盾しか装備できない?わたしは一向にかまわんッッ   作:タコス13

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冤罪

王城につき、騎士達が拘束しようとするが、烈が睨みつける。

 

「近寄るな。暴れるぞ?」

 

先程の場面を見ていた騎士達は、少し間をとって囲み、謁見の間に通される。

 

そこには、不機嫌な面持ちの王と大臣、そしてマインや元康、練、樹がいた。

 

「どうした、マインさん。宿屋にいるものと思っていたが?」

 

マインは、烈が声をかけると元康の後ろに隠れて、睨みつけていた。

 

「随分と嫌われてしまったようだ。わたしが何かしたか?」

 

マインの双眸を見つめながら、少し困った様に問いかける。

 

「本当に身に覚えが無いのか?」

 

元康が仁王立ちになり、烈を問いただす。

 

「身に覚え?なんの事だ。わたしは何も知らん。」

 

「本気で言ってんのか!?まさか、お前がそんな外道だとは思わなかったぞ!」

 

「外道、だと?恨みを買った覚えが無いのだが......」

 

烈の返答を他所に、裁判所の様な雰囲気で話が進んでいく。

 

「して、盾の勇者の罪状は?」

 

「罪状?わたしが、何か罪を犯したと?」

 

「うぐ……ひぐ……盾の勇者様はお酒に酔った勢いで突然、私の部屋に入ってきたかと思ったら無理やり押し倒してきて......」

 

「......それで?」

 

「盾の勇者様は、「まだ夜は明けてねえぜ」と言って私に迫り、無理やり服を引きちぎって......」

 

話の内容が分かってきたのか、眉をひそめて、話を聞いている烈。

 

「私、怖くなって……叫び声を上げながら命からがら部屋を出てモトヤス様に助けを求めたんです......」

 

「なるほど、そこで元康が出てくるのか。」

 

ハメられていると、理解し、堂々とした態度の烈。

 

「わたしは、昨日、食事をして部屋に戻り、鍛錬をして眠りについた。外にも出ていないし、誰も来なかった。......夜中もな。」

 

最後の一言はマインを睨みながら、語る烈。

 

「嘘を吐きやがって、じゃあなんでマインはこんなに泣いてるんだよ!」

 

「演技、としか言い様がないな。」

 

烈は呆れながら、泣いている女性は、嘘をつかないとおもいこんでいるであろう元康にそう答えた。

 

「マインがわたしに冤罪を被せる以上、彼女の装備を即時明け渡してもらいたいのだがな。どうなんだ?王よ。」

 

「黙れ外道!」

 

当然の要求をする烈に対し、怒鳴る王。

 

「嫌がる我が国民に性行為を強要するとは許されざる蛮行、勇者でなければ即刻処刑物だ!」

 

「ほう、そこまで言うのなら、証拠はあるのか?まさか、マインの証言だけではないだろうな?」

 

王の発言に詰め寄るように、そう問いただす烈。

 

「王様!盾の勇者の部屋から、この様な物が見つかりました!」

 

王と烈の会話に割って入る様に駆け込んできた騎士の1人。

 

その手には、女性物の下着があった。

 

「これが何よりの証拠だ!何か言いたいことはあるか?」

 

騎士の持ってきた女性物の下着に、したり顔をする王。

 

「わたしは、マインの服を無理やり引きちぎったのではないのか?だとするならば、下着だけ無傷なのはあまりにおかしいと思うが?」

 

「ぐ......え、ええい、黙れ黙れ!」

 

烈の指摘に、反論が出来ないのか、怒鳴り散らして誤魔化す王。

 

「異世界に来てまで仲間にそんな事をするなんてクズだな。」

 

「そうですね。僕も同情の余地は無いと思います。」

 

マインの泣き顔を見て、先入観で烈を犯人と決め付けているのか、練と樹が割って入る。

 

「やれやれ......これでは埒が明かないな。そこまで言うのなら、わたしを送り返し、新しい勇者でも呼べば良いだろう?」

 

