でも今回難産だったよ!色々とね!苦悩を感じてくれたら嬉しい第28話です!オリジナル要素ガンガン入れてくよ!
「……とりあえず、もう一度変身してみてもらえますか?」
「わ、わかった……テイルオン」
「……普通に、変身できますね。では、その逆は──」
「……やっぱ、ダメだな」
「まさか、総ちゃんが女の子になっちゃうなんてねえ……」
ゴートギルディとの戦いから数時間後────未春にも事情を説明した総二達は、ツインテイルズ基地内で総二が女体化したことについて、様々な議論を交わしていた。なお慧理那は家の門限のため、尊に連れられて帰ってしまっている。最後まで総二のことを心配していたが、後ろ髪を引かれていたのはそれだけが理由ではないだろう。
「未春さん、ここはやはり音声素材確保を──」
「いえダメよトゥアールちゃん。まず身だしなみから教えないと──」
「あ、それならあたしが──」
……議論の内容はともかくとして、この短時間の間にトゥアールは、総二の女体化現象がテイルブレスの故障などが原因でないということを、ハートブレスの修理作業と並行してつきとめていた。そして、ブレスに一切の不調や故障が無いことも。
そうなれば、総二の女体化と最近の不調が結びつくのも、当然のことだった。
「……ともかく、このままでは情報が足りません。総二様のギアは進化を繰り返していますし……。ハートブレスの修復作業もありますから、時間が必要です」
「じゃあ、少なくともその間、俺は女の子の体のままなのか……」
改めて、今の自分の体を確認する総二。
愛香よりも高かった身長は低くなり、慧理那ほどではないが、女子中学生と名乗っても信じられるほどのものになっていた。しかし背の低さとは対照的に、胸や尻の肉つきなど、所々の発育は良く、各部位のバランスはそのツインテールを含め、均整のとれた彫刻のような美しさを備えていた。
「なによ、なんか不穏なこと考えてないでしょうね。……ただでさえ、その胸が憎たらしいってのに」
「そ、そんなこと考えるわけないだろ!? というか、愛香なんか視線が怖いぞ!?」
愛香にとって、今の総二の胸の大きさはショックだった。まさか、元男にさえ……幼馴染にさえ負けてしまうとは、露ほども思っていなかったのだろう。思う方がおかしいことだが。
「愛香さんは総二様の発育の良さを認めたく無いのでしょうねえ。まったく、習さんはサイズで言えば愛香さん以上の貧乳だというのに、文句ひとつ漏らしていませんでしたよ?」
「習とあたしじゃ色々と条件が違うでしょーが! ……で、その習の容体はどうなってるの?」
「三日は安静にしてもらいますが、今日中にはいつものように生活できますよ」
(……そう、いつものように…………ですが……)
「トゥアール? どうかしたか?」
少しだけ、沈んだ表情を見せるトゥアール。しかし総二が心配してきたのに慌てて、いつもの調子を取り戻す。
「い、いえ。なんでもありませんよ総二様! それよりも女の子の体は、つい先ほどまで男の子だった総二様には、生活しづらいでしょう」
「そうだな……。この数時間だけでも、その……みんながいなかったら、
無意識に股を抑える総二。彼にとって、女子の体は全てが未知だった。……それは排泄の方法もである。
「で、なにトゥアール。もしかしてあんた、総二の世話係にでもなるって言いだすんじゃないでしょーね」
「名案ですが、さすがにハートブレスの整備やテイルギアの解析で忙しいので……私は無理です。しかし愛香さんや慧理那さんに総二様が世話されるのも、癪に障ります。……そこで! 一ついい案を思いつきました!」
どこかいつもとは違う様子のトゥアールの提案を、訝しげに聞く総二達。しかし続く彼女の発言に、彼女たちは度肝を抜かれることになる。
「その妙案とは!
