全新系裂! 究極東方不敗伝テイルハート   作:天地優介

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遅れましてすみません!三巻の振り返りに時間がかかって……。


第3章・ダークグラスパーの脅威!
第16話 新たな強敵!ダークグラスパー、その正体!?


『お二人とも、お疲れ様でした……。最後の一撃、あれは……?』

「トゥアールか……。あれは、即興だよ。なんでかわからないけど、ハートと以心伝心というか。通じ合ってな……。もしかしたら、こいつのおかげかもな」

「キング・オブ・ハートの紋章か……。ふむ……」

 

 激闘を終えて、レッドとハートは座り込んでいた。さすがの彼らもクタクタで、立っているのがやっとだったからだ。

 その休息の中で、レッドは自らの右手の甲をじっと見つめていた。さっきまでキング・オブ・ハートの紋章が浮かんでいたそこには、今もうっすらと紋章の跡が浮かんでいた。

 

「なあハート、そろそろこの紋章のこと、教えてくれてもいいんじゃないか?」

「うむ、む。しかしな……何故その紋章がこの世界にあるのか、それがわからぬ限りは……」

『総二様、習さん。話は後にしませんか? 現在周囲に人はいませんが、強制変身解除の防止装置は急ごしらえなので……しばらくは大丈夫でしょうが、そう長くはもちません』

「そうなのか? わかった。じゃあハート──」

「……待て総二、何かおかしい」

 

 トゥアールに促され、ブルーとイエローの回収に向かおうとしたレッドを、ハートが引き止めた。先ほどまではレッドと同じく気を抜いて休んでいたはずだが、今の彼女は戦闘態勢。折れた右腕を庇いつつも、確かに構えをとっていた。

 

「……トゥアール、敵か?」

『そんなはずは……。こちらのレーダーには何も反応なんて……』

「当然だ。()()()()()()()()()()()()()。だが、ワシにはわかるぞ、その邪な気配が……。何者だ!? 姿を見せい!」

 

 ハートの言葉は、何もない虚空に向かって放たれたが────その虚空から、唐突に返答が返ってきた。

 

『ほう……わらわの気配を察知できるほどの猛者が、トゥアール以外にもいたとはな……』

「!? 空間が……」

(これは、ツインテール……?)

 

 レッドとハートの眼前の空間、そこがまるで蜃気楼のように揺らめくと、一つの影が歩いてきた。影は黒衣を纏っており、その素顔はうかがい知れない。だが、レッドは直感していた。今相対する影もまた、『ツインテール』であると。

 時刻は夕方とはいえ、夜にはまだ早い。しかしその影の出現とともに、太陽がまるで影を恐れたかのように、周囲が薄暗くなっていく。

 

「何だ、これ……!?」

「これは……!」

 

 異様な気配とともに、漂う瘴気。ハートですら冷や汗をかくそれを引き連れて、影──『少女』は現れる。

 

「……君は、誰だ?」

 

 レッドの口から思わず出た、素直な一言。その言葉に対し、少女は悲しそうに(こうべ)を垂れた。

 

「そうか……わからぬか……」

「え、いや……忘れてるだけかも、ごめん……」

 

 少女が絞り出したあまりにも悲しげな声に、レッドは困惑する。しかし自らの記憶の中を探ってみても、少女の顔をまじまじと見つめてみても、わかるのは少女が黒髪のツインテールで眼鏡っ娘であるという、見た目通りの事実しかない。

 

「無理もない。あの頃は、わらわもまだ幼子であった。これほどまでに艶やかに成長してしまえば、昔の面影を思い出せぬも当然のこと」

「お、おう……」

「しかし……運命とはかくも皮肉なものか。まさか今度は、貴女が幼女になってしまうとは! わらわがこうして、貴女の愛を受け止められるだけの身体になったというのに!」

 

 

 しかし少女は一人で勝手に納得したようである。その目元に涙を湛え、レッドに視線を合わせると、自らの黒衣に手をかけ──それを一息に脱ぎ去った。

 

 

「わらわは……ダークグラスパー」

 

 

 黒衣を脱ぎ捨てた少女は、そう名乗った。しかしレッドもハートも、少女の正体などは知らない。ダークグラスパーという名前が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、知るわけがない。

 だが、その表情は驚愕に満ちていた、なぜなら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「な、何!?」

「それは、テイルギア!?」

「違う。これは頑強装甲グラスギア……。眼鏡を愛する力、眼鏡属性(グラス)によって生み出されし、最強の鎧じゃ」

 

