全新系裂! 究極東方不敗伝テイルハート   作:天地優介

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決闘!(するとは言ってない)。まあいきなりこれまでの合計文越すねっ! ってレベルになったから多少はね? 流石にこれ+1万字いくかもってなったら、分割しますわ。というわけで、次回は早くなると思います。


あと、本作でのテイルハートの強さはそんな強くないです。師匠は強いんですが、心が問題といいますか……。まあそこは次話で訳が語られるので、要チェックだ! その前に設定資料とか諸々の出すんだけどね!


第3話 テイルハート対テイルレッド! ギアナ高地の決闘!

「それでそれで? 習さんって──」

「ちょっと、私が先でしょ!」

「いいや、俺が先だったね!」

(…………ふむう。困ったものよ)

 

 観束総二と津辺愛香との衝撃的なセカンド・コンタクトから、授業にして三限後の昼休みで、習は教室からあふれ返るほどの人数から、質問攻めを受けていた。

 

 昼休み中でない、普通の休み時間の時にはまだ人も少なかったのだが、昼休みになった途端、他クラスからも人が押し寄せてきたのだ。この陽月学園は初等部から大学部までの一貫進学が可能なマンモス校。生徒間には4月でも顔見知りが多く、それ故に新顔である転校生が来たという話題には、普通の学校の生徒よりも、この陽月学園の生徒は人一倍食いつくのである。

 

 とはいえ、普通ならばここまでの数は、転校生を質問攻めにはやってこない。今回教室から溢れるほどの人数が集まったのは、習のその容姿によるものが大きかった。

 

 可愛らしさと凛々しさを兼ね持つ、銀髪にも近い白髪で、スレンダーな体躯の美少女……背丈も総二と同じぐらいという、まさにモデル体型の彼女は、思春期という年頃には男女ともに対して刺激が強い。男子は自らの欲望に従い彼女に近づこうと企み、その足がかりとして質問を行い、女子も彼女のビジュアルに秘められた秘密を探し、自身も彼女のようになるために友人になろうと画策し、そのきっかけに質問をする。

 

「その、ご趣味は──」

「ねね、その体型ってどう保って──」

「お嬢さん、僕とお茶を──」

「足触っていい?」

 

 結果として、男女両方から質問攻めをされることで、習は昼食の時間すら取れそうになかった。

 

(仕方ない。あまり良いことでは無いが、ここは冷たくあしらうか……)

 

 下手すれば孤立しかねないが、前世より生粋の格闘家であり、それゆえに拳で語り合えぬ事にはどうしても不器用になってしまう習には、この場を丸く収める必要が思いつかなかった。

 ため息をつくと、彼女はその怜悧な美貌をさらに鋭くして、口を開き──

 

「はいはい! ちょっとあんたら、困ってるでしょ! 昼ごはんだって満足に食べれないわよ、これじゃ」

「えー、いいじゃん愛香。転校生だよ?」

「だからよ。ほら、嫌われたくなかったら、質問とかはふつーの休み時間で済ませなさい」

 

 ──その口から声を発する前に、彼女の隣席の少女、津辺愛香が周囲の生徒たちを散らした。彼女は気が強いものの、その口調は強そうに見えてかなり気を使ったものだ。遠慮をしないあけっぴろげな性格と、総二以外のクラスメイト全員にバレバレな彼への愛情も、彼女に反感を抱かせない一助となっているのだろう。注意を受け、口では渋々な生徒たちだったが、彼女に注意されるとすぐに散っていき、またいくつかのグループとなって、思い思いに別な話題に花を咲かせていた。

 

「だいじょーぶ? ごめんね、うちのクラス……っていうか、ここの学園ってノリはいいんだけどね……ノリは」

「……礼を言わせてもらおう、少々困っていたのでな。あのままでは強硬的にならざるを得なかった」

「あんたもちょっとクセ強いわね…………。ま、いいわ。お昼食べましょ」

「うむ……。待て、なぜ机を合わせようとする?」

「なぜって、一人より大勢での方が楽しいでしょ? 今日は私の友達弁当じゃなくて食堂だし、さっきの礼だと思ってさ、付き合ってよ」

(この少女……なかなかできるな)

