その悲劇?喜劇は突然と始まった。
それは世界有数の天才物理学者の元へと『AFO』が訪れたことから始まる。その天才物理学者は叡智に富すぎて、その頭脳の中の技術を現実のものとするためには人類は数世紀先までかかると言われていた。そのため、彼の論文は『個性の発現』と並ぶ人類のブレイクスルーと言われている。また、その天才物理学者は個性因子を持って生まれていたのに未だに個性が不明であることも有名だった。そこに目を付けた『AFO』が頭脳に関する個性であると推理して彼の研究所を護衛していた軍隊を打ち破り、とうとうその目の前に現れた。資料として使ったであろう数多の本、乱雑に床に置かれたコピー用紙、人の背丈に届きそうなほど机に積まれたA4用紙の束。そんな如何にも研究者の書斎と言った部屋の中に紙に埋まる様にして目当ての人物はいた。
『君の個性を頂きに来たよ。』
「お前が何者でも関係ない。用事があるなら早く済ましてくれ。俺は研究で忙しいんだ。手は止めさせないでくれよ。論文を書いている途中なのだから。」
その天才物理学者は目の前に軍隊を蹴散らして来た男がいるにも関わらず、論文を執筆する手を止めることはなかった。次々とキーボードを打ち込むその必死さから施設内に響き渡る警報の音すらもう聞こえてすらないだろう。
『ふむ。潔いというか、周りが見えていないというのか。馬鹿と天才は紙一重というが君はまさしくその通りの男だね。では、遠慮なく君の個性を貰っていくよ。』
彼の背中に手を添えてその手から赤黒い光が発せられた。これで天才物理学者の個性は『AFO』の手へと渡った。『AFO』は自分の掌を見つめ何度も開いては閉じる動作を繰り返した。先に目に見える変化が起きたのは天才物理学者の方だった。
「あれ?俺なんでこんなことしてんの?まっ、いっか。とりあえず寝よう。ねー、そこの人このうるさい音なんとかしといて。」
そう言って男は地面に散らばった資料をどかして寝転び、寝てしまった。対する『AFO』はというと彼の個性をしっかりと認識した。
個性『アホ』。「脳内がアホになる。」
何と天才物理学者の個性はアホだったのである。彼の元々の知性は生存すら危うくなる程の知性しかなく、そこに彼の個性『アホ』が加わった結果、ー×ー=+の原理が働き、彼の天才的な発明の数々はとてつもないバカがするとてつもなくアホなことの結果だったのだ。それに気がついた『AFO』は気がついた瞬間その個性を手放そうとしたが、それはできなかった。なぜなら『AFO』はもうすでに『AFO』だったのだから。もうこの個性を手放すことは出来ない。この個性を手放すという行動は『頭の良い』行動なのだから。
さて、ここにアホの個性を持った悪の象徴がいるだろう?答えはどうなる?
そう、ロマン溢れる男の誕生である。
『あぁ、人間賛歌を謳わせてくれ、喉が枯れ果てるほどにッ!』
個性を奪った『AFO』は早速拠点へと帰っていった。拠点へと戻ると配下を一堂に集め開口一番にこう言った。
『君たち。四天王を決めようじゃないか。』
その一言から乱闘が始まり、熾烈を極めたその戦いに最後まで立っていた4人が四天王と名乗るようになった。それぞれの個性の特徴から
土のスカルミリョーネ
水のカイナッツォ
風のバルバリシア
炎のルビカンテ
と呼ばれ、長きに渡る『悪の組織』とヒーローの戦いで恐れられることになった。没個性と呼ばれるような個性の持ち主たちにも必要に応じて個性を授けたり、統一されたパワースーツを大量生産し配りヒーローへ対抗するよう促した。
弟の個性であった『OFA』の継承者との戦いでは、必ずその後継者が現れてから後継者の目の前で凄惨に倒すようになった。また、挑んできたヒーローの中で気に入った者は相性の良さそうな個性を与えて逃すのだという。大体は個性が暴走して自滅してしまうが、上手く生き残る事の出来た少数のヒーローは、見た目がおぞましく変化してしまい普通の生活には戻れなくなり、『AFO』への復讐しに来るらしい。
更には、多くの科学者を拉致して様々な兵器の開発にも取り掛かるようになった。代表的な物を挙げると「ドリル」、「可変式ガンブレード」、「パイルバンカー」、「ロケットランチャー」、「両手にガトリング」など男の子の夢溢れる武器の実用化に向けて研究を進めた。なお、最終目的は『超巨大可変型ロボット』の製造である。そのロマンに惹かれて自主的にこの研究に参加した科学者も何人かいるとかいないとか言われている。これも全部『AFO』の趣味である。
また、個性を使い拠点は地下深くまで伸びるダンジョンのようになった。『『天まで聳え立つ塔』にするか迷ったんだけどねぇ』とは『AFO』の言葉である。大々的に拠点の入り口を公表して攻略者を募ったり、所々に宝箱を設置したり、10階降りるごとに階層のボスが出てくるようになったり、地下100階まであるとかこの『AFO』本当に自由である。
そして、度々メディアの前に出てくるようになった。というか、『AFO』は犯行予告をするようになった。ヒーローをわざと呼び込んで、カメラの前でその暴虐を尽くすようになった。(放送できるよう人死には発生しないよう手加減をしている。)そのせいもあってか、小学生に聞いたなりたい職業ランキングでは不動の一位の『ヒーロー』に迫り、二位『悪の組織』になったこともあるとか。(もう作者も何書いてるかわからない。)
『AFO』が次に取った行動は子育てであった。『AFO』曰く、『育ての親が実は怨敵だったってのは燃える展開だとは思わないかい?』とのこと。ここに都合よく孤児になったOFAの継承者の孫がおるじゃろ?本来の歴史ならAFOの後継者として悪の象徴となるはずだった「志村転孤」は『AFO』の元で育てられて、四天王達にしごかれながら、15歳になったと同時に雄英高校へと放り込まれたという。
『AFO』の最終目標は単独での月面への到達らしい。この『AFO』ならばいつしか本当に成し遂げてしまいそうだから怖い。そのうち『ちょっと太陽に行ってくるわ。』とか言い出しそうである。もうずっと帰ってこなくて良い。
そんな感じでこの世界は案外平和なのであった。