全新系裂! 究極東方不敗伝テイルハート   作:天地優介

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前回の仮面ライダーオーズ三つの出来事!

後藤が間違えてオーズを撃ってしまった!
後藤が間違えてオーズを撃ってしまった!
後 藤 が 間 違 え て オ ー ズ を 撃 っ て し ま っ た!

今回切り方が微妙ですが、まあ短縮のためだから……やっと2話かけて三分の一終わったとこだけど、三巻はハリウッド化のアレといい、地味に重要な流れ多くてつらい。でもがんばる。原作そのままにならないようにな!


第17話 特訓と焦りと新軍団

「全く、あやつらめ……」

 

 アルティメギル基地にて──ダークグラスパーは肩をいからせながら、廊下を歩いていた。

 その原因は、彼女の同僚、エレメリアンの戦士達にあった。

 

「わらわのアドレスを……せっかく渡してやろうと言うのに……」

 

 トゥアールにも迫ったように、同僚であるエレメリアンに対しても、彼女はアドレス交換を迫っていた。

 しかし、何度どう迫ろうとも、帰ってくるのはしどろもどろな拒否の意思のみ。そうなっているのはダークグラスパーの自業自得というものだったが、友人などできたこともない彼女には、どう他者と接していいのかわからないようだ。

 

「…………」

 

 基地の最奥、そこにダークグラスパーの私室は存在する。呼び出し以外での入室は厳禁とされているそこに入ると、ダークグラスパーは眼鏡のブリッジを押し上げた。すると彼女が纏うギアが光に包まれ、変身が解除された。『ダークグラスパー』から『イースナ』へ。戦士から少女へと変わった彼女は、先ほどまでの自身に満ち溢れた姿とは違い、ジャージに身を包んだ、典型的な引きこもりのような雰囲気を纏っていた。

 

「ど、どいつもこいつも……変態ばかりのくせして、プライドばかり高くて……」

 

 部屋の奥、荘厳な装飾を施された黒の玉座に身を下ろしてはいるが、その姿に威厳などかけらもない。この世に挙動不審さを競う大会などあれば、審査員が満場一致で王者に据えるだろう挙動不審振りである。

 そんな彼女の背後から、部屋の扉を開いて歩いてくる人影があった。人影は無機質な足音を響かせながら部屋の中を闊歩し、イースナの背後に立った。

 

 銀色のボディ、その背には片翼を備え、ツインテールらしきものが頭部からは伸びている。

 エレメリアンに近くもあるが、決定的に異なる機械的な容姿。ダークグラスパー……イースナがこの基地にやって来たときに姿を見せていたロボットが、今彼女の背後に佇んでいた。

 

「ほんま、イースナちゃんは友達作るの下手やなあ……」

 

 しかしその無機質な体躯から発せられた声は、なんとも優しげな、まるで母親の声のような暖かさを含んでいた。

 

『彼女』の名はメガ・ネプチューン=MK.2。イースナが製作した、総合支援用戦闘ロボットである。略称はメガ・ネ。正式名称を名付けたはいいが、『長い』と判断したイースナはそう呼んでいる。

 

「あ、あいつらがいけないんだもん……。私がアドレス教えてあげるって言ってるのに……」

「イースナちゃんは強引やからなあ……。押してダメなら、引いてみるのも手やで? せや、なんならうちが手伝ってあげよか?」

「そ、それはダメ……。私のことをあいつらが上官って認めるまで、あなたの存在は明かせない……」

「でも、うちはみんなとすぐ仲良ぉなれるで? だから大丈夫や」

 

 曇った目で、ギョロリとメガ・ネを睨むイースナ。しかしメガ・ネは動じない。それこそ、反抗期の子供を見守る母親のような態度だ。

 

「そ、それがヤなの……。あいつら、生身には挙動不審になるくせに……。生身じゃなきゃ、それだけで親近感持つだけなの……。だから、あなたの方に行く……嫌なやつら……」

「そーやって、イースナちゃんの方から距離を取るからアカんねんで」

「さ、さっきは、押してダメなら引いてみろって言ってた……」

「そういうことやないの。精神的な話や。それこそエレメリアン相手や、心の歩み寄りが大事なんやで?」

「そういう話なら……。私は歩み寄ってる……あいつらの方が……」

 

 堂々巡りである。完全に面倒な引きこもりのような思想のイースナ相手に、だがメガ・ネは引き下がらない。「しょうがないなあ」と呟きつつ、その懐からシールを取り出した。四角形で、表面にはQRコードがプリントされている。

 