「「「え……ええ─────っ!?」」」
「あら……」
……話は1時間ほど前にまで遡る。
♢
「……ふう。今日は大変なことだらけでした……」
総二が女体化してからの混乱の中、それがひと段落ついたところでトゥアールは習の様子を見に行っていた。
女体化した総二のトイレについてやトゥアールによるセクハラなどの問題もあったものの、総二のこれからの生活については、幼馴染である愛香がサポートするということで結論が出た。今は、彼女が総二の入浴を手伝っているところだ。
「恋敵としてはしゃくな話ですが……。私では、総二様にツインテールを結ぶ術も、教えてあげられませんからね」
複雑な乙女心を自分で納得させ、基地の廊下を歩くトゥアール。目指す先は、習が眠っているはずの医務室である。
「
────だが医務室にたどり着いたトゥアールを待っていたのは、驚愕の光景だった。
「む、トゥアールか……すまない、世話をかけたな」
「習……さん!?
まるで幽霊でも見たような表情で、習を見つめるトゥアールだが、それも当然のことだ。なぜなら習がゴートギルディとの戦いで負った負傷は、ギアによるサポートとトゥアールによる迅速な処置のどちらも欠けていれば、間違いなく致命傷になるものだったからだ。
肩口を心臓付近まで手刀によって貫かれた傷は、骨折程度その日のうちに治療できるトゥアールの科学力であっても、3日かかるほどのもの。現代治療では、まず習は助かっていなかっただろう。
そんな重傷を負っていたというのに、今彼女は二本の足で立って歩いている。トゥアールにとって、それはどんなエレメリアンとの邂逅よりも恐ろしいことだった。
「習さん!? ──私のことが、わかるんですか!?」
「?? ……なにを言っているんだ? トゥアール。
「
習の一人称の変化に、トゥアールはある事実に思い当たる。それは、破壊されたハートブレスの機能に関してのことだ。
(解析した時には、習さんの記憶と連動することで、無理やり
「……習さん、つかぬことをお聞きしますが──『東方不敗』と言う言葉に聞き覚えは?」
「………………ないが?」
全身から力が抜けていくような感覚──愕然とするとはこういうことだと、この時トゥアールは思い知った。
習がもともと男──『シュウジ・クロス』と言う一個人であったことは、慧理那を除くツインテイルズ全員が承知していることではあった。慧理那も、習が元はトゥアールと同じ異世界人であることは知っている。
だが、今の習はもはや『異世界人』ではなかった。
十文字習という少女の肉体を突き動かしていた、シュウジ・クロスの魂────だがハートブレスが砕けるとともに、その魂が持つ記憶は消えてしまった。
その結果残ったものは、この世界で生まれ育った『十文字習』という少女の記憶のみである。シュウジ・クロスの魂が失われたわけでもないし、彼が『十文字習』として戦ってきた記憶も失われてはいない。だがもはや『シュウジ・クロス』と言う男を知る者は、この世界にトゥアールだけになってしまったのだ。
「習さん……冗談は……いえ、あなたは、そういう人ではありませんでしたね…………」
トゥアールと習は、同じ異邦人だった。戦士として、そして同じ先達者として習を頼っていたトゥアールにとって、今の彼女の状態は自身の不甲斐のなさをうつす鏡のようであった。
「習さん……私が戦えないばかりに、こんな…………」
「トゥアール? 大丈夫か、トゥアール?」
いつのまにか、トゥアールの目からは涙が溢れていた。たとえそうでないと頭ではわかっていても、トゥアールは習が『シュウジ・クロス』で無くなってしまったことに、責任感を感じずにはいられなかったのだ。
「習さん……すみません、私の、せいで……」
「負傷のことを言っているのか? それならほら、この通り──」
この時のトゥアールには習の声が遠く聞こえたが────しかし科学者としての彼女の思考が、彼女に悲しむ暇を与えなかった。
「負傷────そうです、そこです。ゴートギルディから受けた負傷は、こんなにすぐ治るようなものでは……! 習さん! 何か心当たりはありませんか!?」
「心当たりか? ……そういえば、起きた時妙に、こう……右手が熱く感じていたな」
「右手が…………」
トゥアールの脳裏によぎったのは、いつかの習との会話の数々。その中から、トゥアールは断片的ながらも、核心に近い情報を拾っていく。
(以前から、習さんは総二様や愛香さん、慧理那さん──ツインテイルズのみんなの右手の甲をしきりに気にしていました。最初は何かのフェチズムかと思いましたが、習さんの
「習さん! 自分の使う
「なぜそんなことを聞く? ……
(やはり……!)