 支配者(グラスパー)であり、眼鏡属性(グラス)。頑強と眼鏡(がんきょう)。このネーミングセンスを前にして、レッドはようやく、自らの記憶の中から既視感を探り出すことに成功する。

 

(このネーミングセンス、まるで……)

「まるで、トゥアールのようだな……」

「トウァール……。テイルハートがその名を知っておるということは、やはりか、やはり貴女がトゥアールだったのじゃな……」

「……あなた? トゥアール?」

 

 ダークグラスパーの言葉に、困惑を隠せないレッド。レッドの困惑もよそに、彼女は次々に言葉を発していく。

 

「このグラスギアは、あなたに憧れて作ったもの……。ツインテール属性が動力でないのは、トゥアール、貴女へのリスペクトあってこそ」

「あ、ああ……」

「そして、今のわらわは、アルティメギル首領直属の戦士」

『…………!』

 

 通信越しに、トゥアールが息を呑む。その感覚にレッドとハートは確信する。目の前の少女が、確かにトゥアールの関係者だと。

 

「貴女を迎えに来たのじゃ、トゥアール。わらわと共に、戦ってほしい」

 

 そう言い放つ、ダークグラスパーの眼鏡に映るのは────ただトゥアールという属性力(そんざい)だけだった。

 

 

 

 

 ♢

 

 

 

 

(ハート……!)

(わかっている。何者かは知らぬが……たとえトゥアールの関係者でも、アルティメギルならばここは通せん)

 

 レッドとハートの背には、死力を尽くした結果、倒れ伏したイエローとブルーがいる。ダークグラスパーの正体がわからない以上、これ以上仲間に近づける訳にはいかないと、警戒を強める二人。しかしレッドはなおも困惑の最中にいるようで、思わず疑問の声が口をついて出てしまっていた。

 

「君は一体……何者なんだ」

「やはり、わらわがあまりにも美しく成長しすぎて、記憶と重ならぬか。喜ぶべきじゃろうが……寂しいものよ」

 

 対するダークグラスパーからの返答は、さっきまでと何一つ変わらない、レッドをトゥアールと誤認したままのものだ。しかも、何度もレッドから『わからない』『記憶にない』と言われているのに、一向にトゥアールだと認識し続けている。

 

(まさか、この子……属性力(エレメーラ)で人を見ているのか?)

 

 レッドが纏うテイルギアの核となるのは、トゥアールのツインテール属性だ。爆発的なツインテール属性はレッドのものだが、変身の『核』そのものはトゥアールのツインテール属性が担っている。

 もしも、ダークグラスパーがレッドを属性力(エレメーラ)で判断しているのならば──レッド=トゥアールとなるのも、わからない話ではない。

 しかし、エレメリアンならまだしも、ただの人間が属性力(エレメーラ)で人を見ることなど不可能である。例えるならば、ツインテール属性を持つ人間全てがツインテールに見えているようなものである。ツインテール馬鹿であるレッドはおろか、純粋な属性力(エレメーラ)生命体とでも言うべきエレメリアンでさえ、その域ではない。

 

(本当に、なんなんだこの子は──!?)

 エレメリアン側でありながら人間であるのも、アルティメギルに属しながらギアを纏うのも、人間でありながら属性力(エレメーラ)で人を見るのも、その全てがあまりにも異質。エレメリアン達に感じた種族間の壁とも異なる、水と油のような相入れなさが、今のダークグラスパーとレッドの間にはあった。

 

『総二様、習さん。ここは、私に任せてください』

「……どうした、トゥアール?」

『習さん、トゥアルフォンはありますよね? それを総二様に渡してください。バレないよう、そっと』

「わかった」

 

 ダークグラスパーから見えないよう、ハートはレッド後ろ手に構えた右手に、そっとトゥアルフォンを握らせる。

 

()()()()……何故、この世界に!?」

 

 すると、トゥアルフォンから()()()()()()聞こえてきた。トゥアルフォンは超高性能な携帯電話。変声機能に加え、そのスピーカーから響く音声は肉声そのままである。レッドとハートが万全でない今、少なくとも幹部級はあるダークグラスパーから彼女達を守るため、なんとか情報を引き出しつつも、この場は追い返そうという腹づもりなのだろう。

 なお、この変声機能を使えばレッドの声も総二の声も自由自在ということである。トゥアールがこの機能を決して私的に悪用していないことを願いつつも、レッドは唇の動きを悟られないよう、手で口元を覆い隠し、さも深刻そうな態度をとる。

