全新系裂! 究極東方不敗伝テイルハート   作:天地優介

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大学が忙しすぎてマトモに執筆できませんでしたぁぁぁ!すみません!だが俺ツイ最終巻発売日までには間に合った!間に合ってねえ!

というわけでお詫びとして、連続投稿です。実際には長すぎて分割しました。2万文字近く行ってたから……

ともかく、お待たせしました!


第31話 DG細胞の脅威

 アルティメギル基地の一角、アラクネギルディの私室。

 普段は男の娘グッズで埋まり、見目も鮮やかなその空間は、今はなんの光も届かない、暗い深淵のようだった。

 

「………………」

 

 その中央に静かに鎮座するのは、美の四心(ビー・ティフル・ハート)所属の幹部級エレメリアンであり、この部屋の主人でもあるアラクネギルディ、その人である。

 

 今、彼の目の前にあるのは、あの日マーメイドギルディから手渡された、DG細胞がたっぷりと詰まった注射器だった。

 

「これを使えば……確実に、ワームギルディと、スネイルギルディの仇を、取れる……」

 

 それは、まさに悪魔の誘いだった。

 ツインテイルズがバカンスを楽しんでいた前後、アラクネギルディはツインテイルズ打倒を目指し、鍛錬を積んでいた。

 だが、彼には心のどこかで諦めがあった。ツインテイルズには、勝てない。そんな嫌な確信がどこかにあった。

 

 

 だが──そこに飛び込んできたのは、ワームギルディと共に死んだスネイルギルディが、いや、弟子達全てが、自身と同じくワームギルディに懸想していたという事実。

 

 

 もはや後顧の憂いはなく、彼はただ1人の修羅として戦いに赴く。

 

「……これよりは、我は武士に非ず」

 

 注射器を手に取ると、彼は躊躇いなく、自身の腹部に突き刺した。まるで切腹のようなその所作は、流れるような美しさで行われた。

 

「……ぐ、おお……おおおおおお!!」

 

 その直後、アラクネギルディを襲う、彼の意思を侵食する『何か』。DG細胞と呼ばれたそれを注入された者は、かつてはただ1人の例外もなく、その身と心を蝕んだ。何より、このDG細胞は精神生命体に近いエレメリアン向けに改造されたもの。エレメリアンの肉体を作り変えるということは、その精神を蝕むのに等しいのだ。

 

「……成る程、これはっ! 確かに、悪魔の……! だが、私の、私だけのものなのだ! この…………恨みはッッ!!」

 

 そう言い放った瞬間、彼の肉体が変異を始めた。背部から生えた蜘蛛の6本足はさらに頑強になり、その先には蜘蛛の頭部が鋭い顎を備えて生えていた。

 

「ふ、ふふ……ハハハハハハハハハハ!!」

 

 完全に変異し、醜くなったアラクネギルディ。研ぎ澄まされた彼の感覚は、無粋な闖入者の存在を察知する。

 

「……この気配、ゴートギルディ殿ですか」

「ほう、大方あの細胞に身も心も侵されたものと思っていたが……。無事なようで何よりだ」

「何の用でしょうか。私の復讐の邪魔をすると言うなら──」

 

 DG細胞の影響を受け、狂い出しているアラクネギルディ。しかしゴートギルディはアラクネギルディを宥める。

 

「落ち着け。……この私自身も、すでに体はDG細胞に侵されている。それは、お前と同じくツインテイルズに勝つための行動だった」

「私と、同じく……」

「……あの時、私はハートを仕留めきることができなかった。アラクネギルディよ、他は貴様にくれてやる。だが、ハートだけはこの私に譲ってもらおうか」

 

 対峙する、DG細胞に侵された2人のエレメリアン。

 立場も、信念も、属性力(エレメーラ)も異なる2人だったが、今この時だけは全く同じ志を抱いていた。

 

「ツインテイルズを、打倒するためならば……」

「協力させてもらおう」

 

 だが、決して握手が交わされることはない。悪魔と契約を結んだ両者は、ただ自らの目的のため、互いを利用するだけだ。

 

 

 

 

 

 ♢

 

 

 

 

 総二の毎朝の日課──ツインテール結びの練習には、変化が起きていた。

 

「ん……もう、朝か」

「そーじ、起きてる!? 入るわよ」

 

 早朝、愛香の訪問と時を同じくして起床した総二は、すぐさまバレッタを使ってツインテールを結ぶ。この時の速度は、30秒にも満たない。愛香が少し目を離した一瞬に結ばれるツインテールは、その形も見事なものだった。

 

「そーじ、あんたいつの間にツインテールに……!?」

「練習の成果だよ。……っと、こっちでも結ばないとな」

 

