この作品もゆっくりとではありますが、完結まで進められたらいいなと思っています。
なお一番書きたいシーンは超後半である。レッドの強化がある巻は流れが完成されすぎてて戦闘シーンが弄りにくい!
「はあああっ!」
「せいっ!」
「お、おお、おおっとっと」
砂浜でのパピヨンギルディとツインテイルズの戦闘は、一見してツインテイルズが押しているかのように見えた。
しかし、実際にはパピヨンギルディはツインテイルズの攻撃を紙一重でかわし続けていた。捉えられそうな時にもアルティロイドが盾となって攻撃を防ぐため、思った以上に攻めあぐねていた。攻撃に移れていないのは、パピヨンギルディも同じようだったが……。
「この銅板に唇を近づけるだけでいいんですよ〜?」
「誰そんなことするか!」
パピヨンギルディの鱗粉が固まってできた銅板。そこに唇の型を取ろうとするパピヨンギルディに対し、ツインテイルズの面々は例外なく生理的嫌悪感を催していた。
それに嫌悪感がなくとも、エレメリアンの能力というものはただでさえ奇想天外。どのような条件で、どんな能力が発動するかは想像もつかない。
「やりにくいわね、こいつ!」
「うろたえるな、お前達。特訓の成果を見せるは今ぞ!」
『そうです皆さん! こんなやつ軽く倒せなければ、これからの戦い、厳しいですよ!』
「! 何か仕掛けて来るつもり、ですかあ〜?」
ハートからの発破を受けて、レッド、ブルー、イエローの動きが変化する。これまでの好き勝手それぞれな戦い方とは異なる、連携のとれた動きに、パピヨンギルディは警戒を隠せない。
「
まずブルーが、タイガギルディから取得した
「おおっと〜それは予想通りです〜」
しかし、常に微妙に浮き続けているパピヨンギルディは、地面からの攻撃にも素早く対応。空へ逃げて、攻撃を避ける。
「そう奇遇ね! 予想通りは……」
「こちらも同じですわ!」
しかしパピヨンギルディが逃げた先にあったのは、イエローが胸部装甲から放った二発のホーミングミサイル。多くの銅板と
「こ、これはぁ……ですが……
「なんで真っ先に胸アーマー飛ばすのよ! それは一番最後にとっておいて! どうしてもどうしようもない時だけ、断腸の想いで脱ぐのよ!」
「で、でもフォトンアブソーバーという光膜が全身を覆っているから、装甲はさほど重要視しなくても良いと……」
「喧嘩は後だ、二人ともッ!」
「ゆくぞ、レッド!」
戦闘員を切り捨てながら、パピヨンギルディにとどめの一撃を見舞うためにレッドが走り、それをハートが援護する。しかしパピヨンギルディも実力者、これまでの攻撃も、当然動けないほどというわけではない。
「テイルレッド、あなたの唇を──」
「させませんわっ!」
「レッド、あんたは気にせず突っ込みなさい!」
「ありがとう、二人とも!」
だが、パピヨンギルディと戦闘員の二人に動きを妨害されず、ブルーとイエローがフリーのままである。これも当然、パピヨンギルディの動きはイエローのヴォルティックブラスターに止められ、その体躯はブルーの槍の一撃で吹き飛ばされる。
「ぐ……」
「オーラピラー!」
そして大きな隙を晒したパピヨンギルディの体を、容赦なくレッドの放ったオーラピラーが拘束する。
「銅板で……」
「させぬぞ!」
とっさに銅板を使ってレッドの技を妨害しようとするパピヨンギルディ。だが、銅板はレッドにたどり着く前に、全てハートによって撃退される。
「グランドッ! ブレイザ──────────!!」
「あ、そういえば戦力の把握が目的でした〜。いや〜これはダークグラスパー様に怒られ……いえ、その前に終わりですか〜」
最後まで呑気な態度と口調を崩さなかったが、レッドの必殺技の直撃はさすがにたまらなかったらしい。パピヨンギルディはその身を爆散させ、消滅。残ったアルティロイドも全て倒された。
「結構強そうなエレメリアンだったけど……あっさりと倒せたな」
「うむ、なかなかの連携であった。しかし油断はするなよ、新軍団が来たということは、警戒されているということでもあるのだから」
『習さんの言うとおりです。ですが、今は勝利を喜びましょう」
「ああ。……って、ブルーとイエローはどこに……」
キョロキョロと視線を迷わせたレッドの目が、ある一点を見つめてピタリと止まる。彼女の視線の先にいたのは、何事かをブツブツと呟くブルーと、妙に体をくねらせているイエローだった。
「ご主人様に褒められましたわ……はぁんっ。それに、今日はヒーローらしいこともできて……んはっ、明日のニュースが、はあっ、楽しみですわぁん」
