全新系裂! 究極東方不敗伝テイルハート   作:天地優介

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遅くなりました。ノリがおかしくなっている? 逆に考えるんだ、初めからおかしかったと。

今回師匠活躍してない? いや、必要なタメだから……ぶっちゃけこの人が大暴れするの、4巻ストーリー完結以後かその直前からじゃないかなあ? 正直、第2巻と3巻は、んまあ、テイルイエローとダークグラスパー(イースナ)と、戦闘以外は端折っていいかなって……。

あ、ちなみに今回タイトルの『星屑のレクイエム』は、ゴッドガンダムへの乗り換え時にかかってた曲から名前を取りました。いい曲ですよ!


第6話星屑のレクイエム〜決戦のツインテイルズ! 全身是双髪也!

「……ふう、今日も学校疲れたな」

「お疲れ様、総ちゃん。愛香ちゃんも習ちゃんも、コーヒーでいいわよね?」

 

 ツインテイルズ地下基地は総二の家の地下にあるが、総二の家の一階は、総二の母親である観束未春の道楽経営で、喫茶店『アドレシェンツァ』となっている。

 

 普段は、中二病──もとい、なにか重大な秘密を抱えていそうな人々が集まるこの喫茶店は、現在は臨時休業となっていた。

 

「しかし……よろしかったのですか? ご母堂。わざわざ貸し切りなど……」

「いいのいいの! 今日は習ちゃんがうちに来てから、一週間でしょ? 親睦会ついでに、ちょっとしたお祝いにね。総ちゃんが家に友達呼ぶのなんて、愛香ちゃん以外じゃ殆ど無いし」

(それは母さんの中二病のせいなんだけどな……)

 

 臨時休業となっているのは、未春の提案により、習がツインテイルズと合流して、一週間経った祝いをしようということになったからだ。

 初めは、気を使わせていると思い、習も遠慮していたのだが……総二と愛香は、未春がノリと勢いで行動する人だとわかっていたので、むしろ未春の後押しをした。習とは学園でもよく話すようになった二人だが、やはり壁があると感じたのだろう。そう感じたのは、習が隠している、総二にまつわる『あること』が理由だった。

 

(そういえば、トゥアール……『シャッフルの紋章』について、何かわかったか?)

(習さんがうっかり漏らした情報、総二様のメディカルチェック、ゴートギルディとの戦闘……色々と調査しましたが、総二様の右手の甲、そこにハートをかたどった紋章があり……それが普段は浮かび上がりませんが、戦闘中、総二様のツインテール属性が極度に高まったその時、浮かび上がる。これぐらいですね、わかったのは)

(習も、もったいぶってないで教えてくれればいいのに。それとも、そんなにあたし達のことを信用できないのかしら?)

(いや、単なる不器用じゃないですか?なんというか、いで始まってわで終わるアニメ監督の作品に出てくる人物のような不器用さが、彼女からは感じられます)

 

『シャッフルの紋章』……習がゴートギルディとの戦い、そしてその後に思わず漏らした単語。トゥアールの調査でも、総二のツインテール属性の高まりに応じて出現することしかわかっていない、未知のもの。

 その秘密を、習が握っている──しかし、総二たちがそれとなく、あるいは直接的に紋章のことを習に聞いても──

 

(『聞けば答えが返ってくると思うなあ!』の一点張りなのよね……)

(仕方ないでしょう。彼女とはまだ会って一週間ほど。顔を合わせた時間なんて、私と愛香さんよりも短いんですよ?そんな状況で、なにやら重大っぽい秘密を話せという方が無茶です)

(……そーじとあたしに隠し事してたあんたが言うと、説得力マシマシね)

(うっ、そこを突きますか、愛香さん……)

(まあ、いま考えてもしょうがないことだろ。それより、そろそろヒソヒソ話も習にバレちまう。最近はエレメリアンも現れないし、ゆっくり楽しもうぜ)

 

 総二の言う通り、ここ3日ほど、エレメリアンは現れていない。先日のゴートギルディとの戦いはイレギュラーだったこともあり、定期的なエレメリアンの襲撃が続くと考えられていたのだが……3人がツインテイルズとして纏まって以降、2回ほど戦ったあとは、エレメリアンもぱったりと現れなくなっていた。

