ギレンは生き残りたい   作:ならない

10 / 47
誤字が減らず申し訳無い


派閥

U.C0070 連邦宇宙軍宇宙要塞『ルナツー』レビル将軍の執務室

 

ヨハン・エイブラヒム・レビル中将は部下の報告を苦々しい顔で聞いていた。

 

「以上の事からモビルスーツ開発計画の中止を決定されました」

 

「報告ご苦労、下がって宜しい」

 

「ハ、失礼します」

 

敬礼をして部下は部屋を出る。

 

「議会には困ったものですな」

 

隣に立ち一緒に報告を聞いていた副官のカニンガン大佐がタメ息混じりに話す。

 

「今に始まった事では無いがね」

 

レビルは葉巻に火をつける。連邦のモビルスーツ開発計画は先の暗礁宙域での戦闘を分析したレビルの発案した計画だった。しかし人型機動兵器等と言う今までに無い規格の兵器開発は難航した。更にレーダーに映り易いその形状(先の戦闘のレーダー及び通信の障害はデブリの影響とされていた)から連邦評議会の内部ではモビルスーツの開発に疑問を持つ者も少なく無かった。

 

「熱核反応炉搭載艦の性能に目を奪われるのも無理は無い、それに新型艦の就役は本来歓迎すべき事なのだがな・・・・・」

 

共和国艦隊のメガ粒子砲は多くの軍関係者を瞠目させた。何しろ十隻程の軍艦が一瞬で文字通り溶けたのだから。連邦艦への熱核反応炉搭載は連邦宇宙軍にとって至急の命題となった。その為ただでさえ少ない予算をモビルスーツなどの開発に割くべきでは無いと言う意見が連邦宇宙軍では支配的だった。

 

「しかしモビルスーツの代わりに武装した作業用ポッドを使うと言うのは些か乱暴です」

 

連邦モビルスーツ開発は先の様に難航していたが驚くべき事に共和国側が月面都市『グラナダ』を通してモビルスーツの輸出を提案してきたのだ。勿論今だ経済封鎖は続いていたし輸出する以上は性能の低い劣化品を掴まされるのは目に見えて居たが何かしら参考に成る技術は無いかと秘密裏に輸入を計画したがそこに連邦政府に強い影響力を持つ軍需企業『ハービック』が横槍を入れた。自らのシェアを奪われまいと自社製品を売り込みをかけてきたのだ。その機体がRB-70『ボール』コロニー開発に使われている作業用ポッドをベースに装甲と武装を搭載した兵器だった。人型のモビルスーツと比べて比較して常識的な見た目と約四分の一と言うコストが決め手と成り次期主力機の座に就いた。

 

「ふむ、ハービック社の提案のタイミング的にモビルスーツ輸入計画を何処から入手していたのだろう」

 

「ギレン・ザビですか」

 

「十中八九そうだろうな、連邦の政治家と起業家は奴の手の平で踊らされている・・・・・いや我々もか」

 

レビルは自嘲気味に笑う。レビルは幼年学校から士官学校に至るまで全て首席で通してきたし任官後も優れた手腕で任務を全て成功させてきた正しくエリートで有った。しかし今回の事はレビルにとって初の敗北と言えた。レビルはあらゆる派閥に属さず旗色を明確にしなかった。軍隊内での派閥争いは有事の際に混乱を招くと理解していたし不毛で有ると思っていた。その為レビルは政治家とは距離を取っていた。それが裏目に出た。今回の敗北は軍事の外まさに政事力での敗北だった。

 

「いずれにしても巨額の資金を投入しての開発計画だ」

 

「閣下それは!」

 

レビルはデスクの引きだしから退役願いを取り出した。

 

「誰かが責任を負わなくてはならん」

 

「それでしたら自分が!」

 

「ならん、貴官はまだ若い、此れからの連邦軍に必要な人材だ。面倒を押し付けてすまんが連邦を頼む」

 

レビルは頭を深々と下げた。

 

「閣下・・・・・」

 

宇宙世紀0070年一人の英雄が歴史の表舞台から去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

地球北米大陸ワシントン州ヤキマ演習場

 

一方で我が世の春を謳歌する将校もいた。イーサン・ライアー准将は連邦軍内の派閥争いに置いて上手く立ち回り陸軍省での立場を確立していた。

 

「圧倒的だな我が軍は」

 

そんなライアーは今ヤキマ演習場にて指揮下の部隊の演習を視察中だった。

 

「此れならばムンゾのモビルスーツも恐れるに足らん!」

 

見事に調子に乗っているライアーで有ったが何も根拠も無しに自軍の強さを過信している訳では無かった。新開発の対モビルスーツ兵器それが自信の源だった。

 

『モビルスーツには足が有る。足とは本来大地に立ち歩く為に有る。すなわちムンゾは地上でのモビルスーツ運用を考えている』

 

そう主張したライアーが発案した対モビルスーツ兵器の要求性能は、一つ長距離から一撃でモビルスーツを戦闘不能にする火力、一つモビルスーツが主力火器として運用すると予測される戦車砲クラスの砲弾の直撃に耐えうる装甲、一つ高い走破性を持ち速度は不整地に置いて時速60kmを確保、以上の要求は異常と言って過言では無かった。開発陣は要求性能の引き下げを提案したがライアーは頑に認めず開発は続行した。そして技術者の努力と狂気によって一部能力は要求性能を超えた試作車輌が完成して今日初の実機演習だった。RTX-440陸戦強襲型ガンタンクこの車輌がライアーの否、連邦陸軍の切り札で有った。




連邦軍の兵器
モビルポッドRB-70『ボール』原作では0079年完成の機体で形式番号もRB-79だったが開発が早まって0070に開発された機体となった。作業用ポットを戦闘用に再設計した機体で装甲と武装を搭載した以外にバッテリーを充電式から燃料電池化、アームの大型化などの変更を行っている。武装は180mmキャノン(小説版ではビームライフルとビームサーベルが装備可能本作では不可)
モビルタンクRTX-440『陸戦強襲型ガンタンク』原作より早く完成しているが性能はほぼ同じ但し自爆装置は無い。武装は220ミリ滑腔砲、腕部ボップガン、30ミリ機関砲、56連装ロケットランチャー、車載用大型火炎放射器、MLRS、重地雷
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。