ともかく今話はずーーーーっとやりたかったネタを詰めたのでテンションがおかしいです。次回はもうちょっと早くお出しできたらいいな!
ツインテイルズ基地────ツインテールの戦士たちを支えるそこの司令室。その大モニターに映っているのは、新たな力を手にした2人の戦士の姿。
『これが俺の新たな
『これがワシの新たな
『グランドチェイン……。やったわね、ハート!』
『ハートライザーチェイン……! 仲間との絆で生まれた新形態! 燃えますわ!』
基地で戦況を見守るトゥアールの瞳には、2人のツインテールの眩い姿が映っている。
かたや、自分と同じく他の世界からやって来た、同志とも呼ぶべき人物。
かたや、この世界に来て出会った、自分のツインテールを受け継いだ人物。
どちらもトゥアールにとって頼れる戦士であり──そして、とても大切な人物達だ。
『トゥアール……レッドの方は?』
トゥアールが2人の姿に見惚れていると、ブルーからの通信が入る。イエローはデビルスパイダギルディの相手で通信できないが、ブルーはゴートギルディの全戦力がハートに向いているため、通信できるだけの余裕ができたようだ。
「習さんと、同じですよ。私のバレッタと、習さんから送られた髪留めを融合進化させて……。私の想像なんて、軽く上回ってます」
『……そっか。ね、トゥアール』
「はい?」
『よかったね…………』
それだけ言うとブルーは通信を切る。ハートとゴートギルディとの戦いに参加するつもりなのだろう。
「……はい。そうですね」
目の前のモニターに、薄ぼけた姿で映る2人の戦士。
自身の祈りが結実したその姿を見て、トゥアールは普段からは想像もつかないほど穏やかな笑みを浮かべていた。
♢
「ぐっ、この力は!」
「このまま……押し込む!」
ハートライザーチェインへと進化したテイルレッドの力は、圧倒的だった。
総二がただひたすらに特訓した、ツインテールを結ぶ技術。ただ愚直に積み重ねられたその動作はやがて、ツインテールを瞬間的に結び直すことによる形態変化能力へと結実し────そして総二の剣に、ツインテールを宿すにまで至った。
「二刀流……! 本来ならば、一撃が軽くなるはず……!」
「重いだろ……! この剣に宿るのは、俺のツインテールだけじゃないからな!」
テイルギアの肩アーマーから展開されている、翼のようなパーツ。そこから放出されるツインテール属性が、総二の腕から胸のX字型のコアアーマーへと伝わり、そこで増幅されて2対の剣へと伝わっている。これによって、ブレイザーブレイドは通常の22.2倍の威力を発揮していた。
「習のツインテールの分まで上乗せされてるんだ! それに……」
「隙あり!」
レッドの剣撃の隙間を縫って、
「させるか!」
「なんと……!」
まさに変幻自在。風にたなびくツインテールのように自由に、しかし力強いレッドの剣技は、DG細胞に侵されたアラクネギルディのそれを上回っていた。
「驕りを見せたな、アラクネギルディ! 俺はツインテールだ! なら、俺が二刀流を使うのはツインテールへの原点回帰! より力が増すと、なぜ考えない!」
「ううっ、真理! だが、欲を全開とした我が魔技を凌げるか!」
進化したレッドの
「逃すか!」
「確かにその力は見事! だが、二刀は集団に弱い! 勝つために、全てを使わせてもらおう」
「っ!? こいつら……!」
確かにレッドの力は二刀流を振るい、さらにツインテール属性を増幅させて放つことで、一段と強化されている。だが二刀流は余程の使い手でもなければ、圧倒的な力があったとしても集団の相手は難しい。単純に、思考能力が間に合わないのだ。
故に、アラクネギルディは自身の能力を最大限に活かす。たとえ一刀の下に斬り伏せられようとも、デビルスパイダギルディの増殖速度は、ハートライザーチェインへと進化したレッドの殲滅能力をも超えていた。
「右の刀と左の刀……! それを別々に操るは、それこそ左右のツインテールを別々に魅せるようなもの! このまま蜘蛛の糸に絡め取られた獲物のようにして、追い込んでくれる!」
「右、左、後ろ……だけじゃない! 上や下からもか!?」
蜘蛛は、糸にかかった獲物を、じわじわと食らっていく。DG細胞に侵されたアラクネギルディの剣は、まさに蜘蛛の如き魔剣。全方向からデビルスパイダギルディによる波状攻撃を仕掛け、じわりじわりとレッドのキャパシティをすり減らしていく。
「なかなかキツイな……! でも、この力なら……」
しかし、進化したレッドの勢いは止まることを知らない。アラクネギルディの能力も、無尽蔵とはいかないだろう。このまま両者の根比べが続くと思われた矢先、レッドの耳にトゥアールの焦り声が響いた。
『総二様! そのまま聞いてください────その形態ですが、ツインテール属性が上半身に集中しています。幸い、胸のアーマーの力である程度は
「なんだって!?」
2分間の間に敵を殲滅できなければ、少しの間とはいえ基本形態に戻ってしまう。本来ならばデメリットとしては軽いものだが、この状況では致命傷になりうるものだ。
「持久戦は不利か……! それなら、必殺技で……!」
「いいや、それはさせぬ!」
「! 何をするつもり……っ!?」