これ以上何を言っても無駄と考えて、そう発言する。

 

「都合が悪くなったら逃げるのか? 最低だな。」

 

「そうですね。自分の責務をちゃんと果たさず、女性と無理やり関係を結ぼうとは……」

 

「帰れ帰れ! こんなことする奴を勇者仲間にはしてられねえ!」

 

烈は怒りよりも、呆れや哀れみを3人に感じていた。

 

「貴様等は、未だその様な温い考え方をしているのか?ゲームに似た世界だと言っているが、あくまで似た世界であって、ゲームそのものではないと、理解出来ていないのか?そんな甘い考えでは、その内、必ず痛い目に会うぞ?」

 

「強姦魔が何を偉そうに!」

 

烈の諭す様な言葉に、元康は食ってかかる。

 

「さて、皆もこう言っているんだ。さっさとわたしを送り返せばよかろう?それとも、出来ない訳でもあるのか?そういえば、こちらの世界を護るという話の時、帰れるかどうかという話から、報酬の話にすり替えていたな。」

 

そう、王達は、帰れるか?という問いに明確な答えを避けて、報酬という餌で誤魔化していた。

 

「......こんな事をする勇者など即刻送還したい所だが、方法が無い。再召喚するには全ての勇者が死亡した時のみだと研究者は語っておる。」

 

「……な、んだって......」

 

「そんな……」

 

「う、嘘だろ……」

 

烈以外の3人は王の言葉に狼狽えながら、そう呟くしか出来なかった。

 

「ふん。そんな事だろうとは思っていた。貴様等はそんな大事な事を確認せず、能天気に仕事を引き受けてしまったようだが、自分が万能の超人とでも思っているのか?だとしたら、愚かとしか言い様がない。」

 

烈は3人の問題点を抉る様に指摘し、王に向き直れば。

 

「それで?わたしへの罰はなんだ?斬首刑にでもしてみるか?無論、わたしは全力で抵抗するが。」

 

烈が罪人だと言い張るのならば、当然、罰を与えるであろうと、王を問い詰める。

 

「……今のところ、波に対する対抗手段として存在しておるから極刑にする事は出来ん。......だが、冒険者マインに対する、慰謝料は支払って貰う。手持ちの銀貨全てをだ。」

 

「ふん、全くもってくだらん。」

 

烈は王の言葉をくだらないの一言で切って捨てる。

 

「1ヵ月後の波には召集する。例え罪人でも貴様は盾の勇者なのだ。役目から逃れられん。」

 

「何故、貴様等の為に働かなければならないのか疑問だが、分かったとだけ言ってやろう。」

 

王を睨みつけながら、銀貨の入った袋から、銀貨を鷲掴みにして取り出す。

 

「さて、これが欲しかったのだろう?くれてやる。」

 

力任せに握り、バラバラと落とすと、銀貨の大半はひしゃげていた。

 

「「「「「なっ......!?」」」」」

 

その光景に、見ていた者達が、一様に驚愕していた。

 

「わたしをあまり嘗めない事だ。分かったな?」

 

それだけ言うと、謁見の間より立ち去っていく烈。

 

城下町を出ると、道行く人間が、声を潜めて烈の噂話をしていた。

 

((この様子だと、国中にわたしの悪い噂がながれているな......))

 

その横を通り過ぎながら、烈は溜息をついた。

 

さらに歩いていると、武器屋の前を通りかかった烈。

 

「おい、盾のあんちゃん!」

 

「なんだ?」

 

店主は、怒鳴りつける様に、烈を呼び止め、近付いてくる。

 

「聞いたぜ、仲間を強姦しようとしたんだってな、一発殴らせろ!」

 

最初から話を聞く気が無いのか、怒りを顕にして握り拳を作っている。

 

「ふん。」

 

この国の人間は真偽を確かめる事を知らないのかと、呆れる烈。

 

「それで?わたしを殴れば気が済むのか?」

 

「なんだと?」

 

「証拠もなしに、罪を被せて私刑にしたいのかと聞いている。」

 

「な、何を......」

 

