今回から、けっこうオリジナル要素が増えてきますよ!フフフ……あ、今回はけっこう残酷な描写があります。グロではないです。
……え?投稿が遅れた理由?
大学とデモンエクスマキナだよ。
いつもの放課後、いつもの部室。
少し違うのは、ツインテイルズ全員が、神妙な顔つきをしているところだ。
「最近のアルティメギルの動向ですが、男の娘を中心に狙っているようですね」
「……男の子、ですの?」
それもそのはず。現在、彼らは数日前からエレメリアン達のある行動に頭を悩ませていた。今は、その対策会議中である。
エレメリアンの反応を感知し、ツインテイルズが現場に直行してみれば、着いた頃には既に撤退した後……という状況が続いているのだ。
無論、相手も一目散に逃げ出しているため
「罠……いや、今のあいつらの行動そのものが、大きな計画の前触れの可能性もあるからな。注意しようぜ」
「ええ。標的とされているのはいずれも男子禁制の花園、お嬢様高校です。そしていずれのケースでも、女の子のふりをしてこっそり通っていた男子……男の娘の秘密が暴かれています」
「女子校に男が通っていた事実自体が、既に事件な気もするけどね……」
その後もトゥアールが事件の詳細情報をホワイトボードに書き出していくが、そのいずれも似たようなものであった。男の娘の秘密が暴かれ、時に友好関係にあった女子と諍いを起こすも、最後には桜の樹の下でハッピーエンドを迎えるという感じである。
「あの……男の娘って、なんですの? 女装をした殿方、という認識でよろしいのでしょうか」
「いえ、男の娘は女装を必要としません。男であるのに、ただそこにあるだけで女の子よりも女の子らしく……そうでありながら、確かに男としての獣性も秘めている。これこそが男の娘なのです」
「……これは、勉強が必要そうですわね」
最近の慧理那は直接戦闘能力では他3人にやや劣るためか、積極的に性癖……つまりはエレメリアンの属性となり得そうなモノについて勉強している。もっとも、それが本当に彼女の人生を豊かにするかどうかといえば、全く違うのだろうが。
「しかし、奴らの目的が読めないな……。なんと言うか、いつもと違う気がする」
「確かに、そうですわね。被害者の方にツインテールではない人も多かったですし……」
「……もしかしたら、アルティメギルの作戦は次の段階へと移ったのかもしれません」
「次の段階、とな?」
「ツインテール属性以外にも、多くの属性が存在することは身にしみてわかっているとは思いますが……。総二様たちによってダークグラスパーまで撃退された以上、ツインテール属性の奪取ではなく、他属性の各個奪取を優先したと、そういうことでしょう」
これまで総二達が相手取ってきた相手は、いずれも世界侵略部隊の先鋒を任せられるほどの者。ダークグラスパーに至っては、首領直轄の処刑人である。アルティメギルが計画の変更と前倒しを決断したと、そうトゥアールが考えるのも当然だろう。
「つまり、今まではツインテール属性を奪うついでに他の属性を狙ってたのが、これからはそれがメインになるのか!? それじゃ、ターゲットが無数になっちまうぞ!?」
そう総二が叫んだ瞬間、彼の不安もよそに机の上のノートパソコンからアラートが鳴り響いた。
『トゥアールのおっぱい、おっぱい、おっぱい〜』
「徐々に音を上げていくなあああああ!!! 消せ消せ────!!!」
トゥアールが仕込んだふざけたアラート音が鳴り響く。総二の慟哭に全く悪びれた様子もないトゥアールは、すぐさまエレメリアンの反応をキャッチした。
「場所はやはり名門女子校ですね、今回も」
「よし、今回は挟み撃ちで行こう。もうイタチごっこはできないからな。俺と愛香で突っ込むから、習と慧理那は回り込んで、ゲートに逃げ込もうとしたところを────」
「すまん、総二。今回はワシは出撃できん」
「習!? なんでだ?」
習の一言に、総二は驚愕する。これまでエレメリアンとの戦いで習が欠けたことなど、ただの一度もなかったからだ。
「相手の罠の可能性もあると言ったのは、お主であろう。ワシは万が一の時に備え、トゥアールと共に基地で待機しておく」