 

 ツインテイルズの戦力はブルーという新戦士の登場、そしてハートの合流によって大きく強化された。これに恐れをなしたのか、はたまた別な理由か……ともかくとして、アルティメギル侵略軍がこの世界に現れて20日ほどの今、彼らの侵略が開始されてから初めて、平和と呼べるひと時が流れていた。

 

「そうね……。普段のブルーとしての評判の悪さとか、あの変態どものこととか、そんなこと忘れて楽しみましょ!」

「む、ヒソヒソ話は終わったか?」

「ああ、悪かったな。……しかし、ブルーの評判、か」

「……ワシの方は、幸い悪くは思われてはおらんようだが……」

 

 総二=テイルレッドがそうであったように、習と愛香も、テイルハートとテイルブルー……新たなツインテールの戦士(正確にはハートは違うが)として、ニュース番組などでとりざたされ、あっという間に文字通り世界中にその名は広まっていた。

 レッドが可愛らしさの極致として扱われているのに対して、ハートの方はクールビューティーとして人気になっていた。その言葉遣いと、群衆に対しての冷ややかな目線、それに反した優しさなど、ギャップの大きさも魅力的に映ったのだろう。それに加えて、仮面では正体を隠すには足りないと、トゥアールが習の持つ『ハートブレス』に認識撹乱機能(イマジンチャフ)をつけ、それによって素顔を晒しても大丈夫になって、仮面に隠された素顔があらわになったことも、今のハート人気に一役買っているのかもしれない。

 

 しかし、ブルーの方はというと……

 

「ネットで見たぞ、お前のアンチスレ……。人間って、あんなに黒い部分があったんだな」

「まあ、あれだけ派手にやれば……そりゃ、恐れられますよ」

 

 ……一言で言えば、『蛮族』。もう少し丁寧に言うと、『暴力表現の化身』。

 彼女がブルーとなってから──つまりは3人が『ツインテイルズ』となってから、初めてその姿を世間に晒すことになった初戦、フォクスギルディというエレメリアンと交戦したのだが──

 

「……仕方ないじゃない。気持ち悪かったし、そーじの体をあんなに好き勝手して……」

「気持ちはわかるけどさ……マウントポジションでタコ殴りはやめろよな。動画サイトだと成人指定だぞ、あの場面の映像。もちろんグロで」

 

 ──やりすぎたのだ、つまりは。その後の戦いではなんとか挽回しようと頑張ってはいたが、それも空回りする始末。現在、ブルーの世間的な評判は……最悪だった。

 

「で、でもいいのよ!会長みたいに、ちゃんと評価してくれてる人もいるんだから」

「慧理那か……確かに、ああいう人物も少なくはなかろうな」

 

 総二たちの通う学園の生徒会長、神堂慧理那──ヒーロー番組に憧れている彼女にとって、ツインテイルズはまさに現実に現れたヒーロー。レッドに助けられた経験もあり、学園をあげてツンテイルズを応援しようと言い出すほどのファンである。

 そして愛香がブルーの評判のことで落ち込んでいる時、そんな彼女と、総二たちはレッドの新たな味方……つまりはブルーとハートの事について語り合ったことがあったのだが……。

 

「『たった一人で戦ってたレッドを、助けようという方たちなのです。ブルーもハートも、悪い人のわけがありませんのですわ!』……ああも断言されてはな」

「全くよね、頑張らないわけにいかないじゃないの」

 

 慧理那の放った一言それを思い出し、自身の思いを確かめ、静かに笑い合う愛香と習。しかし彼女たちに対して、総二は少し険しい顔をしていた。

 

「そうだな、俺たちが負けるわけにはいかないし、頑張らなきゃな……」

「……どうしたんですか、総二様?」

「えっ、ああ……いや、最近エレメリアンの襲撃が無いのが……何か大きなことの兆候みたいに思えてな」

「そう?……もしかしたら、それこそブルーに恐れをなして、引きこもってるのかもしれないわよ?」

「自分も傷つく冗談はやめろよ、愛香……。まあ、そうだな。俺の思い過ごしか……」

 

