結果的にあれは超えないだろうと思ってたドラグギルディ戦、文字数で越しちゃったよ。原作だとリヴァイアクラーケこんなしぶとかったっけ……
まあよし!では本編をどうぞ!
「二人とも、このわたくしが来たからにはもう大丈夫ですわ!」
「貴様……新たな、ツインテイルズの、戦士だと……!」
クラーケギルディの猛攻を受けて追い詰められ、拘束されたハートを助けたのは、変身した慧理那……テイルイエローだった。
「とりあえず、ハートから離れてもらいますわ!」
「むう!」
両手に備えた拳銃、『ヴォルティックブラスター』を構え、イエローはクラーケギルディに乱射。銃撃を警戒して、クラーケギルディはハートから離れて飛び退いた。イエローはブラスターを放ちながら、徐々に前進。負傷を負ったハートと、拘束されたままのレッドをかばうように前に出る。
「二人とも……っ!? ひどい怪我ですわね、大丈夫ですの!?」
「無論……。ワシは、まだ……ぐっ」
「……ひどい折れ方をしていますわ。ハートは休んでてくださいまし。レッドの拘束を──」
「させぬ!」
レッドの体を縛る、触手の拘束。それを力任せに千切ろうとするイエローだったが、その瞬間、踏み込んできたクラーケギルディの触手が伸び、イエローの右腕を絡め取る!
「!」
「射手に腕は不可欠だろう! このまま──」
だが、クラーケギルディの思惑通りとはいかなかった。イエローは確かに拘束できたが、その腕を砕くことができない。それどころか、はちきれんばかりの
「な、なに……!?」
『確かに、テイルギアにはまだ改良の余地があります。防御面一つとっても、今回の戦いだけで改善点がざっと30は見つかりました……ですが、新型というのは伊達ではない、ということです!』
慧理那がギアを纏うことを前提とした新型は、これまでのテイルギアに比較して、高出力・重走行。これまでが障子の張り紙だとすれば、イエローのギアはまさに鉄壁の壁。クラーケギルディの膂力をもってしても、その腕は砕けない。
「どうやら捉えられたのは、そちらのようですわね!」
「くっ!」
触手による拘束は、すぐに解けない。イエローは拘束されていない左手でブラスターを構え、クラーケギルディに撃ち込む。
「効いたでしょう? わたくしの雷の弾丸は!」
得意げにそう言うイエローだったが──当のクラーケギルディ本人には、攻撃は通用していなかった。
「え……!?」
「フ……どうした? 先ほどは少し痺れたが……慣れれば、どうと言うことはないぞ」
「どうして……!?」
動揺し、明らかに精彩を欠いた様子のイエロー。後ろには大事な人達、前には恐ろしい敵。ようやくこの状況で、彼女は自らが相対する敵の強大さを、心で理解した。
(このままでは……やはり、わたくしには無理でしたの!?)
「どうした? 戦いには慣れていないとは、言わせぬぞ!」
今度はこちらの番だとばかりに、剣を構え、突進するクラーケギルディ。その威容を受けて、イエローは軽いパニックに陥り、無意識のうちに後退してしまっていた。
(どうすれば!? わたくしは、わた、くしは……)
「イエロー! ダメだ、気持ちで負けちゃ!」
「っ!」
だが、混乱の最中にあったイエローの意識を、レッドの一喝が引き上げる。
『慧理那さん! あなたの背後には、総二様と習さん、ついでに愛香さんもいるんです! なんとか、耐えてください!』
「……そうでしたわね!」
(わたくしは、レッドとハートに見られている……。敵を恐れ逃げる姿など、見せられませんわ!)
改めてクラーケギルディに向き直ると、イエローはブラスターを再び連射する。しかしクラーケギルディの進撃は多少勢いを落としたものの、止まる気配はない!