「そうか……。わかった。じゃあ愛香、習の代わり頼めるか?」
「任せといて」
習の言葉に納得を示すと、足早にロッカー内の転送装置に駆け込み、ツインテイルズ基地へと転送されていく総二達。後には、習とトゥアールの二人だけが残った。
「……習さん、やはり、私からあなたの事情のこと、総二様達にお伝えした方が……」
「……いいと言っているだろう、トゥアール。いずれ、ワシ自ら──」
「っ、ですが!」
「このまま問答を続けても、埒が明かん。行くぞトゥアール。早く総二達をサポートしてやらねば」
二人きりの空間で、問答を続けようとするトゥアール。しかし習はそれを早々に打ち切ると、基地への転送を開始する。
トゥアールも不満を顔に表すが、それでも今は総二達の援護が最優先だと自分を納得させる。
「……総二様達が帰ってきたら、無理矢理にでも事情を話させますからね!」
♢
『だからテイルブルーさん、あなたは男の娘なんでしょ!?』
『死ねやボケエエエエエエエエエエエッ!!』
「いやあ愛香さんは相変わらずひどいですねえ」
「……改めてこう客観視してみると、相当無茶苦茶な戦い方をしておるな……」
結果から言うと、総二の作戦は見事成功した。
「この様子なら、大丈夫ですね」
「うむ。奴らの様子からして、罠も無いようだからな。……戦いに出られぬのは口惜しいが、トゥアール、お前がワシの現状に対し対策を見出すのを、待っても良いかもしれぬな」
「だから言ってるでしょう、このてんっさい科学者のトゥアールちゃんに、任せておいてくださいと」
今日はツインテイルズ基地に未春も尊もいない。つまり、トゥアールと習二人だけの空間ということになる。
その空間内に、突如としてけたたましくアラートが鳴り響いた。
「……何が起こった!?」
「待ってください。……これは!? 強大な
「なんだと!? ……総二達の位置からは、どれ程離れている!?」
「総二様達がいる場所からは、かなり離れています! このエレメリアン、自分の存在を隠そうともしていません……! 街中にどんどん向かっています!」
「…………!」
トゥアールの作った転移装置も、万能というわけではない。海外にまで一瞬で移動することはできても、基地以外からの転送には、事前準備が無ければかなりの時間がかかる。ましてや、今レッド達は戦闘中である。
ならば、習が向かうことになるのは必然的だった。
「……トゥアール、ハートブレスに
「まさか習さん! 相手は幹部級です、今行けば────」
「今行かねば、多くの人が犠牲になる!!」
「…………ッ!」
習はトウァール達に対して、滅多なことでは語気を荒げるような真似はしない。その彼女が今、『自分が行かなければならない』と、そう叫んだのだ。これを受けてなおも習が向かうことに反対することなど、トゥアールにはできなかった。
「……総二様、愛香さん、慧理那さん! 街中にエレメリアン出現、幹部級です! ………………習さんが、向かってくれますが、彼女一人では危険です! そこのエレメリアンを片付けたら、救援へ!」
『なんだって!? わかった!』
「トゥアール……!」
トゥアールにとって、この決断は何より辛いことだった。習があと数回変身すれば、『前世』の記憶を失う──それはあくまで、現状が続けばの話。幹部級と戦闘を行ってしまえば、何が起きるかはわからない。
「習さん、一度だけです。今回の一度だけ、あなたの勝手を許します。ですが」
「わかっておる。……戻ってきた時に、いくらでも文句は聞こう」
「ええ。たっぷり言ってあげましょう」
「……すまぬな」
「ハート、オン……!」
ハートブレスの
そして──彼女は振り返ることなく、転送カタパルトに乗り込んだ。
「転送、開始!」
「行くぞ!」
♢
「出てこい、ツインテイルズ……! いや、テイルハート……! でなければ……」
「ば、化け物!?」
「え、エレメリアンが、こんなに恐ろしい奴らだったなんて……!」
街を支配する、殺気。それを放つのは、ただ一体のエレメリアン──ゴートギルディ。
幹部級エレメリアンが放つ殺気を、彼らの恐ろしさを、この世界の民衆は未だ目撃していない。見る前に、ツインテイルズが倒してきたからだ。