その時、レッドの背後から悲鳴が上がる。
度重なる波状攻撃で、レッドからは見えていなかったが────先ほどまで戦い、消耗していたイエローが狙われていたのだ。それでも持ちこたえていたが、ついにはデビルスパイダギルディの前に膝をついていた。
「イエローッ!!」
「まず……1人!」
イエローとレッドの距離は大きく離れている。ハートライザーチェインの必殺技を放ったとしても、イエローを助けることは不可能なほどに。
「それでも……! それでも! 俺の目の前で、ツインテールは奪わせない!!」
そう叫んだ刹那、レッドの意識にプログレスバレッターからの情報が届く。その瞬間、ハートライザーチェインに変身した時のように、レッドはバレッターを外してツインテールを結び直していた。
上結びから、下結びへ。装甲も変化し、下半身へと集中。胸部のコアアーマーもX字型から開き、翼のようなパーツを展開させる。これらの変化を終えた一瞬のうちに────既に、イエローの救出はなされていた。
「……何が、起きた!?」
「レッド……また、テイルギアの形が変わっていますわ──」
レッドがツインテールであるならば、進化によって得た力が2つであるのは自然の道理だろう。そしてそれが、ライザーチェインと対になるものであることも。
「──マスターフォーラーチェイン!! これが、この
「ふ、2つの新形態を編み出すとは……まさにツインテールの化身!」
予想だにしなかったレッドの新たな力を前に、慄きを隠せないアラクネギルディ。対するレッドは、既に最高速度に達していた。
「ううおおおおおおおおおおおっ!!」
次々と出現するデビルスパイダギルディの群れの中を、閃光と化したレッドが駆け抜けていく。
手に持つ2本の剣はがむしゃらに振られるだけだが、神速による一撃は相手に防御も心構えも許さず、その身を易々と切り裂いていく。
「速い──
アラクネギルディの慄きを置き去りにして、レッドの背にある翼が
まさに一騎当千、まさに神速、だがフォーラーチェインの過剰なまでの速さは、レッドの身にも負担をかけていた。
(速い……この速度は…………俺にとっても、速すぎる!)
全身を襲う、空気抵抗という単純にして過大な圧力。人の痩身で受けるには大きすぎるそれに対して、全身を覆う
だが、レッドは止まれない────いや、
(でも、無防備なツインテールを地面につけるわけにはいかない!)
そう、マスターフォーラーチェインは空気抵抗によるツインテールへの負担を減らすために、下結びのツインテールとなっている。だがそれ故に、立ち止まってしまうと地面にツインテールがついてしまうという、致命的な欠陥を抱えているのだ。
「制限時間は2分……! でも俺なら、体内時計でコンマ1秒まで計れるぜ!」
「くっ……! だが、どんなに速くともこの網からは抜けられぬぞ!」
「上等だ! 網から抜けられないなら、思い切りぶち破ってやる!」
レッドとアラクネギルディ、未だ底を見せない両者の激闘が続く中、ハートとゴートギルディもまた、熾烈な死闘を繰り広げていた。
♢
「はああああああああっ!!」
「甘いっ!」
ゴートギルディが力任せに繰り出す連打を、いなし、躱わし、時には弾きながら、ハートは捌いていく。
これまでとは違う、赤と黒の装甲を纏ったテイルハートの動きは、ブルーとトゥアールにハートの完全復活────いや、それ以上のパワーアップを確信させていた。
『これは……以前とは比較にならないほどに
「それは良いことを聞いた! ゴートギルディよ、お主の武人としての技と、ワシの流派東方不敗。どちらが上かはっきりさせようぞ!」
「舐めるなっ! ハートォォォォ!!」
拳撃の応酬の最中、ハートとゴートギルディの拳が真っ向からぶつかり合う。その瞬間、離れて戦いを見守るブルーにすら響くほどの衝撃波が発生し、両者共に弾かれた!
「ぬうっ!」
「ぐっ!」
トゥアールの言う通り、単純な力ならば2人は全くの互角。ならば勝敗を分けるのは、これまで積み上げてきた武人としての技のみ。
「ならばっ!」
先に動いたのはゴートギルディだった。弾かれて着地したその瞬間に凄まじい勢いで地面を蹴り、ハートに向かって勢い付けて跳躍。狙うのは、彼女の命──!
「先に仕掛けてくるか! よかろう!」
(ハートの新たな力の底がわからぬ! ならば、わからぬままに打倒するまで!)
ゴートギルディはもはやツインテールを奪うことなど考えてすらいない。エレメリアンとしては異質なまでに人への殺意に溢れた彼は、その
(
「ハート、貴様もこれで終わりだ!」
「だから……甘いと言っただろう!」
「…………!?」
しかし、進化したハートはその上をいく。触れることさえ許されないゴートギルディの乱撃に対して、文字どおり
(これは……単なる技術だけでは、不可能……!)
「まずはDG細胞を……焼き尽くす!」
「くっ!」
(まさか本当に!
ゴートギルディは今、自身の全身の細胞に走る危機感に戦慄を隠せないでいた。つい先刻まで自分に手も足も出なかったはずの少女が、彼にしてみれば唐突に凄まじい力を手に入れたのだ。
(ならば、やはり生かしておくわけにはいかぬ! 首領様のためにも!)