ここに、トゥアールは一つの光明を得る。
シュウジ・クロスの記憶が完全に消えたのなら、彼が抱いていた
無論、習本人が
(……もしかしたら、あの紋章は習さんの肉体的な特性なのかもしれない。でも、総二様や習さんの
トゥアールが観測した限りでは、習や総二の右手の甲に浮かぶ紋章──普段は隠れている、あるいは見えないそれが現れたのは、例外なく
(もしかしたら、習さんが持つ紋章はギア──いえ、その根源である
「習さん、詳細は伝えれませんが、今あなたの身には重大な事が起こっています」
「……トゥアールが言うならば、そうなんだろうな」
「疑わないのですか?」
「トゥアールはいつだって、私達のことを案じてくれていただろう? 疑う必要など、どこにあるんだ?」
「……今はその信頼が重いですね。ですが、それに応えるのが私というものでしょう!」
暗い顔をした彼女はもういない。いつものような自身に満ち溢れた表情で、トゥアールは宣言する。
「私が習さんに起きていることをなんとかしてみせます! ですから──まず、総二様と一緒にお風呂に入りましょう!」
「ああ! わかっ────って、なにいいいいいッ!?」
♢
「どーして習とそーじが一緒に風呂に入るのよ!」
トゥアールの提案に対し真っ先に反対したのは、当事者であるはずの総二ではなく愛香だった。
「総二様はまだ男の子気分です。その証拠に……総二様、『1日ぐらいお風呂に入らなくても平気だ』と思っていたでしょう?」
「……いや、今日はもう、疲れたし……それに、その……」
だが、総二が咄嗟に反論できなかったのも無理はない。戦いで疲れていた上に、女の子になってしまったというショックまで重なったのだ。総二としては、とにかく一度落ち着きたいというのが正直なところであるし、風呂に入るからには、どうしても女体の──自身の裸が目に映ってしまう。総二はそれが恥ずかしかったのだ。
「恥ずかしいんだろうけど、ちゃんと風呂に入らないとツインテール痛むわよ?」
「えっ、じゃあ入る」
だが、風呂に入らなければツインテールが痛む。それは当然のこと、自然の摂理だ。だが愛香に指摘されるまで、総二はそのことに気づいてはいなかった。
「愛香さん、少しこちらへ」
「……わかったわ」
「総二様は、少し待っててくださいね」
「お、おう……」
愛香を呼び寄せたトゥアールは、総二に聞こえないように固まってヒソヒソと話し出す。
(さっきの総二様の発言、聞きましたね? 総二様はまだ女の子の体に慣れていません。誰かがサポートしないと、ツインテールを満足に洗うこともできないでしょう。そうなれば、悲しむのは総二様本人です)
(いやでも、私の方が付き合い長いし、それに……)
(よく考えて見てください愛香さん、そして慧理那さん。習さんは総二様に恋愛面での好意を一切抱いていません。私達3人の誰が一緒に入っても角が立ちますし、未春さんと一緒はさすがに断固として断られるでしょう)
(う……そ、それはそうだけど、でも!)
ここで、トゥアールはニヤリと笑う。総二と習、同じ紋章を右手に備えているらしき彼らを日常的に、より物理的に、より精神的に近づかせることで、習の中にある
(ならば愛香さん、ここは愛香さんと習さんの二人で総二様のお世話をする、ということにすればいいのではないでしょうか?)
(私と習の……二人で?)
(ええ。それならば、愛香さんも総二様にアピールできますよ?
初めからトゥアールは、習だけに総二の世話を任せるつもりはない。むしろ総二の周囲の人物……特にこれまで共に戦ってきたツインテイルズの面々とも絡ませることで、より習の中に眠るはずの、『シュウジ・クロス』の記憶の回復を速める狙いさえあった。今日の風呂は、その初めの一歩に過ぎないのだ。
(……トゥアール、あんた何か隠し事してない? こういう時あんたがそーじと一緒に風呂に入りたいとか言い出さないのって、おかしいわよ)
(それは……さっきも言ったじゃないですか。ハートブレスの修理とテイルブレスの解析があると。私は忙しいんですよ、どこぞのまな板蛮族貧乳と違って)
(どうやら死にたいようね)
こうして自身の上半身が床に埋まるという惨事と引き換えに、トゥアールの目論見は成功したのだった。
♢
「……少し、恥ずかしいな」
「そーじ、あんまり……その、こっち見ないでね」
「お、おう……」
脱衣所で服を脱ぎ、風呂に入り、体を洗う。たったそれだけの行動が、今の総二にはこれ以上ない困難なことに思えた。
バスタオルをきつく締め、体を隠す愛香と習──二人の少女の艶姿に対して、総二は一瞬目を奪われていた。すぐに口を開けたのは、普段から女体化を繰り返していたからだろうか。
「あ、な、習……その、怪我は……」
「……私なら大丈夫だ。トゥアールの技術には、驚かされてばかりだな」
((私……?))