しかし、いきなり街中に現れたゴートギルディは異端だった。エレメリアンと見るや逃げ出す人々に対し、その足がすくむほどの殺気をぶつけると、
「……おい、そこの貴様」
「ひっ……!」
「少し手荒な真似を働くぞ。心配するな、奴が来るまでの──」
「待ていっ!!」
「ぐ……むうっ!」
だが、ゴートギルディの所業を止める者がいた。飛び蹴りとともに颯爽と現れたのは、ゴートギルディが待ち望んでいた者──テイルハートだ。
「早く逃げろ!」
「はっ、はい! ありがとうございます!」
「テイル……ハート! 久方ぶりだな!」
「ゴートギルディ……! あの日、レッドと共に戦って以来か!」
ゴートギルディとハートの2人は以前、激闘を繰り広げている。その時は未だ未熟なレッドもいたが、ハートとレッドの2人がかりでも苦戦し、救援に来たブルーがいなければ、危ないところだった。
(……単純な力では、あの時よりワシは弱体化している。……変身してわかった。もはや、一刻の猶予もワシには残されていない)
だが今のハートは、かつて東方不敗と名乗っていた時──愛弟子ドモン・カッシュと激突を繰り返していた、あの病を患っていた時以上に厳しい不調をその身に感じていた。
(ハイパーモード……明鏡止水の境地を駆使して
「どうした、ハート? もしや、身体に不調でも覚えているのか?」
「………………!」
不調をゴートギルディに見抜かれ、思わず驚愕するハート。その様子を見て、彼女と相対するゴートギルディは不敵な笑みをこぼす。
「私の本来の
「……だから、どうだと言うのだ! このワシを……テイルハートを侮るでない!」
ハートの啖呵を受けたゴートギルディは、笑みを収め、構える。その構えはハートの目から見ても、隙も侮りも一切無い。
「侮りなどせぬ! 貴様は戦士だ……それも敬意を払うべき! なれば、私は一切の油断も横やりも許さず、打倒するのみ!」
「ならば……ッ!?」
ハートの背後に、エレメリアンが撤退の際などに使うゲートが出現する。これに一瞬ハートが気を取られた次の瞬間には、ゴートギルディは彼女の体を捉えていた。
「!」
「ここで戦うのは、貴様も本意ではなかろう!!」
ゴートギルディの巨腕から放たれた一撃を、ハートは後ろに飛ぶことでダメージを抑える。だが、彼女の背後にはゲートがある。
「……南無三!」
そう唱えると、ハートはゲートの中に飛び込んでいった。
♢
「トゥアール、ハートどこ!? いないんだけど!」
『これは、まさか──くっ、やられました……! 相手は習さんを巻き込んで、どこかに転移しました!』
「なんだって!? くそっ、どこに転移したかわかるか!?」
『いま、調査中です…………っ、習さんとの通信が切られてる……!? 相手の力!? ならば、衛星から──』
「レッド、ブルー! わたくし達はいつでも救出に向かえるよう、一旦基地に戻りましょう!」
「わかった……! くそっ、無事でいてくれよ、ハート……!」
♢
転移の瞬間には、ほんの一瞬意識が黒く染まる。
その感覚を覚えた、次の瞬間──ハートは周囲に何も無い岩場に立っていた。
「っ、ここは……?」
「言っただろう、横やりは入れさせぬとな」
「! ゴートギルディ……」
転移先は、日本のどこかに存在する、既に廃棄された採石場だった。
「……なるほど、確かにここならば、誰かを巻き込むこともない。……レッド達が来るにも、時がいるだろうな」
「その通りだ。……ここで私は、貴様を確実に始末する」
「やれるものならば……やってみるがいい」
「………………」
「………………」
一定の間合いを保ったまま、静かに睨み合う両者。そのまま、いくばくかの時が過ぎ──
「……おおおおおおおおおおおおッ!!」
「はあああああああああああああッ!!」
動いたのは、同時。ゴートギルディはハートと自身の間の空間を
「
「!? これは!」
ハートとゴートギルディの間に、薄く硬い壁が展開される。その壁はゴートギルディの一撃で少しヒビが入っていたが、破られる前に、ハートは次の技を発動する。
「続けて行くぞ!