 

 窮地を救われたから……というわけでも無いが、習はこの津辺愛香という少女を高く評価していた。さっきの礼とはいうが、実際には転校してきたばかりの習を気遣い、共の食事に誘っていることをわからぬ習ではなかったからだ。さらに、なぜかはわからないがこの齢にしてすでに、習は愛香から求道者の気配を感じていた。

 

(ただ一つ、何かを思う……。遠からず、無我を超えた無一へとこの少女ならば到達できるやもしれんな)

「どうしたの? ぼっとして」

「いや…………。まあよかろう、共に食事と参ろうか」

「ほんと!? じゃあ早速準備するわね」

 

 習の承諾を受けると目を輝かせ、いそいそと準備をし始める愛香。そんな彼女を見て目を細くする習だったが、唐突に後ろを振り向くと、愛香に対してとはまた別の理由で目を細めた。

 

(……観束総二)

 

 彼女の視線の先には、さっきまでの喧騒も気にせず黙々と弁当を食べる総二の姿があった。いや、正確に言えば彼は弁当を食べているために黙っているわけではない。彼は密かに、習のツインテールを見ていたのだ。その証拠に、総二は習の視線には気づいていなかったが、彼女と視線が合ってしまう。

 

「あ…………」

「ワ……私に何か用か?」

「い、いや何でも……!」

「ちょっと、そーじ! なにチラチラ見てんのよ」

「いや……本当に何でもないんだって…………!」

「全く、このツインテールバカ。……習さん、さっさとお昼食べちゃいましょ」

「…………うむ」

 

 伊達に習も女子として17年近くを過ごしてきたわけではなく、男子からの不躾な視線には慣れていた。そう、慣れているはずなのだが…………。

 

(なぜだ? 奴に見つめられると、あのテイルレッドと相対した時の感覚が蘇る……)

 

 習の中で、奇妙な直感が生まれようとしていた……。

 

 

 

 

 ♢

 

 

 

 

「ちょっとそーじ、確かに習さんのツインテールは綺麗だけど、あんなに見つめたらあの子だって困るわよ?」

「ああ…………そうだな」

「……そーじ?」

「あ、いや……ちょっと気になることがあるだけだからさ。だから、そんな不安そうな顔するなよ、愛香」

 

 放課後、授業を終えての帰り道──総二と愛香はいつものように、並んで下校していた。

 その光景の中でいつもと違うのは、総二の物憂げな表情だ。それを見て、少し言いすぎたかと不安になる愛香だったが、愛香の表情から彼女の不安を読み取った総二は、何でも無いと言って、自分の中の疑念と共に愛香を誤魔化した。

 

「そう? ならいいけど、ちゃんと相談しなさいよ。いつも一人で抱え込むんだから」

「はは、わかってるって」

(そうだ……気のせいのはずだ。……テイルハートの正体が、まさか習さんだなんて…………)

 

 愛香に指摘されたことで物憂げな表情はしなくなったが、『気のせいだ』と自分を誤魔化そうとしても、総二の中には奇妙な確信……ツインテールによる直感とでもいうべきものがあった。習のツインテールとテイルハートのツインテール、それに対して抱いた感覚の重なり……。テイルハートにとって不運というべきは、彼女のツインテールという概念に対しての認識だろう。諸事情により、現在の彼女は彼女本来の属性力ではなく、ツインテール属性を用いて戦っている。それは、この世界に来る前に彼女の友が『ツインテールこそが宇宙最大の力』と発言したのもあるだろう。しかし、だからと言って今の彼女はツインテール属性を扱うべきではなかったのだ。

 

 

