ムサイ改級旗艦型巡洋艦『ワルキューレ』艦橋
ドズルは激しい振動と警報音で目を覚ます。
「ッ!」
体を起こした瞬間に激痛が走った。見ると身体中に包帯が巻かれそこから血が滲んでいた。それでも気合で体を起こして回りを見渡す。
「ドズル司令!動かないでください!」
軍医がドズルを抑え込もおとするが押しかえられてしまう。
「艦長!!状況報告!!」
ドズルの大声が艦橋に響く、その声に頭に包帯を巻きながらも指揮を取っていた艦長がハッとしてドズルの方に振り替える。
「ドズル司令!おケガが!」
「報告せんか!!!!」
今度は怒声が響く
「は、はい、敵数10、一時の方向、距離70000、敵速1200で接近、我が方の被害は本艦含め護衛艦二隻が小破一隻が中破、輸送船団は後方に退避しています」
ドズルは頭の中で状況を整理する。此方の戦力は六隻、内一隻が中破で戦力外。対する敵の数は此方の倍。撤退は足の遅い輸送船が居るため難しい。
(ならば!!)
「ミノフスキー粒子最大濃度で散布、中破した艦は輸送船と共に下がらせろ。その他の艦は隊形転換平行隊形、急げ!!」
戦闘開始を意味するドズルの命令と同時に動ける乗組員が一斉に動き始めた。
「モビルスーツ隊は出撃準備して待機、いつでも出れるようにしておけ!」
「直ぐに出撃させないので?」
「距離が遠い、いくらミノフスキー粒子散布下と言えど鴨撃ちだ」
レーダーを妨害しても敵艦隊との間に身を隠す遮蔽物が無い以上、直接照準でも充分モビルスーツを迎撃可能だ。
「俺に良い考えが有る」
艦長はドズルの台詞に何故か凄まじい不安を感じた。
「ドズル司令、隊形変換完了しました」
オペレーターの言葉にドズルは重々しく首肯いた。
「全艦舳先揃え!」
一端溜めを作る。
「・・・・・突撃!!!!!」
全艦が最大戦速で一斉に戦場に飛び出す。
連邦宇宙軍『特殊攻撃艦隊』旗艦サラミス級巡洋艦『アドミナル・ヒッパー』
「敵艦隊加速、我が方に真っ直ぐ突っ込んで来ます!」
一見自殺行為の敵部隊の動きに艦隊司令は悩む、本来で有れば火力を集中して撃滅を謀るべきだが、連邦宇宙軍は現在艦隊保全を全艦に徹底していた。全力で突っ込んで来る敵に正面衝突した場合此方の被害も無視できるものでは無い。その事が司令の積極性を失わせた。
「各艦は充分間隔を取り回避重視で砲撃を続けろ。モビルスーツの回り込みに注意、ボール隊は艦隊側面を警戒」
相手の狂気的な行動は自身の冷静な判断力を鈍らせる。司令はモビルスーツの能力を充分理解していた筈だった。ドズル隊は被害軽微で連邦艦隊と交差する。交差する瞬間アドミナル・ヒッパーとワルキューレの艦体が擦れ激しい振動が艦内を揺らす。
「被害報告!」
「艦底装甲破損!戦闘に支障無し!」
「ムサイ級は前面に火力を集中している。此のまま敵の背後をとる。全艦反転!!」
司令が言い終わるか終わらないかの瞬間に僚艦が爆散した。
「何があった!?」
「巡洋艦アドミナル・ビーティーです!内部から爆発した様に見えました!」
「センサーに感!八時の方向!」
司令はその時点で敵の狙いに気が付いた。
「対空戦闘開始!ボール隊も呼び戻せ!」
「し、し司令!」
「今度はどうした!?」
艦長が指を差す。司令が見た物はモビルスーツが艦橋にビームライフルを向け引金を引く瞬間だった。
MS-14JG『ゲルググイェーガー』シン・マツナガ機
ドズル隊が敵艦隊と交差する瞬間に母艦から飛び出したシンは早速敵艦に照準を合わせ引金を絞る。ゲルググイェーガーに搭載された高性能照準システムは違う事無く敵艦を捉えてビームの光りが敵艦を貫く。
「流石はドズル閣下だ!」
いとも容易く敵艦を二隻火球に変える。シンを含めてドズル隊のモビルスーツは九機、数は少ないが皆ドズルの将器に引かれた武人達だった。
「ぬ、直援機か!」
呼び戻されたボール隊が包囲する様に迫る。
「モビルスーツモドキ如き、敵では無い!!」
ビームマシンガンを連射モードに切り替えて三機一隊で集団行動するボールにビームを連射しながら接近、二機をビームマシンガンで撃墜して残り一機をビームサーベルで引き裂く。仲間達も敵を次々と落としボールは最後の一機になった。
「可哀想だがこれも戦だ!」
最後のボールを正にサッカーボールの様に蹴っ飛ばし敵艦にぶち当てる。敵艦諸ともボールは爆発した。生き残った敵は居なくなった。
「任務完了、帰還する」