ……す、すみません……急に…………」

「どうしたのだ、慧理那。そんなに息切らせて……」

 

 小さな体躯を震えさせ、まさに息も絶え絶えといった様子の慧理那。そんな彼女を心配して駆け寄るツインテイルズの面々に、慧理那は真っ直ぐな瞳を向ける。

 

「会長……。そうか、決心はついたのか?」

「……まだ、ですわ。でも…………」

「…………?」

「すみません。……観束君と2人きりで、話をさせてください」

「えっ? でも……」

「そうですよ。せめて、何を話すか聞かせていただかなければ……」

 

 そう言って、深々と頭を下げる慧理那。しかし、トゥアールと愛香の2人は難しい表情を見せる。総二が慧理那に抱く憧れと、慧理那か総二に向ける憧れ。その2つを知る彼女達にとって、慧理那は最も警戒すべきライバルの1人でもあるからだ。

 

「いや──私からも頼む。お嬢様にとって、大事な事だからな」

「桜川先生……!?」

「……ふむ。愛香、トゥアール。そう警戒せずとも大丈夫だろう。心配せずとも、慧理那は抜け駆けするような人物には見えぬしな」

「まあ、そこまで言うなら……」

「そうね……。あんまりゴネると、悪者になっちゃうからね」

 

 慧理那の後を追って来た尊にも頭を下げられ、習にも宥められたこともあり、渋々とだが部屋を出て行く愛香とトゥアール。習と尊もそれに続き、部室には総二と慧理那の2人のみになる。

 

「それで、話ってなんだ?」

「……観束君。テイルギアは、ツインテール属性というツインテールを愛する力で稼働する……そうでしたわね」

「あ、ああ。そのツインテール属性をコアに作られているからな」

「そう、ですか──」

 

 

 

 

 ♢

 

 

 

 

(……なに話してるのかしら)

(それがわからないから、こうして聞き耳を立てているのだろう)

(むむむ……。総二様と、何を話し合うつもりなのでしょうか……こんな事になるなら、もう少し防音機能を薄くしておけばよかった……)

(お嬢様……)

 

 部室から出た直後、習達はすぐさま扉に身を寄せ、聞き耳を立てていた。4人が重なって扉に身を寄せている光景は奇妙で、遠くからそれを見た生徒が、わざわざ避けようとするほどだった。

 しかし、それも無理はない。トゥアールによる改造の結果、部室の扉は高級マンションの壁もかくやというほどの防音機能を備えている。しかしそこは人の性というべきか、4人がそれぞれ別な理由で、慧理那と総二の会話に関心があるらしい。愛香とトゥアールは必死の形相で、習と尊は周囲が歪んで見えるほどの集中力で耳をすませており、その威圧感は、羆だろうがエレメリアンだろうが慄くようなものであった。

 

(しかし……ロリと総二様の秘密の話し合いに聞き耳を立てる、なんて……。ああっ、多種多様な背徳感に目覚めそうです……)

(ちょっとトゥアール! 私と習まで変態っぽくなるからやめなさい!)

(私も変態ではないぞ)

(失礼だが、尊先生は変態というか、変態人とでも呼ぶべき何かではなかろうか)

(前から思っていたが、君は容赦ないな、十文字……)

 

 習達が他愛もない話に花? を咲かせている最中、扉の防音機能も貫くほどの総二の声が、彼女達の耳に届く。

 

(……! ちょっと聞いた!?)

(な、なんて言ってたんでしょう。突然の事で、よく聞こえませんでした……!)

 

 突然の事に、それを聞き逃してしまう愛香とトゥアール。しかし、習と尊はしっかりと聞いてしまったようで、2人はそれぞれ別な理由で、驚愕の表情を浮かべていた。

 

(お嬢様……! しきたりについてのことまで……!)

(ツインテールが……嫌い、だと!?)

(ええええええええっ!?)

(こ、こうなれば仕方ありません。総二様の私生活をかんさ……んんっ!! とある用事のために開発しておいた、『ドアを音もなく少しだけ開けるくん』を使いましょう!)