「よし、よし、よし……。今日こそ真っ当なレッドとハートの仲間としてテレビに映ったはず……」
「……帰るか」
「……色々と、前途多難だのう」
♢
暖かな炎をたたえる暖炉の前で、緩やかに揺れるロッキングチェア。
そこに座る者は、実に優雅な手つきでもって、セーターを編んでいた。
「ようし、なかなかの出来栄えだ……」
穏やかな時間が流れる空間──もしもこの光景を見る者がいれば、その和やかさに頬を緩めていただろう。
この空間を形成しているのが────エレメリアンでなければ。
三つ首を備えた、地獄の番犬の名を冠するエレメリアン、ケルベロスギルディ。
その優しげに細められた瞳が、不意にその細さはそのままに、鋭いものに変わる。
「ケルベロスギルディよ」
それは、ケルベロスギルディにとって最も来て欲しくなかった存在──ダークグラスパーが来たからである。
「……もう、会うことはないと申し上げたはずですが」
座したままダークグラスパーに応対するケルベロスギルディ。普段のダークグラスパーならば無礼者と叱りつけているところだろうが、ケルベロスギルディの事情を知り、なおかつ頼みごとをしに来た側であるためか、その語気は弱い。
「そうもゆかぬ……今回は大仕事じゃ。……早速、この世界の
「送られて来た映像は、見た。これでは既存のものの焼き直しだ。前にも言っただろう、アイドルの価値は時価。成功例の模倣だけでは限界がある。魅力が活きぬと」
「流石じゃな、すでに問題点を看破しておったか」
編んでいたセーターを慣れた手つきでたたむと、ケルベロスギルディはそっと立ち上がる。
「この世界の戦士、一部隊の侵攻を完全に退けるほどに、強力だそうだな」
「その通り、敵同士ではあるが、わらわも敬意を表する戦士達よ」
「それほど強大な相手──偶像に対し、同じツインテールで挑むのは、愚策というもの」
ケルベロスギルディが思い返すのは、ダークグラスパーのアイドルとしての姿である、『
確かに、彼女の歌、パフォーマンス、ルックス、どれをとっても一級品だ。短期間で爆発的な人気を獲得できる電波系アイドルとして、完成形といっても過言ではない。
だが──この世界でのツインテールの流行ようは、アルティメギルから見ても異常だった。レッドの人気が高すぎて、ツインテールにするものが後を絶たない。個性を大事にするアイドルも、ツインテールであるものがほとんどなのだ。
「アイドルの特徴的アイコンとして機能していた、『ツインテール』という概念……。それが今や、普遍的なものには変化してしまっている。真新しくなくなっている」
「成る程。ならばケルベロスギルディ、貴様ならばどう戦う? 何を以てツインテールに挑む?」
「……三つ編みだ」
その一言に、迷いは一切なかった。
「……やはり、未だ三つ編みを捨ててはいなかったか。その想い。その眼力、何故腐らせようとする」
「首領様にお許しはいただいている。私はもう、戦いに疲れたのだ」
ケルベロスギルディとダークグラスパーが今いるのは、ケルベロスギルディが所有する個人挺だった。
異空間に浮かぶその船体は、まるで今のケルベロスギルディの心境を表すかのように、寂しげなシルエットを見せていた。
「エレメリアンが戦うことを放棄する……。それすなわち、
「緩やかなる死への歩み……だが、もはや私に生は意味をなさない。我が属性の滅びが止められぬ今……あなたがそれを証明してしまった今、私は我が属性と共に滅びよう」
どこまでも平行線をたどる話し合い。先にしびれを切らしたのは、ダークグラスパーの方だった。
「ここが正念場じゃ。最後にもう一度、わらわに協力せよ」
説得から、命令へ。ダークグラスパーはその苛つきを隠さず、ケルベロスギルディにあたる。
「くどい」
だが、ケルベロスギルディも黙ってはいなかった。スッと立ち上がると、静かにその闘志を漲らせる。
「戦いを捨てておきながら、自由のため戦う。全く、矛盾よな」
「黙れ」
「ならばその矛盾、わらわが躾けて矯正してやろう!」
グラスギアの背中から、まるで尾のように垂れ下がったパーツを引き抜くダークグラスパー。
まるで蛇の鱗のように刃が連なった暗黒の鞭を彼女が振るうと、床が砕け、天井が裂ける。
「む?」
だが、ダークグラスパーがケルベロスギルディを打ち据えるその前に、その腕が背後から、『何者か』に掴まれる。
次の瞬間、ケルベロスギルディは振り向きながら跳躍!