 

「以前と性格が違うのは──大方、そのグラスギアとやらの影響でしょう。しかし何故、テイルギアを模倣できたのです?」

「わらわはこの眼鏡を通して、トゥアールをずっとずっとずっとずっとずっと……ずっと、見続けたが……神通力と言うべきか、わらわの属性力(エレメーラ)に反応したのか、いつのまにか全てを見通す不可思議な力が備わっておった。そしてこれを通して見たテイルギアの構造、その記憶を元にこの眼鏡を変身ツールに改造し、神眼鏡(ゴッドメガネ)と名付けたのじゃ」

「テイルギアの構造を……? つまりそのギアには、少なくとも今私が纏うギアと同等の力があると?」

「流石はトゥアールの発明品と言うべきか。ブラックボックスまでは神眼鏡(ゴッドメガネ)の力をもってしても見通せなんだが……しかしこのギアの力、テイルギアの倍はあると自負しておるぞ」

 

 ダークグラスパーの言う通り、彼女から感じられる力は、さっきまで死闘を演じていたリヴァイアクラーケと同等……いや、明らかに上の力だった。

 

「それほどの力……そして、あなたが無事な事実……。イースナ、やはりアルティメギルの軍門に下って……」

 

 トゥアールの言葉に、初めてばつが悪そうにダークグラスパーは俯いた。しかしトゥアールが何か言おうとする前に、口を開いたのは彼女の方だ。

 

「さて、わらわにも教えてくれぬか? 何故、貴女はそのような幼き姿になっておるのじゃ? 以前より貴女が幼子を好むのは、まあ、わらわ達の世界の全人類が知るところであったが……」

「初めは贖罪のつもりでした。あえて自分の守れなかったものの姿になることで、大好きだったものの姿に変わり、他の世界を守ることで罪滅ぼしをしようと……。ですが、私の身体はむしろ悦んでさえいたのです」

(そりゃ、自分の好きなものに変わってしまうなら、罰にはならないよなあ)

「なんと……じゃ、じゃが、変身解除すれば元のトゥアールの身体になるのであろう!?」

「いいえ。私はこの身体であることを完全に受け入れてしまいました。そうなれば、元の姿には戻れず……。単刀直入に言いましょう、もはや私はあなたの知るトゥアールではないのです。そんな存在は、もう消えてしまったんです」

「な、なんじゃとおおおおおっ!?」

 

 トゥアールの言葉に、驚愕を隠せない様子のダークグラスパー。思わずトゥアールのトレードマークである巨大な乳を表すかのようなジェスチャーをとるが、トゥアールは静かに首を振る。

 巨乳(トゥアール)は亜空間へと消えてしまった──それを確信し、ダークグラスパーはさすがに動揺を隠せない。これを機と見たトゥアールは、一気に言葉を畳み掛ける。

 

「これでは100年の恋も冷めた……いえ、消滅してしまったことでしょう。それに……私自身、もはやあなたに合わす顔がありません。……帰ってください、イースナ。そして願わくば、もう二度と──」

 

 ここでセリフを切り、レッドもそれに合わせて俯く。トゥアールとレッドの二人による迫真の演技、それを受けてダークグラスパーは、静かに自らのスマートフォンを取り出した。トゥアルフォンのような超越的な科学力で作られたものではなく、長年使い込まれたであろう、薄汚れた普通のスマートフォンだ。

 

「これを見てくれ、トゥアール。あの日、あの世界が滅んでからも……本当にずっと、わらわはこのスマートフォンを身につけ、使い続けてきたのじゃ。だが、これに登録されたアドレスはただ一つ……あなたのアドレスだけじゃ。わらわのアドレスももちろん、あの日から変わっておらぬ! どうかお願いじゃトゥアール。二十四時間どんな時にメールをもらおうと、三分以内の返信を約束する! 望むなら、わらわのちょっとエッチな自撮りだってあげよう! だから頼む。全てを捨ててしまったのなら、もう一度わらわと、アドレス交換を──!」

「ヒッ」

「これがストーカーというものか……。初めて見たのう」

 

 あまりに必死なダークグラスパーの形相に、レッドは演技抜きの素で引いてしまう。だがここで演技を崩して、ダークグラスパーにトゥアールではないと悟られるわけにはいかない。

 

「わたしの心は変わりません。イースナ、あなたにアルティメギルをやめろと言っても、無駄なように……」

 