(トゥアール、あんた後で死刑)

 

 

 

 

 ♢

 

 

 

 

「──会長、気を遣ってそんな嘘言わなくてもいい。……いや、ほれは、俺が一番傷つく嘘だ」

 

『わたし、本当はツインテールが嫌いですの』……慧理那の衝撃の告白に対して、総二は怒るでもなく、悲しむでもなく、ただ真剣な眼差しを彼女に見せる。

 総二にとって、ツインテールとは全ての『理由』だ。彼が生きるのも、戦うのも、その殆どをツインテールという概念が占める。

 そんな総二でさえも憧れたツインテールが、慧理那のツインテールなのだ。慧理那が自らのツインテールを否定するのを、総二は見過ごせなかった。

 

「……観束君は、本当にツインテールを愛しているんですのね」

 

 総二の視線を受けて、慧理那の瞳に涙が浮かぶ。それは、恐れからではない。ただ、ツインテールを愛する者の前で、その愛を否定するかのような事を口走ってしまう、罪悪感ゆえのもの。

 

「わたくし、本当は、自分でしたくてこの髪型にしているんじゃありませんの。ただらお母様に絶対にそうしろと言われて、仕方なく……神堂家の家訓だとまで言われて」

「家訓って。そんな大袈裟な」

「大袈裟ではありませんわ!」

「!?」

 

 慧理那が声を荒げるのに、総二は驚愕する。今まで見たこともなければ、想像すらしなかったことだからだ。そうして総二が固まる間にも、慧理那は自らのツインテールへの感情を吐露し続ける。

 

「ともかく、わたくしはテイルブレスに相応しい人間では……ありませんわ。そもそも、ツインテールという髪型じたい、わたくしの意思で選んだものではありません。子供っぽい、子供っぽいと言われ続けて、それでも続けることを強制されて──いつしか、わたくしはツインテールを嫌ってしまっていました。いえ、憎んですらいるのかもしれません」

「会長……」

「……子供と言われても、仕方ありませんわ。わたくしは、罪もないツインテールに全てを背負わせ、言い訳にして……自分は、逃げたのですから」

「…………」

 

 ここまでを聞いて、総二の心中は自身への傲慢、その後悔で埋まっていた。

 ツインテイルズが現れるまで、この世界におけるツインテールなど、全人類の1%もあるかという髪型でしかなかった。それを嗜好する者となればさすがに少しは増えるだろうが、実際にツインテールとしていたものなど、それこそ総二は愛香ぐらいにしか、直接近くで観れたことなどなかったのだ。

 それを忘れ、誰もがツインテールを愛してくれる世界になった。そう思っていた傲慢こそを、総二は攻める。ツインテールを嫌いだと言い放った慧理那ではなく、彼は自身にこそ怒っていた。

 

 そして、それをわからない慧理那でもなかった。

 

「やっぱり、そう……。観束君って、思っている事がすぐ顔に出ますわね。わたくしのツインテールを見ている時も、そうでしたわ」

「会長……」

「観束君、あなたは──わたくしに、怒らないのですね」

「当然じゃないか! むしろ、自分を責めてるぐらいだ。会長が、ツインテールを嫌いだったなら……俺は……!」

 

 慧理那が強力なツインテールを抱いている。それは、総二も感じていた。同時に、慧理那が本当は、ツインテールを心の底から憎んでなどいないのだとも。

 しかし、慧理那はまだ変身はおろか、テイルブレスに触れたことすらないのだ。トゥアールも理論上慧理那は変身可能だと総二に語っていたが、確かな確証などない今、総二は無神経にも慧理那をツインテイルズに誘ってしまったと思い、罪悪感を抱いていた。

 

「……いいのですわ、観束君。でも、もしもわたくしに申し訳ないと思うなら……代わりに、一つだけ答えていただきたいことがあるのです」

「? それって──」

 

 

「観束君は……テイルレッドは、ツインテールと世界平和、どちらを理由に戦っていますの?」

 

 

 慧理那の問いに対し、総二は意外にも、その表情を崩さなかった。そして、ただ一言……

 

 

「俺にとっては──世界の方がついでだ。俺は、ツインテールを守るついでに、世界を守ってるんだ」

 

 

 そう言い放つ。そして、総二の言葉を受けた慧理那もまた、彼の言葉に驚いてはいなかった。

 

「……幻滅した?」

「いいえ。……尊の言っていた通りでしたわ。本当に観束君って、ツインテールのことしか考えていないんですのね。まさにツインテールばか、ですわ」

「……なあ、会長。会長ってさ、ヒーローが好きなんだよな? 俺たちツインテイルズも、ヒーローだからこそ……ヒーロだと思ったからこそ、好きになった」

「ええ。そうですわ」

「……じゃあさ、ある日突然、そのヒーローのグッズを……いや、そのヒーローを好きだって気持ちそのものを奪われたら、どうする?」

 

