『AFO』はアホ、ハッキリわかんだね   作:毎日健康黒酢生活

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『ちょっと散歩してくるよ。高度15,00mから海抜-4,000mまでね。』

『海』

 

地球表面積の約70%が海であり、その海全体の約95%が、いわゆる深海ということになる。

 

深海というのは水深200m以下の水深のことを指し、そこまでがプランクトンが光合成できる限界域と言われている。

 

つまり、水深200m以下からは我々が受けている太陽光が全く届かなくなっていくのだ。

 

水深1,000m前後で、太陽の光は海面と比べると約100兆分の1。その先は完全なる「暗黒の世界」となると言われている。

 

さらに、水圧は10mごとに1気圧ずつ増える。簡単に言うと1m潜るたびに1cm2に1kgずつ圧力が加算されていく。

 

世界的な記録でも人間が潜水機材を使わずに潜った記録は素潜りで122mである。

 

つまり、深海には到達できず、その6合目が人間の限界なのだ。

 

それほどまでに深海への道のりは厳しい物なのになる。

 

ある研究者は「人間という種が深海に行くのは宇宙に行くよりも難しい」と言う。

 

我々が暮らしている陸上の生物は約650万種と言われ、15%ほどしか把握していない。

 

しかし、海洋生物は220万種でありながらも、9%しか把握できていない。

 

つまり、深海には『未知(ロマン)』が溢れかえっている。

 

 

 

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とある年の夏。

 

うだるような暑さと時折訪れる土砂降りの寒暖差に市民が辟易としている中、夕日に照らされながらアスファルトが雨が降る着前の雨の匂いを醸し出す。

テレビの液晶には美人な天気予報士が台風の警戒を視聴者に促す。

 

『―――。現在、太平洋上にある日本に接近する台風は今夜にも関東上空へと上陸するようです。』

 

そのニュースを我らが『AFO(アホ)』はおもむろに椅子から立ち上がると扉を開け放ち、外出をする。

その様子を見た配下が慌てて傘を持ってきて差し出す。

 

「ボス!外出するなら傘が必要ですよ!」

 

『うん。大丈夫だ。散歩に行って来るだけだ。雨の中、傘をささずにスーツで外出する人が居たっていいだろう?』

 

「……へぇ。ゲーテですか。では、ご自由にどうぞ。」

 

拠点を出た『AFO(アホ)』が目指す先は台風の目。

 

その海の上だ。

 

海岸へ到着すると台風のうねりからか波のトップから3~4m程の落差がある波が絶え間なく、海岸の土砂を巻き込み、重い薄灰色の水塊となって絶え間なく砂浜へと押し寄せている。

雨はまだ降っていないが強風と雨の匂いが台風の到来を予感させる。

波打ち際まで来ると、個性『スカイウォーク』を使い文字通り宙を歩く。

 

暫く空を歩いていると、だんだんと薄暗くなっていき、暗い天空の水の底が割れたような勢いで、大雨が降り出す。

身に纏うスーツが風雨で濡れるのも厭わずに『AFO(アホ)』は鼻歌交じりに散歩を楽しむ。

 

AFO(アホ)』の気楽な雰囲気とは裏腹に天候はどんどんと悪化していき、雷も交じったあたり一面が白っぽく見えるほどの猛烈な雨が海上に降り注ぐ。

 

瞬間

 

びりびりと空気を裂き、世界の終わりを告げる火柱みたいに直立する雷が『AFO(アホ)』へ突き抜ける。

 

『……ケホッ。雷はさすがにビリビリ来るな。』

 

電圧が1億V(ボルト)、電流が10万A(アンペア)とも言われる雷を受けて何故『AFO(アホ)』はケロッとしているのだろう?

ピ〇チュウも真っ青な電圧を受けたはずなのに傷1つ付かずにせき込むだけで済んでいる。

 

……こいつ、人間やめてない?

 

AFO(アホ)』は激しい雷雨にも文字通り負けずに、階段を上がるように、前へ前へ、上へ上へ、一歩ずつ歩みを進めていく。

 

いつの間にか、雨はやみ、激しい風だけが吹き、灼けるような夕日の日差しが『AFO(アホ)』を包み込む。

満足げにその日差しを浴びながら今度は上へ上へ上昇していく。

 

『今はこの晴れ間が僕の支配圏(モノ)だ。』

 

やがて、高度1万5千m程まで達し、周囲は『AFO(アホ)』を中心にするかのように晴れ間が広がり、眼下には台風の分厚い黒い雷雲がひしめき合っていた。

一瞥し、『AFO(アホ)』はその肉体を持っている個性全てを最良に組み合わせて変化させていく。

 

『だが……僕が変えよう。全てを晴れ間(僕の物)にする。』

 

一閃

 

