ギレンは生き残りたい   作:ならない

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反撃

U.C0079 宇宙航路 共和国軍輸送艦隊ムサイ改級旗艦型巡洋艦『ワルキューレ』

 

通常のムサイ級の物より広く多くの機器が取り付けられた艦橋では艦長以下乗組員達が忙しく働いている。

 

「艦長異常は無いか?」

 

その艦橋に巨漢が現れる。

 

「はい、監視班およびレーダーどちらも敵を捉えていませんドズル少将」

 

開戦から三日経った。共和国軍は当初目標の各サイドと月面都市の制圧を完了したが連邦宇宙艦隊の戦力はいまだに健在でルナツーに籠城の構えをとっていた。しかし連邦宇宙軍もただ徒にルナツーに籠っていた訳ではなかった。隠密行動を得意とする艦隊を編制して各航路で輸送船等を問答無用で襲い撃沈する通商破壊を行っていた。そのために共和国軍は各航路や輸送隊の警備に力を入れる必要が出た。

 

「しかし司令部も思い切ったことをしますな、改修型とは言え新型艦を輸送艦隊の護衛に回すとは」

 

ムサイ改級旗艦型巡洋艦はその名の通りムサイをベースに旗艦能力を向上させた艦だ。通常型より三割ほど大型化された船体に強力なセンサーを搭載してそれらを改装され広くなった艦橋でオペレーター達が分析、僚艦に指示をだす。また威力は変わらないが主砲はより対空戦に優れた旋回速度と高い仰角を持つ物を載せていた。

 

「コロニー国家は宇宙の島国の様な物だからな、輸送航路を脅かされる事は死活問題なのだ」

 

「宇宙の島国、成る程言い得て妙ですな」

 

「兄貴の受け売りだからな」

 

ドズルはがははと豪快に笑う。何人かの乗組員も思わず吹き出した。

 

「だが此のままと言う訳ではいかん。戦力を分散させられている訳だからな、ルナツーは叩かなければならん」

 

「はい、しかし主力艦隊も中々苦戦を強いられている様です」

 

ルナツーは全長120kmの小惑星を改修した物で現在地球圏に有る要塞では最大の物だった。広大で分厚い岩盤に覆われた要塞表面では強力な対艦砲や対空砲が並びそれらに守られた宇宙港は数個艦隊を駐留させる事ができる。その内部では豊富な鉱物資源を産出して軍事工廠も併設されている。籠城にこれほど適した拠点もそう無い。

 

「要塞火砲があそこまで強化されているとは、ルナツーの司令官・・・たしかロドニー・カニンガン中将と言ったか」

 

「レビル将軍の秘蔵っ子だった人物です。二年前にルナツー司令に着任しています」

 

「まさかティアンム以外にそんな人材が居るとはな」

 

ドズルと艦長が話して居ると艦橋に警報が鳴り響いた。

 

「どうした!?」

 

「敵艦です!一時の方向、数十・・・同方向から熱源接近!!」

 

「ッ!!かいh」

 

艦橋は激しい光りに包まれた。


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