「眼鏡ッッ!!」
だが、その牙は届かない。叫びと共にダークグラスパーの眼鏡から放たれた怪光線が、ケルベロスギルディの巨躯を地に叩き落としたからだ。
「ぐ、うおっ……!」
「フン、番犬風情が地獄の支配者に叶うとでも思うてか」
「ぐ、うう……一思いに、やれ!」
光線で身を焦がされ、ならばいっそのことと処刑を望むケルベロスギルディ。しかしダークグラスパーは彼から視線を外すと、そのツインテールをいじり始めた。
「もうよい。そこで見ておれ。……三つ編みじゃったな、逆転の秘策は」
そう言うと、ダークグラスパーは自身のツインテールをいじり始めた。おさげのようにした彼女のツインテールは三つ編みにもしやすい……はずだが、その手つきは不器用に過ぎていた。まだ幼児に結ばせた方がマシだと思える程度には。
そして────戦いは捨てても、属性への愛は捨てれない、そんなエレメリアンが、それを見過ごせるはずもなかった。
「んもうっ! 見てられないわ!」
いきなり飛び起きると、オカマ口調にクネクネと体を揺らしながら、ケルベロスギルディは即座にダークグラスパーに接近。
「雑だわ! 手抜きだわ! 全く素材はいいのに! この子ったら! 昔っから自分の見せ方ってもんをわかってないわ、んもうッ!」
そのままダークグラスパーが結んだ三つ編みを解くと、彼女よりはるかに素早く、されど繊細かつ大胆な手つきで三つ編みを編んでいく。その様はまさに、卓越した芸術家がキャンバスに絵を描くかのような光景であり、神業により編まれた三つ編みは、まるで優秀な指揮者が率いたオーケストラのように荘厳かつ調和のとれた美しさを見せていた。
「……腕は、落ちておらぬようだな。相変わらず、見事な三つ編みよ」
「──────はっ……」
ダークグラスパーの一言に、我に返って後ずさるケルベロスギルディ。しかしすでに、彼は完璧な三つ編みを結び終えていた。しかも、完璧なケアまで加えて。
「女のように繊細で……かつ男のように大胆な技。まさに貴様こその見事な技よな」
「──これが最後だ。ただし、このことは隊の皆には……。この呪われた本性が知れれば……」
「士気に関わる、であろう? わかっておる。これで七回目の『最後』じゃからな。……じゃが、あるいは本当に、そうなるやもしれんな」
口ではそう言いながらも、ダークグラスパーは己の勝利を確信して、ほくそ笑んでいた。
「策は先打ちが良い。早速だが、今すぐに始めるぞ。今、
「うむ。ならばその手腕、存分に振るうがよい! アルティメギル一の演出家、ケルベロスギルディよ!!」
これまでダークグラスパーと共に、数々の世界に
彼を加えたことにより、ダークグラスパーの策略は新たな段階へと突入する。
「それはそれとして、奴らの戦力を計る必要があるのう。……パピヨンギルディは倒されてしまったし、誰に命ずるべきか……」
♢
パピヨンギルディを倒した翌日──観束家の居間にて。
普段は主にトゥアールの絶叫と愛香の怒号で賑わう場所だが、今現在の居間には沈痛な雰囲気が漂っていた。
「わ、私の役者が……男……」
「ちじょっていわれましたわ…………またいわれましたわ……」
「大丈夫ですか、お嬢様」
「ちょ、みんな気にするなよ! …………うん!」
「総二よ、下手な慰めは気を落とすだけだぞ」
その原因は、朝のニュースである。昨日の戦いを経て、意気揚々をニュースを見た愛香と慧理那の目に飛び込んできたのは。あいも変わらずな扱いなブルーとイエローの姿であった。要は、ブルーは単なる蛮族、イエローは完全に痴女扱いを受けていたのである。さらに、ツインテイルズのハリウッド映画化が決定したが、そこでのテイルブルー役はなんと、愛香にとっては不幸なことに、『男性役者』であるデック・ニールソンが勤めるという。なお、彼はれっきとしたノーマルな趣味の男性であり、役者としては役作りに真摯な名優として知られている。つまり制作側としては本気のキャスティングである。
