『AFO』はアホ、ハッキリわかんだね   作:毎日健康黒酢生活

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地球の存亡をかけたドSサミット

幾何学的な建造物の群れを抜けて、この都市の中心部にある神殿のような建物に導かれるようにして『AFO(アホ)』はたどり着く。

 

神殿の扉は固く閉ざされているがまたしても、筋力増強を使い、こじ開ける。

その先にはこの世のものとは思えない、常人ならば見るだけで正気を失うであろう()()()()がその翼を丸めて眠りについていた。

バケモノは周囲の構造物と同じ暗緑色の台座の上に膝を折り曲げるようにして座っている。

台座には門にもあったような警告文がいくつも羅列してある。

通常ならばここで正気を失って奇怪な行動をとり始めたり、細胞レベルで危険を叫ぶこの場から逃げ出すだろう。

 

 

しかし、『AFO(アホ)』はもう既にSAN値0だ。

 

()()()()()()()()()()()()()

 

なので好奇心の赴くままにそのバケモノを観察する

 

 

 

『これは凄いね。水棲生物ならば翼やこんなに太い脚は要らない。しかし、陸上生物ならばこんな深さで生きていることなどできない。なのに、こんな場所で呑気に寝ている。』

 

 

 

タコに似た頭部、頭足類のような触腕を無数に生やした顔、巨大な鉤爪のある手足、水かきを備えた二足歩行の姿、ぬらぬらした鱗かゴム状の瘤に覆われた数百メートルもある山のように大きな身体、背にはドラゴンのようなコウモリに似た細い翼を持った姿。

 

地上ですらこれほど冒瀆的で穢れた存在はないだろう。

 

そう、『AFO(アホ)』を除いて。

 

抑えきれない好奇心に従いそのバケモノに対して、「とりあえず、開幕ブッパするか」とでも言わんばかりに腕を歪で破壊に特化させた形状に変化させて殴りかかる。

その()()()()は、先の『SAMURAI』との戦いで見せたように地上ですら卓越した技術と強靭な肉体を併せ持つ『SAMURAI』でさえも紙一重で避けることが精いっぱいだったのだ。

回避もせず、ましてや防御の意思さえ無くこの一撃を受けたら大抵の生物はミンチへと早変わりするだろう。

 

ゴウっと水中でも激しい音を立てて水流と共にあいさつ代わりの一撃を無防備なそのバケモノへと放つ。

 

しかし、その拳はその一撃がバケモノに触れる一瞬前に、残り数cmほどの場所で分厚い装甲にぶつかったかのようにして止まる。

 

『壁かな?堅いね。』

 

AFO(アホ)』の攻撃、言葉に反応するかのようにバケモノはその重たい瞼をゆっくりと開き、()()()

 

その笑みに、『AFO(アホ)』は()()()()()()()()()()()()()()()

 

普段は自分が他人に振りまいているその『悪意』に満ちた笑みを、バケモノによる『冒涜的』な笑みから連想し、心の中は激しい恥辱と憤怒が入り混じる。

だが、嵐のように激しいその感情とは裏腹にその相貌は生まれて初めての体験に()()()()()

その笑みに呼応するかのように体をより破壊に特化させ、溢れんばかりの筋肉の塊はもはや人型を留めずにバケモノよりはやや小さいが10m程までに膨れ上がり、「挨拶がわり」の一撃とは違い全身全霊の台風をかき消した時よりもより破壊力を求めたものに変化していく。

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()S()()()()()()()()()()()

 

 

 

『あぁ、中途半端なマネをして悪かったよ。』

 

 

 

そう先ほどの挨拶を詫びて、自身の所持している個性全てを十全に使った最早、核にも匹敵する一撃をバケモノに放つ。

その一撃に、音という概念は置き去りになり、激しい水流が樹木の年輪のように細かく重なりながら拳は水中を切り裂くように進む。

あまりの衝撃についぞ変化を見せなかった幾何学的な神殿の柱でさえ、軋みをあげながらその水中の震えを非ユークリッド幾何学的な外形を持つ都市へと伝播させていく。

 

ピキッ

 

ガラスが割れる時のような軽い音が響く。

 

瞬間、激しい衝突音と共に障壁が割れ、バケモノ目掛けてその剛腕が迫り、当たった。

 

しかし、寝ているにもかかわらず、無防備でその衝撃を受けたにもかかわらず、そのバケモノは身動き一つせずに、()()()()()()()()()()()()()()

 

ややあって、衝撃が収まった時にバケモノが双眸をゆっくりと重たげに開く。

 

Who are you?