「
「ぐっ……!」
ハートの
「この力、やはり危険だ。ハートよ! 貴様を今の私の全力で……殺す!」
そう宣言すると、ゴートギルディは改めて攻撃を────
「いいや……貴様はもう終わりよ」
「何…………っ!??!」
────仕掛けようとした、その時。ゴートギルディの全身に細胞レベルで激痛が走る。
まるで太陽にその身を焼かれるような、永遠に続くとさえ思わせるほどの唐突な激痛に、ついにゴートギルディは膝をついた。
「がっ……ぐっ、貴様、何を……!?」
「言っただろう、DG細胞を焼き尽くすと。先の技は、ワシの
「馬鹿な、そんな真似が……!」
ハートの新形態であるグランドチェインには、4つの
残りの1つは、ハート単体では役に立たない能力だが────いずれの能力も、ハートに足りなかった
「貴様が何故DG細胞を使っているのか、それはわからん。だが、それはまさに悪魔の細胞! かつてその力を利用しようとした者として……DG細胞はその一片たりとも残してはおけぬ!」
「DG細胞……!! マーメイドギルディの奴め、こうなることを想定していたのか……!?」
「マーメイドギルディ……? それが貴様にDG細胞を与えた者の名か?」
「答える義理は……無いなっ!!」
ゴートギルディは全身を押さえつけようとする痛みを跳ね除け、自らの全気力を振り絞ってDG細胞を操ると、全身から触手を伸ばす。触手の先にはデビルスパイダギルディの顔面と同じく、デビルガンダムの顔が生えていた。
「これは……! ここまでDG細胞を制御するか!」
「この程度の痛みも……! DG細胞による支配も! 首領様のことを想えば、どうということはない!」
全身をDG細胞に犯され、見るに堪えない醜い姿と成り果ててもなお、ゴートギルディは首領のために立つ。これまでハートが戦ってきた幹部級のエレメリアンは、いずれも愛によって奇跡にも等しい進化を遂げてきた者たちばかりだった。ゴートギルディも首領への愛によって、DG細胞の制御という奇跡を起こしたのだろう。
「貴様等の首領に対しての愛……! それこそが、お主の
「その通りだ! 例えこの身が汚泥に塗れようとも、首領様を脅かす可能性が一片でもあるのなら…………テイルハート、私は貴様達を殺すっ! それが首領様の意にそぐわぬ行為であろうとも!」
「その台詞は、ワシを倒せたならば言ってもらおうかあっ!!」
赤黒のハートと血白のゴートギルディが激突する。ゴートギルディは全身の触手から怪光線を放ち、本体も細胞の力で全身の筋肉を増大させてハートに襲いかかる。力と手数で負けるハートは、自らの周囲を天女の衣のようになったハートクロスで守りながら、ゴートギルディに痛打を与えるべく跳躍する。
「空中に跳んだか! 馬鹿め、それでは身動きがとれまい!」
跳躍したハートに向けて、ゴートギルディの触手が一斉に光線を放つ。
「だからお前は阿保なのだ! ワシがそれを予測しておらぬわけがあるまい!」
ハートはゴートギルディの予想に反し、ハートクロスと共に空中で猛烈に回転を始める。それと同時に彼女の体は
「その技は!」
「超級! 覇王! 日輪だぁぁぁぁぁぁん!!!」
超級覇王日輪弾! かつてゴートギルディに耐えられたその技を、今度はレッドの力を借りず、己の身1つでハートは放った!
「ううわああああああああああああっ!!」
「ぐっ!? これしきの技……! これしきのぉぉぉぉぉぉ!!」
触手も光線も意味をなさず、その両腕で超級覇王日輪弾を受けるゴートギルディ。だが徐々に焼け焦げていく両腕では止めることは敵わず、ついにその肉体に直撃。だが弾丸と化したハートは止まらず、ゴートギルディの胴体をそのまま貫いた!
「ぐ……っが…………」
「爆発っ!!」
ハートの叫びに呼応して、ゴートギルディの体が爆発する。炎は彼の巨躯を完全に飲み込み、ゴートギルディは倒れ伏した。
「ハート……! やったわね!」
「いいや……まだだ、ブルー!」
「私、は……! 首領様のために……! ここで、倒れるわけには……! いかんのだ!!」
だが、これでもなおゴートギルディは立ち上がる。これには流石のハートとブルーも驚愕を隠せなかった。
「嘘……! まだ立つって言うの?」
「何が……貴様をそこまで駆り立てる?」
「フン……ハートよ、貴様自身が言っていただろう……! 私の力の源は、首領様への愛! あの御方こそが私の全てであり、私の神なのだ! 首領様のためならば、私は自らの
そう言うと、ゴートギルディは懐からあるものを取り出す。
「それは……」
「DG細胞の注射器……その予備だ」
以前マーメイドギルディと会った時、譲り受けたDG細胞が詰まった注射器。ゴートギルディは1つ自分に使い、アラクネギルディにも1つ渡していたが、まだマーメイドギルディの渡した分が1つ残っていたのだ。
「やめておけ、制御できず自我を失うぞ!」
「言ったはずだ! 私は自らの全てを投げ出してもいいと! 今が……その時だ!」
雄叫びをあげて、ゴートギルディはDG細胞をさらに自分へと注入する。新たな細胞を得たことで焼かれていたDG細胞も活性化し、ゴートギルディの体に空いた巨大な空洞を瞬く間に埋めていく。
「ハート! これで終わりにする……!」
そして細胞により強く侵されながらも、ゴートギルディはギリギリのところで正気を保っていた。だが、ゴートギルディに残された時間はわずかなものでしかない。自分の正気が喪失する前にハートと決着をつける。それが、ゴートギルディの選んだ道だった。