 

 

 

 ♢

 

 

 

 

 ──同時刻、アルティメギル基地にて。

 

「……よし、戦闘員(アルティロイド)の数は揃えた。後は、我の思いを研ぎ澄ますのみ──」

 

 ただ一人、基地の出撃口にドラグギルディが座禅を組み、孤独に……いや、孤高に佇んでいた。

 今、彼が行なっているのは、己の中のツインテールを感じ、高める儀式……双髪(ツインテール)の座禅。ドラグギルディは、普段はたとえ出撃前にも、こんなことは行わない。

 彼が座禅を組む時、それは──

 

「──死ぬつもりか?ドラグギルディ」

「ゴートギルディか……とっくに首領様の元へ帰ったものと、思っていたがな」

「ふん、報告書をやっとまとめて終わってな……今から帰還するところだ。それで、誤魔化すな。死ぬつもりなのだろう?」

「………………」

 

 ゴートギルディの言う通り、ドラグギルディはツインテイルズとの戦い、それに決死の覚悟で挑もうとしていた。

 

「わからぬな。何故だ? あと何人か貴様の配下どもがやられれば、四頂軍……まではいかずとも、クラーケギルディあたりは来るだろう。それがわかっていながら……」

「……ゴートギルディ、それ以上口を開けば──我はツインテイルズの前に、貴様を殺さねばならん」

「…………会議の様子、見たぞ。お前、スワンギルディに……いや、あの場全員をあれほど威圧していたのは、まかり間違っても奴らが犠牲にならないようにだろう」

「…………」

 

 図星を突かれて、黙り込むドラグギルディ。それをいいことに、ゴートギルディはさらにドラグギルディに疑問をぶつけていく。

 

「情にほだされたか? ドラグギルディ。貴様らしくも無い……。だとすれば、俺は首領様直属のエレメリアンとして、お前を止めねばならん。組織の益にならんことは、許されん」

 

 しかし──ゴートギルディの言葉を聞いたその瞬間、ドラグギルディは我慢ならず、口を開いた。

 

「組織の益……か。なあ、ゴートギルディ」

「なんだ?」

「我らエレメリアンは……皆ツインテール属性をもって生まれる。だが、そのツインテール属性と反する属性力を持ってしまった場合……いや、そうでなくとも組織の方針に逆らえば、自らの愛に殉じることも出来ん……。エレメリアンの本懐は、果たせないのだ」

「…………!」

 

 今度は、ゴートギルディが黙り込む番だった。もっとも、ドラグギルディはゴートギルディがどんな反応をしようが構わなかったようで、彼の瞳はゴートギルディを見据えていない。彼が見ているもの、それは…………。

 

「ゴートギルディ、お前の言うこともわかる。だが、我の願いは知っているだろう! ()()()()()()()()()()()()()……つまりそれは、ツインテールの幼女に最後を見届けてもらうということ!」我は今、その願いだけを見つめている!」

「貴様、まさか……! そのために……それだけのために、死ぬ覚悟を!?」

「無論、我とて組織に生きる者。死ぬつもりも、負けるつもりも毛頭無い。だが、我の理想の幼女と……テイルレッドと一騎打ちが出来るのは、この機会のみだろう! だからこそ、我はこの日のため、これだけの準備をしてきたのだ!」

 

 ドラグギルディが腕を振り上げると、彼の背後から無数の戦闘員(アルティロイド)が現れる。彼らは全て、至高の幼女……テイルレッドとの一騎打ちのため、その戦いをブルーとハートに邪魔されないよう、ドラグギルディが用意したものである。

 

「っ!? ぐっ……」

 

 そして、ゴートギルディはこの圧倒的な物量を目撃して、ドラグギルディの本心を悟る。彼は、これまでになく……文字通り、死ぬほどに本気なのだと。その証拠に、ドラグギルディの中にあるツインテール属性、その高まりをゴートギルディは感じていたが、それはあの日自身が戦ったテイルレッドにさえも匹敵、あるいは上回るほどであった。

 