 口元を隠し、いかにも沈みきったような演技。テイルレッド渾身の名演は、どうやらダークグラスパーの眼鏡にも見破れなかったようだ。彼女は目端に涙を湛えつつも、そのマントを翻した。すると、彼女の目の前に光膜が出現する。普段レッド達が移動に使うのと似たようなものだ。

 

「そこまで固い決意ならば、今は貴女を尊重しよう。じゃが忘れるなトゥアール! わらわはいつでも、貴女を待っておるからな!」

「イースナ……」

「……それと、これだけは覚えていてほしい。わらわは自らの属性力(エレメーラ)が惜しくて、アルティメギルの軍門に降ったのではない。人に仇なす存在として戦うのではなく、わらわは、わらわの守るもののため、この道を選んだのじゃ!」

「…………!」

 

 その言葉を残して、ダークグラスパーは光膜の中に消えていった。

 

『……ふう…………』

 

 トゥアルフォンからではなく、ギアの通信機越しにトゥアールの声が響く。ダークグラスパーが撤退したことで気が抜けたのか、深いため息を漏らしていた。

 

「トゥアール、積もる話はあるが……。まず、あやつはお前のなんなのだ?」

『ストーカーです。元の世界のファンで、初めて会った時には幼女だったので、つい……その、アドレスをわたしてしまったのですが……』

「その結果、ストーカーと化したと。だけど、それだけであそこまで……」

『いやマジでそれだけのはずなんですよ本当に。ただそれだけで毎日欠かさず一時間おきに60通、それだけの数の長文メールを送りつけてくる、人間メールサーバーと化してしまって……』

 

 想像以上に苛烈なエピソードに、ダークグラスパーをエレメリアン以上の変態だと認識するレッドとハート。そんな変態が惚れたトゥアールもまた変態なのだが、それを思わせない迫真さと勢いが今のトゥアールにはあった。

 

『とにかく! あの調子ならしばらくは顔を見せないでしょう。その間に対策を立てましょうか。とりあえず、総二様だけにお伝えしたいことがあるので、帰ってきたら愛香さんには内緒で私の部屋に来てください。これも機密保持のため──』

「…………困ったファンもいたもんねえ、悪いとこばかり真似して……」

 

 しかしそのトゥアールの勢いを遮る声があった。いつの間にか起き上がっていたブルーの声だ。

 

『あ、愛香さん? 一体いつから──』

「最初からよ、起きたら邪魔するかと思って。それより、ねえ、トゥアール?」

『は、はい』

「……帰ったら、あたし達全員に話してもらうわよ、あの子のこと」

『愛香さん──』

「あ、それはそれとして帰ったらお仕置きだから」

『愛香さん…………』

 

 

 

 

 ♢

 

 

 

 

「お疲れ様、みんな」

「ああ、ただいま母さん」

 

 トゥアールとの通信を終えた後、すぐに地下基地へと帰還した総二達。彼らをコスプレ姿の美春が労い──

 

「ってちょっと待て! なんでコスプレしてんだよ母さん!」

「まあ、素敵なお召し物ですわ未春さん!」

「でっしょ──?」

 

 渾身のツッコミも虚しく、総二の言葉は届かなかった。目を輝かせながら未春のコスプレ姿を見る慧理那と、自慢げに無邪気な笑みを浮かべる未春。その傍で、総二は母親のコスプレ姿を憧れの生徒会長に目撃されたことに、これまでにないショックを受け、絶句していた。

 

「み、見られた……。会長に、最後の砦の会長に、母親のコスプレ姿を……」

「総二……大丈夫か総二。というかワシはいいのか総二貴様」

「いや、習は母さんと同じ匂いがするし」

「…………………………そうか?」

「うん」

「そうか……………………」

 

 密かに習もショックを受ける中、トゥアールが駆け寄ってくる。これ見よがしに巨乳を、特に愛香に見せつけるように走ってくるトゥアールに、まず愛香が一撃。そのダメージも意に介さず、トゥアールは白衣についた埃を払う。

 

「ふっ、こんなこともあろうかと。アンチアイカシステム番外編として、ダメージ軽減装置を作っておいたのです! 一撃で壊れましたが」

「手ごたえがないと思えば、道理で……。ま、いいわ。話も進まないし、これぐらいにしたげる。それより問題は、あのダークグラスパー……イースナって奴のことよ」

「ええ、そうですね……。ですが、その前に、まず説明することがありますね」

 

 そう言って、トゥアールは慧理那に視線を移す。総二達にはトゥアールの事情──彼女が元いた世界が滅びた事を話してはいるが、慧理那には話していない。ショックが大きすぎると判断したからだ。