 ツインテールとは、ツインテールである。このあたり前で、だからこそ深淵な概念を、テイルハート……習は理解できていない。自然万物を愛する彼女にとっては、ツインテールもまたその広い愛の一つ。しかし、そこには愛はあっても、求道は無い。そんな状態でツインテール属性を行使してしまえば、彼女のツインテールは歪なものとなってしまうし、事実なりかけている。総二がテイルハートと習のツインテールを見て感じた違和感、それは向ける愛があるのに求める愛が無いという、彼女のツインテールのほころびとも呼べる部分であった。

 

「……考えても仕方がないか。次のエレメリアンとの戦いで、テイルハートも必ずやって来るはず。そこで話を──」

 

 総二が決意を新たにしたその時、トゥアールによって開発された連絡用ガジェット、『トゥアルフォン』が「トゥアールのおっぱい」と連呼しだした。これはエレメリアンが現れたという合図であり、同時にそれは総二にとって戦いの合図でもある。総二はすぐさまトゥアルフォンを使ってトゥアールに通話を繋げると、トゥアールからエレメリアンの出現地点について聞き出す。

 

「噂をすれば、か……! トゥアール! 場所は!?」

『総二様の学校の初等部です! どうやら、相手エレメリアンは下校時間を狙ったようです、子供たちが狙われています!』

「何だって!? ……愛香!」

「荷物は任せて。ぶっばしてきなさい!」

「ありがとう……。行って来る!」

 

 総二は荷物を愛香に預け、自身は路地裏に駆け込む。そして、そこで右腕を構え──

 

 

「テイルオン!」

 

 

 彼がその言葉を叫ぶと同時に、右手首に装着している『テイルブレス』が起動、彼の周囲を赤い光が包む。そしてその光が収束した後には、真紅のツインテールを持つ幼女、テイルレッドが立っていた。

 

 テイルブレス含め、テイルレッドには見るものの認識を阻害する能力がある。これは万が一にでも正体が暴かれる危険性を抑えるための機能であり、変身時のこの光も、周囲の住宅街の住人からは認識できない。ちなみに、総二が変身する時幼女となるのは、テイルブレス開発者のトゥアールの単なる趣味である。また、トゥアールはエレメリエンの出現の察知と、その位置の特定に自ら打ち上げた人工衛星を用いているが、その人工衛星の名前は『ようじょ』である。

 

「よし……!」

 

 テイルギアを装着したテイルレッドは、体格こそ人間の幼女だが、そのパワーはテレビの中の変身ヒーローなどと比べても遜色はない。むしろ、総二のツインテールへの愛情を力の源とするテイルレッドは、爆発力ならば核ミサイル以上のものがあるだろう。そんな強大なパワーを持つテイルレッドにとって、並み居る住宅街など障害にもならない。レッドは跳躍すると民家の屋根に飛び乗り、そこから屋根伝いに移動して、陽月学園初等部へ急ぐ。

 

「トゥアール、状況は?」

『エレメリアンはまだ大人しくしてます。ですが急いでください総二様、奴らは人から属性力を奪うことを使命としているのですから……!』

 

 トゥアールの言葉を受けて、レッドの脳裏に初めて変身した時のことがよぎる。あの時総二は属性力を奪われた人々を見て、戦いへの恐怖心を乗り越え、テイルレッドとなった。そして今レッドが戦うのは、二度とツインテールを……何かを愛する心を失う人が出ないようにするためだ。

 

「わかった、急ぐぞ……!」

 

 テイルレッドの幼い体躯に力がみなぎる。目的はただ一つ、人の心を守ること。

 ただそれだけを胸に秘め、レッドは跳躍した。

 

 

 

 

 ♢

 

 

 

 

「見つけたぞ! エレメリアン!」

「むっ……来たかテイルレッド! 我が名はミミズクギルディ。いざ勝負といこうか!」

 

 初等部に出現していたというエレメリアン、ミミズクギルディ。その外観は人の肉体にミミズクの体がそのまま頭部になったという不気味なものだったが、その鋭く巨大な眼光を、このエレメリアンはテイルレッドが来るまでどこに向けていたのかというと……。

 