習の怪我が『治って』から、習は総二、そして愛香とここで初めて顔を付き合わせた。習の言動に対してトゥアールと同じ違和感を総二達は覚えるが、しかしハートブレスと『シュウジ・クロス』の関係を知らない二人は、その違和感から答えまでたどり着くことはできなかった。
対する習は、今の状況に戸惑っていた。今は女子の体とはいえ、総二はもともと男で、そんな相手と一緒の風呂に入るなど、彼女の『これまでの人生経験』の中には無かったからだ。しかし、トゥアールに『習さんに今起きていることを解決する第一歩です!!』と力強く宣言されたこと、純粋に女子の体になった総二が心配なこともあって、この場に立っていた。
「……私のことよりも総二! 何をしている? ツインテールを解くぞ」
「ええっ!? いや、でも……解くのか!?」
「当たり前でしょ!」
習の発言に、まるで未知の物体を見たかのような顔をする総二。その頭の中に、『ツインテールを解く』という発想は無い。
「ツインテールを結んだままでも、洗えるだろ!?」
「根元が痛むのよ! あんたツインテールがぽろっと取れてもいいの!?」
「寝るときもちゃんと解くんだぞ。女子の髪というのは、お前の思う以上にデリケートなんだからな」
だがツインテールという髪型であることに関しては、幼少期から結んできた愛香と、母親に仕込まれた習に一日の長がある。その二人に言われたのでは、さすがに総二もツインテールを解かざるをえなかった。
「………………」
さらり、と髪が背中に流れていく感覚。そして鏡に映る、ツインテールを解いた自分の姿。
総二がもしもテイルレッドと同じ容姿のまま女体化していれば、この時に臆面もなく泣いてしまっていただろう。それほどの虚無感が、彼の心中を襲った。
「ああもう、死にそうな顔しないの。……習、毛先の方お願い。そーじの髪長いから、けっこう時間かかるかも」
「わかった。シャンプーはあるか? トゥアールから預かってるが」
「ありがと。未春おばさんの借りようかなって思ってたとこだった」
バスチェアに座った総二を待っていたのは、二人の少女による洗髪である。これだけならば誰もが羨むようなことだが、少女の前に『鬼教官』がつくことで辛い特訓へと様変わりする。
「まず総二、自分で髪を──ああ、それでは強すぎるな」
「爪たてて頭引っ掻かない! 髪を擦りすぎ! ツインテール好きって言ってるのに、髪の扱いが雑よ!」
「う……こ、こうか?」
これからどれほど総二が女の体のままなのか、それは誰にもわからない。だからこそ愛香と習は総二自身に洗髪の方法を学ばせようと考えたのだが、これまで15年以上の人生で培ってきた感覚を矯正するには、風呂に入る間の短い時間では足りなかったようだ。
結局、総二の髪は愛香と習の二人で洗うことになってしまった。しかし髪の手入れとは、風呂から出た後のアフターケアも込みでの話だ。
「風強すぎ! 弱風でゆっくり乾かすの!」
「ツインテールの維持は生半可なことではできんぞ、総二。お前が日常的にツインテールにするつもりならば、せめてこれぐらいは自力でできるようにならねば」
「……ツインテールでいるのって、大変なんだな」
「そりゃあ、あんたは今まで変身するだけでツインテールになれてたけど……結構大変なのよ? ツインテールにするのって」
「ああ、そうだな」
『ツインテールであることの大変さ』。それはこれまでツインテールにできなかった総二では、覚えることのできない感覚だった。
愛香も、慧理那も、そして習も、ただでさえデリケートな女子が日常的にツインテールであり続けるのは、とてつもない苦労を伴う。少しの間だけならばともかく、それが幼い頃から続いているならなおさらのことだ。ツインテールはただ『好きな人の好きな髪型だから』、『家のしきたりだから』、『親の好きな髪型だから』という理由だけで維持できるような、そんな生易しいものではない。努力と研鑽と勉強を重ねて、そして確かなツインテールへの愛をもって、やっと総二でさえ心奪われるようなツインテールが完成するのだ。
「ツインテールとは、一日にしてならず、か……」
人の歴史の中で積み上げられてきた、ツインテールという髪型への思いと研鑽。その一端を感じ取って、総二はさらなる精進を志したのだった。