 しかし、ダークグラスパー……イースナに関して策を練るには、イースナの情報、つまりはトゥアールが元いた世界の情報が必要になる。

 

「聡明な慧理那さんのことです。誤魔化そうとしても、バレてしまうでしょうから……。話しておきましょう、私の秘密を」

「トゥアールさんの……秘密!?」

「そんなにいいもんじゃないわよ、会長。……聞くなら、覚悟してね」

 

 そうして、トゥアールの口から、かつて総二達に話されたように、彼女の世界が滅んだ顛末が慧理那にも話されたが──聞き終わった慧理那は、意外にも総二達の予想に反してその目を輝かせていた。

 

「まさかトゥアールさんが、次世代に意思を託してくれた前世代のヒーローだったなんて! 安心してください、トゥアールさん。あなたの意思は、私達がしっかりと引き継ぎますわ!」

「慧理那さん……。ええ、私の意思はちゃんとみなさんに託してますから。そうですよね、愛香さん?」

「…………まあね」

「瞳と瞳で通じ合う……愛香さんとトゥアールさん、お二人は親友なのですね!」

「「いや、それはない(です)」」

 

 

 

 

 トゥアールの世界の顛末をふまえ、イーズナについての話が始まった、とはいっても、イースナ本人についての話は『トゥアールと同じ世界の出身であること』と、『かつてトゥアールに助けられ、ファンになってストーカーになったこと』以上のものはなく、問題は早々に『どうやってイースナが、何を目的にこの世界に来たのか』という話にシフトした。

 

「総二様のテイルギアには、私自身のツインテール属性が組み込まれています。おそらくイースナは、それを辿って来たのでしょう。……アルティメギルとともに」

「……いや、待て。確か奴は『アルティメギル首領直属の戦士』と言っておった。 それほどの地位にあるものが、独断で動けるか?」

「それほどの地位だから、とも考えられますが……。確かに、変ではありますね」

「実際に相対してみると、わかる。彼女の力は本物だった……。だから、俺も習の意見に賛成だ。この世界に来たのは偶然だったんじゃないか?」

「確かなのは、あの子が自らの意思で、アルティメギルに関与しているという事実だけ、ですか……」

 

 しかしイースナの『動機』を考察しようとしても、ノイズとなる情報が多すぎて、それができない。トゥアールが持つ昔の彼女に関しての情報も、今とは変わりすぎて、ほとんど役に立たないらしい。

 

「ともかく、相手の動機なんて探ってもラチあかないわ。今度出て来た時、ぶん殴ってでも聞きましょう。今は、あいつのギアについてよ」

「あれは……グラスギア、と言っていましたね。sの不可思議な能力を持った眼鏡で、テイルギアを解析したのでしょう。完全にはコピーできなかったようですが、テイルギア自体のシステムは私オリジナルのものでも、属性力(エレメーラ)自体の変換技術はアルティメギル由来のものです。調整は容易だったでしょうね」

「うむ。しかしなぜ奴はアルティメギルとともに行動できている? あれほど強大な属性力(エレメーラ)を持つ人間と、奴らは共存できるものか……」

「……あーもう! 今話しててもラチがあかないわ! あいつ、トゥアールの元恋人なんでしょ? 適当にトゥアールが色香をふりまけば、また戻ってくるんじゃないの?」

「何言うんですか愛香さん! 私はまっさら静水トゥアールちゃんですよ! イースナとはほんっっっとーに何もありませんでしたよ!!」

 

 いつも通りかしましく喧嘩をするトゥアールと愛香。しかし彼女達が普段通りにする裏で、だからこそ総二は不安を覚えていた。

 

(……俺は、あの子と戦えるのか? 同じ人間相手に……いくら侵略者でも……)

 

 そして、その悩みを見抜けない習でもなかった。かつて弟子のドモンが、実の兄を討たねばならないという瞬間に立ち会ってしまったからだ。

 

(総二には……あのような業を、背負わせたくはないな)

「総二、いや皆よ。ワシから一つ、提案があるのじゃが」

「ん? なんだ?」

 

 

「────特訓をせぬか?」

 

 

「「「「……特訓(ですか)!?」」」」

 

 

 




というわけで、特訓です。特訓回です。

習と総二のデートって(番外編以外で」見たい?

  • 構わん、やれ
  • 断固として拒否する
  • メス落ちまだ?
  • 習側が記憶失ってたらいいよ
  • トリニティ!
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