「言っただろう! 慣れたと!」
「……今はレッドとハートから、引き離すのが得策。ならっ!」
イエローの決意とともに、背部のブラスターが展開。細かな機動力では他のツインテイルズに一歩も二歩も劣るイエローだが、直線距離の加速ならば、彼女達にも劣らない。
「
さらに、イエローは
「なにっ!?」
どう見ても遠距離戦を想定した装備のイエローが突撃してきたのに、驚きを隠せなかったのだろう。クラーケギルディはイエローの突進をマトモにくらい、レッドとハートから引き離されていく。それでも将としての意地がそうさせるのか、一度はその両足を踏ん張り、イエローの突進を止めるクラーケギルディだったが──
「なんだ、この力は…………っ!?」
「ううあああああああああああああああああああっ!!」
『慧理那さんが中に……。一人では危険です!』
「トゥアール、フォースリヴォンを叩いたら、俺以外もブレイザーブレイドを出せるのか!?」
『……出せます。あくまで叩くのは合図ですから、総二様がイメージすれば……』
「ならば!」
レッドの頭部、ツインテールを維持する役目を持つ装置『フォースリヴォン』にハートが触れると、そこからブレイザーブレイドが出現。ハートがそれを振るうと、レッドを拘束していた触手は切り裂かれ、レッドの身体が解放される。
「すまねえ、助かったぜハート!」
「礼はいい。それよりも、イエローを助けなければ!」
イエローとクラーケギルディの後を追い、廃工場内に突入するレッドとハート。内部ではクラーケギルディとイエローがさっきまでと同じように相対していたが、イエローが肩で息をしているのとは対照的に、クラーケギルディは衰えを見せていない。
「距離は、同条件。貴様の銃弾も、私の触手も、どちらも最大の効果を発揮する距離だ」
「……そのよう、ですわね」
「新たなツインテイルズと聞き、警戒したが────どうやら、真に新兵であったようだな、テイルイエロー。下品な乳をぶら下げていると思ったが、ぶら下げたまま放置しているのは、どうやらその重武装も同じのようだな!」
「あいつ!」
クラーケギルディのあまりの物言いに、レッドは激昂。自らの傷も忘れ、怒りのまま叫ぼうとする。しかし、その直前でイエローの手が、レッドを止めるように動いた。
「レッド……。今は、見守っていてください。わたくしの戦場を」
「イエロー…………」
「…………………………」
「ほう……」
静かな覚悟を感じて、怒りを抑え込むレッドとハート。クラーケギルディはイエローの姿勢に感じるものでもあったのか、無数の小型触手を展開。その数はこれまでとは比較にならないほどで、レッド達には、まるで触手が津波となって迫っているように見えるほどだ。
「クラーケギルディ……。あなたは、先ほどわたくしを下品な女と、そう言いましたわね。……その通りですわ。わたくしは身勝手に夢見て、今こうして戦場に立とうとも震えが止まらない、下劣な女……」
「そう認めるか。ならば去れぇ!」
「ですが! わたくしは自分の下劣さと向き合ったことで……一皮剥けましたのよ!」
全身に着込んだイエローの装備が、音と光を発して稼働する。イエローの全身から
明らかに、さっきまでの彼女とは違う。変身前の、押せば倒れるような華奢な少女とは違う。威風堂々たる
「黄の戦士よ……一つ、聞かせろ。ろくな戦闘経験を持たぬ貴様が、何故この決戦に現れた?」
「わたくし、物心ついた頃から、ずっとずっと、ヒーローに憧れてきましたわ。古今東西世界中、あらゆるヒーローに……その英雄たちを見てきた心が、叫んだのです! ここでためらっては、怯えては、わたくしは永遠に憧れたものにはなれないのだと!」
「憧れでこの地に立つか! 弱い理由だな!」
「乳を持てぬあなた達も、似たようなものでしょうに……!」
「そもそもが、貴様の憧れるヒーローなど存在しない! 全て虚構、偽りよ! そこなレッドとハートとて、元をたどれば我らと同じ力を扱う、同じ穴の狢……!」
「「…………っ」」