「ハート……」
「見ておれ、ブルー。この一撃で、決着をつける!」
全身に禍々しい
「行くぞッッ!!!」
「ワシのこの手が、真っ赤に燃える!」
既に心身ともにボロボロなはずのゴートギルディが放つのは、己の肉体を巨大な砲弾と化して放つ、渾身の突撃。もはや
「おおおおおおおおおおっ!!」
「勝利を掴めと、轟き叫ぶ!」
ハートの右手と、ゴートギルディの頭部が激突! 爆発的な閃光と轟音が生まれ、両者の体をブルーとトゥアールの目から覆い隠す。
『習さん!』
「ハート!」
「ぐっ、ぬう……!」
「止められるものか……!」
ハートの右手が真っ赤に輝き、紋章もその光を強めている。それでもなお、ゴートギルディの決死の一撃には及ばない。今度はハートの装甲が、ゴートギルディの力を受けてひび割れていく。
「ブルーと共に必殺技を放っていれば、倒せただろうが……! ハート……貴様は結局、1人では私に勝てん!」
「……そうか、1人では勝てぬか」
「その通り……!?」
だが、ゴートギルディが押しつぶそうとしても、破壊しようとしても、ハートは一歩も後退することはない。
「だが、今のワシは1人ではない!」
ハートのツインテールを結ぶブレイザーリボンが、彼女の
「この力は……!?」
「このグランドチェインは、
ゴートギルディを受け止めている右手とは別に、ハートの左手も輝き出す。だがその輝きは眩いものではなく、むしろ暗い、暗黒のような輝きだった。
「なんだ、それは──!?」
「
異なる2種の属性を制御する能力を持つグランドチェインは、サンシャインフィンガーとダークネスフィンガー、流派東方不敗の絶技を同時に発動させることを可能とした!
「ふんっ!!」
「ぐっ────がっ────」
ハートのダークネスフィンガーが、ゴートギルディの巨体を吹き飛ばす。だが、まだハートは
「見せてやろう、ワシの初めての……
「ハートの
『……! 成る程、あのリボンはテイルギアの機能を搭載したもののようです! いわば今の習さんはテイルギアとハートギア、2つのギアを纏ったのと同じ状態! それならば、テイルギアの機能である
周囲に展開していたハートクロスがブレイザーリボンの代わりにツインテールを結び、ブレイザーリボンは
「石破! 天驚──!」
「!!」
「ツイン! フィンガ────────ッ!!」
両掌の形をした巨大な
「ぐおおおおおおおおおおおおお!!」
「ふんっ!!」
そしてハートが、両手を拝むように合わせた瞬間────ゴートギルディを中心とした爆発が巻き起こった。
「首領、様……! 申し訳、ありま、せん……!」
グシャリと、仰向けに倒れるゴートギルディ。その全身は黒く焼け焦げ、元の白さなど垣間見ることすらできない。ハートとブルーも、そのゴートギルディの姿を見て、確信した。
やっと、この強敵を打ち倒したのだと────
「……終わったの?」
「これだけの傷を負ったのだ、もう立つことはできぬだろう」
「じゃあ、レッド達のとこに行かないとね。大丈夫だとは思うけど……」
「うむ。……そうだ、ブルー」
「なに? 急ぐわよ」
「いや、助けてくれたことに礼を言おう、と思ってな。……お主が友で、本当に良かった」
「ん……って、なに照れてんのよ」
「いや……こういう機会など、とんとなかったものでな……。この世界に来るまでは、あまり素直では……」
「じゃあ、これから素直になりなさいよ。ちゃんと言わなきゃ伝わらないことだって、あるんだから」
「……そうだな、そうするとしよう」
♢
「そいつがお前の、真の姿か!」
「左様! これが男の娘を極めた拙者の最終闘体! この姿になったからには、テイルレッド……お主を確実に倒す!」
ハートとゴートギルディの戦いに決着がついた頃、スパイダギルディの殲滅を終えたテイルレッドは、最終闘体と化したアラクネギルディと相対していた。
「くそっ! やりにくい……!」
「これがDG細胞の力……! 新たに8本の『刃』を身につけた拙者に敵うものか!」
アラクネギルディの最終闘体はこれまで背負っていた8本の脚、それを変体によって蜘蛛の脚のごとく変化させることで、圧倒的な機動力を得る形態である。しかし今のアラクネギルディはそれに加えて、背中に8本の自在に動く刃を備えていた。
「我が愛刀
「そいつはどうかな……? 俺はお前に、負けられない理由があるからな!」
8本の刃と一振りの刀が、2本の剣と剣撃を交わす。数多の斬撃が飛び交い、やがて2人の周囲は鉄と鉄がぶつかり合うような音のみとなり、何人も立ち入ることのできない斬撃の領域が展開される。
時の一瞬の最中、無数に切り結ぶ感覚の中で、先に切り裂かれる痛みを感じたのは、アラクネギルディの方だった。
「……馬鹿な」
「ううおおおおおおおおおっ!!」
「馬鹿な馬鹿な馬鹿な!」
アラクネギルディの間隙を突いて、レッドはマスターフォーラーチェインへとチェンジ。更に速度を上げた双剣は、アラクネギルディの8本刃を次々に削ぎ落としていく。
「何故──何故、拙者の刃が届かない! このようなモノに身を浸してまで手に入れた力が! 何故────!」
「そんなもん……決まってんだろ、アラクネギルディ! それとも、そんなこともわかんなくなったのかよ!」
「何……?」
「その姿は、お前が男の娘を愛するからこそ、手に入れたもののはずだろう! ならなんで、お前の刀からも、その言葉からも! お前自身の