「もう、何も言うな……そして、今日の戦いを見届け、首領様に伝えてくれ。我の勇姿と、勝利のほどを」

「ドラグギルディ!お前は……」

「……さらばとは、言わん。また会おう、ゴートギルディ!」

 

 そう言って、アルティメギル基地から出撃していくドラグギルディに対して──ゴートギルディは、言葉を持たなかった。

 

(……せめて、生きて帰ってこい、ドラグギルディ…………)

 

 ただ、その無事を祈ることしか、できなかった……。

 

 

 

 

 

 ♢

 

 

 

 ──そして同時刻、喫茶店『アドレシェンツァ』にて。

 

 

「──総二様、パーティーの途中ですが……悪い知らせです。エレメリアンが出現しました」

「!……そうか、わかった!」

「未春さん、その……!」

「いいのよ、愛香ちゃん。みんなが帰ってきた時のために、ここを祝賀会場に変えておくから!」

「……心遣い、痛み入ります。ひとまず、今は地下基地へ行くぞ!」

 

 ツインテイルズ地下基地は、365日そのいついかなる時もエレメリアンの出現に対して警戒している。それは今、この賑やかな時でもかわりはしない。エレメリアン出現を知ったツインテイルズは、その位置を知るため、地下基地へと降りていく。

 

「場所は!?」

「町外れの採石場です。今、衛星写真を……これは!?」

 

 地下基地、メインモニタールーム。そこの大画面に映し出されたのは、なかなかに衝撃的な光景だった。

 

「なんて、戦闘員(アルティロイド)の数だよ……!」

「数にして1000体以上……しかも、それを指揮しているのは……」

「なんだ!?あの、エレメリアン……!」

 

 戦闘員(アルティロイド)を率い、鎮座しているドラグギルディ……映像越しとはいえ、その姿を認識した瞬間、総二たちの余裕は消え失せる。

 

「なんという気迫よ……!総二、愛香、これは心してかからねばならぬぞ」

「ああ……それに、あの外見……前に、全世界へ向けてのアルティメギルの侵略宣言があっただろ?あの時のエレメリアンと同じだ……!」

「親玉が出てきたってわけ……!」

「ああ……でも、と言うことは、だ。あいつを倒せば、この世界への侵略も一旦はストップするはずだ。これは、俄然燃えてきたな……!」

 

 しかし、余裕を失ったからと言って、怯えているわけでは無い。むしろその逆に、やっと一応のゴールテープが見えてきたことに、これまでにない強敵の登場に、その闘志を燃え上がらせていた。

 

「よし、町外れの採石場まで行くぞ!トゥアール、転送カタパルトの準備を……」

「そのことなのですが、総二様……今回は、私にも行かせてください」

「えっ!?」

「……どういう風の吹きまわしだ?お主はあくまで、この世界では裏方に徹すると思っていたのですが……」

 

 トゥアールの唐突な提案に、総二と習は驚いた表情を隠さないでいた。それもそのはず、トゥアールはこれまでツインテイルズの戦いを裏から支えてきたが、それは決して表舞台には登場しなかったということでもある。

 しかし……2人の驚愕もよそに、愛香はひとり、納得したような顔をしていた。

 

「……そっか、トゥアール。あんたの世界を滅ぼしたエレメリアンって、もしかして…………」

「はい、かつて戦士として戦っていた私を倒し、私の世界から属性力を奪ったエレメリアン……それは、あのドラグギルディです」

「えっ……!?」

「……なるほど、復讐のため、奴との戦いに同行したいということか?しかし……」

「…………ふむ。ならば、復讐心は捨てたと?」

 

 習の問いに、トゥアールは首を振って否定する。彼女は確かに、これまで復讐のために戦ってきた。……かつて同じ理由で戦い、悲劇を体験した男を知る習は、トゥアールが同行を洗うする理由によっては、気絶させてでも止めるつもりだったが、彼女の態度を見て、それを止めたようだ。

 

「いえ……。今でも、私の戦う理由は復讐です。しかし、この世界を守りたいという気持ちも本物です……その邪魔はしません」

「じゃあ、なんであいつとの戦いに一緒に行きたいって……」

「……見届けたいからです」

「見届けたい……?」

「……はい、私の世界を滅ぼしたエレメリアン──その、最後を」

 

