ギレンは生き残りたい   作:ならない

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作戦

U.C0075 ムンゾ共和国 首都バンチ『ズム・シティ』軍務省ギレン執務室

 

ギレンは参謀本部から上げられた計画書を読み眉間に皺を寄せていた。

 

「ブリティッシュ作戦?」

 

「はい、参謀本部所属デラーズ大佐発案の作戦です。質量弾を使用しての連邦拠点への攻撃案です」

 

秘書官の補足説明で発した人物名に眉間の皺をより深くした。

 

「デラーズか・・・」

 

「デラーズ大佐が何か?優秀な軍人だと聞き及んでおりますが?」

 

ギレンもエギーユ・デラーズの軍人としての能力面では高く評価している。些かロマンチストな所が有るが作戦実行能力と兵士を纏める統率力は特筆すべき点だろう。ただ自分が正しいと思うと他の意見を認めない所が有る。野戦指揮官向きだが視野が狭く一軍の将としての適性は疑問が残る。

 

「とは言え有効な作戦では有るか」

 

「ではこの作戦案を許可いたしますか?」

 

ギレンは暫く作戦のリスク考え

 

「いやこの様な大作戦、私の一存では決められん首相にもお伺いを立てねばな」

 

丸投げする事とにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

共和国 首相官邸

 

ギレンは早速ジオンとの面会の約束を取り付けた。何故か会議室での面会になったが余り気にせず部屋の前で襟をただして扉をノックした。

 

「ギレンです」

 

「入りたまえ」

 

「失礼します」

 

扉を潜るとそこにはジオンを始め各閣僚達が勢揃いしていた。総務大臣、法務大臣、外務大臣、財務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、国土交通大臣、環境大臣、内閣官房長官、国家公安委員会委員長そして軍務大臣ギレン正に勢揃いだった。ギレンが驚いているとジオンがイスを勧めてくる。

 

「きたかギレン君まあ座りたまえ」

 

取り敢えず用意されたイスに腰掛ける。

 

「さて驚かせてすまんなギレン君」

 

ジオンは口ではそう言っていたが顔はイタズラが成功した子供のように笑っていた。ギレンは少し呆れた。

 

(首相も子供ぽい事とをする)

 

ジオンは話しを切出した。

 

「さて皆揃った所で本題に入ろう。次の選挙の事だ」

 

次の首相を決める大事な選挙だがはっきり言ってジオンの再選は決まっている様なものだ。共和国には野党は居るが殆どがジオンの賛同者で国民の殆どもジオンに賛同している。そんな訳でギレンは落着き払って出されたお茶を飲んだ。

 

「私、ジオン・ズム・ダイクンは今期を持って首相職を降りる」

 

「ブフッ!」

 

思わず噴き出してしまった。

 

「大丈夫かね?」

 

「しかしいきなり引退とはいったい?」

 

「言ったままの意味だが?来期から別の首相を立てる」

 

そこでギレンは気が付いた。自分以外に驚いた人物が居ないことに、ギレンは嫌な予感がした。

 

「次期首相にギレン・ザビ君を指名する」

 

「「「「意義無し!!」」」」

 

ギレン以外全員が一斉に賛同の声を上げた。

 

「作戦成功と言った処か」

 

「謀ったな!」

 

ギレンが第二代ムンゾ共和国首相に決定した瞬間だった。


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