「それ、は…………!」
この戦いが始まっていた時から、レッドがアラクネギルディの
自らの内に眠っていた純粋なツインテール属性に触れたテイルレッドが、無数の剣撃を重ね合わせることで得たこの答えを、アラクネギルディは信じざるをえなかった。彼に残る僅かな理性がそうさせたのか、それとも自覚できるほどに剣筋が鈍っていたのか、それはわからない。だが事実として、彼の
「お前を侵食してるDG細胞ってやつが、お前の
「ぐっ──何故、何故テイルレッドよ! お前はそこまで強くなった! 魔道に落ち、外道に堕ちた拙者を凌ぐほどに、何故!」
「決まってんだろ……! お前は未来も、過去も見ていない! ただ俺たちに勝つっていう今だけを見ていたんだ!」
レッドの脳裏に次々と浮かんでくるのは、これまで彼女が見てきた数多のツインテール達の姿。
不揃いなツインテールも、綺麗なツインテールも、上結びなツインテールも、下結びなツインテールも、男の娘のツインテールも、おっさんのツインテールも、自分のために結ばれたツインテールも、自分で結んだツインテールも、かつてあったツインテールも──────
「──俺はこの世界に在る、全てのツインテールを明日も見続けるために! そして、これまで在ったツインテールの昨日を失わせないために、今日もツインテールを結ぶんだ!!」
「なんと……!」
「DG細胞が何かは知らねえ……! だけど、俺達を倒すためにそんな力に手を染めたやつに! 俺のツインテールが負けるわけがない!」
フォーラーチェインの全武装が展開し、ツインテール属性の粒子を周囲にほとばしらせる。レッドがアラクネギルディの周囲を旋回する軌跡が徐々に、ある1つの形を成していく。
「多くの人たちに支えられて! 今の俺のツインテールがある!」
プログレスバレッターがフォースリヴォンから分離し、ブレイザーブレイドツインの柄へと合体する。その間にも軌跡は変化していき、やがてアラクネギルディを封じ込める巨大なオーラピラーを生み出す!
「俺のツインテールは────絆だ!!」
ブレイザーブレイドツインが宙へと放り投げられ、天空高く浮かび上がる。レッドはそれを追って跳躍し、瞬時にハートライザーチェインへとチェンジし、ブレイドを再び握りしめる。
「
今のレッドの
巨体のアラクネギルディを眼下に見据え、レッドはバックパックから巨大な炎を噴射してブースト。コアアーマーにはシャッフルハートの紋章が浮かび輝き、テイルレッドに新たな炎を与える!
「ライジングブレイザ──────────────────ッ!!」
雄叫びと共に振り抜かれた双剣が、アラクネギルディを八の字型に切り裂く。
天を衝く炎の中で、アラクネギルディは────
「……テイルレッドよ、1つ、聞こう」
「……なんだ?」
「負けられぬ理由のうちに──拙者の、拙者の思いまでも、もしや、お主は背負って──」
「当たり前だろ……。あんまりにも、見てられなかったからな」
「そうか、ならば例え正気のままでも、勝てなかったのだろうな……。全く、見事なツインテールだった────」
「──ワームギルディよ、今、行こう。不出来な師を、許してくれ……」
「ふう……」
「レッド! やりましたわね!」
「ああ……イエローも、ありがとう。俺が腑抜けてた間、頑張ってくれて……」
ハートライザーチェインからノーマルチェインへと戻ると、レッドは地面に座り込んだ。端から見れば完全に圧倒していたように見える戦いだったが、アラクネギルディは紛れもない強敵だった。張り詰めていた緊張の糸が切れたレッドの下に駆けてくるイエロー。その後ろからは、戦いを終えて飛んできたハートとブルーの姿が見えていた。
「あ、いた! ハート、あそこよ!」
「レッド、イエロー! 無事だったか!」
「ハート! ……その様子だと、もしかしてゴートギルディを倒したのか?」
「うむ。強敵だったが……」
「こっちも、幹部級のエレメリアンを1体倒したとこだ。……話せば長くなるけど、強敵だったよ」
「イエロー、ボロボロじゃない……」
「ブルーだって、人のこと言えませんわよ? ともかく、無事で良かったですわ……」
『皆さん、本当によく無事で……。今回ばかりは、犠牲を覚悟していました……』
終わったのは、ゴートギルディとアラクネギルディとの戦いだけではない。レッドとハートが抱えていた問題も解消されたことで、日々の生活を送る上での大きな戦いも終わったのだと、5人は自然と確信していた。
「そういえば、今の観束君なら元に戻れますの?」
「ああ、大丈夫だと思う。俺のツインテールは、いつだって心にあるからな」
「習、あんた記憶とかは……」
「
肩を貸し合いながら、転送ゲートへ戻ろうとするハート達。しかしそれを遮るようにして、トゥアールの焦り声が響いた。
『待ってください、皆さん! これは──まさか、こんなことが────』
「どうした、トゥアール?」
『気を抜かないでください────
直後、ハートとブルーが飛んで来た方向から、ツインテイルズの背後へと飛来してくる落下物が1つ。
「……冗談でしょ?」
「いや……全く、これほどとは……」
ツインテイルズが振り返ったその先には────全身が焼け焦げ引きちぎれそうなのを、DG細胞の力でなんとか繋ぎ止めているゴートギルディが、だがその両足で大地に立っていた。
「ゴートギルディ……!? でも、あいつボロボロだぞ!」