「なに、それ……」

「ネプネプシークレットアイテムその54! QRコードや! イースナちゃんのメールアドレスをQRコードにしてな? ただアドレスだけ渡そうととしても、エレメリアンのみんなは女の子に免疫あらへんからな。あげるゆーて登録とかできへんて! せやからこうして一手間加えて、こういう形で渡すんや。身構えんで済むから、さらっと登録してくれると思うでー」

 

 そう言って、イースナに大小様々なシールを手渡すメガ・ネ。その手は機械らしく無機質な冷たさを備えているが、イースナには妙に暖かく思えた。

 

「さ、さすがメガ・ネ。頼りになる……モテ女」

「その略し方やめてえな……いつもいうとるやろ? うちにはメガ・ネプチューンMk.IIってかっこいい正式名称(なまえ)があるんやから」

「長い」

「イースナちゃんが名付けたんやろ!? というかうち一号機やん! なんでMK.Ⅱやねん!」

 

 いつものようなやり取りを終えて、一旦落ち着くメガ・ネ。イースナも口ではメガ・ネを邪険に扱っているが、心の底では信頼しているのだろう。シールを受け取ると、それを自身の懐に入れた。

 

「ともかく、それをみんなの好きなものとでも一緒にプレゼントすれば効果も倍増や! それに笑顔も添えんとあかんで?」

「笑顔は……ちょっと苦手……」

「ええ加減、変身しとらん状態でもちゃあんと笑顔になれな。この世界でも、()()()()()()()()になるんやろ?」

「い、いいの……。いつかあの人の前でだけ、本当の私が笑えればいいから……」

 

 イースナの言葉に、本来ないはずの表情が、しかし一瞬その目の光が弱まったように見えたメガ・ネ。だが、イースナはそれに気づかない。

 

「私は支配者(グラスパー)……。この世界の人間の心も、眼鏡で染め上げて支配してみせる……。だから、い、一緒に頑張ろう、メガ・ネ……」

「……そや、な」

 

 こうして、わずかにすれ違う中で──支配者の計画が、動き出そうとしていた。

 

 

 

 

 ♢

 

 

 

 一方、ツインテイルズ基地にて──

 

「総二! 走り込みが甘い、もう三十分追加だ!」

「愛香、基本は出来上がっておるが、そのようなことでは怒り時の爆発力は出せぬぞ!」

「慧理那、無理についていこうと意識するな。着実に進むことを考えろ!」

 

 響く怒号の主人、それは習だった。

 彼女が特訓を提案してからと言うもの、ツインテイルズ基地では毎日のように特訓が行われていた。習自身も、当然のように自らに厳しい鍛錬を課しているが、それに並行して

 

「お、俺たちはいいけどさ……習は大丈夫なのか? 俺は肩口を軽く貫かれた程度だったけど、習は右腕の骨を……」

「うむ。それが変身を解いたら骨まで治ってな……」

 

 総二の疑問に答えたのは、彼らのメディカルチェックを行なっていたトゥアールだった。

 

「あ、それはテイルギアの仕様というか、総二様も変身後と前で体格とか全然違うじゃないですか、でも、変身を解除するとレッドちゃんから総二様にちゃんと戻っている。これはですね、テイルギアによる変身自体が、自らの体を作り変えているからなのです。なので、変身を解除すれば、物理的な怪我はたいていのものが治りますよ。ダメージは残りますが……」

「そうなのか……?」

「ええ。おそらく、習さんのハートブレスも変身の原理などは同じでしょうし、テイルギアのコピー品であるイースナのグラスギアもそうでしょう。分かりやすい言い方をすると……そのまま『変身』してるんですね。ただ装甲を纏うのではなく、エレエメリアンにも近い体躯になるのです」

「なるほど……戦って怪我を負ってたり、疲れてても属性力(エレメーラ)次第でかなり立ち直せるのは、そういうことだったのか」

「そうですね。ですが、基礎体力をつけるというのは悪くはないことです。体を作り変えているとはいえ、完全に根本からというわけではありませんしね。それに、習さんの指導は中国拳法や空手などの基礎も含んでいますから、動きの改善にも役立つはずです。愛香さんも、わかるでしょう?」

「え? あー、確かにそうね。でも意外だわ、トゥアール。あんた拳法とか全然詳しそうには見えないんだけど」

 

 愛香からそう聞かれると、トゥールは得意げに鼻を伸ばし、特に愛香に見せつけるように胸を張る。

 

「ふふ、何を隠そう私は先代テイルブルーですよ? そしてテイルブルーは槍を扱い、高速戦闘を得意とするのです、本来は。決してマウントをとっての殴打が得意なわけではありません。槍術は中国拳法、例えば八極拳などでもその扱い方を教導してくれますから、前の世界では参考までにちょっとかじってたんですよ」

「そうか……確かに武器を扱うとなると、それ相応の鍛錬が生身でも必要になるかもなあ」

「中国拳法……! わたくしが好きなヒーローの中にも、幾人か使い手がいますわ!」

(ねえ習、念のため確認するけど、八極拳で槍の使い方を学ぶって、かなり難しいわよね?)