 そう語るトゥアールの表情は、総二や愛香が見たことの無い類のもので──同時に、習にとってはひどく馴染みのあるものだった。

 

「戦士の顔つきをしているな……トゥアール」

「私が……?」

「うむ。ぜ……ゴホン、父の道場でも、今のお主のような顔つきの者は、何人か見た事がある。……そういう顔をしている者はな、大抵言うことを聞かん! その上で、なにかやらかすのだ」

 

 習の言葉を聞いて、呆けた顔をするトゥアール。少し間をおいて、次の言葉を紡いだ時──彼女は、どこか清々しい顔をしていた。

 

「……私は、まだ戦士であると、そういうことなのでしょうか」

「その心に戦う意志がある限りな」

「習の言う通りだ。……トゥアール、一緒に行こう。今回の戦い、たぶんトゥアールの力も必要になると思う」

 

 習がトゥアールの言を肯定し、総二が手を伸ばす。そして愛香も、何も言わないまま、トゥアールに対して穏やかな笑みを向けていた。

 

 そして、トゥアールは、総二の手を取り……立ち上がった。

 

「……この天才トゥアールちゃんがついていくからには、苦労はかけさせません。安心してください!」

 

 習の言う『戦士の顔』は鳴りを潜め、そこにはいつものトゥアールがいた。だが、それでいいのだ。気負い過ぎてはいけない、忘れてもいけない、忌まわしき宿命を超えて、闘志を燃やし尽くしてこそ、トゥアールの道は開けるのだから。

 

「ふーん?そんな大口たたいちゃって。後悔しても知らないわよ?」

「そちらこそ、ドラグギルディは武人でありながら、指揮官として合理的な手段も使う強敵です。周囲の戦闘員(アルティロイド)にやられないようにしてくださいよ?」

「愛香なら大丈夫だろう。それよりも、トゥアール。ついてくるのはいいけど、その……マスコミ対策はどうするんだ?さすがに、この戦いには近づけないだろうけど……」

 

 総二の懸念はもっともだった。ツインテイルズの戦いはこれまで、その全てがではないが、マスコミに報道されている。そんな中で、もしもトゥアールの正体が全国ネットにさらされる事態となれば、そこから芋づる式に総二たちの正体もバレかねない。そうでなくとも、アルティメギルにバレれば、なにか良からぬことを企んでしまうかもしれない。

 

「ふっふっふっ、こんなこともあろうかと……。ちゃんと用意しておきましたよ、対策は! これが……そうです!」

 

 そう言って、トゥアールはコンソールのボタンを操作する。すると、彼女が立つ横の床に穴が開き、そこからなにかを乗せた台がせり上がってきた。

 

「こっ、これは……!?」

「まさか……信じらんない!」

(……センスが無いな。ファイターのスーツと、どちらがマシであろうか……)

「ふっ……そう、これこそ、私の秘密兵器です!」

 

 

 

 ♢

 

 

 

「──来たか」

「ああ──来たぜ、決着をつけに」

 

 ……総二たちの住む町、その外れにある採石場で──いま、2つのツインテールの剣が相対していた。

 

 ひとつは、ドラグギルディ。彼の扱う武器は乱れ刃の大剣。その剣に広がる波紋全てが、ツインテールを象っているかのようだ。

 

 その彼と対するのは、燃えるような髪色に、それと同じ色をした剣、ブレイザーブレイドを携えたテイルレッド。

 

 この世界最高のツインテール属性の持ち主と──数多の世界を滅ぼしてきたツインテール属性を愛する者。そんな彼らの背後には、共にこの戦いに参加する仲間がいた。

 

「……流石に、凄まじいプレッシャーね。こうしているだけで、汗が吹き出そう……でも!」

「うむ! この決戦……負ける道理もつもりもない! このテイルハート、全身全霊で戦おう!」

「ああ……俺も全力だ!」

「………………」

 

 ハートにブルー、いつもの仲間に加えて、今日はツインテールを模した仮面を被った、トゥアール……いや、仮面ツインテールも共にいる。間違えいなく、ツインテイルズの現全戦力だ。