「一体何しに来ましたの……!? 動けるなら、逃げ帰ることもできたはずでは……」
「逃げることをよしとしなかったか、あるいは────」
「────ここからどうにか出来る手段を持っているか、ね」
もはやマトモな戦闘行動など、
そして、それは
「首領様、申し訳ありません……首領様、申し訳ありません……」
「な、なんだ? あいつ、さっきから同じことばかりブツブツと……」
「あなたから施された封印を破ることを……どうか、お許しください────」
ゴートギルディはその胸に手を当てると────突如として、自身の心臓を握りつぶした。
「!?」
「ちょ、なにを────」
驚愕するツインテイルズを前に、ゴートギルディの体が黒炎に包まれる。混沌とした状況の中でいち早くゴートギルディの変化に気づいたのは、ずっと状況をモニターし続けていたトゥアールだった。
『これは……!』
ゴートギルディの体色と共に、放たれる
『私はこれまで、大きな思い違いをしていました……! 複数の
「どういうことだ、トゥアール!?」
『話は簡単です。ゴートギルディは、本来の
「アルティメギルの首領がどれほどの強さかはわからぬ。だが首領と言うからには、これまで戦ってきたどの敵達よりも強いはず……」
「そいつ直々の封印を破ったってわけね……!」
黒い炎の中で、ゴートギルディの姿が生まれ変わっていく。体色は焼け焦げた時よりもさらに黒く暗い色となり、ツノは短かったものが長く太く変化していき、その背には翼が生えていく。
そして炎が消えた時、現れたのは────
「……何者だ、お前は!?」
「ゴートギルディとも、全く違う……。まるで、別のエレメリアンね…………」
「その通りだ、テイルブルーよ」
「「「「!!」」」」
ただ一言発するだけでも、ツインテイルズは最大限の警戒を抱かざるをえなかった。ゴートギルディが発する殺気は、それほどまでに
「ゴートギルディとは、首領様から与えられた仮初めの名であり、姿……! 俺の真名はバフォメットギルディ! 喜ぶがいい、ツインテイルズよ。貴様達は俺の信念を粉々に打ち砕いたのだ……!」
(こいつ……!?)
(この気迫…………決死の覚悟か)
この時、レッドとハートは悟った。姿と名前が変わろうとも、バフォメットギルディの首領への忠誠心は微塵も揺らいでいないことを。そしてそれほどまでに首領を愛する彼が、その首領から直々に施された封印を破ってまで、ツインテイルズの打倒を選択した事実の重大さを。
「ブルー、イエロー、退がっててくれ。……こいつ、これまでのエレメリアンとは違う」
「で、ですが! わたくし達全員ならば、
「そうよ、
「2人とも気づいているだろう。自分の思考が、
「────!」
『愛香さん、慧理那さん!
バフォメットギルディの放つ気配を感じれば感じるほど、ブルーとイエローは思考が
だがそのことを自覚してなお、ブルーとイエローはその身を押して立つ。
「ごめん、2人とも。……無茶かもしんないけど、それでも────」
「……やれるのか?」
「レッドの言う通りだ。奴め、このような力を隠し持っていたとは……」
「ここでわたくし達が退けば、街の人々も、世界も、全てが終わってしまいますわ。ですから、退くわけにはいきませんわ!」
テイルギアの力でなんとか踏みとどまれているが、それでも肌に突き刺さるプレッシャーは、彼女達に目の前の相手の強大さを克明に告げていた。
だがここで退くということは、それすなわちツインテール────だけではない、この世界に息づくあらゆる
「ほう、ツインテイルズ……お前達は、まだ俺に
「なんとか、だけどな……! お前、一体何をしたんだ!」
「簡単なことだ。俺の本来の
「成る程、道理でその力を封印されるわけよ……。その能力、
「そうか……! アルティメギルの目的から考えると、
バフォメットギルディの
「俺はこの属性ゆえに他のエレメリアンとは異なり、人に対しての殺意……同族に対しての憎悪……ありとあらゆる負の感情を増幅させてしまった。
「なんですって……!?」
バフォメットギルディの告白に、4人は驚愕する。エレメリアンは凶悪な侵略者だが、
「きっかけは些細な事だったが……俺はある世界の侵略中、世界の全てを拒絶した。その結果俺は1つの世界の
「……だが、首領が封印という形で、貴様の
「その通りだ! あの御方のおかげで、俺は普通のエレメリアンとして生きられた! 同好の士も、友と呼べる者も、部下も、同僚も、全て首領様が俺に恵んでくださったのだ! 俺にとって、あの御方こそが創造主! 神なのだ!」
「じゃあ、何故その封印を解いたんですの!」
「決まっている……! 俺にとってあの御方こそが神! ならばその神を脅かす可能性のある者は……なんとしてでも、例えその意にそぐわぬ行為であったとしても! 排除しなければならない!」
「お前が首領ってのを愛する気持ちは、痛いほどわかった……! 俺達を殺そうとする理由も! だけど、お前は間違ってる!」
「首領様の意にそぐわぬ行為とはわかっている! だが、間違いも貫き通せば真実となろう! そして俺にとって、首領様の存在こそがたった1つの真実なのだ!」
そう言い放った瞬間、バフォメットギルディはレッドの眼前に瞬時に移動し、その小さな体躯目掛けて拳を────
「させるものかあッ!!」
「うおっ!?」
────放つ前に、咄嗟に放たれたハートクロスにレッドの身体が弾かれ、拳は空を切った。
だが、空を切った拳はその拳圧だけで、地面に小規模なクレーターを生み出していた。