(……この世界やトゥアールの世界での八極拳がどうかは知らぬが、少なくともそれなりの根性が必要だろうな)

「まあそれはともかく、話で鍛錬の手が止まっておるぞ!」

 

 実のところあまりさらけ出されることのない、トゥアール本人のことについて話が少し弾んだが、本来の目的は修行である。

 ダークグラスパーの力は──直接対峙した総二と習には、その強大さがいやでも解るほどのものであった。それ故に、今一度訓練の必要性があると習は判断したのだ。

 

 爆発力はあるが、小手先の技への対応能力が低い総二。

 安定した強さを見せるが、装備を十全に扱えているとは言えない愛香。

 以外にも属性玉変換機構(エレメンタリーション)などを用いた応用能力は高いが、地力に欠ける部分がある慧理那。

『技』の熟練度ならば他の追随を許さないが、属性玉変換機構(エレメンタリーション)などを扱えず、爆発力もない習。

 

 それぞれがそれぞれの問題を抱え中、トゥアールによるチェックの中でのこの特訓は、習の予想以上の効果をあげていた。

 

「総二、組手だ!」

「おう!」

 

 例えば、総二などはこの訓練を始めた当初、習との組手では手も足も出ていなかった。しかし、厳しい特訓の中、ふと気付いた時、彼はある技術を会得していた。

 

「はあっ!」

「……ッ!」

 

 習が繰り出した鋭い蹴りを、目をつむった状態の総二が防いだ。そう、総二は鍛錬の最中、ツインテールの動きを感知できるようになったのだ。また、これを応用することで、変身時に自身の体の最適な動き方をも感じることができるようになったのだ。ダークグラスパーも、その属性力(エレメーラ)は眼鏡が主とはいえ、ツインテールである。少なからず、彼女との戦いでもこの技術は役立つだろう。

 

「よく防いだ。だが、まだ甘い!」

「下段……ッ!?」

 

 しかし、感知できるようになったとは言っても、その精度はまだ甘い。そもそも変身していない総二では、習の動きには対応しきれないのだ。下段をくらい、すっ転んでしまう。

 

「いてて……」

「まだまだ、基礎鍛錬の部分が足りておらぬな。……しかし筋はいい。このまま鍛えていけば、より強くなれるだろう」

「本当か!?」

「うむ。だが焦ってはいかんぞ、総二。今は休んでおくといい。未春殿が飲み物を用意してくれているはずだ」

「……そうだな。わかった」

 

 習の言葉に、表面上はいつも通り答える総二。しかし彼が何かに焦っていることは、直接手合わせした習や、長年彼を見守ってきた愛香にはわかっていた。

 

「そーじ……大丈夫かしら」

「どうやら、テイルレッドとして背負う期待と、強くなっていく敵に対しての不安……それが焦りを生んでいるようだな」

「わかるんですか?」

「拳を交えればな。そしてそれは……」

 

 習の視線の先には、トゥアール特製のランニングマシーンを使った走り込みを続ける慧理那の姿があった。彼女もまた、自身の力量に焦っていた。

 

「…………慧理那。そこまでこ根を詰めなくても良い。今は疲労しているだろう? 総二と共に、休憩するといい」

「で、ですが……。いえ、わかりましたわ。適切な休憩も鍛錬のうち、ですわね」

 

 習の言葉に従い、フラフラと外の休憩室へと向かう慧理那。このままいけば、総二と二人きりになるだろう。

 

「……いいのですか?」

「焦りを抱えた者どうし、時には互いに支え合い、力となるだろう」

「いえ、そういうことではなく……まあいいです。はあ……この恋心が悩ましい……ただでさえはち切れそうな胸が、さらにはちきれそうになります……」

「あっそう。私の堪忍袋の尾もはちきれそうだわ」

「いでででででででででで!! そんなに締めたら私の腕がはちきれますよ!」

「……全く、じゃれ合うのもそこまでにしておけ。愛香! 貴様にはさらなる特訓をしてもらうぞ!」

 

 

 

 

 

 ♢

 

 

 

 

「それじゃ総ちゃん、ここに人数分の飲み物置いておくから、みんなにお願いね?」

「わかった。届けておくよ」

 