店主が困惑の表情を浮かべると、烈は目を瞑り顔を近付ける。

 

「わたしは、強姦などしようともしていないし、なんの罪も犯していない。わたしの言葉を信じないなら、好きなだけ殴るといい。」

 

手を後ろに組み、なんの抵抗もしないと、示しながら語りかける。

 

「う……お前……」

 

「......どうしたのだ?殴らないのか?」

 

店主は拳を緩めて、警戒を解いた。

 

「い、いや。やめておこう......」

 

「そうか。」

 

烈は短くそう言うと、歩き出す烈。

 

「ちょっと待ちな!」

 

「今度はなんだ?」

 

店主は烈を呼び止めて、急いで店に入り戻ってくると、包みを渡す。

 

「武器としてじゃなければ、持てるだろ?なにかと使い勝手が良い。せめてもの餞別だ。」

 

包みを開けると、中には少し古いナイフが入っていた。

 

「......いくらになる?」

 

「銅貨10枚ってとこだな。在庫処分品だ。」

 

「......後で必ず払いに来る。心遣い、感謝する。」

 

やはり、店主は根が優しい人間ようだ。

 

武器屋の前を後にした烈は、昨日集めた素材を売ろうと、素材の買取をしている商人の所へ赴く。

 

商人の前で順番待ちをしていると、商人が烈を見るなり、ヘラヘラと笑みを浮かべる。

 

((足元を見られそうだな。))

 

先客が様々な素材を売っていく中に、烈が売ろうとしていた、バルーン風船とウサピルの死骸があった。

 

「こちらのバルーン風船は2個で銅貨1枚、こっちのウサピルの死骸は、解体手数料もありますから、一体につき銅貨5枚でどうでしょう。あ、そちらの空の瓶も、宜しければ貰いますよ。」

 

「頼む。」

 

「ありがとうございました。」

 

客が帰って、烈の番が回ってきた。

 

「買い取って貰いたいものがあるんだが。」

 

「ようこそいらっしゃいました。」

 

にやにやとした笑いを隠しているつもりのようで、そのまま話を続ける。

 

「そうですねぇ、バルーン風船は10個で銅貨1枚、ウサピルの死骸は一体につき銅貨1枚ってとこですねぇ。」

 

先程の値段の、5分の1の金額を提示してきた。

 

「ほう、聞いていた金額より随分と安いようだが?」

 

「いえいえ、このくらいが妥当なとこですよ。」

 

誤魔化す事もせず、堂々と言い張る商人。

 

「そうか、ところでその瓶はなんだ?ちょっと上の方を持って、持ち上げてくれないか?しっかりとだぞ。」

 

「え、ええ。こうですか?」

 

先程の空き瓶を指さし、指示する烈に、困惑しながら従う商人。

 

「噴ッッ!」

 

手刀で商人が持ち上げている空き瓶を真っ二つにする。

 

「ひぃぃぃ!!」

 

斬られた瓶を見て腰を抜かす商人を睨みつけながら、言う。

 

「貴様の首は断てずとも、貴様の命は簡単に絶てるぞ?」

 

事実を淡々と述べて、商人を脅しながら先を続ける烈。

 

「高額で引き取れとは言わん。だが、相場で買い取って貰わないと困る。」

 

「こんな事をして国が――」

 

「その前に貴様は死ぬがな。」

 

商人の言葉を遮り、そう言いながら、商人の頚椎を軽くトントンと手刀で小突く。

 

「ひっ......わ、分かりました......」

 

「そうか、わたしとしても贔屓にするつもり故、多少ならば値引いても構わん。」

 

「......正直な所だと断りたい所ですが、買取品と金に罪はありません。良いでしょう。」

 

震えながらも嫌味を交えるあたり、商魂逞しいと言えるだろうか。

 

「同じ様な連中が現れても面倒だ。わたしの噂を広めておいてくれ。」

 

「はいはい。まったく、とんだ客だよコンチクショウ!」

 

紆余曲折ありながらも、初めての商談は上手くいったと言える。

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