クラーケギルディの鋭い言葉が、レッドとハートに痛烈に刺さる。確かに、レッドのツインテールを至上とする姿勢は、エレメリアン達となんら変わりがないものかもしれない。確かに、ハートは前世において、今にも引きずるほどの大きな過ちを犯したかもしれない。
「いいえ! あなた方とわたくし達では、決定的に違う!」
「イエロー……」
だが、イエローは決然と叫ぶ。
「レッドもハートも、ブルーも! 自分たちの
「………………!」
この、イエローの叫びを最後に────クラーケギルディとイエローが言葉を交わすことはなかった。
互いに、絶対に相容れぬ相手だということが理解できたなら、言葉ではなく、あとは戦火を交えるだけだ。
「我が全力の一撃で……!」
「わたくしの、最大火力でっ!」
「「あなた(貴様)を倒しますわ(倒す)っ!」」
クラーケギルディが右腕を突き出すと、全てを埋め尽くすような触手がイエローに襲いかかる。もはや脅威もグロテスクも超えて、天から流星が降り注ぐような神秘的ですらある光景。対するイエローは、アーマーを展開させ、肩から、腰から、腕から、足から、その背中から! 全身から雷を放射し、触手を迎撃する。
「むう……!」
「ぐ、ううううう……!!」
触手の星と雷の嵐、まさに神話に語られる戦いの再現のような両者の激突は、しかしクラーケギルディが押していた。触手はちぎれ飛び、次々と迎撃されているが、それでもその勢いは止まらない。対照的に、イエローは触手の膂力と自らの斉射の反動、この二つを掛け合わせた予想以上の圧力に、足をどれだけ踏ん張らせようとも、後退するのを止められない。
「レッド……ハート……! わたくしに、力を……っ!」
極限の破壊が織りなす爆音の中、イエローのか細い呟きを、レッドとハートは確かに聞き届けた。
「イエロー! 脚を踏ん張り、腰を入れんか! お主の全て、まだこんなものではなかろう!!」
「勿体つけんな! 全力の全開で、お前の全てを見せてみろっ!! 全部だ!!!」
レッドとハートの叫びは、爆発と衝撃の中でも、しっかりとイエローの耳に届いていた。
「────自分に、開放的に……!」
尊がくれた言葉を思い出すイエロー。その顔には、先ほどまでのような苦悶ではなく──高揚した笑みが浮かんでいた。
「かしこまりましたわ、
「イエロー……!?」
レッドとハートの叫びに応え、ぎこちなく振り向いたイエロー。口元を釣り上げ、息を荒げる彼女の姿に、レッドはどことなく危機感を覚える。そしてハートも、レッドほどではないが、薄ら寒いものを背筋に感じていた。
「ええ。全て、全てを! わたくしの隅から隅までを! たっぷりとお見せ致しますわ!!」
その宣言と同時、クラーケギルディの触手の波が最後の押し込みをかける。しかしイエローはもはや揺るがない。不動の山のように、いや……『お預け』をくらった猛犬のように、獰猛でありながら、動かない。
「お願い、わたくしのツインテール! どうか、わたくしを……! わたくしを、レッド達のようなヒーローにしてくださいまし!!」
それは、心からの懇願だった。そしてその願いに応えるように、イエローのツインテールは彼女を支えていた。自らの主人がどのような暴威にさらされようと微塵も揺るがないように、先端の縦ロールをドリルのようにして、地面に自らを──ツインテールそのものを打ち込んでいた。
まさに鋼。アンカーのようにして地面に打ち込まれたツインテールは、イエローの純粋な心に応えた、新たなツインテールのカタチ。
「ま、まさか……!? この私の触手が、押されて……っ!?」
「イエロー……君は、やっぱりツインテールを嫌ってなんか、いなかったんだ」
「心の内をさらけ出し、新たな力を手に入れたか! ならばあとは、押し切るのみぞ!」
あまりにも美しい光景を目にして、レッドは無意識に涙をこぼしていた。
人が想い、ツインテールが支える。まさに理想的な人とツインテールの関係……最高の
「負けて、負けてなるものか……!!」
「邪魔ですわ! 服がとっても……邪魔ですわ────っ!!」
だが! イエローが開いた『扉』は一つではない。彼女はたどり着き、ついに開いてしまった。おそるべき脱衣の深淵に!