「とことん邪魔をしてくれるな、ハートォォォ……!」
「なんという力だ……! レッド、行けるか!?」
「当たり前だ、速攻で行くぞ!」
ハートに弾かれた直後、レッドはマスターフォーラーチェインへと
「む────」
「ハート!」
「おおう!」
瞬時にハートがバフォメットギルディ相手にサンシャインフィンガーを叩き込み、その巨体を吹き飛ばす。無論、体内にあるはずのDG細胞を焼き尽くすようにして。
しかし、吹き飛ばされたバフォメットギルディは拘束を引きちぎると、堪えた様子もなく立ち上がった。
「それで終わりか?」
「嘘……さっきはあんなに苦しんでたでしょ!?」
「言っただろう、ゴートギルディとは首領様から与えられた仮初めの姿だと。あの姿は俺であって俺でない、そういうことだ」
『どうやらバフォメットギルディは、
「それならそれで、真っ向から倒せばいいだけだ!」
フォーラーチェインのレッドが凄まじい速度で飛び出し、バフォメットギルディへと斬りかかる。バフォメットギルディもその手に剣を生み出し応戦するが、音速を超えた今のレッドには追いつけず、徐々に守りが乱れていく。
「くっ、できるようになったなレッド!」
「まだだ……俺のツインテールは、まだこんなもんじゃねえ!」
「さらに速く……っ!?」
「わたくし達のことも────」
「忘れないでほしいわねっ!」
レッドの加熱に応えるように音速を超え、その残光のみを目に残すブレイザーブレイドツインの切っ先。その対処にバフォメットギルディの意識が割かれたその瞬間、ブルーとイエローの攻撃も届く。そしてついに、バフォメットギルディの首筋にレッドの斬撃が見舞われた!
「うおおおおおっ…………!?」
『そんな……総二様の攻撃が効かない!?』
だが彼女達の攻撃は全て、バフォメットギルディの肉体を薄皮一枚、切り裂いただけだった。
「どうやら、貴様達の攻撃は俺には届かんようだな!」
「そんな……!」
「隙あり!」
「イエロー!」
驚愕して体勢を崩したイエローに、斬撃を放つバフォメットギルディ。しかしどこからか飛んできた複数の小型のハートが、それを妨害する。
「ハート……! 助かりましたわ!」
「ぐっ、小賢しい!」
「
「ライザーチェインなら……。いや、あいつには何か秘密があるはずだ!」
『待ってください、解析中です……!』
「考える暇は与えんぞ!」
ハートの仕掛けた技もすぐに打ち破ると、バフォメットギルディはその凄まじい膂力をもってして4人に斬りかかる。多彩な能力を失った彼だが、負の感情を増幅させる
「ハアッ!! ……ぐっ、効かぬか!」
「くそ……
「
「ですが、その暇が……!」
「ええい、ちょこまかと……! 貴様達を相手にしていると苛つくな!」
ツインテイルズの攻撃は有効打を与えられないが、巧みな連携を相手にバフォメットギルディの攻撃も当たらない。状況は完全に膠着状態となっていた。
(だけど、俺の
(レッドのフォームチェンジの隙を、なんとか作らなければいけませんのに……!)
(ワシのグランドチェインはともかく、
(やっぱり、鍵はそーじね……。いざとなれば……)
速く攻勢に出なければならないが、バフォメットギルディの防御力の正体がわからない以上、奥の手を出すわけにもいかない。2人の動きに徐々に焦りが混じる中、事態を動かしたのはバフォメットギルディの側だった。
「このままではラチがあかぬ。悪いが、貴様達の焦りを加速させてもらおう! ……
「くっ!? 待て!」
バフォメットギルディは衝撃波を放ち一度4人から距離をとると、その片手を空へとかざした。すると空に暗雲が立ち込めていき、輝く夕陽は雲に隠れ、世界が暗黒に包まれていく。
「暗雲……? でもこの暗さ、普通のと違うぞ!」
「これは……黒い雨……!?」
バフォメットギルディが生み出した暗雲から、闇を凝縮したように黒い雨が降り注ぎ始める。
この突然の異常現象に戸惑う4人だったが、トゥアールは黒い雨の正体をすぐさま突き止めた。
『あの暗雲から降り注いでいる雨は、
「なんだって!?」
「さあ、どうするツインテイルズ。速く俺を倒さなければ、あそこに見える町の人々……いや、この世界そのものが危ういかもしれぬぞ?」
「貴様……! 全世界が人質というわけか……!」
暗雲は黒い雨を伴ってその勢力を拡大していき、すぐにでも町にまで迫ろうとしている。人々を守るためには、もはや一刻の猶予もなかった。
「トゥアール! なんかいい作戦ない!?」
『……あくまで推論ですが、バフォメットギルディは自身の肉体を覆うように
だが、勝機もある。ならばそれに賭けるのが、彼女達ツインテイルズだ。
「つまり、強力な
「あいつの防御を貫ける……!」
「勝機は見えた……! 行くぞ!」
「おう! フォロー頼む!」
フォーラーチェインの速度を全開にして、バフォメットギルディの後方へ回ろうとするレッド。しかし巨大な暗雲を発生させた直後だというのに、バフォメットギルディはその底無しの力で持って跳躍し、レッドの速度へ追いつこうとする。
「させませんわ!」
「ダークネスフィンガーショット!」
「ちいッ!」
「はああああああッ!」
だがそこにハートとイエローが
「うおおおおおおっ!」
「!?」
だが一瞬だけあれば、レッドの
「「「「
「ッ! 来るか!」
レッドに続いて全員が同時に
(前後からの同時攻撃────成る程、俺の防御を見抜いたか。だが……!)