「くッ!?」
他のツインテイルズが使用した場合、ツインテールを結ぶリボンが羽に変化する
「ぐ、おおおおおおおお!!」
「このまま……!」
ゴートギルディの胴体にリボンドリルは直撃。そのまま押し切ろうとするハートだったが、猛烈な勢いを保っていたドリルの回転が、不意に止まった。
「何ッ!?」
「その程度……この鍛え抜かれた肉体の前には、効かぬ!」
ゴートギルディの鍛え抜かれた腹筋が、ドリルの回転を止めたのだ。信じられないほどの硬度に、ハートは改めて敵の強大さを認識し、距離をとろうとする。
「今度はこちらの番だ!」
「ぐっ!?」
これに対してゴートギルディは、自身の体毛を
(力を受け流すにも、一定の力は必要……! だが、今のワシではそれほどの力は……ない!)
「そらそらそらそら!! どうしたハート! やはり力が落ちているようだなあ!!」
「気づいていたか……! だが、このまま負けるつもりなど毛頭ない!」
ハートは攻撃の間隙を突いて、次なる
「
「その属性は!」
ハートが発動したのは、初めてレッドが戦ったエレメリアンであるリザドギルディの
「これで……! ハートシャドー!!」
「何ッ!? 分身……それに、なんだこの数は!?」
────ハートは
「「「「ワシ達は全てが実体! 数十人ものテイルハートの技、捌き切れると思うておらぬだろうな!!」」」」
「フン……! これほどの数で来るならば、こちらにも考えがある!」
だが、次に驚愕することになるのはハートの方だった。先ほど
「十二王方牌大車併のような技か……? それにしても、数が多いな……!」
「これぞ私が使う属性の一つ、
「……なるほど。だがこれほどの数、かなりの
「それは貴様も同じことだろう! それに、貴様と私では
「だとしても、ここで退くわけにはいかんのだああああああ!!」
大量のハートと、無数のゴートギルディが激突する。ハートは分身の一人一人が流派東方不敗の技を駆使するのに対し、ゴートギルディは圧倒的な物量で押し込むような戦い方だ。
だが、質においても量においても、ゴートギルディ軍団はハートの分身を上回っていた。
「ぐっ、く……まだ、まだだ! まだ持つだろう、ワシの
「そろそろ、限界か!」
幾度となく交わされる、ハートとゴートギルディの拳。一見互角に見える応酬はしかし、ハートの側はゴートギルディと激突を起こすたびギアの装甲が削りとんでいき、対するゴートギルディは全くハートの拳がこたえていない。
そして、ハートの分身もまた、無数に出現する小さなゴートギルディ達により、次々と消滅させられていく。それでも諦めないハートだったが、いつしかその息も絶え絶えになり、拳撃の圧も衰えていく。
「ハァッ、ハァッ…………」
「悲しいものだな、ハート。その程度の
「なにを……! まだまだ、これから…………ッ!?」
駆け出そうとした瞬間、ハートの膝が折れる。それと同時に、彼女が纏うギアがボロボロと崩れていく。
既に限界を超えて、ハートは
「……終わりだな。まず貴様を打倒し、残りのツインテイルズも誅する」
「なん、だと……!」
「究極のツインテール……テイルレッドこそが、首領様の求め続けたものであるのやも知れぬ。だが、私はそれを望まない……
エレメリアンにはある意味自己中心的な個体が多いが、ゴートギルディはある意味その極みとも言えるだろう。
かつては自らの属性を発端とする業のため一つの世界を滅ぼし、そして今、自らが理想とするアルティメギルのため、ツインテイルズを抹殺しようとしている。これが自己中心的でなくて、なんだというのか。
(マズい……! レッドが不調な今、ゴートギルディのような幹部級を相手にするには、戦力が足りぬ……!)
ツインテイルズの救援を待つという選択肢は、ハートの中には無い。単独で幹部級に正面から打ち勝てるような力を出せるのは、今はまだレッドのみ。そのレッドが不調な今、下手を打てば全員がここで犠牲になる可能性もある。わざわざハートを分断した辺りゴートギルディは慎重な性格のようだが、それでも戦いを恐れて逃げるような手合いでは無い。
(なんとしても、ここでワシが、こやつを食い止め、ねば……!)
