宵鷺逢魔をどう思いますか?
「うむ、中々いい若手じゃないか!!柱候補で期待できるな!!」
「しのぶちゃんの彼氏でしょ~キュンキュンしちゃうわぁ。しのぶちゃんってば乙女の顔だもの~」
「派手さが足りないぞ派手さがな!!けどやる男みたいだな」
「……若手が育つことは良いことだ」
「…………」
「甘露寺に手を出したら殺す」
「……ち」
「…ぽけー」
柱合会議。しのぶのおつきとして馳せ参じた次第ではあるが
濃いなぁ。柱メンバー
うえから『炎柱』煉獄杏寿郎、『恋柱』甘露寺蜜璃『音柱』宇髄天元『岩柱』悲鳴嶼行冥『水柱』冨岡義勇
『蛇柱』伊黒小芭内『風柱』不死川実弥『霞柱』時透無一郎
以下敬称略だ
個性的で濃すぎるメンツだ
「………………」
あー、視線を感じる
基本柱合会議に継子などの連れを連れて参加はしない
「胡蝶。彼氏随伴とは良い身分だな」
伊黒小芭内が口火を切る。しのぶ曰く蛇のような男らしい
「やめろやめろ伊黒。モテない男の僻みに見えるぞ派手にな!!」
「うるさい宇髄。嫁が三人居るからと調子乗るなよ」
「俺はイケメンだから仕方ないだろ!派手だしな!!」
「色恋沙汰は難しいな!なぁ冨岡!!」
「………何故に俺に振る?煉獄」
「くっだらね」
「あらあら、宇髄さんはともかく男子力の足りない会話ですねぇ。ねぇ逢魔くん」
ニコニコと笑いながら俺にふらんでくださいしのぶ。いや可愛いけどね!!柱を敵に回したくはないよね!!
「いちいち目鯨立てるなんて男の度量が問われると思いません?宇髄さん」
「そうだな、派手にな!」
派手にしか言ってないよこの人!!
「そもそもコイツがいるのがおかしいって話だろがよ!!」
あ、不死川さんキレた
「私が呼んだ。いけなかったかな?」
柱の皆さんが姿勢を整える
「お館様に致しましてはご機嫌麗しゅう…この宵鷺めはお館様が招いたと?」
不死川さんが、尋ねる
俺もしのぶの隣で頭を垂れる
俺も、初めてお会いする。鬼殺隊のまとめ役
お館様…産屋敷耀哉様
「柱についで活躍してる子に一目見ときたいと思うのは変かな?」
「いえ、出過ぎた真似を…申し訳ありません」
「構わないよ、実弥…さて、逢魔だったかな?」
「はい」
「君は…何のために戦うのかな?」
「全ては我が恩人で恋人蟲柱・胡蝶しのぶの為に。そして上弦の弐の鬼を殺すため」
そこは、迷わず揺るがず。けして曲がらぬ『俺の柱』だ
「…そうか。しのぶ、君は恵まれたね」
お館様は薄く笑う
「はい」
「それに君たちに恋愛などを禁じた事は無いよ。何より頑張ってくれている君たちが報われなきゃおかしいって話だよ。私は常に君たちの幸せを願っているよ…それに守るものがあるという事が我々人間の強さだと思う」
お館様が、凄惨なる最期を遂げる事を知っている
まばらな記憶は覚えている
彼の死は我々に大いなる傷を残す。けれど彼の覚悟を否定して侮辱することは出来ない
彼の生き方、覚悟を曲げさせる理由を俺には持たない
素直に尊敬する
他の柱とは多少なりとも禍根はあるだろうが別に彼らに認められる為に戦うわけじゃない
しのぶの為と亡き夜明姉さんと夜深の為だ
それから光陰矢のごとし
竈門炭治郎を中心に物語は進んでいく
上弦の参・
炎柱・煉獄杏寿郎の死を皮切りに進んでいく
音柱・宇髄天元を交えた遊郭での上弦の陸との死闘
刀匠の隠れ里の上弦の肆と伍の急襲
度重なる上弦との遭遇。流石は主人公
柱でさえ上弦の鬼との遭遇は稀。現柱達でさえ稀だ
そして竈門禰豆子の日光の克服。そして痣の出現が事態を加速させていた
来たる決戦に向け柱稽古なる鬼殺隊の底上げが行われていた
痣の発現が急務とされていた
「しのぶ、貴女は柱稽古しなくていいのかい?」
敬語を使わなくなって久しい。彼女たっての希望だ
彼女の自室へ入る、恋仲になり何度か入っている
彼女の性格がよく分かりよく整頓されていた
薬学に詳しくは無いがそれに類する書物や器具が置かれていた
「カナヲが稽古付けてほしがってるみたいだけど」
「…あの子も自己表現出来るようになってよかったです」
「そだね、いい傾向じゃないかな炭治郎くんの影響かなぁ」
不思議な少年だと思う。応援したくなるような少年だ