 総二はツインテールを一旦解くと、バレッタを懐に入れる。次に取り出したのは、あの日習と買った紅色のリボンだった。

 リボンを手に取ると、すぐさま総二はツインテールを結びはじめる。バレッタで結んでいた時とは違い、その動きは決して速くはない。しかしツインテールの形の美しさを意識し、確実に結んでいく。そうして完成したツインテールは、愛香から見ても見事な完成度のものだった。

 

「よし、今日はこっちで登校するか……」

「さ、最近妙に早起きだと思ってたけど……まさか……」

「ん? ああ、まだまだリボンでツインテールを結ぶのには時間がかかるからな。毎朝早起きしないと、登校までに間に合わないし、毎日練習もできないだろ?」

「男には戻れないのに……ツインテールを結ぶのだけ、どんどん上手く……」

 

(自分にとって)残酷な現実を突きつけられ、へなへなとその場に崩れ落ちる愛香。

 

「なんか思い出すなあ……俺とお前で並んでさ、愛香の爺さんに言われて、日が暮れるまで正拳だけやってたりさ」

「やめて──────子供の頃の思い出を汚さないで──────っ!!」

 

 2人の少女から貰ったバレッタとリボンを携え、今日も総二は清々しい気分で登校する。

 はずだったが、家を出た瞬間目に飛び込んできたのは、軒先にたむろする、まるでゾンビのような状態の十人ほどの人だった。

 

「うわああああああああああああああ!?」

 

 ここがショッピングモールなら悲劇を予感させるような群がりを見て、思わず悲鳴をあげる総二。その叫びを聞いて、群れの中の一人が、ガバッと首だけをあげて反応した。

 

「ヒッ!?」

「ご、ごめんね……不審者じゃないんだ、ただ開店を待っているだけなんだ」

 

 彼らが不審者なのはまぎれもない事実だが、総二の家は母の未春が個人経営する喫茶店で、彼女の気分と調子によって、開店時間も閉店時間もまちまちである。そのため、真夏日などにはこんなことも起きてしまうのだろう。

 

「あの、ここ個人店だからあまり早くに来られても……」

「わかってるよ愛香君。でもつい来たくなっちゃうんだよね」

「なんであたしの名前知ってんのよ!?」

 

 多くの常連客を抱える喫茶『アドレシェンツァ』だが、その常連客の大半は中二病を患っているうえ、エレメリアンもびっくりの変態の巣窟である。

 

「それにしても愛香君、女の子の制服似合ってるね。今流行りの男の娘ってやつでしょ? いやあ男の娘って、こう、エッ」

「失せろおおおおおおおお!!」

「お客さんだぞおおおおおお!?」

 

 ゾンビ人間の群れを吹き飛ばす愛香。彼女の気高くも悲しき勇姿を横目に、総二は微かな違和感を感じていた。

 

(男の娘が、流行ってる……ワームギルディ達は倒したのに。それに……)

 

 巷で広がり始めている男の娘──しかし総二の目には、その流行がいささか異常なものに見えた。

 まだそこまでではないが、性的な方向に()()なのだ。男の娘という属性自体、本来ツインテールと同じくマイノリティの側に属していた概念。それがワームギルディ達の襲来の後に流行し始めたというだけで不自然だというのに、それに加えて目につく男の娘は、丈の短いスカートや、腹の出た服……ともかく、違和感を覚えるほどに性的だった。

 

(なんだ? この違和感……)

 

 

 

 

 ♢

 

 

 

 

 総二が『ソーラ』となって以降、大勢の人の目を感じない瞬間は、それこそ家に居るときにしかないと言っていいだろう。

 学校ではソーラのファンクラブが細分化しつつも根強くその勢力を拡大している。その活動には総二の心の平穏を守ろうとする愛香や習、さらにはトゥアールや慧理那による時に遠回しな、時に(主に愛香と習の)直接的な妨害もあったが、それでもその勢力の拡大を止めることはできなかった。

 

「まあそれでも、こうして全員での時間は作れてるのですから……」

「いーえ、徹底的に潰さなきゃダメよ……。女だからって、睡眠薬入りのクッキーや、そーじの体操服を体育の時間に手に入れようとしたのまでいるんだから」

 

 時は昼休み。ツインテール部の部室では、この学園には珍しく平和な時間が流れていた。もっとも、話されている内容は物騒極まりない内容ではあったが。

 

「ま、まあみんな落ち着けって。なにも武力行使まで行かなくても……」

「いーえ! あたしは例え……例えブルーとしての恐怖を使ってでも!」

「私も……流石に、目に余ると思うがな。まるでエレメリアンみたいだ」

「そこまで言わなくても……」

 

