ギレンは生き残りたい   作:ならない

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ルウム会戦へ

連邦宇宙軍ルナツー駐留艦隊旗艦マゼラン級戦艦【アナンケ】

 

「小惑星の針路予想は分かっているか?」

 

兵士の報告を聞いて一時的に騒然と為った室内だったがカニンガンは気を取り直し兵士に質問する。

 

「はい、此方になります」

 

兵士は手に持った端末を操作して部屋に据え付けられたモニターに小惑星の針路情報が表示される。

 

「地球を挟んで真逆の針路だな」

 

「我々の艦隊では追い付けんぞ」

 

ティアンムとワイアットの声を聞きながらカニンガンは顎を撫で航路図を眺めて思考を巡らせた。

 

「(確かに全艦では到底間に合わん、だが・・・・)君、至急航海参謀を呼んで来てくれ」

 

「は!」

 

兵士は敬礼もそこそこに駆け出した。

 

「カニンガン提督、何か思い付いたのか」

 

「かなり困難な作戦に成るだろうが」

 

数分後、カニンガンに作戦の概容を聞き航海参謀は苦い顔をした。

 

「確かにカニンガン閣下の言う通り、サラミス級だけの編成艦隊ならばルウム経由の航路を使えば充分間に合いますが・・・・」

 

「だが小惑星を破壊するには火力が足りん」

 

砲術士官としてキャリアを積み、的確な艦隊火力集中で連邦宇宙軍屈指の攻撃力を誇るティアンムの言葉は説得力が有った。

 

「核弾頭をサラミスのミサイルに乗せる」

 

「それでも破壊は無理だ。何のためにわざわざルナツーからレーザードリル等の掘削器機を持って来たのか忘れた訳では無いだろう」

 

当初の作戦では小惑星に穴を掘り内部から核弾頭を爆発させる事で小惑星を破砕する予定だった。表面で核爆発が起きたところで小惑星はびくともしないだろう。

 

「無論だワイアット提督、なので破壊はこの際諦める」

 

「なに?しかし、それでは・・・・」

 

ティアンムは怪訝な表情を浮かべる。

 

「いや、成る程そう言う事か」

 

ワイアットはカニンガンの策を理解した。カニンガンは言葉を続ける。

 

「まあ、共和国軍の真似事だが」

 

その言葉でティアンムも理解した。

 

「小惑星をルナツー衝突針路から反らす」

 

その後は作戦を煮詰め、必要な編成を協議した。必要な戦力として各艦隊から三十隻のサラミス級を抽出する事と成った。

 

「では核弾頭の乗せ変えは直ぐに始めよう」

 

「ふむ、後はルウムに展開している共和国軍の突破か、偵察によると三百隻余り。我が軍の1.5倍か・・・・」

 

「攻撃艦隊が抜ける分、戦力差は更に広がる」

 

「だが、やるしか無い」

 

ルナツーが落ちれば宇宙に置ける連邦軍の拠点を全て失う事となる。宇宙艦隊は補給を切られ、艦の修復も儘ならなくなる。地球からの補給や補充は先の衛星軌道での共和国軍の攻撃を見る限りほぼ不可能だろう。どころか多くの資源を宇宙に頼っている地球を封鎖して兵糧攻めにすると言う悪夢が現実味を帯びて来る。提督達は連邦政府のためでは無く、故郷のため決死の覚悟を決めた。

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