 

脳内に直接語りかけるように理解できない言語が『AFO(アホ)』の脳内に響く。

その声色は人の神経を逆撫でするオーボエのようなくぐもったものだった。

常人だったら発狂するその宇宙的な恐怖にあっけからんと『AFO(アホ)』は気軽に答えを返す。

 

『……。コレは驚いた。知性があって、僕の意識に入り込んできてる。でもね、君の言語は僕に分からないんだ。』

 

すると、バケモノはめんどくさげに、眉を顰める。

 

【Who are you?】

 

きっちりと、()()()()()()()()使()()()バケモノは『AFO(アホ)』へ語り掛ける。

しかし、揶揄うようにして、『AFO(アホ)』は正しく理解できているのに揶揄する。

 

『惜しいね。僕の国の言葉で語りかけてくれよ。』

 

その挑発にバケモノは苛立ちを見せて、その顔を『AFO(アホ)』へと向け、しっかりと『AFO(アホ)』の姿を確認する。

 

【汝、如何なる者ぞ】

 

尊大で傲慢な、『AFO(アホ)』でさえも塵芥であるかのように扱う。

初めての経験に『AFO(アホ)』は好奇心と共にその問いに答える。

 

『僕が何者か。……いや、揶揄ってる訳ではないんだ。いやに哲学的な問いだね。あえて答えるなら『()』は『()』だ。』

 

禅問答のような問いに確固たる自信を持って答える。

しかし、バケモノの望む答えではなく的外れなその答えはバケモノを苛立たせるだけだった。

 

【何故、我が眠りを妨げる】

 

『何てことは無いよ。僕を目の前にして眠ってるなんて初めてだから()()起こしたくなちゃってね。まさか、意思疎通ができる知的生命体とは驚いたよ。』

 

【ただの愚者か。星辰が重ならぬ内に我が眠りを妨げるか】

 

『そういう君は何者なんだい?その……酷くユーモラスな見た目してるね。イカしてるよ。僕好みだ。』

 

Just show my dream

 

短く、意味の分からぬ詠唱をすると『AFO(アホ)』の脳内に数億年昔の地球の映像が流れる。その映像では様々な容姿をした種族がこの地球の覇権をかけて宇宙の外から現れ、このバケモノもその覇権を狙い、国を統治している様子が見えた。しかし、志半ばで様々な要因と共に自身が統治する大陸と共にこの海底に埋没したことが分かった。

 

あまりに、常識を超えた記憶に『AFO(アホ)』でさえも面喰い、一瞬だけ呆けた後、()()()

 

『なぁんだ。結局のところ、君は敗北者じゃないか。覇権を取れずに、小さな大陸だけで満足し、今となってはこんな海底で眠ることしかできない。ふふ、()()()()。』

 

そのバケモノ、いや、邪神を知る者からしたらあまりに無謀な挑発、愚劣な言葉の数々。

命知らずでしかないその言葉にかの邪神はその掌で『AFO(アホ)』を鷲掴みにする。

全身を押しつぶすかのようなその圧力に『AFO(アホ)』は個性を使い、逃れる。

 

『個性『軟体』、『ショック吸収』。ただ力が強いだけの木偶の坊かい?』

 

なおも、嗤いながら『AFO(アホ)』はその掌からするりと抜けて再び挑発をする。

邪神は己の権能である『呪文』を唱える。

 

Give the fool a death

 

瞬間、水中でもあるにかかわらず、『AFO(アホ)』の身体が訳も分からぬままに炎に包まれる。

しかし、あらゆる個性を持つ『AFO(アホ)』はこの程度の初見殺しは慣れたものでするりと爬虫類が脱皮をするように古い炎に包まれた体を脱ぎ捨てる。

 

『おやおや、かつての支配者も萎びたものだね。小蠅みたいな僕を殺すのにも手間取ってるじゃないか。』

 

【よほど、死にたいと思えるな愚者よ。】

 

Stop the beating of that heart

 

瞬間、『AFO(アホ)』の心臓が鼓動を止めた。

激しい心臓発作に襲われながらも『AFO(アホ)』は個性『体内操作』を使い無理やりに心臓を動かす。

通常の生命体ならば必ず死ぬ、文字通り必殺の呪文を何ともなしに躱す。

 

 

 

Thin yourself in an awakening nightmare

 

 

 

醒めることの無い悪夢が『AFO(アホ)』の身を襲う。

しかし、全く効果がなかった。

 

何故ならば『AFO(アホ)』は『アホ』だから。

 