 今度は総二の問いかけだったが、慧理那はそれに思わずといった様子で声を荒げ、答える。

 

「そんなことがあったら、耐えられませんわ! わたくしにとって、命の次に大切なものですもの!! ……すみません、声を荒げてしまって」

「いいや。俺にとってのツインテールも、そうなんだ。いや……みんなそれぞれ、会長にとってのヒーロー、俺にとってのツインテールのように……他の誰にも理解されないけれど、他の何にも譲れないものがある。俺は、それを守るために戦うんだ」

「観束君……」

 

 自身の思いの丈を晒した総二は、自身の感情が高ぶるのを感じながらも、止まらない。これまでの戦いで溜まるものもあったのだろう。それを吐き出すように、ぶつけるように、彼は慧理那に向かって距離を詰めていく。

 

「会長……。会長が本当はツインテールを嫌ってないって、俺は思ってる。だって、会長のツインテールを見ればわかる! あれは、自分自身だけじゃない……ツインテールそのものを愛してなければ、結びえないものだって!」

「観束君……?」

「それにあの日、初めて俺が戦った時……その時助けたのが、会長なんだよ。だから、俺にとっては会長のツインテールは、初めて助けたツインテールでもあったんだ! 俺に誰かのツインテールを守れる力があるって実感して……。ああもう、何言いたいのかわかんねえ……!」

 

 頭の中が混乱で埋め尽くされながらも、総二は止まらない、止まれない。ここで止まれば、慧理那が遠くに行ってしまう。そう思ったからだ。それは物理的な話ではなく、精神的にだが──だからこそ、総二は熱くなったのかもしれない。

 

「とにかく()()()!! 本当にツインテールを憎んでいるのでなければ、俺達と一緒に──っ!?」

 

 しかし──思わず慧理那に掴みかかったその瞬間、総二は止まった。慧理那のうつむく顔を見てしまったからだ。

 

「あっ……。ごめん、会長。ちょっと……熱くなり過ぎたみたいだ」

 

 呼び捨てにしてしまったこと。掴みかかってしまったこと。様々な後悔に気づき、さっきまでの熱さが嘘のように冷めていく総二。──しかし、当の慧理那はそれに反比例するかのように、その身体を熱くさせていた。

 

「……っ、はあっ…………」

「……会長? ど、どうしたんだ? そんなに顔を赤くして……っ!?」

 

 これまで数々のエレメリアン(変態)と激闘を繰り広げてきたらからか。総二は慧理那の変化に対し、感じるものがあったらしい。無意識のうちにその手は、彼女のツインテールを掴んでいた。

 

「……今、会長のツインテールが光った気がする」

「何を言っているんですの!?」

 

 総二の発言に対し、思わず素に戻る慧理那。しかし総二は真面目な男である。特に、ツインテールに関しては。彼が光ったと言った以上、それは事実としてあったのだ。

 

「……会長。もしまだ、俺を……テイルレッドをかっこいいと言ってくれるなら、俺の馬鹿に付き合ってくれないか?」

「つ、付き合う?」

「ああ。今すぐに。多分、会長は……」

 

 総二がその言葉を言い終わる前に、部室のドアを開け放ってトゥアールが転がり込んできた。

 

「スットップゴッドの悪巧み!! いけません総二様! なんというか慧理那さんの純情とか総二様のしょ……童貞権が危ない気がします!! それを奪うのは私です!!」

 

 とてつもなく焦った形相、意味不明な発言、口では止めながら、情欲にまみれた視線。世の中の不審者の8割が『人のふり見て我がふり直せ』という言葉の意味を嫌でも理解するだろう不審者(トゥアール)が、そこにはいた。

 

「黙りなさいこの不審者!」

「観束君……やはり君になら、お嬢様を任せられる。それと結婚してくれないか?」

「先生、一息のうちに矛盾を起こさないでください。それと愛香、トゥアールを放してやってくれ。なんかピクピクし始めてる」

 

 混沌とした状況に巻き込まれながらも、総二は冷静さを崩さなかった。慧理那との語らいの中で、一度頭を冷やしたからだろうか。

 

「……それで総二よ、お主慧理那に何をさせるつもりだ?」

「あ、聞いてた事は前提なんだな……」

「今更しらばっくれても遅いだろう」

「まあ、そうだな。……トゥアール、新しいテイルブレス持ってるか?」

「いえ。今は基地の方にあります。……なるほど、慧理那さんに一度、テイルブレスを起動してもらおうというわけですね?」

「そういう事だ」

 