少なからずカナヲも影響されているよう
「ふふ、恋かもしれませんよ」
優しく笑うしのぶ、切迫は詰まってはいないようで何より
「…多分、決戦時にはあの鬼と見えるはずだよしのぶ」
「そう、ですね」
「上弦の半分は倒された。補充はされるかもしれないけどね…けど壱、弐、参は必ず来るよ」
「逢魔くん、正直なところ譲りたくない気持ちはあります」
「それは俺も一緒だ。姉さんと夜深の仇だ」
「ふふ、一緒で、お揃いですね」
「ああ、お揃いだね」
寄り添う。
「なら一緒に殺します?」
「あはは、半分こしよっか」
まるで頼む食事が一緒だった時のように笑い合う
多分彼女は、先走らないと思う
俺はどうだろう。多分この約束は自制させるためなものかもしれない
あとは上弦の弐に勝てるかどうか
原作における戦闘シーンはしのぶを殺したところだけ
そのシーンがコミックに載る前に俺は転生している
仇に対して情報が少なすぎる
実は『万世極楽教』という新興宗教に関して調べは付いていた
奴が教祖をしている信徒を喰らいこの世の苦しみから解放するという、実にくだらないものだった
その場で、殺してやろうかと思ったが
しのぶとの約束もあるし『宵鷺逢魔』という原作介入を最小限にしたかったのもある
決戦の場まで力を蓄える。必ず滅する為に
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逢魔が時。
基本夜に鬼はいづる。
影は光が強ければ強いほど起きる
闇が深ければ深いほど影もまた同化する
影の呼吸
日の呼吸から派生する全ての呼吸の中でも異質
「じゃが、夜に強くなるのは鬼だけではないという事を示しているのじゃ」
映さんはそう語る。宵鷺剣術は夜に戦う事が根幹にある
「ゆえに鬼殺に向いておるとも言えるぞぇ」
夜と同化する。
月の光でも影は出来る
奴らは『月』
俺らは討ち滅ぼす『影』である
『無限城』
四方八方上下左右の感覚が狂った館。奴らの根城
決戦。お館様の決死のお覚悟も鬼舞辻無惨を殺すには至らなかった。
珠世という鬼が鬼舞辻を止めている今。
沈痛な面持ちの『柱』達が『剣士』達が決戦の地を駆けている
俺は自身の日輪刀『
奇しくも炭治郎くんと同じ『漆黒』へ色変わりをした
だがあの子は『赫灼』のための黒
俺のはまるで夜を塗りたくったような闇の色彩である
ああ、俺の転生した人生の鉄火場になるのは必定。
しのぶとははぐれてしまったけれどきっと目的は一緒だから合流出来るはず
血の臭いが深い。それに知った鬼の臭い
あの真冬の夜を思い出す。
姉と妹を失った夜を思い出す。
姉の宵鷺夜明は自慢の姉だった。村一番の美人だけど俺と夜深を猫可愛がりするのが玉に瑕だった
妹の宵鷺夜深は賢い可愛い自慢の妹だった
俺の後を離れずちゃんと嫁に行けるだろうかと不安だった
その二人が誰かと結婚し幸せにいきただろう未来を奪った鬼の臭いだった
万感の思いで扉を蹴破る
血臭。むせ返るほどの臭いであったが意に介さない
蓋にしていた憎悪が蓋を蹴破り顔を出したようだった
しのぶ、ごめんね先に殺してたら
食事。食事をしていた鬼がいる
血を被ったような青年だった。ニヤニヤと笑っていた
「おや、お客様かなぁ?男の子かぁ?まぁ女の子に比べたら味が落ちるかなぁ?」
「久しいな。童磨」
「ん?俺を知っているのかなぁ?まぁ俺も有名になったもんだなぁ」
ヘラヘラ笑う。喋り方、風体全てが癪に障る
「姉妹を喰いそびれた夜があっただろう上弦の弐。邪魔した男だよ」
「ん、うーんあったかな?…………あー、思い出した美味しそうな姉妹がいたけど邪魔した子がいたねぇ。夜明けが近かったから諦めたけどやけに抵抗されたなぁ……それが?」
思い出したようだが首をかしげる
周りには死体。食べ残しが積まれている
「殺しに来た。ただそれだけだ。鬼。害成す者は害されるべし。因果応報のつけ払わせにきただけだよ」
影の呼吸・壱の型
影に消える。
童磨の腕が吹き飛ぶ。が瞬間に再生する
「………速いねぇ」
童磨は対の鋭い扇を構える。奴の周りが冷えてくるようだった
影の呼吸・弐の型崩し『
血鬼術・蓮葉氷
氷の蓮が咲き乱れる。ああ、氷の血鬼術かっ!!