「いや……やはり勝負の前に、貴様にもわが属性力、幼男属性(ショタ)の素晴らしさを知ってもらわねば!」

「なんだと……っ、あれは!?」

 

 

「わ、わーい! 砂遊び楽しいなあ……」

「す、滑り台おもしろーい!」

 

 

 テイルレッドの視線、そしてミミズクギルディの眼光の先にあったもの、それは、表面上は楽しく遊んでいるように見える少年たちの姿だった。しかし顔は笑顔でも、その笑顔は今にも泣きそうになっているものがほとんどで、今にも壊れそうなほど歪んでいた。

 

「子供は風の子! だというのに、外で遊ばぬ子が多すぎる……。だからこうして、この私が『遊ばせて』やってるのだ!」

「そんな……無理やり遊ばせるなんて、子供たちがかわいそうだとは思わないのか!?」

「思わぬなあ! 遊びを忘れた子供など、私の愛の対象には入らん! だが、それで幼子を見捨てる私ではない。だからこうして、事前リサーチでインドア派な男の幼子を特定し、遊ばせているのだ!」

「こいつ……!」

 

 このエレメリアン……ミミズクギルディは完全にテイルレッドの逆鱗に触れていた。レッドにとって、ツインテールとは自然体なのが一番なものである。それはレッドが真っ先に思い受かべるツインテールが、息をするようにツインテールを結べる愛香のものであることからもわかることだ。

 

 しかし、このミミズクギルディはインドア派のショタを否定し、子供は風の子という理論を振りかざし、無理やりにでも外で遊ばせている。これでは、ツインテールが嫌いな人を強制的にツインテールにするのと同じだ。そんなことをしてしまえば、ツインテールの輝きは薄れ、無くなってしまう。

 

 そんなことをさせるわけにはいかない────レッドは決意も新たに、ミミズクギルディに向き直ると、そのツインテールの結び目にある髪飾り型デバイス『フォースリヴォン』から、炎の剣ブレイザーブレイドを現出させる。戦闘態勢だ。

 

「エレメリアンはどいつもちょっとズレてるけど……お前は筋金入りだな!」

「フッ、ならば我が強さも筋金入りと 「待てい!」 むっ、誰だ!? 私の決め台詞を邪魔するのは!」

 

 

「醜い……醜いなミミズクギルディ。まるで昔のワシを見ているようで、反吐が出る」

 

 

「貴様、テイルハート!」

 

 しかし、テイルレッドとミミズクギルディの戦いに、突如としてテイルハートがテイルレッドの隣へ参上した。これ自体は普段通りのことではあるが、今回のテイルハートは様子がいつもとは異なっていた。仮面でその表情は伺い知れないが、その仕草や語気から明らかにミミズクギルディを嫌悪し、また彼に対して憤怒していることは察せられた。

 

「テイルハート! 今はお前に構っては──」

「わかっておる、テイルレッド。今回ワシが来たのは、そこなエレメリアンの打倒と……もう一つ目的はあるが、それは今話すべきではない」

「もう一つの目的……?」

「貴様ら! 私のことを無視するな!」

 

 ミミズクギルディに対して警戒を払いつつも、二人だけの空気を作り始めるレッドとハート。その空気を察知したのか、それともただ単純に自分が話からはぶられている事に苛立ったのか、ミミズクギルディは激昂して二人に襲いかかる。

 

 しかし──

 

「お前の方こそ……ワシの邪魔をするでない!」

「っ!? 速い……!」

 

 ミミズクギルディの速さもなかなかのものではあったが、テイルハートの方が速度でははるかに優れている。地面をひと蹴りしただけでミミズクギルディの眼前まで迫ったテイルハートは、その顔面へむけ、正確無比な角度と精度で膝蹴りを放った。

 

「……貴様の方こそ、なかなか速いでないか」

「私の目は、外を縦横無尽に駆ける幼子たちを捉えるためのもの! 貴様の動きなぞ、見切れて当然!」

 