体を一回転させて現状の持てる全てを尽くし台風を薙ぎ払った。

あまりの単純な力の塊の流れに、音が一瞬遅れる様にして2つの爆音が重なるように発生する。

 

『ソニックブーム』

主に戦闘機などの超音速飛行により発生する衝撃波が生む、轟くような大音響だ。

人力では起こせるはずもないその現象を『AFO(アホ)』は単独で起こした。

 

その圧倒的なエネルギーの塊が通り過ぎた先には……。

 

雲一つない圧倒されるほど灼けるような夕映えが、禍々しいほどの赤い色で空を焦がしながら深い闇を併せ持つ晴れ間が広がっている。

 

 

 

『うん。コレだ。コレでいい。』

 

 

 

『このおもちゃ箱(世界)は僕の物だ。』

 

 

 

満足げに呟くと、自らの身体をペタペタと触り、個性『加重』で通常の10倍ほどの重さになりながら落下していく。

 

 

 

眼下に広がる深い青の中へと。

 

 

 

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太陽光がステンドグラスのように乱反射し、キラキラとした光が輝く場所から段々と深く深く、水縹色から紺碧色へ、次第に深藍色へと変わっていく。

 

やがて、100~200m程落下したところで地面に足がつく。

 

AFO(アホ)』の身体は人の形に定型しているがその機能はもうすでに人の物ではなくなっている。

個性『サメ』により、エラ呼吸を可能とし、首元にはエラのひだが見え隠れする。

個性『体内操作』により、肺の中に少量の酸素を残し、気道を封じる。

個性『無重力』、『加重』を併用し、地上と海中の圧力差、つまり内圧と外圧を調節し、体を浮かないようにして海底を優雅に歩く。

さらには、肉体強化系の個性をかけ合わせ、水圧に対して「肉体強度(レベル)を上げて物理で解決する。」を地でやっていく。

 

個性『無呼吸』なんてものがあれば全て解決するが、『生命』である以上、細胞という物がある限り活動をする際に消費するエネルギーを生成するには必ず『呼吸』を必要とする。

植物でさえ日中光合成で蓄えたエネルギーを使い、夜間は『呼吸』をする。

つまり、生きている限り『呼吸』は必要なもので、それさえ無くす個性『無呼吸』は名前はチープだが実質的には細胞が『呼吸』を必要とせずに活動するためある種の永久機関、つまり細胞が老いることがない個性『不老』と言っても変わりがないのである。

 

つまるところ、没個性に見えて超レア個性で個性マニアの『AFO(アホ)』でさえも持っていない。

というか、入手したらまず最終目標の『単独、独力での月面着陸』を成し遂げるだろう。

 

しばらく歩くと、海底には人類が置いていった様々な落とし物がたくさんあった。

中世の木材でできた難破船を中心に様々な生命が群れを成す様に群がりコロニーを作っている。

荒れた巨大な岩には海藻類が繁茂し、それを餌とする小さな生命、さらにその小さな生命を餌とする魚たちが群生する様子も見て取れる。

上空、いや上海には大小さまざまな魚がキラキラと星のように群れを成し生命を繰り広げる。

 

無限に続くかのような海底の稜線はふとしたところで断ち切られるようにして途切れているのが見える。

「もし、神様がいるならば『運命』というのは導かれるべくして導かれ、たどり着くべき時にたどり着く」とは誰の言葉だっただろうか。

正しく、導かれるようにして、惹かれるように『AFO(アホ)』はその場所へと向かう。

 

そこは正しく崖だった。

眼下には深い闇が怪しく、全ての生命が飲み込む黒が広がっている。

その光景に『AFO(アホ)』は自分を幻視する。あらゆる個性を併せ持つ混沌たる自身をこの闇に重ねる。

 

『面白い。ちょっと寄っていこう。』

 

そして、その身を崖の下へと投げた。

音もなくただゆっくりへとその身体を闇へと染めていく。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

 

 

とぷぅん

 

軽い音を立てて、その足が地面へと着地する。

上を見上げても何も見えない。

手を掲げてみせるが己の手の先ですら見えない闇に支配された世界に降り立つ。

個性『暗視』を使い、視界をクリアなものにする。

さらに、個性『視野拡張』を使い様々な物を見る。

大体4,000mほどの落下だったのだろうか。

飛び降りた崖は、ここからは酷く切り立った山に見える。

その山頂、先ほど飛び降りた地点すら程遠くなり、個性『視点集中』を使わねばその先は確認できないほどだった。

 

ふと、あたりを見回す。

 

そして、今まで様々な経験、光景を見てきた『AFO(アホ)』でさえ驚く、混沌とした世界が視界には広がっている。

 

2m程の蛇に近い見た目のサメが優雅に底辺を泳ぎ

 