 引き止める総二に構わず、彼(彼女)のために悲壮な決意を固める愛香と、それに賛同する習。色々とおかしいと言わざるをえない絵面だが、もっともおかしい点は、黙りこくっているトゥアールの存在だろう。

 

「……どうした、トゥアール」

「尊さん……。いえ、最近の熱狂に対して、少し違和感がありまして」

「違和感だと?」

「はい。最近巷では、男の娘が流行っています。ですが……これを見てください」

 

 そう言って唐突にトゥアールが見せてきたのは、ネット上で独自に収集してきたであろう様々な画像だった。そのどれもがかなり際どいポーズや服装で、中には青少年に見せるには不適切と思われるものまであった。

 

「こっ、これは!?」

「ちょ、ちょっとトゥアール! あんたなに見せてきてんのよ!」

「いえ、大真面目です。確かに、総二様……ソーラのファンクラブ活動は最近過激化しています。ですが、その時期がちょうど男の娘が流行り始めた時期と重なるのです」

「では、最近の熱狂には、共通点があると……?」

「ええ。例えば、エレメリアンの存在……」

 

 強大な属性力(エレメーラ)の持ち主は、時としてその存在だけで周囲に影響を与える。テイルレッドなどがいい例だろう。ツインテール属性だけでなく、彼女を見て他の属性に目覚める者も少なくないのだ。

 

「もし、これがエレメリアンの影響だとすれば……。そのエレメリアン、かなり強いな」

「はい。今の戦力だけでは不安が残る相手です。……せめて、ハートブレスの修理が済んで入ればよかったのですが」

「………………」

 

 その後は何事もなく時が過ぎ、次の授業も始まるという頃、トゥアールのトゥアルフォンがにわかに震え出した。

 

「これは……まさか!?」

「エレメリアンか!」

「噂をすれば、ね……!」

「先に戻っておきます! すぐに出撃を!」

 

 強大なエレメリアンの反応が『一体』現れたことを感知し、すぐさま部室のロッカーから基地へ転移するトゥアール。

 

「よし、俺たちも!」

「待ちなさい、そーじと習。あんた達はここに残りなさい」

「え……でも!」

「……大丈夫ですわ。観束君は最近調子が悪いようですし、習さんは返信できませんから。今はわたくし達を信じてください」

 

 そう言い残すと、愛香と慧理那はすぐに転移していく。残された総二達だったが、変身道具を持たない習はともかくとして、強大な相手が予想されるというのに、総二は居ても立っても居られなかった。

 

「……桜川先生、言い訳頼みます!」

「あっ、おい!」

「総二!」

 

 尊の制止も聞かず、変身してロッカーの中に飛び込んでいく総二。その後ろ姿を見て、習も思わず駆け出していく。

 

「尊先生、私からも頼みます!」

「お前まで……!? ええい、わかった! わかったから、無事に戻ってこい!」

「……ありがとうございます!」

 

 

 

 

 ♢

 

 

 

 

「なんで来たのよ! あたし達のこと信頼してないの!?」

「してるよ! 強さは!!」

 

『ちょ、習さん!?』

『すまない、だが私もツインテイルズの一員なんだ。……せめて、戦いは見守らせてくれ!』

 

 出撃の直前にブルー達に合流したレッドはそのまま出撃。習もまた、レッドに遅れてトゥアールと合流した。

 

『ああもう……わかりました。ですが、絶対に基地にいてくださいね! 飛び出さないこと!』

「この属性力(エレメーラ)……わたくしにもわかりますわ」

「ああ。相手は幹部級か!」

 

 光に包まれ、転移する総二達。その眼前に広がったのは、清涼な竹林────なのだが、どこかおかしい。

 

「……レッド、気づいてる?」

「ああ……。これまで感じた、どんな属性力(エレメーラ)よりも禍々しい……それに、この感覚……」

『!? これは……全く同じ属性力(エレメーラ)の反応が、複数体!?』

 

 基地でデータを収集するトゥアールからしてみれば、今のレッド達がおかれている状況は不気味としか言いようがない。その強さから何から何まで全く同じ属性力(エレメーラ)の反応が複数、すでにレッド達を取り囲んでいるのだから。

 

「反応が複数? まさか、敵幹部が複数体──」

「いいや、1人だ」

「!?」

 

 ──唐突に、レッド達の目の前にエレメリアンが姿を表す。

 

 真っ白な裃を纏ったその姿は、まさに死装束で飾った武士の姿そのもの。だがその構えは、これから死にゆく者のそれではない。

 長刀を携えた立ち姿には、一片の隙も無い。あるのはただ、純粋な『感情』だけだ。

 