♢
総二の体と精神の両方が変化している頃、エレメリアンの中にも総二と同じく、肉体の変質が起きている者がいた。
「ぐっ、おおおおおお……!!」
ハートに重傷を負わせた張本人であるゴートギルディは、しかしハートの捨て身の献身でレッドの必殺技を受けた。その負傷を治すため、マーメイドギルディから受け取った『DG細胞』を自身の体に注入したが──しかしDG細胞と彼との相性は最悪だった。
今はこうして誰も近づけさせていないが、今にも暴れ出したくなるほどの闘争心と、まるで悪魔と契約したかのような力がゴートギルディの底から湧き上がっていた。
「ぐ、マーメイドギルディめ……! こうなることを、わかって……細胞を渡したか……!」
マーメイドギルディにとって自分が実験台でしかないことを、ゴートギルディは理解していた。しかし、それでも細胞を自分に注入せざるを得ないほどに、彼は追い込まれていたのだ。
結果的にハートを取り逃がすことにはなったが、それでも今こうして彼が生きているのはDG細胞の力によるものだ。激昂したレッドによる一撃の負傷を短時間で治癒したDG細胞……だが、マーメイドギルディによって改良されたDG細胞は、より凶悪に宿主の意思を乗っ取り、より速く進化しようとしていた。
「ぐ、うう……うおおおおおおお!!」
だが、ゴートギルディの意思は生半可なものではなかった。彼は自らの
そして彼がDG細胞を屈服させた瞬間、彼を閉じ込めていた部屋のドアが開いた。入って来たのは、なんとマーメイドギルディである。だが、ゴートギルディはそれに驚きもせず、ただベッドに寝転んでいた。
「やっぱり、あなたなら克服すると思ってたわ、ゴートギルディ」
「…………マーメイドギルディか。サンプルの採取に来たか?」
「あら、わかってたの?」
「ふん、細胞を注入してから、だがな。私が細胞に屈しようと、抗おうと、どちらでもデータは取れるだろうからな……」
マーメイドギルディにとってゴートギルディがどうなろうが、それは貴重な実験データでしかない。ゴートギルディもそれを承知で、彼女に助成を頼んだのだ。
「そういうこと〜♪ 臨床実験ご苦労さま。ちょっとだけ、あなたの
「好きにしろ」
「はいはい素っ気ないわね。速く済ませるわよ。どう? 体の調子は」
「……悔しいことに、最高だ。これならば、必ずやツインテイルズの抹殺を遂げられるだろう」
「そう、それは良かった」
宣言通り、マーメイドギルディによる解析はすぐに終わった。その間もゴートギルディは本当に細胞の効果があるか疑わしほど静かだったが、マーメイドギルディは理解していた。ゴートギルディでさえも、細胞による影響からは逃れられないことを。
(普段なら、彼はこういう時同僚の前で『抹殺』なんて言葉は使わない。本性を知る私の前でも。それが、自分の中に眠る悪魔を抑えきれなくなっている……フフ♪)
自分の目的────
(……でも、もう一つ──細胞の力に飲まれたエレメリアンのデータも欲しいわね。手頃なのは……そういえば、一人いたわね)
マーメイドギルディの脳裏に浮かんだのは、弟子を失い、失意と共に決意を固めた一人の武士の姿だった。
(アラクネギルディ…………幹部級エレメリアンなら、申し分ないわね)
悪魔の科学者は、天使のような顔で微笑む。その懐に、さらなる悪魔の細胞を隠し持ったまま…………。
習と総二のデートって(番外編以外で」見たい?
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構わん、やれ
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断固として拒否する
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メス落ちまだ?
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習側が記憶失ってたらいいよ
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トリニティ!