なおも立ち上がろうとするハートだったが、既に変身は半分解除されたも同然の状態。その上、ゴートギルディによる殴打のダメージが出てきたのか、口元などから流血も見られる。明らかに、戦える状態ではない。
「……まだ、抗うか。ならば──」
『総二様、この地点です!』
「あれは……!?」
「あいつ、いつかの……! あんなのと一人で戦ってたの!?」
「ハート、今助けます!」
ゴートギルディがハートを抹殺するためその腕を振り上げたのと同時に、レッド達も駆けつけた。だが、レッド達も少なからず消耗している。どうやらスネイルギルディとワームギルディは、一筋縄ではいかない相手だったらしい。
「来るな、3人とも! 今来ては、お前達まで──」
「っ、ハート!?」
「ここで死ね! ハート!」
咄嗟に放たれたハートの声に、思わず足を止めてしまうレッド達。その瞬間、ゴートギルディの手刀が振り下ろされ────ハートのギアを砕く。手刀は肉を裂く鋭い音と共に、ハートの肩にまで深く突き刺さる。
「…………!」
「そんな……!?」
『習……さん! どうして……!!』
「ハート!! くそっ、くそおおおおおおおっ!!」
ハートが貫かれる光景を見たレッドからは、完全に冷静さが失われていた。この瞬間だけは今の不調も忘れて、ゴートギルディに全力で斬りかかる。
「ゴートギルディィィィィッ!!!」
「来たか、レッド! 次は貴様を────ッ!?」
当然、ゴートギルディは冷静に迎撃しようとする。だが彼の体は、いつのまにかハートの髪の毛に拘束されていた。
「
「ハート貴様、初めからこれを狙って……!」
「ワシが、貴様を倒すのが、最良だったが……。最悪中の最良というものは、想定しておくものだろう? ゴート、ギルディ……!」
「うううおおおおおおおおおおおおおおっ!!
レッドの持つブレイザーブレイドが完全開放され、その刀身が長大になるのと同時、剣には炎が纒われる。
「グランドッ!! ブレイザ──────────ーッ!!!」
ゴートギルディの腹部に、突き出されたブレイザーブレイドが深々と突き刺さる。ハートのツインテールを避けて放たれたこの一撃は、ゴートギルディをその内部から灼熱で激しく焦がし、彼の思考を激痛で染める。
「グ、オオ、おおおおおおおおお……!!」
「やった、か……」
「ハート!」
苦しむゴートギルディの方には見向きもせず、力尽き倒れるハートを支えるレッド。レッドの腕の中のハートは息も弱く、その変身はほとんど解けかけている。
「レッド! ハートは──」
「待ちなさいイエロー! ……あのゴートギルディってやつ、まだやるつもりよ!」
「フ、フフ……。想定以上の、力……! だが……!」
ゴートギルディの手の中には、マーメイドギルディから受け取ったDG細胞E型が入った注射器が握られていた。
「この、DG細胞を使えば……!」
「DG細胞、だと……なぜ、貴様が、その力を…………ゴフッ」
「ハート!? 血が……!」
DG細胞──自分と深い因縁を持つその名を聞き、立ち上がろうとするハート。だが口からも吐血が止まらなくなってきており、気力を振り絞ろうとも立ち上がることは出来なかった。
「ブルー、イエロー……!」
「なに、こいつら!? 小さいゴートギルディ!?」
「爆発しますわ!?」
自分ではゴートギルディを止められないことを悟り、ブルーとイエローに対処を任せようとするハート。しかしその二人は、まだ増殖したままだった小型のゴートギルディ軍団の相手で手一杯だった。
「フンッ!」
自らの体に勢いよく注射器を突き刺し、マーメイドギルディによって『改良』されたというDG細胞を、ゴートギルディは迅速に注入していく。
そして最後の一滴までを注入し尽くした瞬間、ゴートギルディの体に劇的な変化が起き始める。
「グ、グガ、があああああああああ!!」
「な、なんだ!?」
「キュ、急に苦しみ出しましたわ!?」
DG細胞がゴートギルディの体を蝕み、その負傷を修復すると共に、侵食していく。
細胞は『自己増殖』と『自己再生』を繰り返し、ゴートギルディの
「す、素晴らしい……! これは、確かに奴が虎の子とするだけのことは、ある……! だ、だが……! マーメイドギルディの奴め、不良品を……!」
しかしDG細胞の力は、負傷したゴートギルディには劇薬だった。いや、
「ぐ、オオ……! この、細胞……! どうやら、私そのものを、侵食しようと……している、ようだ、な……!」
「な、なんだと……!?」