 だが、ハートの一撃はミミズクギルディにその寸前で防がれる。ミミズクギルディが持つ特殊能力は、彼の歪んだ欲望と同じく肥大化した、その眼球! 彼の眼はアルティメギル屈指の認識力を持ち、相手の動きを見切ることに関して、彼の右に出るエレメリアンはほとんどいないと言って構わないだろう。だが、だからと言ってハートは諦めない。彼女にとってはこの程度の一芸を持った相手など、過去の戦歴の中にもごまんといる程度に過ぎない。

 

「ほう……だが、その目の良さこそが命取りになる! ゆくぞ!」

「むっ!? こ、これは!」

「どうしたんだ……? ミミズクギルディのやつ……」

 

 ハートがゆらゆらと奇妙な舞を見せ、その属性力を練り上げると同時、ミミズクギルディがにわかにその巨大な眼球を惑わせ始める。背後から戦いを見守るレッドにはただハートが謎のオーラを纏っているだけにしか見えないのだが、ミミズクギルディはその優れた視力のため、不可視の薄い属性力すらも視てしまっている。そのため、その気がテイルハートの姿に見えたミミズクギルディは、ハートが何人にも分身しているかのように見えているのだ。

 

「酔舞・再現江湖デッドリーウェイブ!」

「く、来るっ!」

 

 ハートの突撃の気配を感じ、とっさに防御姿勢をとるミミズクギルディ。しかし、彼は防御するのではなく避けるべきだった。すれ違いざまに打ち込まれた一撃に、彼の肉体は拒絶反応を起こす!

 

「こ、これは……!」

「貴様には我が属性力を打ち込んだ。そして……爆発!」

「うっ!? うおおおおおおお…………!」

 

 ハートがミミズクギルディにすれ違いざまに流し込んだ属性力が爆発し、彼の体が跡形もなく四散する。自らとは異なる属性力を流し込まれるというのは、エレメリアンにとっては何より恐ろしい攻撃だ。流し込まれた属性力を打ち消せるほど強ければともかく、ミミズクギルディのように自己鍛錬を怠っていたのではなおさらである。

 

 ミミズクギルディを瞬殺したハートは、改めてテイルレッドと対面する。レッドからは彼女の表情は読み取れない。しかし、レッドはハートのツインテールから発せられるわずかな波長から、彼女が心に抱く強い決意というものを感じていた。

 

「ハート、お前は……!」

「これで目的の一つは果たした……。次はテイルレッド!」

「っ、なんだ!?」

「明日、夕方のギアナ高地にて貴様を待つ! そこでワシとお前、我らの決着をつけようではないか!」

「なんだと!?」

「返事は聞かぬ! 来なくとも良いが、その時は貴様の負けと知れ! では、さらばだ!」

 

 言いたいだけいうと、ハートはその場に砂嵐を巻き起こした。それにレッドが視界を奪われているうちに、ハートはその姿を忽然と消してしまっていた。

 

「……ギアナ高地、か」

 

 明日は日曜日──陽月学園も休みの日だ。レッドにとって、断る理由などありはしなかった。

 

「待ってろよ、ハート。お前の本心を聞き出してみせるからな……!」

 

 

 

 ♢

 

 

 

 レッドが静かに覚悟を固める、その一方で──異次元空間に位置するアルティメギル基地。そこでは、先ほどまでの戦いがモニターされていた。

 

 エレメリアンの戦士たちにとって、死は恐れるものではない。それは自身のものも仲間のものも、一切の例外なくだ。それゆえ、テイルハートとミミズクギルディの戦いは、彼らにとってカンフル剤にも等しい刺激を与えていた。

 

「ぬうううううっ! あれほどの強者! ドラグギルディ隊長、次は俺が!」

「いいや、ここは私が!」

 

『次は自分があの強者と戦いたい!』その思いに駆られたエレメリアンの戦士たちは、我も我もと騒ぎ出す。その光景を前にして、この舞台を預かる隊長、ドラグギルディは静かに立ち上がると──