その悪夢にさえもロマンを抱き、すぐさま現実に帰ってくる。

悪夢さえも現実ものにしようと活力になる。

防勢に飽きて来たのか『AFO(アホ)』は反撃に出る。

 

『僕じゃなかったら3回は死んでるね。今度は僕の番だ。』

 

そういうと、『AFO(アホ)』は身体を破壊に特化したものから、鋭く硬く、相手を傷つけることに特化したものに、腕を体を変形させていく。

その姿は、10m程の巨大な体が、無数の刃を体中から生やした鋭利なモノになる。

 

『死んでくれるなよ。かつての支配者。』

 

そういうと、先ほどと変わりがないエネルギーの塊、核に匹敵する威力で邪神へと迫る。

 

その拳は……。

 

()()()()()()()()()()()

 

その傷跡からは邪神の体表と同じ暗緑色の血液のような粘り気のある液体が流れだし、水中に毒のように霧状に溶けているのが見えた。

しかし、その傷はすぐさま、時間が逆行するかのように塞がってしまう。

彼の邪神はその傷跡を不思議そうに眺めた後、『AFO(アホ)』へ語り掛ける。

 

【……。愚者よ。地上の矮小な生命は斯くも成長したのか?】

 

驚愕と、期待を以てその問いをする。

かつて、弄ばれるだけだった生命が、自身の夢に重なった者でさえ発狂し二度と遊べなくなってしまう人類(おもちゃ)が。

単身で極限環境、深海に現れ、己が障壁を破り、ましてや己が体に傷を付けるほどに育っているのかと。

 

 

 

AFO(新しいおもちゃ)』に問う。

 

 

 

『……そうだな。僕は()()()()だけど……。』

 

 

 

しばしの思考の後、全ての生命を脅かす悪魔の一言を放つ。

 

 

 

『そうだ!君もこんな場所で引きこもってないで僕と一緒に来ないか?』

 

 

 

『丁度、僕も世界征服をしようと思ってたんだ。』

 

 

 

()()()()世界(おもちゃ)()()()()()。』

 

 

 

同類を見つけた歓喜と共に歪に嗤いながら

 

 

 

その手を、いくつもの刃が生えた巨大な掌を

 

 

 

邪神の顎髭のように生えた触手に向かって伸ばす。

 

 

 

邪神は静かに……。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

 

 

「あっ!おかえりなさい!ボス!ニュース観ましたか!?台風がいきなり消えちまったんですよ!」

 

拠点に戻ると、部下が前代未聞の珍事のニュースを『AFO(アホ)』に報告する。

興奮がちに言葉を捲くし立てるが、外出の際には居なかった連れ添いが『AFO(アホ)』の後ろにいることを確認し、問う。

 

「どうしたんですかい?そっちのお嬢さんは?」

 

『うん。拾った。暫く世話をするから面倒を見てあげてよ。スカルミリョーネにも報告よろしくね。あぁ、気を付けてね。彼女の機嫌を損ねたら殺されるから。』

 

「ボスゥ、拾ったって犬猫じゃあ、あるめぇし……。」

 

そう快活に嗤う『AFO(アホ)』の姿に恐怖を感じながら背後の少女に目を見る。

 

18~20代前半くらいだろうか。

 

癖のある短い髪の毛が触手のように絡み合い、暗緑色の髪を無造作に靡かせ

 

全身傷1つなく薄く発光するかのような特別な存在感を持った

 

死んだ魚のような瞳を、不気味に暗緑色に輝かせる少女の姿をしっかりと見る

 

相反した要素を併せ持つその瞳と目が合った瞬間、体が根源的な恐怖に支配されたかのように震えが止まらない、うまく言葉に出来ないが何とかひねり出して少女に向けて言葉を発する。

 

「こっ、こちら……お召し物に……どっ、どうぞ。」

 

羽織っていた白衣を全裸の少女に恐る恐る差し出す。

少女は黙って受け取り白衣を羽織る。

そして、フッと『AFO(上司)』のような笑みを浮かべて、言葉を発する。

 

 

 

()()()()()。愚者はやはり()()()()なのだな。】

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

おいおい、なんで邪神を地上に連れ出してんだよ。

退治したりすると思いましたか?
いやいや、そんなのロマンが無いじゃないですか。
そんな話は『ぜったいあく』の対極の『英雄譚』ですよ。
ウチじゃそんな話は扱っていないです。

っていう訳で彼女の名前を募集します。
活動報告へよろしくお願いします( ̄^ ̄)ゞ

『彼女』の挿絵(微トレス)描いたんだけど、見ますか?

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