「……どうも、だいぶ恨まれてるみたいね」

「拙者の名は、アラクネギルディ。男の娘属性(ガールズボーイ)を持つ武士にござる。……まずはツインテイルズよ、よくぞ拙者の果し合いの申し出を受けてくれた」

「アラクネ……?」

『半人半蜘蛛の怪物です。その半人部分は女性体のはずですが……』

『なるほど、元が半女性だからこその男の娘属性(ガールズボーイ)か』

 

 アラクネとは、もともと機織で名を馳せたが、女神アテナの怒りを買って蜘蛛となってしまった女性の名である。だが、その名を持つアラクネギルディがこうして男の娘を愛している以上、もしかすればアラクネとは男の娘だったのかもしれない。そうなれば、アラクネは人類史上初の男の娘だった可能性がある。

 

 

 神話に登場する男の娘──その名を背負う武士を相手にして、だがその名だけで気圧されるレッド達ではない。

 

 

 ならば、なぜ────彼女達は、後ろに退がっているのか。

 

(異質だ……)

 

 レッドはアラクネギルディの属性力(エレメーラ)から、不気味さを感じていた。

 トゥアールが襲撃と誤認するほどの属性力(エレメーラ)を放出し、居るだけでこの世界に影響を与えるほどの存在。だが、その静かな属性力(エレメーラ)に、レッドは異物感を覚えていた。

 

「あなた……お化粧をしていますの?」

 

 イエローが指摘したように、アラクネギルディは化粧をしていた。だがその化粧は死化粧と言うには、いささか『濃すぎる』ものだった。

 

「武士は死合う前、死化粧を整えたという。自らが死に首を晒した時、それが醜くあれば、死力を尽くした相手に申し訳が立たぬという心意気の表れ……だが」

「…………?」

 

 アラクネギルディが長刀の柄に手をかける。

 

「私は……私は知った。知ってしまったのだ! 男の娘として、女人の装いをする快楽を! 化粧をして、女装することの悦楽を!!」

 

 一気に刀を抜き、鞘を投げ捨てる。愛刀男の娘の棒(アメノムラクモ)を抜くその一連の動作には、禁忌の悦楽を犯してしまった嘆きと、同時に新たな快感に目覚めた悦びが混じっていた。

 

「男の娘とは、いわば常に死合う覚悟を持った武士!! だが、DG細胞によって得たこの快感は……この絶頂はなんだ!?」

「な、なにこいつ!?」

『気をつけてください、皆さん! 周囲の属性力(エレメーラ)反応が……嘘、同質のものが……50を超えた!?』

「なんだって!?」

 

 アラクネギルディの叫びに呼応して、地面から次々に黒一色のエレメリアン達が現れる。アラクネギルディに酷似したフォルムのそれらだったが、その顔面だけはアラクネギルディの剣道の面のような顔つきとは全く違うものになっていた。

 

 V字のアンテナに牙の生えた口、そして鋭く凶悪な眼光……。マーメイドギルディの研究室に鎮座するデビルガンダム、それと瓜二つの顔を備えたエレメリアン達が、ツインテイルズを取り囲んでいた。

 

「な、なんだこいつら……!?」

「これぞ我がかつての写し身……。私が未だ小僧っ子(スパイダギルディ)だった頃を模した分身達!」

「これが……!?」

 

 もはやアラクネギルディは正気ではない。DG細胞に侵された結果、かつての自分の姿が侵食されたものであることすら気づいていない。

 マーメドギルディさえも、エレメリアンでの実験はまだだったために知らなかったDG細胞の副作用。精神生命体であるエレメリアンが細胞に侵された時、その思考は性欲にも近い感情で染められてしまい、自らの欲望に支配される。その末路は、今のアラクネギルディを見れば一目瞭然だろう。

 

「卑怯とは言うまいな、ツインテイルズ! 我が弟子達の恨み、その骨髄の一片まで刻み込んでくれる!!」

 

「虫型怪人との死闘……シチュエーションは燃えますわね」

「でも、この数はかなりきついぞ……!」

「それでも、やるしか……!」

 

 周囲を何十体ものデビルスパイダギルディに囲まれ、窮地に追い込まれたツインテイルズ。だが、状況はさらに苦しいものに変わっていく。

 

『待ってください、皆さん。緊急事態です』

「どうしたんだ!? トゥアール!」

『……幹部級怪人の反応が、もう一体。しかも、基地に向かっています』

「なんだって!?」

 

習と総二のデートって(番外編以外で」見たい?

  • 構わん、やれ
  • 断固として拒否する
  • メス落ちまだ?
  • 習側が記憶失ってたらいいよ
  • トリニティ!
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