 

「ほう……新たな仲間を連れてきたか。しかし、この数の戦闘員(アルティロイド)と我の怒涛の攻勢! 貴様等に耐えきれるかな……」

 

 そしてドラグギルディも、自らの動かせる戦闘員(アルティロイド)……その全てを投入してきている。先刻の仮面ツインテールの分析でも、その総数は1000体に近い。総二たちから見れば、まるで地平線まで埋め尽くすかのようにも見えるだろう。

 

 そんな敵の大群を前にして──仮面ツインテールは誰よりも先んじて、一歩前へと進み出た。

 

「……久しぶりですね、ドラグギルディ」

「むっ……そう言えば、仮面ツインテールと言ったな、そこの。何者だ? 貴様」

「……ええ、そうでしょうとも。今の私の正体に、あなたは気づけないでしょうね……ですが、そこのひんにゅ……いえ、テイルブルーのギアを、よく見なさい。そしてその後、私の胸を見るのです」

「……? そこの貧乳のツインテールのギアと、貴様の胸を見比べろ……だと?」

「……ギアの状態で殴れば死ぬかもしれないから、戦闘後に思い切り沈めてやるわ……」

 

 密かに愛香がその蛮族力を高めている間にも、ドラグギルディは疑問に思いながらも、仮面ツインテールの言う通り、ブルーのギアをよく観察し……そして間も無く、重大な事実に気がついた。

 

「……! そうか、あの時は下品な乳を備えてあった故、気づかなかったが……! そのギア、まさか……!」

「そうです、ドラグギルディ。私こそが、先代のテイルブルー……あなたとかつて戦った、ツインテールの戦士なのです」

「そうだったのか……!」

 

 この仮面ツインテールの発言に、ドラグギルディばかりか、レッド達までもが驚いた。そこまでは聞いていなかったからだ。しかし、双方の動揺の収まりも、また早かった。ドラグギルディな側はブルーのギアを一目見た時から、その疑念を持っていし、レッド達もトゥアールの過去を聞いて、ある程度予想はついていたからだ。

 

「……成る程、それはよくわかった。しかし、何故だ!? 先代テイルブルー……いや、仮面ツインテール!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

「それは……託したからです。私自身のツインテール属性はテイルレッドに、そして、私のギアはテイルブルーに……!」

「なんだと……!?」

 

 仮面ツインテールの発言に驚愕したのは、ドラグギルディだけではなかった。ハートは薄々と察していたようだが、レッドとブルーは驚いて、自身の手首に装着されたテイルブレスをまじまじと見つめる。しかしそれは一瞬だけで、すぐにその瞳に決意を漲らせると、ドラグギルディを見据えた。

 

「……愚かな真似を、仮面ツインテール! 自らでは勝てぬと知り、ツインテール属性を捨てたか……!ならば「いいや、違う!」……なに!?」

「……レッド?」

「ここは任せてくれ、仮面ツインテール。……ドラグギルディ、お前、ツインテールってものがなんなのか、わかるか?」

「? なにを当然なことを……ツインテールとは、髪型……それだけではない。心の在り方、それさえも内包した概念! しかし、仮面ツインテールはツインテールである事を捨てたのだ!」

 

 このドラグギルディの発言に、仮面ツインテールは傷を抉られたかのような気持ちになり──そんな彼女と対照的に、テイルレッドは不敵に笑う。

 

「……それは違うぜ、ドラグギルディ」

「何…………」

「ツインテールってのはな、左右の髪を支える頭があって成り立って……その頭を支えるにも、身体が必要で……その身体を支えるにも、足が必要なんだ。つまりは、心だけじゃなく、この全身がツインテールなんだ!」

「全身がツインテール……!?」

 

 思いもよらなかったレッドの返答に、ドラグギルディはたじろぐ。その間にも、畳み掛けるようにして、レッドは自らの言葉を結ぶ。まるでツインテールを結ぶように……。

 

「そうだ! この世界そのものをツインテールに染め上げること、それがお前達の狙いだっていうなら……!」

「そんな事態になろうとも問題ないほど、ワシらが強くあればいい!」

「……2人の言う通りよ。例えどれほど強い敵が現れても……その度に、私たちが倒してみせる!」

 