(────なんだ?)
だが、バフォメットギルディは余裕の態度を崩さない。その傲慢でさえある態度に違和感を感じたハートだったが、その違和感の正体はすぐに、
「なんだ、体が……!?」
「重く……っ!?」
「これじゃ……っ!」
「必殺技が、使えませんわ……!」
まるで高重力下にいきなり放り込まれたような『重さ』がツインテイルズを襲い、その動きが鈍くなる。しかもそれだけでなく、
「ぬうん……! はあッ!!」
「「ぐっ!!」」
「「うああっ!?」」
鈍くなった彼女達を捉えることなど、バフォメットギルディには造作もない。背後のレッドとブルーを振り向きざままとめて捕まえると、そのままハートとイエローへ向けて投げ飛ばし、全員まとめて暗黒の
『習さん! 総二様! ……愛香さん! 慧理那さん!』
「ぐっ、かはっ…………」
「くそっ……ブルー……!」
「イエロー、しっかりしろ!」
「っ、あ…………」
全員辛うじて変身解除は免れているが、弱ったところに叩き込まれたバフォメットギルディの一撃は重く、4人は完全に満身創痍となっていた。
「なぜ、体が……!」
「変身していれば、あの黒雨の影響を受けないとでも思っていたのか?
『4人とも、その場に止まるのは危険です! 早く物陰に……いえ、撤退を……!』
今の状況の危険さを、全員の状況をずっとモニターし続けているトゥアールは理解していた。
レッドとハートはまだなんとか戦えるが、ブルーとイエローの2人は危険な状態で、意識はあるが立ち上がることすらできない状態。全員でかかって返り討ちにされたというのに、今の消耗しきった状態では────
(────勝て、ない)
その思考に行き着いた瞬間、トゥアールの天才的な頭脳は理解してしまった。
自分達は、勝てない────だが。
「ハート、行けるよな……!」
「無論、だ……! まだ、倒れるわけにはいかん!」
────だが、なおも立ち上がるのは、2人の
「ほう……まだ立ち上がるか」
「当たり前だ……。俺たちが倒れたら、誰がツインテールを守るんだ!」
「レッド……! こうなれば、
「でも、あれは!」
レッドが過去一度だけ発動した
「ワシのハートブレスの
「…………わかった!」
ハートブレスとテイルブレスの違いに賭けた、分の悪すぎる賭けだったが────今はそんな事を考えている場合ではない。勝つ可能性がそこにしかないのなら、それに全てを賭けるしかなかった。
「何をするつもりだ!」
「来るぞ!」
「……良し! 発動するぞ、準備はいいか!?」
「いつでも!」
迫り来るバフォメットギルディだったが、
「
ハートがそう高らかに宣言すると同時、彼女の右腕の
「ぐおっ!?」
「なんだこのバリア!? これが
「いや……これは、
「……よくわからんが喰らえッ!」
弾かれたバフォメットギルディだったが、ダメージは負っていない。その手に
「レッド────!」
「ハート!」
ハートの右腕とレッドの左腕。互いの名を呼び合いながら、2人の
「何が……起きる!?」
困惑するバフォメットギルディに対して、彼女達は叫ぶ。
「テイル!」「ハート!」
「「オン!!」」
2人の
「レッド……?」
「2人とも……すごい……」
ハートとレッドの体が重なり、溶け合い、まるでツインテールのように均等の取れた、完璧な1つの肉体へと変化していく。
『すごい……こんな
放出される
「「……変身完了」」
そう、生まれたのは────太陽のツインテール。
「何者だ……貴様は!」
「「私か? 私は……テイルマスター!!」」
「「貴様を倒す者だ!!」」
私はボーボボを読んだ時から性癖の1つに合体戦士を持つ者です。
ジオウトリニティとかいいよね!!!!ラビットドラゴン見た時からずっとやりたかったの融合戦士は!!
テイルマスターの外見はイエローに次ぐ胸とイエローより大きい尻を持った高身長のお姉さんです。マイナスとマイナスをかけたらプラスになる的な理論ですね。
習と総二のデートって(番外編以外で」見たい?
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構わん、やれ
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断固として拒否する
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メス落ちまだ?
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習側が記憶失ってたらいいよ
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トリニティ!