 この提案に対して、慧理那の反応は芳しくなかった。ただ、これはツインテールを本心から嫌っているからではない。

 慧理那は耐えられないのだ。もし、自らがテイルブレスに拒絶されれば……残るのは、憧れた『ヒーロー』にもなれなかったという事実と、これまでツインテールであったことになんの意味もないという結果だけである。それを想像すると、慧理那は立ちすくんでしまう、恐れてしまう。たとえ誇りの道を歩けるとしても、目の前の落とし穴に落ちてしまえば、自分の全てが意味の無いものになる……そう考える時、彼女は逃げ出してしまいたくなる。

 

 

 だが──彼女は一人で挑むのでは無い。

 

 

「お嬢様、大丈夫です。この私が付いています」

「尊……」

 

 慧理那に長年連れ添い、実の姉妹のような絆で結ばれている尊が、慧理那の背を押す。それに続いて、習も慧理那に対し、意外なほど優しい口調で語りかける。

 

「慧理那よ。お主が抱く不安もわかる。その恐怖は、ドラグギルディとの戦いの時、私も体験したことがあるからな……。だが、乗り越えた。なぜだかわかるか?」

「いえ……」

「……トゥアールに、愛香、そして総二……。かつての私の意思はまだ、この世界で息づいている。そして私自身も、新たに『私』としてこの世界に居られる。それも全て、この世界で出来た新たな仲間……友が居たからだ」

「友……」

「習の言う通りだよ、会長。たとえテイルブレスが会長を拒絶したって、俺たちは会長を拒絶しないさ」

「むしろ、あたしなんかはブレスの故障の方を疑うわね。そーじがここまで入れ込んでるのが、ただのツインテールだとは思えないし」

「私も愛香さんと同意見です。科学者として必ず、故障の原因を突き止めましょう」

「みなさん……!」

 

 ツインテイルズの面々が皆、慧理那の事を肯定する。だがそれは、上っ面だけのものでは無い。本当に本心から、慧理那がブレスに拒絶されるわけがないと信じているのだ。

 

「よし、それじゃあ基地にもど……っ!?」

 

 だが──ヒーローは受け身なもの。戦う時と場所を選ぶ事は出来ず、それはツインテイルズも同様だった。

 部室内に、突如として警報が鳴り響く。ツインテイルズ基地でも使われているそれは、エレメリアン出現を知らせるものだ。

 

「トゥアール! 相手は!?」

「この反応……! ドラグギルディ級のエレメリアンが、二体!? 場所は……廃工場です!」

「なんだって!?」

「あれほどのエレメリアン……それに匹敵するものが、二体か……!」

 

 実際に戦ってはいないが、接触時に受けた説明と見せられた映像によって、慧理那も幹部級エレメリアンの恐ろしさはよく知っている。そんな相手が、二体同時に現れた。それが意味するのは──死闘である。

 

「急いで基地に戻るぞ!」

「それなら、ここのロッカーを基地へのワープ装置に改造してあります。そこから行きましょう!」

「よし……! 会長と先生は……ごめん! 後の話はまた後日にして、今は「待ってくださいまし!」……っ!?」

 

 だが、彼らがこれから赴くのが死闘であると理解しているからこそ、慧理那は逃げることを望まなかった。

 

「わたくしでは力不足と認識しています。ですが、わたくしも……!」

 

 しかし──体が動かなかった。この後に続く言葉を、慧理那の喉は紡ぐ事が出来なかった。

 

「会長……なら、会長は俺たちの戦いを見ていてくれ。それだけで、俺たちは勇気が湧いてくるから」

「そーじの言う通りね。心配しないで、あたし達強いから」

「負けはせん……。行くぞ!」

 

「「テイルオン!!」」

「ハートオン!」

 

 慧理那の眼前に、三色のまばゆい光が現れる。今の慧理那には、ただその光を羨むしか出来なかった。

 

 





最近の悩みですが、本作の東方不敗こと十文字習ちゃん=テイルハートをメス落ちさせるか迷ってます。ちなみに私は幼女戦記だとターレル派です。
いや、させるつもりなかったんですけど、書いててこいつよく総二に惚れないな……ってレベルで関係が出来上がってきてて……。

習と総二のデートって(番外編以外で」見たい?

  • 構わん、やれ
  • 断固として拒否する
  • メス落ちまだ?
  • 習側が記憶失ってたらいいよ
  • トリニティ!
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