「こ、今回はかなり自重したのに……」
「わたくしもですわ……。ご主人様に言われた通り、露出は控えて我慢プレイをしていたのですが……」
「うん慧理那、君はまずその思考を改革しようか」
「そもそも、積み上げられたイメージです。一朝一夕で抜けるものでもないでしょう。というか、リヴァイアクラーケとの戦いからそれなりにエレメリアン相手に戦ってますけど、先日のパピヨンギルディを除いていずれも木っ端相手……。そんな相手にすら、やれ蛮族だの、やれ貧乳だの、そう言われるような戦い方をする方が、悪いのでは?」
「うぐっ」
「うっ」
特定個人に対してのものであろうトゥアールの辛口を受けて、ダメージを受ける愛香と慧理那。このままでは話が進まないと判断した総二は、話題を変ようと、テレビのリモコンに手を伸ばした。
「ほ、ほら! 慧理那も大事な話があるんだろ? 愛香も、落ち込んでないで、きぶんてんかんにんテレビでも見よーぜ!」
そう、今日ここに尊も含めたツインテイルズ全員が集まっているのは、慧理那……というよりも、尊から慧理那についてのことで相談があるということだったので、習の提案で総二の家に集まったのだ。
それが、この雰囲気である。ツインテール以外のことでは比較的常識人である総二でなくとも、居心地が悪くなって、この雰囲気を変えようと動いたことだろう。
『続いては、デビュー間もないのに大ブレイク!? 新人アイドルの紹介です!』
「あ、この子最近人気のアイドルじゃないですか。私もチェックしてますよ、ちょっとロリっぽ……いえ、可愛かったので」
「へえ……あんた、アイドルのチェックとかするのね」
「どこにそんな時間が……いえ、思い返せば……」
総二の気遣いを感じ取ったのだろう。トゥアールの言葉に乗っかる形で、場の雰囲気を戻しにかかる愛香と慧理那。だが今度は、とうの総二が少し難しげな顔をしていた。
「どうした? 観束」
「いや……この子、最近髪型を変えたんだなって」
「ああ、この子髪型を変えてからブレイクしましたねえ。ま、それ以前から光るものはありましたが」
「確かに、ツインテールから三つ編みに変わっているな。不服か?」
「いや、そんなんじゃないさ。ただ……」
「ただ?」
「…………いや、やっぱりなんでもない」
そう言うと、総二の顔はすっかりと元の明るさを取り戻していた。その様子を見て安心したのか、すぐにいつもの調子を取り戻す愛香たち。
「まったく、どうせあのアイドルに見惚れでもしたんでしょ」
「おやおや、嫉妬ですか愛香さん?」
「そ、そんなんじゃないわよ!」
「はは…………」
しかし、この喧騒の中にあってなお、総二の心中は晴れなかった。むしろ、テレビ画面に映るアイドルを見るたびに、その心は既視感と違和感で染められていく。
(……善沙闇子、か。どこかで……)
誰もまったく気付かないまま、賑やかで晴れやかでありながら、ただ静かに、支配者の侵略はその影を深めていた……。
習と総二のデートって(番外編以外で」見たい?
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構わん、やれ
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断固として拒否する
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メス落ちまだ?
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習側が記憶失ってたらいいよ
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トリニティ!