さらに勢いを増す触手の攻勢に対して、イエローの全身を覆う装甲が
「うおっ、眩し!」
「この閃光! 凄まじいな!」
「あああああああああああああん!!」
雷と炎、そして触手────拮抗した両者のぶつかり合いは、ついに相打ちに終わった。
「馬鹿な────!」
クラーケギルディの無数の触手は全てが撃ち落とされ、イエローは全身の装備を
『見事でしたテイルイエロー! 脱衣前提の全力発射! あれこそまさに捨て身にして一撃必殺の切り札、名付けて
通信越しにイエローの奮闘を讃えるトゥアール。しかしイエローの戦いはまだ終わっていない。全ての武装を捨ててしまったイエローに対して、クラーケギルディは小型触手を全て失いはしたが、その体は未だ万全。さらに、メインとして扱う十本の触手も残っている。
「ツインテール属性の底力……教えてもらったぞ、少女よ。だが、この状況。もはや貴様に万に一つも勝ち目はない。貴様の心の鼓動……この私が止めてやろう!」
そう言って取り出したのは、
「女は脱がなければわからないもの……そして、脱いでからもわからないものですのよ!」
「何?」
「クラーケギルディ……! 私の心の
クラーケギルディは薄く笑うと、敬意を持って剣を構え、イエローに突撃する。
対するイエローは、なんとツインテールをバネのようにして、空高く跳躍した!
「ツインテールで……」
「飛んだ……だとおっ!?」
レッドとハートでさえ予想外の動き。しかし歴戦の騎士は、冷静さを保っていた。
「空へ逃げたところで、的になるだけ!」
剣を大上段に構え、触手をうねらせて、万全の迎撃体制を整えるクラーケギルディ。
だが、異変はそれから瞬く間に起こった。廃工場内に散らばっていた、イエローが
巨大砲を中心に、ランチャーや各部武装がジョイントされていき、最後に、ヴォルティックブラスターがグリップのように底面後部にはめ込まれた。
「レッド、ハート! 見ててくださいまし……わたくしの、
「むう!?」
イエローの背後に、
「オーラピラー!!」
イエローの叫びと共に、巨大砲の主砲以外が一斉に火を吹く。放たれた弾丸はクラーケギルディに殺到すると、爆裂。決して逃さないよう、巨大な円柱形の結界を作り上げる。
そして、主砲が電撃を収束させ、閃光とともに放たれる。巨大なビームがイエローを直撃し、彼女はそれを力とし、推進力とする。
テイルイエローの
「ヴォルティックゥゥゥゥッ! ジャッジメントオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
災厄の化身、怒りの弾丸────彼女はその身を雷そのものとして、クラーケギルディに激突する。イエローの蹴撃とクラーケギルディの触手の防壁がぶつかり合うが……!?
「ぐ、がはっ……!?」
「はああああああああああああああああっ!!」
イエローの必殺技は触手の防壁を消し飛ばし、クラーケギルディに直撃。しかしなおもその勢いは止まらず! なんとクラーケギルディを自身と地面の間で轢き削りながら、廃工場の外まで壁をぶち抜いて飛び出していく!
「う、ぐ、おおおおおおおおおお!」
「ああああああああああああああああああああっ!!」
クラーケギルディも咆哮をあげ、必死に抵抗するが────雷の暴虐に、抗うすべなし!
「ぐああああああああああああああああああああ!!」
ついにイエローの蹴りがクラーケギルディの肉体を貫通し────クラーケギルディは爆散。イエローはなおも勢い止まらず地面のアスファルトを捲り上がるが、今一度自らのツインテールに楔を打ち込んでもらい、ようやく停止した。
「イエローッ!」
「あ……わた、くし……やりましたわ……ご主人、さま…………」
精魂尽き果てながらも、満足げな笑みを浮かべ倒れるイエロー。駆けつけてきたレッドが、その幼い体で、イエローを受けとめる。左肩を貫かれているため、右腕だけで支えていたが、その顔には慈愛が浮かんでおり、初陣にして激闘を勝利で終わらせたイエローを、その全身でいたわっていた。
「本当に、よくやったよ……。君はやっぱり、
「イエロー……やったか」
レッドの後を追って、ハートが駆け寄って来る。その顔にも安堵が浮かんでいたが──その目の前を、二本の触手が猛烈な勢いで飛んでいく。
「何!?」
「どうした、ハート!?」
「触手が……まさか!?」
クラーケギルディの残した二本の触手が、リヴァイアギルディの元へたどり着く。ボロ雑巾のようになっていたリヴァイアギルデイだが、二本の触手がその側頭部に合体すると、みるみるうちに生気を取り戻していく!