悪魔のような見た目のグロテスクな魚が無数の長細い仄かに光るヒレを伸ばして獲物の到来を待ち

 

鋭く錐のようにとがった口を伸ばす死んだ魚のような眼をしたサメが漂い

 

三重にもなる顎で、光る目元に獲物を待つ小魚が

 

頭部が透明に光る摩訶不思議な魚が

 

海底にまで落ちてきたクジラの死骸に群がるようにして無数の甲虫のような見た目をした虫がコロニーを作り

 

付近の地下火山により温められた超高熱の温水が噴出する場所に『熱エネルギー』を餌として生息する甲殻類が

 

様々な種の生物が地上、ましてや上海とは違った混沌とした生態系を繰り広げているのが見えた。

 

 

 

『これは、これは凄まじいな。今度、『ドクター』やそのお友達に見せてあげよう。』

 

 

 

まだ見ぬ未知に対して驚嘆のため息がふと漏れる。

暫く、茫然と立ち尽くしながら感じるものを感じられるだけ受け入れる。

 

ふと、切り立つ山の間に洞窟のような入り口を見つける。

個性『マッピング』を使いながら迷わずにその洞窟へと向かう。

 

「もし、神様がいるならば『運命』というのは導かれるべくして導かれ、たどり着くべき時にたどり着く」

 

この言葉の通りに『AFO(アホ)』は海底洞窟へとたどり着く。

その洞窟は一見自然にできた物のように見えて、ある種の規則性をもって入ってきたものを導くように、分かれ道などなく一本道が続く。

まるで、()()()()()()()のように。

 

魅かれるように、好奇心の赴くままに『AFO(アホ)』は歩む。

ひたひたと、その壁を触りながらふとした違和感に気づく。

()()()()()()()()()()()()

洞窟の外では混沌とあらゆる生物が犇めき合っていたのにここに入ってからは虫一匹すら見かけていない。

その不自然さに更に好奇心が掻き立てられる。

 

 

 

そして、行き止まり、いや、門に()()()()()

 

 

 

From here onward is R'lyeh

 

 

 

Do not disturb the sleep of the gods

 

 

 

It wake up from myself when the stars overlap

 

 

 

You will never lose my temper

 

 

 

解読できない、訳の分からぬ文字が羅列された門を興味深げに眺める。

 

『ふむ。文字は読めないがこれだけ色々あれば意図は分かる。』

 

『これは……警告かな?』

 

偉大な先達たちが残した警告の門も気にせず、『AFO(アホ)』は己の心に従い、その門の先、()()()()()()()()()()()と遊びにその門を蹴破る。

 

その先には……。

 

幾何学的に狂った角度と、暗緑色の巨石で構築された都市、異常極まりない非ユークリッド幾何学的な外形を持つ多くの建造物が数知れず聳え立つ生命を感じられない都市が広がっていた。

AFO(アホ)』はその光景に超常黎明期以前から既に長年都市伝説とされ様々なオカルトマニアに親しまれ、一般にも浸透した()()()()()()、もしくは()()()()()()()()()()()()()殿()を思い当たった。

 

 

 

 

 

『……。ここはアトランティスなのか?』

 

 

 

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます
おい!『AFO(アホ)』!似てるけど!
違う、違う、そうじゃない!!!
その深海地下都市の神殿はヤバいって!!!

『海獣の子供』観た影響です。
深海って本当にロマンがありますよね。
作者は極限環境生物について研究していたのでこのロマン凄い分かります。
あの深い海には何が広がっているんでしょうね。

映画内にもあった夜光虫が光る波なのですが……。
とても幻想的なんですが、実際趣味のサーフィンで夜間に光る波の中で波乗りをしたことがありますが、現実では植物プランクトンの死骸の悪臭が酷く波の衝撃で泡状になって浮かんでて、海から上がったあとも、積んでいたタンクの水で体を流しても取れない悪臭に悩まされて銭湯に直行した思い出があります(*´ω`*)

最後に、皆さんのご声援のおかげで日刊ランキング5位にまで浮上しました。投稿開始から約3ヶ月、この作品の初投稿もほぼ2ヶ月前からは考えられないです。この作品も『AFO』のルビを振ってるときに思いついた一発ギャグ的な内容でスタートしたものなので笑
皆さんのご期待に添えるよう作品の投稿生活を続けたいと思います。

今後も拙作をよろしくお願いします。

最近ふとした時に、4作品もマルチ投稿していてどの作品から作者を知っていただけたのか気になってしまったのでアンケートいたします。ご回答いただけると読者層の把握、作者のモチベーションになる、他の読者様はどれをご覧になってるのかなど分かるので是非、お試しください。m(__)m

  • 英雄と敵の二重生活
  • 『風見幽香』な私。
  • 『AFO』はアホ、ハッキリわかんだね
  • 個性:斬島
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