 特訓室の外に仮で設けられた休憩室で、総二は涼しいクーラーに当たりながら、未春の用意したスポーツドリンクを飲んでいた。さっきまで激しく体を動かしていた反動か、アドレナリンが抜けると同時、隠しきれない気だるさを総二は感じていた。

 

「ふう……」

「あ、観束君」

「会長も休憩に来たのか。はい、これスポーツドリンク」

「あ、どうも……」

 

 総二から受け取り、ちびちびとスポーツドリンクを飲む慧理那。休憩室には二人しかいないが、その間には奇妙な沈黙があった。

 

(どうしましょう……。観束君と二人きりなんて……。それに、前回の戦いの時……は、はしたない真似を……)

(どうしよう、会長と二人きりって、何を話せばいいんだ……?)

 

 二人とも、単純に異性と二人きりという状況に慣れていないのだ。総二の場合、気心の知れない女性と二人きりの状況に、という注釈がつくが。

 前回の戦いで総二を『ご主人様』と認識して以降、慧理那は自らの中に眠る才能(ドM)を開花させた。しかし変身状態でなければ、基本的に慧理那は貞淑なお嬢様である。総二は慧理那の性癖についてはほとんど気づいていないが、それでも恥ずかしいと感じてしまったのだろう。なかなか話しかけられないでいた。

 

(いえ、ここで萎縮してはいけません! 仲間ですから、ちゃんと仲良くお話しできなくては!)

「「あ、あの!」」

「あっ……ごめん会長、そっちから……」

「い、いえ観束君……そちらから……」

 

 出した声が被ってしまい、さらに萎縮してしまう二人。しかしこのままではいけないと、意を決したばかりの慧理那が、すぐに話し出した。

 

「み、観束君……わたくしのこと、『会長』って呼んでくれていますわよね?」

「え? ああ、そうだけど……」

「……津辺さんやトゥアールさんのことは名前で読んでいるのに、わたくしだけ『会長』なんて……他人行儀ですわ。わたくし達は、仲間なのですよ?」

「えっ? でも……」

「遠慮する必要はありませんわ。観束君、わたくしのことも──名前で呼んでください」

「か、会長──」

 

 突然の提案に、困惑する総二。しかし、慧理那が勇気を絞り出してこの提案をしたことは、ツインテールで人を見ることのできる総二にはわかっていた。

 

(今更、俺が恥ずかしがってたら、会長のツインテールにも申し訳が立たない)

「じゃ、じゃあ──え、慧理那」

「……はい、観束君」

 

 まるで至上の美味を味わうように総二の言葉を噛みしめると、慧理那は感慨深くそう呟いた。

 

「それなら、俺のことも総二って呼んでよ」

「ええ、ご主人様と呼ばせていただきますわ…………え?」

「え?」

 

 一瞬、致命的な噛み合わなさを見せた二人の会話。しかし総二が慧理那の発言のおかしさに気づく前に、彼女は必死になって取り繕う。

 

「え、ええ、ええ! そうですわそうですわ、そうですわそうじですわ!」

「お、おう……。まあともかく、ありがとな慧理那。改めてになるけど……ツインテイルズに入ってくれて。前回の戦い、慧理那がいなかったら勝てなかったと思う」

「観束……いえ、総二君……」

「だから、さ。急いで強くなろうとしなくてもいいんだ。今のままで、十二分に慧理那は強い。俺は……」

「ふふ、総二君こそ、焦っているのではないですか?」

「え……?」

 

 慧理那の指摘に、『思ってもみなかった』とでも言いたげな顔をする総二。対する慧理那は、その幼女にさえも見えそうな小さな体とは裏腹に、年長者としての余裕に満ちた表情を見せていた。

 

「わたくしも、確かにまだ迷っていますし、焦ってもいます。このままツインテイルズとして戦う中で、少なからず私生活への影響もあるでしょう。ですが、それは小さな悩みです。……総二君は、テイルレッドとして戦う中で、非常な期待をかけられています。特にレッドは人気ですし、総二君のことです。街中でツインテールを見かけるたび、守らなければならないと、使命感に駆られていることでしょう」

「……そうなんだ。だから──」

「ですが、そう気張らなくてもいいと思います。わたくしが見て来たヒーロー達も、悩み、惑うことは多く……それでも最後には、必ず勝利してきました。ですが、勝利は当然のことではありません。未知の強敵に敗れた時もあります。ですが、そのような時には必ず、仲間とともに立ち上がり、強敵を打ち破ったのです」

「仲間……」

「はい、仲間です。だから総二君も、もっとわたくし達を頼ってくれて構わないんですのよ?」

 