「速いねぇ!!速いねぇ!!柱かなぁ!!?柱なのかなぁ!!?」
屈託無く笑う。楽しいかよ。
まずは笑えなくしてやる
影の呼吸・参の型崩し『
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私は駆けていた。仇の鬼を見つけられない焦燥と
致命的な、嫌な予感が
「逢魔くん……!」
最愛の彼に何かが起きてるんじゃないかと
無限城は巨大な迷路だが鎹鴉を通じて教えられてはいた
「…悲鳴嶼さんに時透くん」
大柄な僧侶のような男性と小柄な少年。柱最強の男と痣を発現している少年に遭遇する
「胡蝶か」
「胡蝶さん、大丈夫?」
「いえ……大丈夫です、それより逢魔くんみませんでした?」
「宵鷺か、見てはいないが」
「先程から激しい戦闘が南側であるみたいですよ」
時透くんの言葉に、すぐ駆ける
多分逢魔くんだ
「胡蝶!!?」
激しい戦闘音。殺意の恩讐。楽しそうに騒ぐ男の声が響きわたる
私はドアを蹴破る。
血を被ったような鬼と逢魔くんが戦っていた
屈託無くニヤニヤと笑いながら対の扇を操り逢魔くんの攻撃をいなしていた
「ありゃ女の子?まっててねぇまずこの子を食べてから相手してあげるからねぇ」
「くっ……」
逢魔くんは血だらけ。彼は弱くない。むしろ柱に引けを取らず柱稽古のときも柱相手に同等の勝負をしていた
上弦の鬼の強さ。参以上は、さらに別格
部屋の中は氷の蓮が咲き乱れ冷えていた。肌寒い
「………あれが…姉さんの仇」
血を被ったような対の扇を操り戦う鬼
姉を殺した鬼だ。姉ばかりか大好きな人を奪うのか
許さない。許せない。許してなるものか
『幸福』をいとも容易く壊すお前らが許せない
私は『柱』だ
上弦を、殺せばこれから殺させるだろう幾百の人を救える
その前に…逢魔くんを救う
私を殺させないって言いましたね。逢魔くん
私は貴方を殺させないのも一緒なんですよ
蟲の呼吸・蜂牙の舞い【真靡き】
怒濤のつきが童磨の頭を貫く
「凄い突きだなぁ。止めれなかった…だけど不憫だなぁ突き技じゃ鬼は殺せない」
にたぁっと嗤う上弦の弐
「頚だよやっぱり頚を斬らなきゃ」
「なら毒はどうです?」
「ぐっ、」
鬼が苦しみ始める。
上弦にこの毒が通用するかどうか今分かる
「ガハッ!!これは累くんの山で使った毒より強力だね」
やはり情報を共有されている
「調合を鬼ごとに、変えてるとあの方も仰ってたなぁ!!」
ゲホッと、血を吐く
「あれぇ毒分解出来ちゃったみたいだねぇゴメンねぇ」
血を吐きながらも立ち上がる
「せっかく使ってくれたのに」
にたぁっと嗤う
「その刀鞘をしまうときの音が特徴的だねそこで調合を変えているのかな?」
「うわ~っ楽しい!!毒を喰らうのって面白いね、癖になりそう!!次の調合なら効くと思う?やってみようよ」
屈託無く無邪気に嗤う鬼
「…そうですねいいですよまぁこの辺りまでは想定内ですから」
また刀を抜き構える
「俺を除け者にするなよ寂しいだろう?」
「えーまだ立つのかい?肺胞が壊死して辛いだろう?横になってなよ一緒に食べてあげるからさ。俺の血鬼術を吸っちゃっただろう?俺の凍てついた血を霧状にして散布しているからさ呼吸自体辛いはずだよ?」
逢魔くん…?そんな状態で…