「口惜しいが……負傷した状態の、私では……! ここで、貴様らを見逃さざるを得ない……!」
「──逃すと思う?」
苦しむゴートギルディに対し、容赦なくその槍を突き立てようとするブルー。だが彼女の槍がゴートギルディに届く前に、ゴートギルディのDG細胞に侵された部分から触手が飛び出る。触手はブルーの槍を絡め取り、彼女の体にまで伸びていく。
「ヒッ、触手!?」
「ブルー!」
咄嗟にイエローが放った銃撃で触手は千切れるが、ブルーは不意を突かれたのもあってか、触手にすくみ動けないでいた。
「……今、か……!」
「あ……!」
この間に、ゴートギルディは自らの背後にゲートを出現させ、その中に飛び込む。常に余裕を保っていたゴートギルディだったが、負傷してDG細胞に侵された状態では捨て台詞を残す余裕もないのか、あっさりと消えていった。
後には、レッド達と────ボロボロの状態のハートが残されていた。
「撤退、した……?」
「トゥアール! ハートの状態はどうなってる!?」
『これは……嘘……こんなに早く、消耗するなんて……。私が、
「トゥアール!」
『総二様……お疲れだとは思いますが、早く基地へ戻ってきてください!』
「わかった! ……っと!?」
ハートの体を持ち上げようとするレッドだったが、体格差のせいかうまく持ち上げることができない。バランスを崩しかけたレッドを、イエローとブルーが支えた。
「レッド、あんたも調子悪いんだから、ここはあたしとイエローに任せて」
「体格的に、わたくしが一番ハートを抱えやすいですわ。わたくしが背負いましょう」
「ああ、頼む……」
イエローがハートを背負い、ブルーがレッドに肩を貸し、ツインテイルズは疲れ果てながら基地に帰還した。
♢
「……トゥアール、ハートの様子はどうだ?」
「今は……大丈夫です。ハートブレスが
「そうか……よかった」
いつもの調子のトゥアールを見て、ようやくレッド達は一息つく。レッド達が基地に帰還してからすぐトゥアールはハートを介抱し、彼女が開発した医療装置に押し込んでいた。以前も習はよく装置の世話になっていたが、トゥアールによる検査と治療の結果、医療装置でも目覚めるまで半日ほどかかるようだった。
「と、とにかく習さんは無事ですのね! よかった、本当に……!」
「あそこまでボロボロの習……ハートは俺も初めて見た。くそっ、もっと早く駆けつけていれば……!」
「……過ぎたことを悔やんでも、仕方ありません。それより総二様、愛香さんに慧理那さんも、変身解除はしないんですか?」
「え? あ、ああ……習のことが心配で、すっかり忘れてた」
基地に帰還してからも、習の身を案じて気が気でなかったためか、レッド達は変身を解除していなかった。そのことに気づいたブルーとイエローは、すぐさま変身を解く。
だが、レッドだけは違った。
「どうしたの?」
「…………いや」
何度集中しても、何度念じても、レッドは変身を解くことが出来なくなっていた。
「やばい、変身が解けない」
「はあ!?」
「そ、そんな、もう一度試してみてください!」
「総二様、落ち着いてください。集中して──」
今の
変身が解けないと胃う焦燥感が、そのままレッドに対する、ツインテールを解かないでくれという焦燥感に変わる。イメージの中で、総二は彼女のツインテールに手を伸ばし────
「────ッ!?」
頭が割れるような激痛の後、やっと
「……ふう。愛香、慧理那、トゥアール、ごめん、心配かけて。変身は解けたみたいだ」
愛香のものでも、慧理那のものでも、トゥアールのものでも、ましてや習のものですらない──『女』の声が響く。
「トゥアール、仕事を増やして悪いけど、一度俺のテイルギアを見てくれないか?」
『女』の声は総二の意思を語る。そして総二はそれを疑問に思わなかった────
「──────え?」
身長は低めだがその体つきは豊かに実っており、非常に健康的な美しさを備えている。
「やばい、やっぱり変身が解けてないじゃないか! あれ!?」
その肢体は細く、まさに彫刻のような美しさだ。
そして──何よりそのツインテールは、まさに女神のごとき美しさ。
「総二、あんた……」
そう、今観束総二は────
「あんた……変身が解けても、ツインテールのままなのよ!!」
────『ツインテール』になっていた。
習と総二のデートって(番外編以外で」見たい?
-
構わん、やれ
-
断固として拒否する
-
メス落ちまだ?
-
習側が記憶失ってたらいいよ
-
トリニティ!