「乳という名の絆を分かち合い、同じ時を駆け抜けた
もはや満身創痍。しかしその威圧感、その
「……ハート、まだやれるよな?」
「無論だ。右腕が潰されてはいるが……レッド、お主は?」
「当然、まだまだ! 左肩が動かないくらい、なんともないぜ……!」
無論、激戦の末に満身創痍なのはレッドとハートも同じ。しかし、彼女達は1人ではない。
「「ハート、レッド! 貴様らが2人で1つのツインテールだとするならば、それは我らも同じ事! いいや、そこにさらに乳が加わる事で、我らが
「確かに……感じるお主の力、それは強大そのものよ」
「だけどな、お前がクラーケギルディの意思を背負ってるって言うんなら、俺達はこの世界の……いいや、お前達が侵略してきた全宇宙の人々の願いを背負ってるんだ!」
「「お互い、退けぬ意地があるということか! ならばこれ以上の口上は不要! 油断も慢心も無く、貴様ら2人をくびり殺すッ!!」」
その性質上、人の命を奪うことはしないエレメリアン。しかしリヴァイアギルディとクラーケギルディが合体した、リヴァイアクラーケギルディと呼ぶべきこのエレメリンは今────純然たる殺意を抱いていた。
その憎悪が、自分たちをここまで追い詰めた相手へのものなのか。それともレッドとハートが。アルティメギルという組織に仇なすであろうと確信しているからなのか。以外にはわからないことであったが、ともかく確かなのは、今ハートとレッドは、これまでにないほど直接的な命の危機にあるということだった。
『二人とも……』
「退けっていうなら、聞き入れられないぜ、トゥアール」
「うむ。双方満身創痍……だが、相手は手負いの龍! 今ここでワシらが倒さねば、被害は広範囲に及ぶだろう」
『それは……わかっています。ですから、私から言えることはただ一つです。……絶対に、勝ってください!』
「「応!!」」
トゥアールの激励を受けたレッドとハートは、すぐさまリヴァイアクラーケに飛びかかる。レッド左腕、ハートは右腕が使えない。しかし、それは一人ならば大きな不利になっただろうが、彼女たちは二人。そして、彼女たちはツインテールの戦士なのだ。
「「むう! まるでツインテールのように、別々のようでいて、一体のコンビネーションを……!」」
「ハートと二人きりのコンビネーションは、ゴートギルディとの戦いの時以来か!」
「だが、ワシもお主も、これまでの戦いで成長を重ねておる! そらそらそら! この連撃、耐えられるか!?」
レッドがリヴァイアクラーケの振るう股間の触手を牽制し、ハートが的確に打撃を加え体制を崩す。ハートとレッド、二人のツインテール属性がその共鳴によって高まり続けているからこそ、そしてその共鳴を引き起こすほど二人の呼吸が合っているからこそ、負傷を負いながらもリヴァイアクラーケに痛打を与えられているのだ。
「「成る程、手負いの獣はそちらも同じであったか! だが、貴様らは一つ勘違いしている……! それは、この我らがツインテールを……! この触手を自在に操れないと思っていることだ!」」
「これは……!? ツインテールが!?」
突如として、これまで沈黙を保っていた側頭部の触手が動き出す。鞭のようにしなるその触手は、しかしてツインテールのような形を失わず。武器による迎撃を一瞬ためらってしまったレッドは、二本の触手による一撃を喰らってしまう。
「ぐっ……! 左腕が……」
『まずいです! 総二様のギアのフォトンアブソーバーの出力が低下しています! このままでは、次に攻撃をくらえば致命傷です!』
(何をやってるんだ、俺……! あれは、敵だ! 触手のツインテールであっても、敵なんだ!)