 今、総二の心の中に浮かんでいたのは、これまでの激闘の日々。その中でハートと出会ってから、ブルーが仲間となってから……いや、初めて変身したあの日から、自分一人だけの力で勝ってきたわけではないと、そう総二は思い出した。

 戦う日々の中で、自然とツインテイルズのリーダー格のように世間から注目され、その責任の重さに総二はいつしか押しつぶされそうになっていた。表面化していなかったその負担が、ダークグラスパーという、同種の力を持つ圧倒的な敵の登場により、吹き出てしまったのだ。

 だが、今こうして慧理那と語らう中で、総二の精神は平穏さを取り戻していた。それと同時に、さらにツインテールから『何か』を感じ取る力が高まりを見せていた。

 

「……時に総二君、少し相談があるのですが……。わたくしのお母様が、昨日……」

「待ってくれ慧理那。……みんなが近づいてくる、多分トゥアールも一緒に」

「え?」

 

 総二が感知した通り、愛香と習、そしてトゥアールが休憩室に駆け込んでくる。

 

「総二! 敵だ!」

「久々の海外です。カタパルトの準備をしておきますから、待機しておいてください!」

「わかった。行こう慧理那!」

「……ええ、わかりましたわ、()()()!」

(……?)

 

 慧理那の言葉に少し違和感を感じつつも、出撃のため、駆け出していく総二。慧理那もまた、その後をついていった。

 

 

 

 

 

 ♢

 

 

 

 

 

「い、いや……あ、あんた誰よ!」

「あ〜どうも、ツインテイルズが来る前に、ちょっとだけここの人たちの唇を堪能したいのですが……。あなたの唇の型、取らせていただけませんか?」

 

 

 常夏の楽園──ハワイ。普段は人々の熱気で賑わうビーチだが、今は人々の悲鳴が空へと響いていた。蝶の姿をしたエレメリアンが、銅板に唇の型を残そうと迫って来るからである。しかも銅板には魚拓のように無数の唇跡が存在する。生理的嫌悪感から悲鳴をあげるのも無理はないだろう。

 

「い、いやよ……」

「大丈夫ですよ、心配しなくともこの銅板は近づけるだけでスキャンして……」

「女の敵は死ねー──────────!」

「ああ……」

 

 女性に迫る蝶のエレメリアン。そのの暴挙を止めるべく、飛びかかったブルーの蹴りがクリーンヒット。蝶のエレメリアンは体勢を崩してよろけるが、なんと即座に裏拳を繰り出し、ブルーに攻撃した。

 

「ッ!? こいつ……」

「なかなか、ですね……テイルブルー」

「強い……! ちょっとそこの……あんた! 早く逃げなさい!」

「ひっ、は、はい! いうとおりにしますから命だけは……」

 

 なぜかエレメリアン以上にブルーを恐れながら、女性は必死に逃げていく。それを見たブルーは釈然としない気持ちを抱えつつも、エレメリアンにくみつき、巴投げの要領で投げ飛ばした。

 

「おおっ、と……」

 

 しかし、エレメリアンは背中の羽を器用に使い、見事着地。仕切り直しの状態になる。

 

「ブルー! こっちだったか!」

「昆虫型の、エレメリアン……? これまでツインテイルズが戦闘してきたのは、動物型のエレメリアンばかりだったはず……」

「ダークグラスパーが来てすぐに、新種の敵か。……おそらく偶然ではあるまい」

「ええ、その通りです……」

 

 蝶のエレメリアンはその巨体を僅かに地面から浮かばせると、まるで腰の低いサラリーマンのような態度で、しかし隙のない構えでその口を開いた。

 

「あ、どーも……私、パピヨンギルディと申します……。ダークグラスパー様直轄部隊にして、アルティメギル四頂軍の一角、美の四心(ビューティフルハート)の先鋒でして、ええ、唇属性(リップ)のために戦っております〜、ハイ」

「アルティメギル……」

「四頂軍!?」

 

 これまで聞いたこともないような名称に、驚くツインテイルズ。しかしその驚きはやがて、ある確信に至る。

 それは、この世界がさらなる危機に陥ったという確信だった。

 

「いや〜、予想以上にできますね、ツインテイルズ。だからこそ、その唇も奪い甲斐もあるというものでして、ハイ」

「今までの奴らとは違うみたいだ、気をつけろよ、みんな!」

 

 こうして、ツインテイルズが新たな敵と戦っている間……ダークグラスパーの策謀も、その支えを得ようとしていた。

 

 

 

習と総二のデートって(番外編以外で」見たい?

  • 構わん、やれ
  • 断固として拒否する
  • メス落ちまだ?
  • 習側が記憶失ってたらいいよ
  • トリニティ!
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