「はん、人間様舐めるなよっ。むしろ身体が温まってきてるくらいさ…しのぶは殺させない!!ころさせるかよ!!確定された未来なんざ!!俺がねじ曲げてやるんだよっ!!」
咆哮。魂からの
「確定された未来?可哀想にねぇ俺が楽にしてあげるから。極楽なんてないから全てから解放してあげるよ」
「…逢魔くん無理をしちゃ…私がやりますから」
「……悪いけどやっぱり譲れない。仇を取る以上に貴女を殺させるわけにはいかないからっ!!」
逢魔くんは血だらけの身体を無理に構える
「君たち恋人なのかなぁ?うわぁいいねいいね!!なら一緒に連れてってあげなきゃ失礼だよね!」
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しのぶは、殺させない。これ以上は戦わせない。
彼女の毒は多分効かない。いや効かなかった筈だ
故に頚を斬る力の無い彼女は敗北する
小柄で力が無い事を悔やむだろう
可愛いからいいよなんては言えないけれど
だから俺がやるのだ。
身体に熱が篭もる。ああなんだかやれる気がする
高揚感が殺意を増幅させる
ただ目の前の屈託無くただ無邪気にヘラヘラと救ってあげるとほざく鬼を斬り伏せるため
あらゆる影を知覚する。
あらゆる闇を知覚する。
あらゆる夜を知覚する。
影の呼吸・終の型崩し『
あらゆる雑念が消える。先程まで増幅されていた殺意が零になる
奴の声も聞こえない。しのぶの声も聞こえない。
無音。あらゆる音が聞こえない。
全身を巡る何かを感じる。頬に微かな痛みを感じる
しばらくしてそれすら感じなくなる
我が専心は奴の絶殺にのみ向けれる
『無我の境地』へ至る
一拍子。それすら置いて刀を抜き振るう
「へ……?」
「え…?」
俺は奴の背後の影に立っていた
「い、いつの間に動いたんだい?」
「……さぁな」
奴の頚は飛び身体は瓦解し始める
「俺はみんなを解放していかなきゃいけないんだ。みんなみんな人間は極楽にいけると信じている頭の悪い奴らばかりだから…」
「人間はそんなに弱くない……だから死ね鬼」
眉間を貫きさらに瓦解する上弦の弐童磨
こんなくだらない鬼に姉さんと妹は
「地獄へ堕ちろ」
やばい…立ってられない
力が抜け糸の切れた人形のように倒れ込む
「逢魔くん……!!?」
しのぶが駆けてくる。ああ心配そうな顔も可愛いなぁ
「貴方、無理をして…処置しますから!!処置しますから!!」
「………………俺は貴女が奴に殺される事を知ってました」
「喋らないで!!」
「一目見て貴女に惚れた。小さくて可憐で可愛くて貴女の全てに見惚れた。あはは、面食いでゴメンね……まぁ貴女の内面にもすぐに惹かれたよ」
「…血が止まりませんから喋らないで……!!」
泣いてる顔を見て頬を撫でる
「…だから死なせたくない……知ってた未来を…ねじ曲げてやるんだよって思って……」
「…もう、わたしは……貴方がいない…未来なんて…………嫌なんです…」
「鬼舞辻との戦いは……多分続く……無理はしないで…出来れば……やめて幸せになって欲しい」
「…貴方がいなくては幸せじゃ無いんです…………」
意識は霞む
「けど………胡蝶しのぶは幸せでした……」
涙で歪む最愛の人を最後に意識は暗転する
『胡蝶しのぶ』は死を乗り越え『宵鷺逢魔』の足掻きは成就される
最期まで最愛の人の体温を感じながら意識は沼に落ちていく
前編中編後編で纏めるつもりでしたけどエピローグ書きます