 

 

「貴様ら……喝っ!!」

 

 

「「「「……………………っ!!!」」」」

 

 ただ一言、一瞬の咆哮を耳にしたその瞬間、さっきまでが嘘のようにその場が静まり返る。ドラグギルディは全身に気迫をみなぎらせたまま、ゆっくりとその口を開き、この場に集まる戦士達に向けて言葉を紡ぐ。

 

「……先ほどの戦いを見て高揚するのもわかる。だが、ミミズクギルディは無残にやられたのだ! あの戦いが美しく見えたのは、ひとえにテイルハートの武技のおかげだろう。そのテイルハート、そしてそこにテイルレッドを加えた戦いに、彼女達以上の彩りを加えられる自信がある者は名のり出よ! 」

 

 このドラグギルディの言葉に対して、自らこそがと名乗りを上げられるエレメリアンは、ドラグギルディの部隊には存在しなかった。

 

 

 テイルレッドのみが相手ならば、勇敢に名乗り出ただろう。

 

 

 テイルハートのみが相手ならば、己の心を奮い立たせただろう。

 

 

 しかし、2人の戦士を──彼女達のこれまでの戦いを目にして、その戦いにさらなる美しさを与えられると、そう自惚れる事が出来るものは、ドラグギルディの部隊には誰もいなかった。

 

「……お前達、なにも、ドラグギルディ様は、戦いに出るなと言っているのではない。落ち着けと言っているのだ。怒りでは、属性力は練り上げられない。我らエレメリアンに必要なのは、高揚でも怒りでもなく、ただ一途に自らの属性力とツインテールを求める、その心なのだからな」

 

 ドラグギルディの言葉を、彼の副官たる老エレメリアン、スパロウギルディが補強する。こうして浮ついた部隊員達をドラグギルディが叱咤し、そのドラグギルディの本心を、スパロウギルディが部隊員達にわかりやすく伝える。この連携こそ、アルティメギル生粋の武闘派であるドラグギルディが、純粋な頭脳派のスパロウギルディを副官とする理由だった。

 

「スパロウギルディの言う通りだ。反論ができぬのならば、鍛錬に──「ならば、次は俺が行こう」──ゴートギルディ……」

 

「ドラグギルディ、そしてその部下たちよ。テイルハートとテイルレッド……奴らの実力を、俺が見極めてやろう」

 

 そう、今ハートとレッドを相手に戦おうと言うエレメリアンはドラグギルディの部下にはいない。しかし、このアルティメギル基地には何も、ドラグギルディの部下達だけがいるわけではない。それこそ、このゴートギルディのように……。

 

「お前が行くのは時期尚早ではないか?」

「ドラグギルディ……お前ともあろう者が、テイルレッドを俺に取られると怖気付いたか? 心配せずとも、俺の任務はテイルハートの実力の調査だ。レッドには手出しせんよ」

「……テイルハートの実力調査………首領様直々に貴様に課せられた任務だったな。しかし、なぜ……?」

「さあな。……だが、『許可』はもらってある。ハートが俺のお眼鏡にかなうならばよし、そうでないなら──」

 

 

「──殺しても、構わんとな」

 




次回! …………俺ツイ原作が見る影もねえ!(本作はもともとそういう方針です)。ゴールデンウィークまで序盤の資料ないから……

というわけで、ストーカーさんによる次回予告です。

「みなさんお待ちかね! ついに始まりましたハートとレッドの決闘! 熾烈を極める2人の戦いに、不穏な影が現れます! そして現れる、ツインテイルズ第2の戦士とは一体!? そしてシープギルディの実力とは!」
「次回! 『テイルブルー見参! 双対のキング・オブ・ハート』に、レディィィィ……ゴオーーッ!!」

※毎回はやらないよ。

習と総二のデートって(番外編以外で」見たい?

  • 構わん、やれ
  • 断固として拒否する
  • メス落ちまだ?
  • 習側が記憶失ってたらいいよ
  • トリニティ!
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