 そして、一歩前に出ていた仮面ツインテールに並ぶように……レッドが、ブルーが、そしてハートが、その足を進める。

 

「仮面ツインテール! お前も……ハートも、ブルーも、俺も! その全身がツインテールで……全員がツインテールなんだ! 」

「総……いいえ、テイル……レッド……! あなたは……」

「なーに涙ぐんだ声出してんの、まったく」

「その涙……この決戦の後にとっておくといい」

「……っ、はい!」

 

 仮面ツインテールはその涙をこらえ、改めてドラグギルディに向き直る。その身体には、変わらずツインテール属性は通っていないが……それでも、ドラグギルディは彼女の立ち姿から、確かに『ツインテール』を感じていた……いや、その感覚は仮面ツインテールからだけではない!

 

「ドラグギルディ……。私はもう惑わされません。あなた達の魔の手によって、星屑のように散っていった人々……彼らへの鎮魂歌(レクイエム)は、あなたの断末魔です!」

「ぐっ!? これは……仮面ツインテールだけではない……ツインテイルズ全員が、ツインテールそのものに……いや、これは!」

「気づいたか……。そうだ、俺たちは……四人で1つのツインテール、つまり!」

 

「「「「ツインテイルズだ!!!!」」」」

 

「……フッ、フハハハハハハ! どうやら、我のツインテールも曇っていたようだ……。認めよう、仮面ツインテール。認めよう、ツインテイルズ! 確かに、お前達はツインテールそのものよ……! だが!」

 

 ツインテイルズの名乗りに呼応するように──ドラグギルディのツインテール属性も増幅し始める。それは波動となり、振動となり、脅威となってレッド達の肌を打つ。

 

「このツインテール属性は……!?」

「忘れておったわ──男子に許されるは、ツインテールを愛でることだけではない。自らがツインテールそのものになる……それこそが、ツインテール属性を持つ者の本分よ!」

「あれは……ドラグギルディに、ツインテールが……!?」

 

 ドラグギルディの頭部から──金色に光るツインテールが出現する。それはまるで竜の翼のように雄々しく、風にたなびいていた。

 

「これぞ、ツインテールの竜翼陣(はばたき)……! これぞ、我が最終闘態!」

 

 最終闘態──エレメリアンの中でも一握りの者のみが辿り着くと言われる、属性力の極致。そこにドラグギルディはいま、到達したのだ。

 

戦闘員(アルティロイド)よ……! まずは、レッドとそれ以外を分断せよ!」

「やはりそう来るか!」

「でも、こっちだって望むところよ! ……レッド、仮面ツインテール! ドラグギルディの相手は任せたわよ!」

 

 ドラグギルディの指示に呼応して動き出す戦闘員(アルティロイド)達に対し、ブルーとハートの2人は突撃して、大群の中に飛び込んでいく。その時にはドラグギルディの横を素通りすることになったが、すでにドラグギルディは、テイルレッドと仮面ツインテールのみを見据えていた。

 

「……感じるぞ、貴様のツインテールの高まりを!」

「伝わるぜ、お前の中のツインテール……その高揚が!」

 

「「…………行くぞっ!!」」

 

 2人の掛け声と同時、両者の体が爆発的な勢いで飛び出し──その剣が、まるでツインテールを象るかのように交わった。

 

 ツインテール対ツインテール。ドラグギルディとツインテイルズの決戦──その幕が、切って落とされた!






「皆さんお待ちかね! 次回のテイルハートは!?」
「 ドラグギルディとツインテイルズの決戦、それは新たなエレメリアン側の乱入者も加え、熾烈を極めます! 飛び散る火花、交わされる剣戟! その中で、テイルレッドは新たな力に目覚めるのです!」
「次回! 『燃え上がれ闘志〜忌まわしき宿命を超えて』に! レディィィィ……ゴォォォォォーー!」

習と総二のデートって(番外編以外で」見たい?

  • 構わん、やれ
  • 断固として拒否する
  • メス落ちまだ?
  • 習側が記憶失ってたらいいよ
  • トリニティ!
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