「っ、うおおおおおおお!!」
渾身の決意を込めて、レッドは自らを打ち据えようと迫ってきたツインテール触手に対して剣を叩きつける。しかし、決意したレッドの一撃でさえも、ツインテール触手には通じず! 交差したツインテール触手は、レッドの剣をやすやすと受け止めた。
「「もらったぞ、レッドォ!」」
「させぬ!」
「「ぐっ!? ハート、邪魔を……!」」
ツインテール触手に剣を止められたレッドは無防備。そこを狙ったリヴァイアクラーケの触手攻撃を、ハートがリヴァイアクラーケの体そのものを攻撃し後退させることで食い止める。ハートがレッドのそばに降り立ち、リヴァイアクラーケが距離をとったことで、両陣営期せずして仕切り直したような格好となった。
「強い……。本当に、最後の力を振り絞っているみたいだな……」
「だが、何故だ!? 初めから二人で協力して、今のような形で共闘しておれば……あるいは、我らをすでに倒せていたかもしれないものを!」
「「巨乳と貧乳……同じ乳である、それは認めよう! だが、太陽と月のように……巨乳も貧乳も、今我らがいる地平からは、ただ一つしか見えぬもの! 同時に存在できないものが、どうして真にわかり合えようものかっ!!」」
「違う、同じ胸だろう! それなら、わかり合えるに決まってる! 好きなものどうしを、認め合えば……!」
レッドの言葉も届かず、今度はリヴァイアクラーケから飛び込んで来る。先ほどまでよりも段違いの、さらに苛烈な触手の乱撃。だが、レッドもハートも、片腕一本でこの乱撃を耐え抜いていた。
「俺は、全てのツインテールを愛する! 長くても短くても、結び目が高くても低くても、ツインテールであるならば全てを! それぞれに好みの差があったとしても、それがツインテールである限り!」
「ワシは、全ての自然より生まれたものを愛そう! そのうちには、必然として人間も居る! その人間の一部分程度、受け入られぬはずがなかろう!」
「「人もエレメリアンも……それほどの高みで心を輝かせられることができる者ばかりでは、ないっ!!」」
「「人の可能性を……舐めるなあッ!!」」
レッドがツインテール触手の動きを見切り、ハートが巨大触手の動きを見切り、お互いがお互いの動きに合わせる。まさにツインテールのように、別個にありながら一つの生き物のように連なり、動く。その動きに対し────いや、二人の精神性にさえも、リヴァイアクラーケはついてこれない。
「「ドラグギルディとの戦いで真実を知ったであろう! 我らとの戦いでアルティメギルの強大さをその身で感じただろう! 属性など、たやすくその芽吹きすらも操られ、搾取されるような儚きものと知っただろう! だというのに、何故だ!? 何故、折れない!? 何故、守る!?」
「知ったからこそだ! ツインテールを世界に芽生えさせたのが俺だというのなら、お前の言う儚い属性を守らなきゃならないのも、俺の使命だ!」
「約束がある! すでに遠い過去の────いや、別世界の出来事ではあるが……決して忘れられも、違えられもせぬ約束が!」
リヴァイアクラーケの勢いが、弱まる。徐々に、徐々に、ハートとレッドの猛烈な連携攻撃が、リヴァイアクラーケの巨体を怯ませていく。
「「たとえそうだとしても! わからぬ! 我らエレメリアンは
「そんなもん、決まってんだろ……!」
「初めから、釣り合っているのだ! 生命と天秤にかけてでも、守り通さなければならぬ信念がある!」
「「わからぬ……! なぜ、なぜだ!」」
心が死ぬことは、生命を喪うのと同じ……それはエレメリアンの方が、どうしようもなくそうであるはずなのに、どうしようもなく共感できないのだ。
彼らが、人でない故に。人が、彼らでない故に。
「……っ! そこだああああああああ!!」
「せいせいせいせいっ!!」
「「うっ!? があああああああ!!」」
心に隙が生まれ、技にも隙を生じさせたリヴァイアクラーケの体に、ついにレッドの一撃とハートの連撃が決まった。
「お前達がどんな信念を持っていようと、どんな覚悟で戦おうと! ワシらは負けん!」
「この身体の真ん中で鼓動する、譲れない思いがある限り! ツインテールがある限り! 俺達は何度だって立ち上がる!」
「俺達のツインテールは────生命だッ!!」
レッドとハートの
「ハート、ブレイザーブレイドを!」
「応! 共に征こうぞ!!」
「「何をするつもりだ!?」」
レッドの右手が握りしめるブレイザーブレイドの柄を、ハートの左手も握りしめる。両者の
『これは……!? まさか、ツインテール属性のここまでの共鳴は危険なはずなのに……! 二人の
「「これは!? 両者が龍に……いや、これは双頭の龍! ということはまさか!」」
「「ううおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」」
ハートとレッドの体が
「「我らにも、意地があるッ!! これを耐えきれば、勝ちならば……立ち向かうのみッ!!」」
逃走も回避も不可能ならば、真正面から受け止める────! そう決意したリヴァイアクラーケは、これまでで最大の
「「「「はああああああああああああああああああああッ!!」」」」
重なり合う、四人の声──────史上最大の激突を制したのは、龍のオーラを纏うハートとレッド!! リヴァイアクラーケの触手は打ち砕かれ、二人はその勢いのままリヴァイアクラーケに直撃! 龍のオーラと共に、どこまでも高く登って行く!!
「「こんなところで、終わってたまるかあああああああッ!!」」
「ハート、逃げられた!」
「ならば、あれで行くぞ!
リヴァイアクラーケはその必死の抵抗により、レッドとハートの突貫から逃れることに成功する。しかしもはや龍そのものとなった二人から、逃走する術なし! 身動きの取れない空中で、リヴァイアクラーケはその周囲を灼熱の
「「バカな……! 我らが、我らの力が、このような場所で……! このような、世界で……ッ!?」」
「「これで、終わりだ!
双頭の龍が迫る中、リヴァイアクラーケが最後に目撃したのはレッドとハートの姿ではなく────金色に輝く、一体となった
「「双龍ッ! グランドブレイザ────────────────────────ッ!!!」」
必殺の剣がリヴァイアクラーケの胸に突き立てられる。そしてリヴァイアクラーケの体躯を、業火が包んだ! その苦しみの中、リヴァイアクラーケは叫ぶ。自らが遺すべき言葉を。
「「よかろう……我らに吠えた心の輝き! 真かどうか星となって見守ろうぞ! 汚れなく純粋に、自らの愛に邁進せよ! 果たして、いつまで見続けられることか!」」
この言葉が、果たして一体となったハートとレッドの耳に届いたのか────それはわからない。
だが、リヴァイアクラーケには確かに────聞こえた気がした。
「お前達がツインテールを愛する限り……ずっと見えるだろうぜ」
「「テイル……レッド! テイルハートォォォォォ…………」」
最期に、宿敵の名を叫んで────激闘の果てに、ついにリヴァイアクラーケは完全消滅した。
彼らが消えた後には、ブレイザーブレイドが突き立っていた。まるで彼らを弔う、墓標のように。そしてハートとレッドもまた、満身創痍ながら、立っていた。お互いがお互いを支え合い、まるでツインテールのように寄り添い立っていた。
「ハート……俺達……!」
「うむ……厳しい、戦いだったが……。勝ったのは、ワシらだ!」
時刻は夕方。真っ赤に燃える太陽が、沈みゆく中で────勝利したのは、ツインテイルズだった。
次回から第3巻です。今度は5話程度に、コンパクトにまとめたいですね。無理でしょうね。
習と総二のデートって(番外編以外で」見たい?
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構わん、やれ
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断固として拒否する
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メス落ちまだ?
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習側が記憶失ってたらいいよ
-
トリニティ!